69 【R18RP】乾いた風の向こうへ
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ひとつ。私は、
王にこの国を「守ってくれ」なんて命じられていない。
結末を見届けてほしいと言われたんだ。
それが例え砂の城であったとしても、だ。
お前ほど多分、私はこの国を愛してはいなかったよ。
| ひとつ。…いや。 これは確かに。私は初めこそアーサーは、 戦いの事しか信用はしていなかったのだがな。
……上手い飯と面白い本を選ぶ事に関しても信用してる。
例え、道楽が混じっていたとしても、 この国の飯が上手いと知っていて、 自ら滅ぼそうなんて考えていない事くらいはわかる。 (64) 2021/04/21(Wed) 22:37:17 |
私は何も変わってない。
アーサーも何も変わってない。
本当に変わろうとするなら、その時に私が止めるさ。
……戦場の友として、必ず。
| ……。 私やお前個人の問題であるなら勝手に退団でもなんでもしろと言いたい所だが。お前の独断で『ココウ』全体を巻き込もうとするなら話は別だ。 国を守る責務はないが、他の団員を守る責務はあると思っているからな。 …故に、今は勝算の或る方につくとしよう。 多くの団員を守れるのは、《そちら》ではない。 [龍に向けたままの背は動かない。 今の自分にとって、鼠の囁きは説得にすらならなかった。 >>59 パチン、バチン。 吐かれる毒を弾くように、龍を守るように。 白い閃光が散る。]** (65) 2021/04/21(Wed) 22:38:14 |
格好悪いだなんて思ったことないけど。
[ 寧ろ、容貌なら優れている方ではないだろうか。
そういえば彼が自国に足留めされた初対面の折、目ぼしい宿は既に埋まり、個人が片手間に開いているような自分の宿を漸く探し当てたなら、断られては困る為心象を良くしようと努めていたなど、その夜の酒の席で聞いたような覚えがある。]
見栄っ張り。
[ 断定でもなく揶揄でもなく、もしかしてそうであるのかと問い掛けのような投げ掛けだ。
更に加えて、自分の為の嵩張る荷を彼に任せているのだから、酒瓶の1本くらい片腕に抱えると、憮然とも言えない表情を帰路に浮かべていたようことも思い出す。
様が好いであるとか、振る舞いが洗練されてあるだとか、そういったものに心を惹かれている訳ではないと言える。ふとした育ちの良さを感じる温柔さであるとか、良くあろう、それは自分が彼を見栄っ張りと呼びつけてしまった部分かもしれないが、そういった部分を愛しく思う。
歳の離れた兄弟や、その子である甥姪に囲まれる彼の話を聞くのが好きだ。願わくば、遠くからでいいからいつかその風景を見てみたい。
何故自分が泣いているかわからないと言うと、余計に彼が自分を抱き寄せた。
僕が君を泣かせたんだという言葉に、腑に落ちる思いがする。いつかも似た事があった。自分にとってダンテは特別なのだと彼が言った。それと同じ心持ちだ。]
悪い。
[ だからこれはダンテが悪いのだからと、余計に溢れる涙を勝手に彼の夜着で拭う。]
泣かないで。
[ 自分は駄々を捏ねる子どものような素振りの癖、彼の腕の中で手を伸ばす。手を伸ばし彼の頬に触れる。温かい。
ずっと穏やかで優しいものだけが彼にあればいいのに。]
[ 今は眠いと言うよりも、泣いたせいか頭の奥がぼんやりと重い。明け方の今は問題ないが、流石に昼方、熱射の中を動くのは厳しいのではないかと思う。
眠気を我慢せずともいいとのダンテの気遣いに、恐らく甘えてしまうことになりそうだ。
抱き締める腕が甘く温かく心地良く、このままもう一度寝台に潜ってしまおうと誘い掛けるのを堪え、寝台を出る。
窓からまだ陽の登りきらない街を眺め、そのまま浴室に向かうと思ったダンテが、長椅子で着替えを解く自分の傍へ身を屈めたのではずみで見上げる。目が合うと、謎掛けめいた言葉が落ちた。
答えは待たされることなく、彼が唇を寄せるのと、目覚めの口吻の許可を問うのとどちらが早かったか自分からは判然としない。どちらでも、先に目を瞑った自分が待ち詫びていたようで、唇が触れる感触に羞恥を覚える。]
おはよう。
[ 彼が型通りの挨拶をするから、何でもないことのように平静のなりで挨拶を返す。彼がどんな顔をしていたか、見られたら良かったのに。]*
[ 嗚呼、やはり。
責めるような、縋るような声が、
澱んだ空気をひりつかせる。
いい年をして、彼女の言いたいことが
わからないはずもなかった。
けれど、どうしようもないではないか。
あの主のもとにいる限り。
そうして己の飼い主は彼女の父なのだから。
アウドラにと彼女の父親が選んだ相手が
どんな人間か、そんなことは
どうでも良かった。
ただ、彼女を大切にしてくれるなら。
彼女が幸せなら、それで良かったのだ。 ]
[ 自分自身に言い聞かせるように
ぽそりと呟いて
こちらを見ることも
別れの挨拶もないまま去っていく姿。
翻るドレスの裾はいつもと変わらないはずなのに、
やけに重く、いつまでもその場に残像が残るよう。
まるで幼子が、母親の衣服の袖を握りしめて
引っ張って離さないような。
そんなふうにそのゆうるりと揺れる
柔らかな生地を、白い指ごと掴んで
引き留めることが出来れば
どんなに、と─── ]
[ 彼女が幸せならそれで良いと思っていた。
意思を無視して諸々の事情のみで与えられた
婚姻であっても、その全てが
不幸というわけでもないだろう。
けれど、彼女は。
自身の足で、自身の手で、
掴みたかったのではないだろうか。
そんなことをふと思う。
その相手が己だったと自惚れて良いなら、
えらく泥濘んだ道を選んだものだと
苦い笑みも浮かんだ。
同時に、何もかも与えたつもりで、
何もかもを奪い、全てのことから彼女を
ひとりにする彼女の父親に、
今まで以上の怒りを感じた。 ]
*
[ なぁお、と鈴を転がすような声がする。
目を閉じたままの頬にざらざらとした鈍い痛み。
ゆっくり持ち上げる瞼が重い。
こつん、と滑らかな毛皮に包まれた
小さな頭が擦り寄せられたのがわかった。]
………… ピヤール。
[ 希少な宝石よりずっと煌びやかに輝く
エメラルドグリーンの瞳。
ふ、と息を吐いて、久しぶりだね、と
声を掛けた。 ]
……君のご主人は、元気かい?
[ 訛りのように重い腕を動かして頭を撫でる。
身体中の傷と痛みで、起き上がることは諦めた。
喉もとをそっと掻いてやろうとした時、
美しい首輪に結ばれたものに気付く。
両手をどうにか伸ばし、首輪から外そうとした。
がたがたと震える両手で、
それが傷つかないように外すのは
存外に苦心したが、優秀な配達猫は自慢げに
じっと座って喉を鳴らしていてくれた。]
[ 別れの言葉。
今まで幾度となくここで会い、
けれど聞いたことのなかった、
Au revoir
さよなら───
ぎり、と唇を噛み締めた。
このままでは、きっと。 ]
[ がり、と音を立てて、歯で薬指の皮膚を破く。
ぷつぷつと湧き上がる赤い滴を、
そのまま己の唇に塗った。
ここには返事を返すためのペンも、紙もない。
感謝を、もしくは朧な愛を告げるための
花も、宝石も。
言葉すら、届かない。
ならば。
その手紙の隅に、そっと唇を押し付けた。
血の赤が、唇の形に咲く花のように
見えただろうか。 ]
─── ピヤール、ありがとう。
返事を書いたんだ。
また、お使いを頼める?
[ 乾いたことを確認して、
もとのようにピヤールの首輪に手紙を結んだ。
届かなかったら、それはそれで良いのだ、と。
なぁお、とピヤールの声が凛と響く。
良い子、と頭を撫でれば、
また、目の前に暗幕が張った。 ]**
そう?かなあ ふふ、
[ 格好悪いことはなかったと言ってもらえたが、いつも回りくどいことばかりしているような気がするのだが。それも大事な時にばかりだ。
見送りをしてくれると言ってくれていたのに、変に気遣ってしまったのと、別れ際が寂しいなんて考えて一人で列車に乗ろうとしたこと。]
たしかに
[ 伺うような言い方だったが、見栄っ張りと言われたならしっくりきてしまって同意を返す。いつでも格好良いと思われたい、彼の前でみっともないところを見せたくない。なのに反作用することばかりだ。
自分のことなんて特筆するようなことも無いと思うのに、ヴィは宝物でも見たような目で聞いてくれる。それで、いつか自分の故郷にもきて欲しいなんて思うようになった。]
……
[ ダンテが悪いのだからと、いっそうぐしぐしと涙を拭うような仕草をするから、可愛いのと愛おしいのと、自分の至らないのともうないまぜで泣けてくるところに
泣かないでと、ヴィが少し身じろぎをして腕を伸ばすと彼の冷たい手のひらが頰に触れた。多分泣き笑いっていうんだろうか、自分の顔はそんな表情を作ったと思う。*]
[ 一緒に二度寝しようなんて言われたら抗えなかった気がするし魅力的すぎてそんな候補は今は知らなくてよかった。
おはようとバカみたいに口づけのあと呟いて。]
君からは?
[ 自分の声はどんな風に聞こえたんだろう。触れたい、触れて欲しい。自分では平素のつもりだったが恥ずかしそうだったろうか、声はかすれてしまってはいなかったか。
そんなことを考えながらも、今の自分の思考を占めるのは
この宝石みたいな緑色の瞳が閉じられた瞼の向こうにあって、目を開く瞬間を見逃したくないとかそんな。*]
[ それから、ヴィは眠たそうにしてはいないかと、様子を伺い。]
一度部屋に戻る?
そういえばシャワーをつかいたいし
[ 朝食を終えた頃にはそう提案してみる。シャワーなんてのは割とこじつけだ。自分が楽しげにしているから、空中回廊や上階のほうにも彼が付き合おうとしてくれそうな気がするから。**]
[男とその同僚の話す内容に
乾いた笑いを零しそうに成るのを止めて。
余程信頼をされている様な気がして、
これはうっかりした事は出来ないなと
駒手先が迷う思いに駆られる。
さて、彼の手を煩わせる事になるかは
明日に吹く風しか分からない、が、]
| 『国を守る責はない…? 戦う人間としての誇りすら失ったのかしら!』 我々は傭兵だ。跪くものはもういない。 お前一人が抱きたい誇りならば、 そいつらから一人分の金を受け取ってからにしろ!! [背の龍から耳打ちを受け取ってすぐ、 >>77、唐突に苛烈になる軋轢。はて、と。改めて想起する。そもそも彼女と――全ての団員と仲良くしたことなどあっただろうか。 王の事は稚い頃に崇拝と執着をないまぜにして、陶酔しきって、傭兵団として自立していくにつれ忘れてしまったと思っていたのだが、どうも、同じように忘れたもののようには感じられなかった。 受け流しに長けていたのも、不和によるものだったのだろうか。 >>0:27今となってはもうわからない。罅は大きくなってしまった。 鼠に続いて距離を詰めて来る残党の位置を頭の中で数えて、それでも足は真っ直ぐ動き出す。] (79) 2021/04/22(Thu) 6:41:15 |
| [衝突した時のネネの力が全力で無いとすぐにわかった。鍔迫り合いに持ち込んでその場に自分をとどめておくのが狙いなのだろう。手の内がわかっていても再び視界を潰す為に雷を落とす他無かった。
剣を中心に光の玉がボンッ、と生まれる。二人に近づいていた数人の足が止まった。すぐさま光の中から虎が現れ、止めた足の内の一人の脛を仕留める。 つまりそれは鼠から一度背いたということ。彼女は先程アーサーにしたときのように跳躍し、高度ある場所から剣を振り下ろさんとした。
わかって背を向けたので、すぐさま屈んで頭の位置をずらし、すぐさま下から突き上げるよう蹴りを放つ。振り下ろすための手首に正確に当て、バランスを崩させる。
剣の目くらましは通用しない――試した事は無かったが、理論上は可能だったので、己の誇りであるそれを脱ぎ捨て鼠に投げつけた。] (80) 2021/04/22(Thu) 6:41:29 |
| [瞬間、剣ではなく"軍帽"に雷が落ちる。] 『なっ……!?』 [普段の手を捨て、捻った手法を使う事を奴の好きな遊びでななんといったか。自分が好む遊びのそれでは「何が金に成ったっていい」、と返す所なのだが。 さすがのネネも反応出来なかったらしい。目を隠したのと同時に、もう一人、反対側にいた輩へ剣を宛がう。痺れて落とした武器を取って、すぐに投げて、発光させる。 先程よりも明滅頻度を高くし、その度に場所を変える。アーサーに近づけさせないのと同時に、自身の身をも隠す。狭い路地である事がよけいに自分の立場を有利にした。壁を蹴り、塀に隠れ、視界から外れきってから攻撃を行う。 思惑どおりなら――数を無駄に減らす必要はない。必要なのは、数に耐えきれる程の持久力だけだ。]** (81) 2021/04/22(Thu) 6:42:03 |
[ 見栄っ張りなのかと伺うように問うてみたら、すんなりと肯、と帰ってきた為思わず笑ってしまった。これは諦念ばかりの笑いではない。]
別に、気取ったりする必要ないのに。
[ こう言えば、彼にとっては甲斐のないことだろうか。彼がそうであろうとする意を汲み取れていないことはぼんやりわかるが、大事に思うこと変わりないとどうして伝えればいいのか惑う。
或いは、自分が彼の望む姿であろうということも、彼に同じ様な気持ちを抱かせているのだろうか。
胸内は言葉にならず、泣かないで、との自分の言葉に彼が笑みを作ってみせるから余計に苦しい。]
[ それから朝の口吻を、と彼が言う。唇が離れて暫く目を閉じたままでいた。おはよう、と掠れたような囁きに漸く目を開くと、間近に此方を覗き込むような彼がいる。
あと何度、目を開けば彼がいる幸福を過ごせるのだろう。
与えたものを同じ様に与えて欲しいと望まれもう一度触れ合った唇は、先よりも少しだけ長い。]*
うーん……
[ 眠くはないかと尋ねられると歯切れが悪い。昨日からを思えば横になった方がいいような気はするが、眠るといえば彼が付き合わせてしまいそうな気がして憚られる。]
シャワーを浴びたいなら。
今日は湯船も使いたいな。
[ だから、シャワーを浴びたいのだと理由があれば渡りに船であったし、ダンテの気遣いに気を回すことができない程度、疲れていたのかもしれない。
朝方支度をする為に簡単にシャワーは使ったが、折角足を伸ばせる湯船が備えられているというのに昨夜は使わなかった。
一度部屋に戻り、彼が湯を浴びる支度をする間に寝台に横たわり夕方には王宮に行く? と聞いた。
彼に他に出向きたい場所があるのなら、少し早めに出た方がいいという思いと、昨日と異なりきちんと起こして欲しいとの念押しだが、次に彼が浴室から姿を見せるまでに、すっかり寝入ってしまっていた。]**
気取ってるわけじゃないんだよ
格好悪いことをしたくないだけで…
[ 語尾は尻すぼみになっていたかもしれない、]
うん、普段通りでいいってことだよね
そうありたいな
[ 彼の前では、本当に自然にできることとできないことがある。頰にヴィの手のひらが触れて、彼の体温は自分の人種にとっては幾らか低くてひんやりとして心地いい。
抱きしめているのは自分なのに、熱のある子供が額に冷たいものを乗せてもらった時のような気持ちになる。いつの間にか目をつむっていて、
睡眠は心地よいが彼といる時は本当に眠りたくないと思ってしまう。*]
[ 翌朝、額に口付けを一つもらったというのに、不意打ちだったのだからと、長椅子のまえでもう一つと強請った。
ヴィは目を閉じ睫毛は長く銀色で、頰に手を添えて指先で触れて見たいと思いながら、それを我慢した。
彼が目を開けば想像通りの緑の瞳がこちらを見ていて、薄暗い部屋で光を集めとても綺麗だ。
要望は通るだろうかとじっとしていたなら彼が顔を寄せてくれたので、今度は自分が眼を閉じてそれを待つ。彼の冷たい口付けが額に届いて、目覚めた時より少し長くて自分は嬉しげに笑っただろう。*]
じゃあ一度部屋に戻ろう
[ シャワーの水音はしていたがそういえばヴィはゆっくり足を延ばす機会はなかったなと。
先に湯船を使っても良いよと伝えたがそこは遠慮されてしまっただろうか。
自分が湯を浴びたいということを言い訳にしてしまったのが裏目に出てしまった。]
そうしよう、あかりが灯るところを見てみたいよね
王宮の近くなら逆に安全だと思うし
[ がさごそと荷物を漁りシャワーを浴びる準備をする間そんなやりとりをして。浴室から戻った頃には彼は案の定というかヴィは寝息を立てている。
計画通りというのはこのことだろうか。]
寝ちゃった?
[ ベッドのそばで一応の声をかけたが返答は期待してない。今日こそは書き物を進めておきたい。覚えておきたいことがたくさんある。
日が陰ってきたらバスタブに湯をためておこうかなとか、それはやりすぎだろうかとかバカなことを考えていた。**]
…………何も言わずに出てしまったわ。
今度、会いにいくときを…
最期にしましょう、か……
[ 婚姻を結ぶ相手のことを
全く知らないわけではないのだけれど
愛情から程遠い人のようだった。
情欲のみを満たすために、
第二夫人以降も娶っているらしく
飽きてしまえば全く気にもかけないとか。
真贋は全く見えてこないのに
先々の不安だけはすぐに見えてくる。
母なら止めてくれるのではないかと
心のどこかで期待していたけれど
そんなことはなく、
寧ろ相手の支度金の潤沢さに
差し出されたようなものはあった。 ]
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