人狼物語 三日月国


65 【ペアRP】記憶の鍵はどこ?【R18】

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 求婚予定の女性がいると聞いた直後に
本当なにしてるんだ、自分。
とわりと本気で思わなくもないのだが。
 小さな呟きがわずかに耳に届き、首をただ振る。
 嬉し涙でも、複雑になられるなんて想像もつかない。


 ……これ、本当……相手が自分じゃなかったら
 戻った後本気で傷付いてしまうんだろうな……。そうわかっていても、自分の心は思い通りにはなってくれない。 

  差し出された本を見る。
 『όργανο』そのタイトルに見覚えはない。ないけれど……筆者はもう知った名前だ。
 目の前の人の名前だ。

 この本がどんなものか今の私は知らない。
 覚えていない。

 でも、差し出された以上何かしらの思い出があるものなんだろう。そう確信出来る。]
 

 
……これが違っていたらどうしよう。

 そんな不安や、迷いも一瞬だった。不安になる必要なんてないんだから。

 読んでみたい。
 でもこれが違っていたら読むまでもなく、触れたら消えてしまう。
 そうでないよう願う。]

 はい。

[緊張しながらもそれに手を触れた。]
 

 
 

[ その本が消えることはなかった ]



 

 
[……頬に涙がつぅっと流れる。両手で触れないよう気を付けつつ大事に片手で抱きしめる。]

 ……これです。

これが、私の記憶の鍵……です。


[ みつけた。

 私の鍵はこの人が持っていてくれた。
 見つけてくれた。私の事を

 ……それがどうしようもない位嬉しい。
 心が震わされる。

 なんか、もう
本当ダメかもな……。

 そう思うのが二度目なんて今の私はわからない。

  

 
[目が覚めるまでそう長くもない。長編のそれをじっくり見る時間がないのが残念だ。出来るだけ急ぎめのペースで本に目を通していく。

 一人の少女が過酷な道を生きていき、成長をするお話。
 筆者の目線が、気持ちが、少女への見え方が段々変わっていく。

 ……その少女はどこか、昔の私を思い出す。


 最期の方のページにたどり着く。
 少女を未熟なリンゴと例える言葉に目が入れば、いい表現だな。これ。という感想を持つ。

 そうして、最後の頁には…… ]


   ……─── ばかっ    


[嬉しかった。考えが当たって、違わなくて嬉しい。
 ……こんな短い時間なのに、これだけ心を掴んでくれた人だ。
 きっと元の私も同じなんじゃないかって思う。]
 

 
 目が覚めたら、約束の答えちゃんと聞かせて下さいね。

[そう言って本を自分でしっかり両手で握りしめた。

 本物の鍵もまた、役割を終えればその存在が消える。
 ……あの文字が消えてしまったのだけは惜しい。



 本が私の中にあった記憶を、欠けたピースを埋めてくれる。


 鍵に加わっていた文字は、

    
 私の心に優しく 入り込んだ



   言葉以上に気持ちが直接私に刻み込まれた。



──……これ、もうきっと忘れる事は出来ないだろうな。 
 


[……暫しの沈黙。
 色々な情報を自分の中で処理するのに少し時間がかかる。]

       
・・・・・

 ────……
アマミさん


[違和感の正体にたどり着けた。
 そうだ、この呼び方が私の呼び方だった。

 なんか。色々突っ込みたいというか
 聞き捨てならない発言を聞いたな? 私。


 ……でも今はどうしたって泣いてしまう。止めれない。
 衝動のまま、感情のままアマミさんに抱きつこうと側に駆け寄る。
 それが叶わなくても近くに寄る。

 どうして忘れることなど出来たのだろう。
 どうして、こんなに、こんなに好きな気持ちを失っていられたのだろう。
 記憶がなければ思いは生まれない。当然と言えば当然だ。それでも、自分が信じられない。

 奪われていたものの重みは、帰ってきてその心に深く深く刻まれる。
 言いたいことも、聞きたいこともある。

 あるけれど……
 やっぱりこれをまずは言っておかないとな。
 涙をこぼしたまま、それでも笑顔を浮かべる。私は幸せだと伝えるように。]
 
 
ただいま


        
好きだよ 
**

 




  中学生というのは、多感期であり。
  そうやって冷やかすことも多々ある。
  そう、1番ではないけれど
  死ぬほど厄介で、しょうがないとき。

  だからこそ、彼女は傷ついた。
  胸が苦しくて、おかしくなりそうだったけど
  彼女の方を向いてギュッと抱きしめた。

                      ]


   もし、そのときに沢山傷ついていたとしても、
   今は、俺がいる。
   過去のことをこうやって聞い、て……




  彼は当然彼女を抱きしめてそのまま
  部屋の奥へと戻っていった。
  そして小さく、見つけた、と呟いたような。

                      ]*



[
 大丈夫って言って誰にも言ってなかった。
 言ったって変わらないと思ってた。

 こんな話面白いわけがなくて
 嫌な気持ちにさせるって思った、のに。
 心がいたくなる話なんて、好き好んで聞きたいわけないのに。
 それなのにこの人は、どこまでも……

 
やさしくて。

                    ]

    私、ずっと私が悪いって
    私の所為だから仕方ないって……

[
 本当は違った。
 貴方は悪くないって言葉をどこかで欲しがってた。
 でもその言葉はどうせもらえないと諦めてた。

 貴方の腕の中はこんなにもあたたかくて。
 ……そんなこと言われたら、されたら。
 私は――――……。
                       ]

    
なにを…?


[
 小さくつぶやく声に、掠れた声で返した。
                    ]*



   …………これは、俺が美鶴さんにあげた
   1番最初のプレゼント。
   美鶴さんは、何も悪くないんだから……
   それでも思うものがあるなら、
   これからは俺と一緒に
   辛いことも苦しいことも乗り越えて行こう?




  彼の手は何かを掴んで、
  彼女の目の前で見せてあげる。
  なんで雑多なところにあるのかと
  ヒヤリとしたけれどとても大切なネックレス。
  つけてもいい?と見せた後に
  首を傾げて聞いてみたと思う。

                    ]*



    
    プレゼント……最初……

[
 大事な人から貰った初めてのプレゼント。
 ……“私”なら絶対大事にする。
 確信があった。
 だから、もしかしてと思うことがあって。
                    ]

    貴方は……こんな私でも
    傍にいてくれるんですか……?

    ……そのネックレス、少し見せてください。

[
 付けてもらってもよかったけれど
 手に取ってみたくなった。
 かしてほしいと頼めば
 差し出した手に載せてもらえただろうか。
                     ]*



   こんな、とか言わんといてや。
   ……貴方だから、好きやねん。

   勿論、どうぞ。
   105に住んでた茜さんと一緒に
   これを選んだんですよ。



  見せてほしい、と言われると
  彼は彼女の手にネックレスを置いた。

  そんなに冷たくはなかったと思うけど、
  少しくらいひんやりとした感触が
  彼女に伝わっただろうか。

  それをみた彼女の反応は、
  どんなものだっただろう。
  良ければ、嬉しいのだけれど。

                   ]*




    ……っ、私…。

[
 ずるいな、この人は。
 
 私の心をすっかりとらえてしまうんだから。


 見せて、といったら手にネックレスが。
 ……ひんやりとするどころか、
 
 何故だろう、温かく感じる。

 これ、もしかして……。
                   ]

[
 ネックレスにただただ見入っていた。
 私でも付けられそうなシンプルなもので、
 私の好みに合わせてくれたと分かるもの。
 
 そのネックレスを片手に載せて
 もう片方の手で包むようにして
 
 
ネックレスを握った。

 
 ――――。

 かけていた記憶が、戻ってくる。
                    ]

 




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