7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】
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[ あの惨劇から数年の時が過ぎた頃。
ついさっき“ 僕 ”の読んでいたあの新聞を
たいそう騒がせる事件があった
。
『 魔法族の不審死多発事件 』
まるで死の呪文でも掛けられたみたいに、
なんの外傷もなく、なんの脈絡すらもなく、
立て続けに魔法族たちが命を散らしてゆく。
マグルのコメンテーターは連日のように
“ 心不全 ”による不審死に理由をでっちあげ、
ノートに名を書いて人を殺したと嘯いても
驚かない、などと笑えないジョークを零す。 ]
[ 日刊予言者新聞には毎日のように、
謎の死を遂げた犠牲者の名が列をなす。
その内訳はホグワーツの関係者が多数を占め、
イギリス魔法界は多大な混乱に包まれた。
…… 紙上の知った名をなぞっても
今度ばかりは、彼らはもう還ってこない。 ]
( …… 蘇りの石は、
永く死者を繋ぎとめられるような
死を制する秘宝ではなかったんだな )
[ “ It's no crying over split hellbroth. ”
マグルよりは融通が利いても、変わらない摂理。
得心とともに、細く長く息をつく。
覚悟は僕なりにしていたつもりだから、
何が起ころうと最後まで見届ける心算だった。
……けれど事態は、予想をはるかに超えてゆく。 ]
[ 『世界』が一つきりじゃないなんて、
こんな事になるまで、ちっとも知らなかった。
ほんの少し選択肢を違えただけで
たとえば勇敢に闇使いと戦った魔法使いが、
逆に、闇の魔法に身を浸す事すらあるなんて。
そうしてみるみる生い繁る枝葉のうち、
可能性なき世界は、幹から落とされ消滅する。
“ 剪定事象 ”と呼ばれる世界がそれであり、
僕らの世界は、袋小路に至ってしまったのだと。 ]
[ 英国魔法界の礎たるホグワーツといえども
ネットワークが著しい混乱を来してしまったら、
闇の魔法使いの支配には、むなしくも抗えず。
───── 滅びが、すべてを覆い隠す。
魔法界も、非魔法界も、誰も彼もことごとく。
空はとうに、闇の印の髑髏に塗りたくられた。
闇祓いといったって、予言に名を詠まれたって、
こんな時に役に立てなきゃなんの意味もないのに。
同志たちばかりが、儚くも命の花を散らしてゆく。 ]
[
あの惨劇と同じように、
数多の骸が山となり、
それでもなお、立つ者すべて殺し尽くそうと。
耳につく嗤いとともに杖腕を振る死喰い人へ、 ]
[ 思いっきり『武装解除呪文』を見舞おうとして。 ]
[ ────── ぱきり、と。
何かが割れるかのような音を聞いた。
姿現しの時のそれにも似ているけれど、
ずっとずっと焦燥を煽る、身を裂くような異音。 ]
( それは、世界の“ 終わり ”の音だった。 )**
『 ステージと法廷……
舞台は違いますが、共に頑張りましょう。
無事に終わったら
霜降り肉食いに行きましょうね!! 』
[己の昇級まで喜んで貰えたことが、嬉しかった。
――結んだ約束が彼の重荷となる日が来ることなど、想像もせずに。]
[気付くのが遅れたのは出張期間中だったせいもあった。
反応がなくとも、彼なりの妙な気遣いとばかり。
頼りがないのは元気な証拠だろう。
落ち着いた頃に、初主演の感想を尋ねよう。
そう、楽観的に捉えていた。
例の諦めの悪い女性団員から、彼まで質問攻めにあっているとは思わなかった。
個人情報を保護してくれた事を知ったなら、心底感謝した。
彼女からのメッセージ群には、法廷まで押し掛けて来かねない鬼気迫るものがあった。
舞台というものは、決して一人では作れない。
たとえ主役を張れる程の才の持ち主であったとしても、だ。
脚本家。演出家。演技指導者。振付師。
音響。照明。小道具大道具。背景美術に衣装係。
演者も、メインから端役に至るまで。
一つのカンパニーが一致団結して、劇場に観客が入って、初めて舞台は完成する。
何一つ欠けても成功はない。
彼女主演の舞台は、主演一人の舞台だった。
その他の出演者とスタッフは愚か、観客までもが置いてきぼりだった。
――今、『大勢の人に支えられて立っている』ことを身に染みて感じ、心から感謝出来る彼ならば。
きっと素晴らしい主演俳優となれるだろう。]
[何故だろうか。
彼のやることなすこと、全てが癪に障っていた。
どうしてこんなに心がざわつくのか。
自分でもよく分からなかった。
可能な限り関わらないようにしていたし、相手からの心象が悪いだろうことも予想がついていた。
当時の僕は、人との交流を軽んじていた。
むしろ馴れ合いを避けてきた。
そもこのカフェでバイトを始めたのは、課題の為。
僕の歪んだ性格を見抜いた教授から薦められたプログラム。
端的に言えば『性根入れ直して来いの刑』。
ところが僕には、残念なことに自分の何が悪いのかさっぱりわからなかった。
信条は「正論を正直に言って何が悪い」。
故に、仕事の能率よりも客への忖度と仲間との絆を重視するような彼の方が手厚く扱われていたことが、不愉快だった。
今思えば、単なる醜い嫉妬心。
己には持ち得なかった能力――自分ではなく誰かの為に懸命になれる力を、ヴィクはごく自然に有していた。
そんな彼に対する苛烈な羨望と、己の能力が思うように認められないことに対する葛藤、焦り、屈辱感。
一方的に目の敵にしていた相手が、わざわざマンツーマンで己を指導しようというのだ。
僕からすれば、飛んで火にいる夏の虫。
ここぞとばかりに日頃溜めていた対抗意識が爆発してしまった。
そう。当時の僕もまだ幼く、青かった。
]
やれやれ。良く吠える犬だ……、
おまけに癇癪持ちの乱暴者と来た。
どうやら飼い主の躾がなってねぇようですね。
許可を得ないと何も出来ない上、
暴力で解決しようとする。
これだから馬鹿は困ります。
お生憎様。
貴方に教わることなんて何もありません。
僕の方がずっと優秀ですから。
[彼がダブ……
なんだって???
その名を聞いただけで胸焼けして来そうな呪文を唱えねばオーダー出来ない飲み物を愛飲している
、なんてことは知らない。
もし知ったなら、あの頃の僕は
「そんなもん愛飲するから
年がら年中貧乏なんじゃねーですか。」
そう言ってまた彼を煽ってしまっていたと思う。]
[客数が増えれば、クレームは当然増えるもの。
それだけ店の人気が上がったという事だ。
万人に受け入れられる店など殆どこの世に存在しない。
現にクレームと同じ数だけ、
『
店員さんがすっごくかっこよかったです♡
』
なんてメッセージも届いているのは見た。
理不尽なクレームは受け止める素振りで無視すれば良いだけだし、嫌がらせの無言電話には偽計業務妨害罪が適用される。
通報して罰金をふんだくってやればいい。
不要な箇所に労力を多く割きながら、肝心な箇所は手間を惜しんで何もしないというのだから、はっきり言って馬鹿だ。
間違った事は言っていない。
後輩指導も仕事のうちだろう。
つまり別に彼の仕事時間は裂かれていない。
店長に頼まれたのならば、尚更。
正社員でもない彼にしか出来ぬ仕事があるような店なら、潰れるのは時間の問題だと思った。]
…………っ!!
[目にも止まらぬ速さで相手の腕が耳脇を抜けた。
轟音と共に、パラパラと何かの崩れる音がした。
背筋を冷たい汗が伝う。
並の人間にやられるような軟弱者ではないと自負していたけれど、壁ドンされた瞬間に吹いた頬の切れそうな旋毛風は、人の起こせるものではなかった。]
…………器物の損壊にも
許可は降りてるんですか?
職場環境配慮義務違反、使用者責任違反、
安全配慮義務違反……、
脅迫罪も適応されますかね。
[思い浮かんだ法律を適当に並べながら、瞼を持ち上げた。
相手の方が10センチ以上も背が高かったから、どうしても見上げる形になってしまう。
奥歯を噛み締めながら、ピンクに近い赤紫の双眸で、碧の瞳を精一杯冷ややかに睨み付けた。
真正面からまともに彼の顔を見たのは、
その時が初めてだったように思う。
――成程。
役者を志しているだけあって、端正な顔立ちをしている。]
……問題ありません。
最初から何も期待してませんから。
[腕からすり抜けて彼に背を向けながら、制服に落ちた塵を床に払い落とした。
そう簡単に僕を服従させられると思うな。
これが世に言う『壁ドン』か。
こんな物騒なものに心踊らせるなんて、世間の女性陣はどうかしている。
身に迫った危機感をときめきと錯覚しているだけだろう。
所謂吊り橋効果。
これは防衛本能から来た生理現象だ。
――と、
早鐘を打つ心臓を抑えつけながら僕は思っていた。
かつての僕がもし今の僕を知ったなら、
「どうかしてしまったようですね」なんて言うに違いない。
今の僕は、かつての僕にこう言いたい。
「
そこを代わってくれ
」と。]
ありがと……でも、そうじゃなくて。
ぼくには何もないことが分かったから、
それをぼくは理解したからもう怖がる必要がない。
つまりあなたの望むことを、
今なら何でも出来る気がするってことだよ。
[ 怪物と自認する彼が、
人を怖がった子供に返す言葉に瞬いて、
己の語彙のなさに眉を寄せながら言葉を落とす。
人との繋がりなど、求めてはいなかった。
今、目の前にいるのは夜の怪物で、
人と変わらないと訴えはしたものの――
その価値観を、現状、揺るがすことが出来ないならば ]
ただ怖かっただけなんだ、
ぼくには何もないのを認めるのを。
貴方にも、全て知られてしまうのを。
夢を見るのも恐る恐るだったし、
怯えて逃げて、ただ生きただけの子供に、
歩み寄ろうとしてくれたのは、嬉しい。
でも、ぼくが歩み寄るべきなんだよね、
[ 見下ろす視線に応じて顎を上げながら、
落ちて来る言葉の一つ一つをゆるりと噛み締めて。
嫉妬、の言葉に瞬いて、首を傾げる ]
何もかも、かもなだったのかな……
大切なものを持ってる貴方を羨ましいと思う。
その大切なものに繋がった根源が……
セレスが、眠る場所へ行ってぼくが会うのは、
貴方の大事なものを土足で踏み荒らす気がして。
[ 顔を上げたまま、掌を上げて眼前の胸板へと添えた。
冷たい夜の鼓動は触れた掌に伝わらないのだろうか。
それでも指先は心悸を促すべく、トン、と柔らかく叩き ]
[確かに共寝はしたい。が、今同じ布団に寝たら
朝まで寝かせないコースになっていたと思うんだ
などと、供述している。閑話休題
食欲があるのは良いことだ、と
緑茶を啜りながら、君の旺盛な様子を眺める
自分の方が先に食べ始めたのに、遅く食べ終わるのも
いつものことで、ある]
ふむ、君の知っているまんがのもの、というと「
……名探偵?くらいではないだろうか。
[体は子供頭脳は大人、だったか
とはいえレイシフトした時期はその映画が封切りになった頃だ
きっと大勢の人込みとキッズたちであろう
よりかは、リバイバルのこの2本がゆっくりと
見れるのではないだろうか。身長を気にしないで
と、考える保護者の図である
いいんじゃないかな?2人楽しめれば]
彼女の墓所への鍵を教えてくれたことは、
墓荒らしへの道標だと思ったんだけどね。
貴方が人のように生きたいと願うなら、
その人の心が痛むようなことはしたくなかった。
それに、ほんの少しだけ。
日誌の彼女を読む限り、
会えばあなたを殺せる勇気が挫けそうかなって。
あい、わかった。ではこの電気鼠のものを
見ようか、クガネ。
……着替えは1人でできるか?
[腰は大丈夫かな、と
ご飯を丁度食べ終えた、椅子に座る君の背を
一度すっと撫でる
椅子までは歩けていたが、やはりどこか
ぎこちない気がしたものだから
さて、電気鼠がげぇむの世界の出自と知って
げぇむに手を出す様子が、後のカルデアでみられたなら
さぶかるちゃぁとはすごいのだな、と感心しながら、
小説で付き合うのいろはをお勉強する
私がいることでしょう
さて、午前はゆっくりベッドの上
ならばとふわふわの雰囲気な巨人さんのお誘いに
たまには朝寝も良いものだ、と
ころんと隣に寝転がる
眠気はこないものの、こうしてともにいられる幸せは
何にも代えがたい、ものだ]
[指が君の前髪を撫でれば、
茜色がゆるく巻きつき、離れて
そのことに小さく目を、細めた**]
[ 眇める眸に笑ってみせるもぎこちなく、
笑顔ってこんなに難しいのかと自覚ののちに。
暫し思案の間を置いて、視線を泳がせ窓へ向く。
陽が落ち夜の帳に包まれた闇を見通すことは出来ずとも、
けれど方向は、子供を切り売りする村の方角だった。
彼の古城に贈られた子供たちがひと時の故郷とする、
闇深い――村の名は興味がなかったせいで憶えてないが ]
ニクスさまはセレスやぼくたちの村を……、
住んでた場所のこと、あまり知らなかったんだよね。
なら、ぼくらの住んでた村を、
夜の間にこっそりと見に行くのはどう………?
案内はできるよ、貴方が興味があるなら。
ここに来ることが決まった子供のお墓があるし、
どういった場所で育ったかもぼくの言葉より伝わりそう。
順番がくるとお墓がつくられるとか、
どういう場所だったかなんとなく分かるかもだけど。
[ 彼が移動する手段を持つか否かで、
散策に出るにしても今すぐか明日か未来か。
その選択の権限は己にではなく、彼にあるのだろうけれど]
それとも、日々を変わりなく、
陽と夜を越えて恙なく過ごす方が互いを知れる?
でもそれだと結局、
他の子供たちと変わらない気がするから。
[ 結局の所、伝えたいのはひとつだけ。
綴る言葉の逡巡を夜に融かして躊躇いを脱ぎ捨てて ]
――ひと月。
区切らないと貴方もきっと苦しいだろうから、
知る為に過ごすひと月後にもう一度だけ聞かせて。
それでも、ぼくに、殺してほしいのか。 **
[昔は勉強が楽しかった
知っていることが増えて、出来ることが増えて、友達や親に自慢したりもした
けど楽しくなくなったのは
それが競争に置かれてからだ
親の意向で放り込まれた戦いの世界
どれだけもがいても、上がいる
順位や偏差値が上がろうと
「もっと出来る。今度は1位を目指せ」
なんのために勉強しているんだっけ
テストで1位を取る為なんかじゃないよね?
そう自問自答した事は、数えきれぬほど
“争い”
……彼女にこの言葉は向いていない]
[レギュラー争いなんてどうだっていい
彼女は普段からよくそんなことを話していた
限られた練習時間で周りを見ることはできなくて
戦えるのは常に過去の自分だけで
今日はスタメンで使ってくれた
次の日はすごい投手からヒットを打てた
その達成感が1番の楽しみだった
そんなのはホントは言い訳で
競争社会に疲れてしまって逃げているだけで
周りを全く見なければ、何処かで躓く
…ぶつかった壁を越えられない日が来る
理解はしているから
いつか立ち向かわなければならない
それは今、なのだろうか?
]
[どうやら男の杞憂であったらしい
しかし何もないことが怖がる必要がないのは
一体どういうことなのだろうか]
失うものがないから何でも出来る――そういうことかな。
[それならばこの男こそ当てはまるような気がしたが
確認の為の問いかけ一つを投げるだけに留めた]
どうして知られることが恐ろしいと思う?
失望されるかどうか、期待を裏切るかどうか。
人ならばそんなことを思うんだろうか。
[少なくとも男にとって知られることはそういったものではない。
人に憧憬を抱くだけの男は
人との違いを感じることを嫌悪したに過ぎなかった]
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