79 【身内】初めてを溟渤の片隅に【R18】
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じゅんさん、が……
さわる、からっ!
[ お姫様、と言われてようやく意味を理解した。
そんなんじゃない、とふるふる首を振って
否定して、でもそう言われるのが嬉しいのも確かで
状況も相まって何を考えてるのか
自分でもよくわからなくなっていく。
自分の思考さえわからなくなっているのに
潤さんの問いかけの意図がわかるはずもなく。
その意図は掴めないまま、正直に答えるのみ。 ]
もっと……?
む、むり、です……
*
だって、なんかあった?
[ 可愛い抵抗に撫でる指を止められない。
少しずつ、硬さを帯びてきているのだが
彼女の声の方は収まることを知らない。
耳元で囁いていたら
もっと小さな抗議があったことだろう。
それも可愛くて弄る手が止まらなくなる。 ]
触られるのあかんかぁ……
[ 彼女の弁明が聞こえ、無理、という言葉まで
耳に入れば彼は手を止めた。
うーんと考えて、彼女のことを見つめる。 ]
よし、美鶴さんお出かけしよ。
[ とはいってもおめかしなんて必要なくて
荷物を持ってタクシーを呼んで乗り込んだ。
そして目指すは多分彼女が言ったことのない
愛し合うための宿場街の近く。
別に彼も慣れているとかではないけれど
彼女が声を我慢しなくていいような
スペースが欲しかった。 ]
──────
さーて…すごいなぁ。
[ 今回入った部屋は、
ベッドにレースのカーテンがあった。
彼女を寝かせてしまえば、
誰にも見られることはないけれど
カーテンを広げて外界の視覚的情報を
減らしてしまおうとした。
押し倒して、緊張しているであろう彼女に
何度か唇を重ね、ほぐせたら良いのだけれど。 ]
好きだよ、美鶴さん。
*
[ 潤さんは胸を触る手を止めてはくれなくて
しかもどこか楽しそう。
私はさっきから恥ずかしい声をあげて
潤さんの顔をまともに見れないくらいなのに。
ようやく手が止まって、
乱れた息を整えてようとすれば見つめられて。 ]
……どこ、に?
[ 返答を貰えても貰えなくても
潤さんに連れられるままついていけば
おのずと答えはわかるわけで、
何度も目をしばたたかせて、戸惑いを隠せない。
だって、こんなところ来たことないから。 ]
――――――
潤さん、私……
[ 潤さんを見上げるような体勢になって
眉を下げて不安げに声をかける。
カーテンのせいでより二人しかいないと
強く実感してしまって、
胸の鼓動がはやくなっていくのが分かった。
唇が重なっても簡単に緊張はとけてくれない。 ]
私、こういうこと、初めて、で……
嫌じゃないけど、全然知らなくて
こんな私じゃ……。
[ 小さい声で、それでも目を合わせることも
できなくて、顔を背けて。
相手が私が未経験だと察しているかもなんて
思いもせず、面倒だとか思われないかな、って
無知から来る不安も含めて彼にこぼせば、
きゅっと自分の手を握りしめた。 ]*
[ 彼女が彼の方を見てくれなくても
そんなに嫌でもなくて、寧ろ初々しさに
胸がときめきを覚えていた。
それは、多分彼が手慣れた女性たちと
付き合っていたせいかもしれないけれど
がめつい人よりも、こうやって
素直に反応してくれる人が愛くるしく
思えてしまったのである。 ]
俺のこと、もっと知ってもらう場所?
[ なんて言って、タクシーの中で
彼女と手を握り指を絡めていた。
これから、結婚まで視野に入れている人だから
彼としてももっと全部を知って欲しくて。
だから、到着して戸惑いを隠せない彼女が
ひどく可愛いなと思ってしまった。
大丈夫、と彼女に声をかけて
部屋まで行けば彼女は少しでも驚いてくれたか。 ]
──────
ん?………
[ 唇が離れてから聞こえる彼女の本音。
黙って聞いていたけれど、
死ぬほど可愛いなと襲いそうになった。
よく抑えた理性。
よく耐えたなお前、と褒めなければ。
彼は口元を押さえて、
うんうん、とニヤつきを隠すように
軽く頷きを見せた。 ]
かわええおひいさん。
初めてなら朝が来る前に、
ぐっすり眠れるように
沢山可愛がってあげる。
……だから、俺のことを見て?
[ よしよし、と口元を押さえていた手で
彼女の髪を撫でれば、了承を待ち
初めてならば下手なことをするまいと
服を脱ぐことをうながしてみようか。 ]*
[ タクシーの中で指を絡めるように
手を握ってもらって
温かさに少しだけ落ち着いた気がして。
部屋につけば、レースのカーテンがついた
ベッドが目に入ってきて、
目を丸くして、言葉を失っていたと思う。 ]
―――――
[ 潤さんは黙って聞いてくれた。
私はずっと横を向いて彼の方を見れずにいたから
どんな表情だったのかは知る由もないけれど。
髪を撫でられて、潤さんの方を見ても
やっぱり恥ずかしくて視線はどこか定まらない。 ]
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