71 【R18】歪んだ愛の形【身内】
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―――――
ありがとうございます!嬉しいですー!
お写真ですか?
はい、わかりましたっ!
[ 制服の下に隠れていたチェーンをはずして
清玄さんに指輪を付けてもらえば
清玄さんのご友人の直哉さんに
お写真を撮ってもらうことになるのです。
バラの花束を抱えて
清玄さんとぴったりくっついて。
撮ってもらった後は
直哉さんにお礼を言うのです! ]*
単位かぁ。おっけー、あんまり難しいのは
いらなさそうな気がするね。
[
彼女が単位と口にすると、
彼は納得した感じで頷く。
大学でプログラミングをとるとは
面白い子だな、と感じつつ
仕事の詰まり具合を確認して
彼女の考査前に週一でも教える時間を作った。
]
*
気分が悪い……
ホテル行こうかと思ったけど、
うちに来てくれる?
[
ケーキはまた今度にして、
お礼と謝罪をする彼女の手を
ぐっと引っ張ってしまったなら、
彼女は体勢を崩さなかっただろうか。
彼の家は偶然にもここから近くて、
徒歩5分くらいのところにある。
地上何階建てだろうかという
タワーマンションにたどり着けば
彼女とずっと繋いでいた手を離しただろう。
凄くイライラした表情を、
彼女の前では見せないようにしたけれど
果たして出来ていただろうか。
]*
……ダメかなあ、
小学生くらいまでなら別によかったけど。
まりんはさ、なんで二部屋あるとこ
選ばなきゃいけないのか、わかってないんだろ?
……まりんの親御さんはさ、
たぶん、俺とまりんが一緒に寝るの
すっごい嫌がると思う。
まりんがいいと思ってるからいいとか
そういう問題じゃない。
[ まりんのご両親の意図を
まりん自身は理解していないようだから
とりあえずその話をしつつ……
たぶんこんなのじゃ
ピンときたりしてくれないだろう。
どこまでも真っ白で純粋な子だから。
立ち上がって、彼女に近づいて。
髪をそっとなでた。 ]*
花で紫を入れるのか…そっちは考えてなかった。
藤の花、たしかに綺麗だ。
…うさぎ?可愛い柄を考えるね、理子は。
[ 彼女の発言をメモしているうちに
色んな色の色んな柄を用意する必要があると
多分2人で納得していたのではないか。 ]
話せるに越したことはないし、
いつか海外のお客さんが来た時に
いつも僕がそばにいるとは限らないから。
大学4年間で、しっかり話せるように
頑張っていこうね?
[ 彼の婚約者、ひいては妻になるということは
会食へ一緒に参加することも
大いにあるわけで。だからその為にも
多少の無理を彼女に強いることになるかもしれない。 ]
────────
『はーいカメラ見て、……清玄顔ゆるい』
うるさい。……さ、挨拶する人いる?
いないようなら、直哉のリムジンで
移動を開始しようか。
[ 花束を抱えた彼女は最高に可愛かったらしく
彼は背中を向けて少しため息を漏らした。
でも、すぐに切り替えて、
彼女の背中に手を添えれば
まだまだ歓談の続く学校を去ろうと促す。
友人はというと、可愛い自分の恋人に
メロメロになっていて
腕を組んで離そうとはせず、
彼女にもそろそろ関係が知られてしまうか。 ]*
そりゃおうじくんにとっては
簡単でしょう……
[
少しだけ拗ねてしまいました。
私の理解力がないのかもしれませんが
余裕そうなおうじくんをみると
少し悔しくなってしまったのです。
プログラミングを取った理由は
時間割表と相談して空いてたからっていうのと……
出来たらかっこいいなって思ったんです。
だから、教えてもらった時は
ちょっとおうじくんがかっこよく見えました。
……わかりやすかったです、悔しいことに。
]
*
気分…私の、せいで……
ごめんね……。
うちって、おうじくんの?
[
ぐっと引っ張られて
ぐらりとよろめいてしまいます。
転びはしなかったけれど、
おうじくんに抱きついてしまいました。
タワーマンションにたどり着くと
ここ……?と思わず彼のほうを見てしまいます。
普通のアパートに住んでいた私にとって
びっくりしてしまうのは仕方のないことだと
そう思うのです。
……おうじくんはどこか
機嫌が悪そうな気がします。
いつもにこにこしているけれど…
どこか表情がいつもと少しだけ違うような…。
]
……おうじくん、その、
私、だいじょうぶ、だから……。
[
覗き込むようにしてそういったら
彼はどんな反応を見せたでしょうか。
部屋に招き入れられるのなら
少しだけ躊躇してから、
お邪魔することになるのです。]*
わかって、ない…です………
……なんで?
なんで、まりんの両親は、
海斗くんとまりんが一緒に寝るの
嫌がるの?こんなに海斗くん優しいのに。
やだ、まりん海斗くんとおやすみしたい。
[ 髪そっと撫でられますが、
まりんはベッドを決めた時のように
段々と拗ね始めまして、
意固地になり始めていました。
海斗くんと一緒に眠っちゃいけないなら
最初からダメっていうはずなのに。
海斗くんが優しくしてくれても、
暫く不貞腐れて、まりんはその場から動かずに
彼を更に困らせてしまうのでした。 ]*
勿論紫色の布地も素敵だと思います!
茶道で使っていた袱紗ばさみが
うさぎさんで可愛かったから…
[ うさぎ柄を思いついた理由を言いつつ
色々な色や柄を用意しようと話すのは
とても楽しかったのです! ]
お客さん…そうですね。
大学生のうちに少しずつ頑張ります!
[ 大学では第二外国語を学ぶと聞いています。
清玄さんがフランス語を話せるのなら
私もフランス語を、なんて思うのです。
清玄さんにふさわしい女性であれるように
常に努力しなければいけませんね! ]
―――――
今日は予定があるからと言ってあるので
挨拶はもう済ませました!
行きましょうー!
[ 清玄さんが嬉しそうだと
嬉しさがさらに増すのです!
今日の予定は前々からわかっていましたので
親しい人には挨拶を済ませてあります。
なので、特に思い残すことも無く
お世話になった学校に感謝しつつ
去ることになるのでした。
直哉さんは、私のお世話をしている
メイドさんと腕を組んでいます。
……知りませんでした。
でもでも、直哉さんはとっても明るい方ですし
メイドさんも幸せそうなのです!
いいことなのです!! ]*
女の子はさー、力が弱いから
……男に襲われると大抵、
抵抗できなくて―――
怖い目に遭うの、わかる?
俺だって男だから、例外じゃない。
俺、別に優しいわけじゃないし。
[ ……言わないと分からないかと思ったけど
言ったところでだめな気がしてきた。
頬を撫でながら、小さい子に言うように
諭してみるけど……。
その場から動く気配がないのなら
少しため息をついて、ベッドに戻った。 ]
…………どうしてもって言うなら
来てもいいけど、
でも―――
ここら辺は初歩的なものだよ?
わんこちゃんさては、こう言うの苦手?
[
教えてる時も呼び方はそんなに変わらず。
でも彼の仕事までの領域は教えなくても
彼女の単位には支障がなさそうなので
彼女が慣れてきて教えてほしいって
お願いしてくるまでは何度も反復練習の
繰り返しだったような。
]
*
あ、ごめん。大丈夫?
[
彼女の重みが体に伝われば、
冷静さを少しだけ取り戻すものの
いつもなら彼女の柔らかさに
ニヤついてもおかしくない彼が
反応を示さず、家を目指した。
マンションの前に着けば、
彼女から驚きの声が聞こえたような。
気にせず、部屋に向かえば
リビングにあるソファでも座るよう促した。
]
あぁいう男は、地獄を見るから。
………わんこちゃんが初めてだよ。
今まで誰も入れたことない。
[
大丈夫という彼女に顔を向けた。
セフレたちとは絶対ホテル。
例外なく、どこかしらのホテルで会っていた。
だから必要以上の会話をしたことも
一緒に食事をすることもなく。
イライラしている時に
ホテルに行ってしまえば、
彼は必ず彼女を傷つけると思って
タバコの匂いが染みつきかけの家に
舞い戻ることを選択した。
]
ごめんちょっとタバコ吸ってくる。
……甘いもの、冷蔵庫にあるから
よければ食べて。
[
そう言って、彼はリビングから離れ
扉をパタンと閉めてしまった。
別に彼女が甘いものを食べたいと
彼が知っていたわけではなく、
彼がただ仕事の合間に食べようかと
買っていただけだが、
彼女が冷蔵庫を開けることはあったか。
]*
…怖い目って、なに……?
海斗くんも、まりんに怖いことするの…?
脅かすのは、ダメだよ?
[ 頬を撫でられながら、すりすりと
その手を押さえて頬擦りをしました。
怖いことって、脅かすこと、でしょう?
たしかに、まりんは怖がりですが、
海斗くんがそんな、ことしませんよね……
じっと見つめていると、
海斗くんは頬を撫でるのをやめて
またベッドに戻って行きました。
]
……海斗くんは──────
まりんのこと、知ってるから…
優しい、よね?
[ 脅かされてもいいから、
まりんは海斗くんと一緒に眠りたかったのです。
ちょっとだけ、海斗くんの表情が
怖いなって思ってしまったけれど、
部屋の中に入って扉を閉めると、
海斗くんのベッドに近付いて、
彼が中にいるなら枕を置いて
まりんも入れてもらうのでした。
まだお座りしてるだけなら、
枕を持ったまま海斗くんの横に座って。
]*
……にがて、かも
[
あんまり要領がいいわけではないので
繰り返しやって、少しずつ理解していくことに。
慣れてくると、少し面白いな、
と感じるようになったのと
……一緒にいる口実にちょうど良くて
単位に関わらない部分まで教えて欲しい、
なんてお願いをするようになったのでした。
]
*
[
抱きついてしまって、いつもなら
嬉しそうというか、そんな反応をする彼が
今日は反応しませんでした。様子が少し変です。
煙草の匂いがする部屋に通されて
促されるまま、ソファに座ります。
……誰も入れたことがない、などと言われては
私は特別なのか、なんて期待してしまいます。
頬がほんのり染まったような。
]
はじ、めて……
あ、いってらっしゃい…?
[
煙草を吸ってくると言われて
引き止めることも出来ず、そのまま見送るのです。
冷蔵庫に甘いものがある、と言われても
私は立ち上がりませんでした。
……冷蔵庫って、その人の生活がよく見える気がして
見ていいのか、迷ってしまったんです。
恋人じゃないから
、遠慮が先に出てしまって。
]
[
おうじくんが出ていってから、
先ほど言われた言葉を反芻していました。
……本当に付き合っているわけではなくて
だったら、彼にとっての私は
何なのでしょうか。
―――特別な何かを期待したいのに。
恋人はいらないならそれは違うんだろうな
と思ってしまいます。
……好意を伝えることだって
きっと迷惑なんだろうって思うのです。
あぁ、私は確かに―――
]
馬鹿、だよね……
[
体だけの関係というには一緒にいすぎたんです。
愛されているって錯覚が
錯覚じゃないような気がしてきてしまって
錯覚じゃないと、思いたくて。
一人になるとそんなことが頭をよぎってばかりです。
一人だからこんなことを考えてしまうんです。
……泣きたくなってしまいます。
きっとおうじくんがいれば忘れられる…
全部忘れさせてくれる……
そう思って、リビングの扉を開けて
どこにいるのか、探そうと歩き始めたのです。
]*
色々と、想像力豊かなことはいいこと。
絶対に理子が気にいるものを見つけようね。
[ 色の話から彼は反物の色しか考えていなかった。
だから、柄で色を入れることを話されると
ハッとするのだった。
2人しかいないから、いつもこんな風に
どこか兄妹のような会話ができている。 ]
いい子だね。もし、分からないことがあれば
わかる範囲で教えてあげられると思うし、
無理だけはいけないからね?
[ 大学の講義を選ぶ時に、
フランス語を選ぶのがわかれば
彼は率先して彼女を手伝うと決め。
たまには講師を呼ぶのもありかな、と
彼女が決めた第二言語の講師を
彼は多分見繕うのだろう。 ]
────────
あんまり浮かれすぎて
うちに返すの忘れるなよ。
[ リムジンの中で彼は友人に釘を刺す。
3泊4日の間はいいけれど、
その後はきちんと返してもらわなければ
支障が出かねない。
友人はわかってる、といいながら
恋人に膝枕をしてもらっているので
彼からは疎まれたような視線が注がれて。 ]
このまま、中に入る?
[ 世の中では制服で楽しむことが
トレンドらしいと言うのを彼は見ていた。
リムジンから降りて、
それを見送れば彼女の手を握って。
今の彼女は高校の制服で、
今の彼は群青のスーツ。
既に荷物はホテルに届いているはずなので
着替えることも可能ではある。
特に着替えを必要としないなら、
ゲートに向かって閉園まで1日目を楽しもうか。 ]*
脅かす、ね…………。
[ ここまでわかってないと
なんかもう……困る。
頬擦りしているのは可愛いけどさ…。
ベッドに戻って、寝ころぶと
まりんは無警戒でやってきた。 ]
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