203 三月うさぎの不思議なテーブル
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[分かってて聞いてるよね?分かってて聞いてるよね??]
嫌な訳ないでしょ〜〜〜?
[玲羅の楽しそうな笑い声
に。
俺は全面降伏したのでした。]
[軽口に返ってくる軽口が心地良い。
のどかな陽気の中、ゆっくりお散歩して。
『今、好きになった。』って。
何それ嬉しくない?]
俺と一緒に居て、好きなものが増えてくれたんだ〜。
何それめっちゃ嬉しい。ありがとぉ。
幸せ。
[嬉しそうに呟いて。]
[玲羅の好きな場所を一つ一つ聞いて行く。
]
空気が澄んでる感じ。俺もおんなじに感じる。
ふふっ。
冬の海はめちゃくちゃ寒いけど、俺も好きだよ。
小旅行良いねぇ〜……
…………いつか行きたいな。俺も。玲羅と。
お金貯めてさ。ちょっと。いやかなり。背伸びが必要だけど。
よしっ。それ1個目標にしよ。
そだ。玲羅。誕生日教えて?
[くすくすと笑って。問いかけて。]
[愛おし気に微笑んだ。顔に向けられた笑顔には。]
なんでもなーい。
[と。明るく笑った。]
[他愛も無い話しをして。ベンチを見付けたら。
お弁当を広げようかな。]
俺ん家ねー。あんまお金無くて。
弁当何時も白か茶色だった。
夏はトマトの赤が来たけどねー。
そんな我が家のお弁当を再現してみました!
でも、味は俺流ね?
遠藤さんのレシピを元に、母親に料理指導受けたんで。
誰のものでもない味になったけど……
美味しいよ?
どうぞ召し上がれ。
[そう言って。彼女に笑いかけた。*]
[ 彼の理性を折ってやろうとか、そんな気概は一切なく
けれど、自分のなんてことない一挙一動へ
単なる店員と客だった頃では見れなかった顔を、見れるのが
堪らなく楽しいと思うのは、許してください。
恋心の大きさ以外は何もかも平凡的と言うけれど
そんなにも人を──ううん、私の、こと
好きでいてくれる貴方のどこが平凡なんでしょうね?
私の世界に映る貴方の話は、また近い未来で、きっと。
好きな人には可愛く思われたい乙女心がかわいいものなら
格好いいと思われたい男心も、格好いいものですよ。 ]
[ 限界に達したら舌が少し回らなくなってしまうところや
向けられる欲を嬉しがっていることがバレているのは、
知ってしまえばきっと
「わすれてください……」と言って、また耳まで赤くして
顔を覆ってしまう気がするので。
堪えてくれたのはお互いきっと大正解。
────ああ、もう。ほら。 ]
……ぁ、ぅ……
[ なんでそんなさらっと格好いいこと言うんですか!
しっかりその顔も欲も受け止めさせていただきますが、
こちらは恋愛初心者なので。
ちょっと手心を加えてほしいな、……なんてこと
本当は思ってもいないのに、照れ隠しで考えてしまうの
……それも貴方を煽ったりしてしまうかな。* ]
― そんな翌朝の話 ―
[ 自ら据え膳の皿へ乗っかったうえに、
理性を抑えさせながらすやすや眠った呑気な白うさぎは
とんとん拍子に進む"一緒に暮らす"という未来予想図へ
あたふたしながらもへにゃりと笑った。
よく考えなくてもこれは、同棲と呼ぶものでは?
…………やった、と、心の中で呟いて。
ぱちり。瞬いた。
]
……ふふ。そうですね。
二人だけの色、見つけたいです。
私だけしか知らない夜綿さんの色も欲しいし
もちろん、その逆も。
[ トレードカラーの白色。
真白と書いて白、冬に降る雪
の白。
ずっと白いままでしかいられないと思っていたけれど
──そっか、二人でなら。
混ざり合うことも出来るんだ、と思い至って
私は自然と咲っていた。 ]
[ それはそれとして。
家を出る間際のすったもんだはお互い混乱して
綺麗に意図が擦れ違った。大咲とっても恥ずかしいです。
うさぎの穴に埋まっていいですか?
しかも"夜綿さん本人"を自然と二択で考えていたあたり
同棲計画に浮かれちゃってたの、丸わかり、では? ]
ん、んと……えっと
一番ほしいのは、夜綿さん本人なので……?
あの 帰るの寂しくて、ちょっとだけ
夜綿さんを家でも感じられたらなと思ってしまって
…………えへへ……。
[ 寝る時に着たら、昨日の夜みたいに
まるで彼に抱き締められているような気分になれるので。
スウェット借用はいったん保留。
その代わり、今度パジャマをお揃いで買いたいです。
そんな風に遠くない未来の話をしていった。 ]
料理する時点で手抜きじゃないって
考えるから、俺は。
[ コンビニでそう答えたことの意味。
それはきっと自宅に招いた後に、
知れることだろう。
ほとんと手つかずのキッチンの様子を見れば
普段料理をする人間なら余計に。
そもそもこの物件に決めたのは、
セキュリティ面と、駐車場の存在、
それから浴室が広い事、くらいで。
現在の生活を思えばこんなに立派な
キッチンなど必要もなかったのだけど、
慌ただしく引っ越しをし、よく選びもせず
店員の薦めるままに買った冷蔵庫やなんかも
完全に持ち腐れていたので、彼らは今日
涙を流して喜んでいるかもしれない。
当時忙しくてゆっくり選ぶ時間もなかったもので。 ]
[ 本来なら家主であるのだから、
手伝いの一つでも申し出るべきだったの
かもしれないが、足手まといどころではなく
邪魔になりそうだったので、
着替え終えると、先に座らせて貰い
スマホ片手に、今日一日滞らせていた
返事などしつつ、時々手帳を開いて
研究生のスケジュールの確認など、していたかな。
時々意味もなく、――いや意味は大いにあるのだが
キッチンに立つ、恋人っていう
今までにないシチュエーションを、眺める。
ぐっときた、時には想像だったものが
目の前にあるので、遠慮なく。 ]
[ キッチンからは絶え間なく、
いつも聞いているような音がする。
鍋とフライパンも、家電同様
店員に取って大変良いお客様
(と書いてカモと読む)
になっていたことが幸いしたようで。
初めて立つキッチンだろうに、
やはり彼の手は淀みなく、動いている。
そのうち、麦の香ばしさ
が漂ってくると、
自室なのに、本当に自分の部屋だろうかここは
だとか、考えてしまった。 ]
離れられなくなるよ、
食べ終わったら座ってみるといいよ。
あ、スープ。嬉しい。
ごめんね、先に頂きます。
[ 本来であれば出来上がるのを待っても
良いところ、一つ目を運んで来てくれたので
ごめんねと断ってから、手帳を閉じてスマホを置いた。 ]
なんか、ホッとする。
[ スープに浸されて尚、かりっと食感の
パン。これがひと手間の違い。
――あれ?手抜きって言ってなかった?
そんな顔をしつつ、スープを傾けていると
声が掛かり立ち上がる。 ]
あるある
[ ほとんどすかすかの食器棚の
左奥から耐熱皿を。……尚箱に入りっぱなし
でしたね。当然だね。一度も使っていないもの。
出処は母親です。つまりこれも貰い物。 ]
時々、来てくれるなら
いくらでも。
食器と言わず、必要なもの
あれば置いてってくれると嬉しいかも
君がふらっと寄りたくなるくらい。
[ 以前の恋人の影を見ようとしていたとは
全く気づかず、嬉しそうに言って
箱から取り出した皿を一度洗い、拭き取って
二枚手渡した。
キッチンに備え付けの食洗機はあるんだけど
すぐに使うだろうから、と。手伝いをしている
振り、みたいな気持ちもあったかな。 ]
[ その後は手伝えるようなことがなければ
座椅子に戻り、大人しく出来上がるのを
待っていた。
運ばれてくる料理の数はどんどん増えていく
この短時間で一体何品作るのだろう。
最後の料理を運び終えたようで、
斜め隣に腰を下ろす ]
そうだよ、
この部屋で誰かとご飯食べるのも、初めて。
コンビニで用意した食材とはとても
思えないな、おいしそう。
いただきます。
[ スープだけは先に手を付けてしまっていたが
手を合わせると、コールスローから
口に入れた。 ]
うわ、うま、……え、なにこの味
[ 作り方を聞いたところで、同じように
作ることは出来ないだろうが、何が入っている
だとか聞いただろうし、にんにくチューブが
入っていると聞けば、 ]
にんにく、好きだったのかも俺。
この味好き。
つまみにも良さそうだよね
[ 店で言うことと、あまり変わらないような
事も言ったかな。気取らない分、 ]
レンジ……?レンジって
料理できるものなの
すご。……そして旨い。
や、プロの料理だから当たり前
なのかもしれないけど
[ いつも以上に素直すぎる感想を漏らした事も。
シリコンスチーマーを発掘したと聞けば
家主の方が、どこにそんな物あったんだ
と首を傾げる始末だった。
キャベツとしらす干し、それにチーズ。
レンジで調理したと聞けば驚いたし、
思わず皿の中を見つめたりもした。 ]
ん、っふふ……ごめん
ご飯が美味しくてさ、
しかも、そのご飯、恋人が作ってくれてさ
自分の家に、恋人いてさ、
幸せだなって、思ったら笑っちゃった。
[ メインのスープ丼も半分ほどは消えた頃
食事を続けていたであろう君を見ていたら
急に溢れ出てきてしまって、笑い声を上げて
しまったので、言い訳するように、言って。 ]
帰したくなくなりそうで、困るくらい。
[ 最後にそう言ったのは本音だけれど、
冗談のように思われるくらいの、言い方
だったと思うよ。* ]
―― 店内にて ――
[ くすくすと笑う。
こういう顔、最近増えてる気がする。 ]
うん、鴨南蛮食べたい。
[ 二人だけの空間の中でも、
店内でも。
――その横顔に恋してしまうようなそんな表情。
かと言って、口には出せない。
狭量だと思われたくはない、微妙な男心。 ]
うわぁ、いい匂い
いただきます。
[ はちょっとあまりにも格好がつかないので
君にも悟られたくはないな、と思う。
やがて、こんがりと焼かれるネギと、鴨の
匂いが漂って来たと思えば、
今度はつゆの方からも、甘い匂いが
漂って。
完成したときにはすっかり、
待ってました、って顔してただろうな。 ]
[ 油の爆ぜる音を聞きながら、
そばを啜る。
絡むつゆもまた絶品だが、
そば本来の味もしっかりと感じられて
あとから、神田くんが口添えしたと聞けば
神田くんに親指立てて、見せたかもしれないな。 ]
前評判からやな予感しかしなかった
怪獣倒した後どうするか、みたいなのとか
ホラー・サスペンスの巨匠の最新作とか
あと、昔の仲間がメガホン取ったのとか。
[ 今度は映画を、だとかは自宅で
会っているときにも、きっと口にしていたと思う。
ので、この話が二度目だったら、
余程、そうしたいと思われていても
仕方ないとおもう。忙しい合間を縫って、
生まれた隙間には片っ端から、君と会う日
敷き詰めて行きたかったから。 ]
……言ったらあいつ、那岐くんにも
いらんお節介焼いたり、構ってきそうで
それはちょっと。
[ 面白くないと言いたげな顔を浮かべる帰り道。
いいですよと言われても、
ちょっと渋い顔を見せた。
のだけどね。
夜道、人気の少なさを知った上で
伸ばされた指が絡めば、ふっ、と笑ってしまうの
だから、敵わないな。 ]
そりゃ、恋人だって言うし、
俺の大事な人だよっても言うよ?
[ 問いかけるように語尾をあげる。
伺うように、隣を見る。
言葉にすると、嬉しそうにするとこ
見るの、好きだから。
少し照れくさくも、あるんだけどさ。* ]
[降参とばかりに恨めしそうな視線を向ける彼に声をあげて笑い。
礼を言われながら幸せだと微笑まれれば
此方もひどく照れくさいような、むず痒いような気持ちになって。
話題は好きな場所の話へ。]
旅行、そりゃ、瑛斗がいいなら行きたいけど。
せっかく行くなら一泊二日くらいでさ。
ホント???やった。じゃあ楽しみにしてよ〜。
[一つめの背伸び目標はそれに決めたらしい。
未来の約束に喜びつつ、誕生日を問われ。]
誕生日?6月7日だよ。
瑛斗は?
[と、問い返そうか。]
[そんな他愛ないやり取りをしながら
ベンチに腰かけて、本日のメインの一つ。
お手製弁当を広げるのを見つめる。]
わー、待ってました〜!!
へえ、じゃあこれは瑛斗のオリジナルハンバーグなわけだ。
なんかそれ食べさせてもらえるのも光栄だな。
[決して彩り鮮やかとは言い難い、
白と黄色のお弁当。
素朴な色合いは本当に彼が普段馴染んでいる
ありのままの弁当なのだろうことが窺えた。
いただきまーす!と手を合わせ。
割り箸を手に、まずは目玉の豆腐ハンバーグを頬張る。
もぐもぐと咀嚼して。]
うん、美味しい!美味しいよ!!
[どこがどう、とかは分からないものの
確かにうさぎで食べたものとは少し違う感じはするけど。
しっかり焼かれたふわふわのハンバーグは
何だか手作りの温かい味がする。
満足そうに目を細め、卵焼きにも箸を伸ばしながら。]
ね。
そういえば瑛斗のご家族ってどんな感じ?
兄弟とかいたりするの?
[お金がないお金がないと
何かとエピソードを口にするけれど
その実家族のことを語る彼はいつもどこか楽しそうで
きっと仲の良い家庭で育ったのではないか、と思うから。
もしよかったら聞かせてほしいな。なんて。**]
― そんな一騒動を終え ―
[ 車には全く詳しくないうえ、免許も持たない大咲は
タクシー以外で誰かの車に乗るのは初めてだった。
彼氏の車で朝帰り。
響きだけならとても怪しい雰囲気がするけれど、
というか言葉にすると自分でも流石に察しますが
「待て」をしたのもまた自分。
申し訳なさも若干はありつつ、爽やかなアクアの匂いに
ふ と息を緩めて。 ]
車酔いは…今平気なので、多分大丈夫です。
ドライブ良いですね。したいな。
運転、任せっきりになっちゃいますけど……
……いちご。
[ 他愛ないデート計画に出て来た「いちご」という単語へ
すこし、すこしだけ、大咲の目は輝いた。
何を隠そう実を言えば好物なのだ。好きです、いちご ]
[ 連休の調整は、しっかりした新人も入ることだし
元々大咲本人が人が足りている日にも出たりしていたから
迷惑を掛けない範囲でなら、出来るはず。
どうして連休にしたのかは、まあ、
お察しください。とてもじゃないけど言えません。
単日での休みなら勿論あるので。
貰えたらどころか、寧ろ貰って欲しいところだ。 ]
……あのね。
ケーキ、きっともう、大丈夫です
過去のことを引きずって、思い出を増やせなくなるの
私が嫌なので。
作りたいです、ケーキボトル。一緒に。
[ 温泉も良いですね。二人でゆっくりしたいです。
後、ちょっと憧れてた、
恋人同士の遊園地デートとかもしてみたいな。
交わした未来の話は、果たされる約束になるだろう。
随分懐かしい歌が流れてくれば
声って案外変わらないものですよねぇ、と笑ったり ]
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