人狼物語 三日月国


203 三月うさぎの不思議なテーブル

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【人】 厨房担当 ゲイザー

[こうして、予め蒸したブロッコリーと他の野菜類を、グラタン用の深皿に移して詰めていく。
 ここで用いたグラタン皿は、内側が白、外側は黄色。
 皿の外側には浮彫という形で、花弁のまとまったダリヤの花のモチーフが描かれている。

 蕾ながらも緑の花畑めいたブロッコリーの中に、パプリカの四角い赤色と黄色、マッシュルームのまん丸い薄茶色が入り混じる、野菜の盛り合わせ。
 この上に振りかけるパン粉は、粉チーズと、パセリやオレガノ、タイム、黒胡椒を含むハーブソルトと混ぜ合わせたもの。
 ハーブソルトの中には唐辛子が含まれているものもあるが、今回用いたソルトには含まれていないことを確認済み。

 この上にさらにオリーブオイルを掛けてから、オーブンに投入。
 焼き上がれば、皿の真ん中あたりのパン粉が、ほんのり狐色に焦げている。]
(396) 2023/03/08(Wed) 16:16:25

【人】 厨房担当 ゲイザー



 ツーユーリーん!!
 大変お待たせしちゃいました〜!
 こちら、ブロッコリーと三色野菜の香草焼き、
 あっつあつのお皿に気を付けながら、
 たーーーーっぷり食べちゃってくださいね!


[足取り軽く、口調も軽く、けれど努めて落ち着いて(熱々のグラタン皿は危険物!)。
 赤く腫れてはいるけれど、涙はもう滲んでいない目で。
 速崎は栗花落に、満面の笑みと共に香草焼き>>395>>396の皿をサーブする。]
(397) 2023/03/08(Wed) 16:18:08

【人】 厨房担当 ゲイザー

[……と、カウンターで注文を待っていた栗花落にも、先程の自分と栗栖とのあれやこれやは見聞きされてしまったかなと思い、笑顔のままで眉をへにゃりと下げた。
 あの時栗花落が、葉月が駆け出した後の扉を閉めようとしてくれた>>188>>206ことには気づいていないまま。]


 さっきのは見なかったことに〜…とは、言いません。
 ゲイザーにも、あんな暗くて、未熟で、ダメなとこ、
 あるんだなーって、笑って受け流しちゃってください。


[苦笑いを明るい笑みに変え、「ごゆっくり」と言い残してから、速崎は別のオーダーの準備に向かった。

 さてこの香草焼きは、葉月が店に戻ってきてから>>369>>370>>371栗花落に届けられたもの。
 その葉月の告白>>293に対して速崎が何を答えたかは、これから語ることにしよう。*]
(398) 2023/03/08(Wed) 16:22:26
[その傷を負うのは自分ではない。
これは彼女の痛みとは比べてはいけない程身勝手なものだ。

「傷ついた」と明かせる相手はこれまでにいたのだろうか。
一人で痛がっていたのかもしれないと思うと堪らなくなる。

腕の中に閉じ込めた真白がこれ以上誰かに傷つけられないように守りたい。
現実的にどんなに不可能であっても、そう思うばかりで。

高野とのやり取りではピンと来ていなかった台詞がストンと腑に落ちた。]



 バレたか。
 マシロちゃんも知ってたんだねアレ。
 あの時はまだ片想いだったからね、僕が真似しても浮いてたけど。
 今なら実感籠って言えるから。

 あんなにいい声じゃないけど、
 マシロちゃんにとって「こっち」を本物にして。

 「もう離さない」

 白うさぎの時間が終わったら、後は全部僕の。

[真白も見ていたなら、あの時は彼にドキドキしていたのかもしれないが。
本歌取りしてしまえとばかり真剣に想いを込めて告げた。]

[取り立てて面白みのない生い立ちは、苦労した人から見れば腹立たしいものかもしれない。
そんな思い込みや勝手な引け目でこれまで語っては来なかった。

お喋りなようでいて、その9割は料理の感想を言っているだけの男。
中身は随分つまらないと自分では思っている。

そんな話でも、彼女は静かに聞いてくれた。
自分のプロフィールをこんな顔で聞いてくれる子がいるなんて思わなかった。++66
その社会的立場は置いておきたいという我儘には、相槌だけではなくきちんと言葉で約束してくれた。

話しているのは自分なのに、たくさんの彼女の情報を自分がプレゼントして貰っている感覚。
想いはたくさんあるのに言葉にできるのはほんの一部。

自称「勘が良くない」君でも間違いようがないくらい、
「愛しい」っていう笑顔ができるのは他ならない君のおかげだと――

どうやら伝わっていたらしい。]


 耳まで真っ赤なの、ほんっと可愛い。


[ほら、言うのを控えたりなんて出来ない。]


 ええー全然気づいてなかった。
 「信用してる」みたいに言われたから、僕は君にとって「男」って思われてないんだな〜って内心ちょっとしょんぼりしてたよ。

 白うさぎさんの耳は、特に僕に対して感度が良好だったんだ?

[店内の注文や要望をよく聞いているから、耳が良いのは誰に対してもだと思っていたが、自分が自分の注文以外が向かう先に自然と視線を向けてしまっていたように、彼女もこっそり此方を気にしてくれていたという事実。
嬉しさに緩みっぱなしの口元が逆に真顔に戻れなかったらどうしようかと思うくらい。]

 じゃあこれからはずっと大事にできるね。

[もう離すつもりなんてないから。]

[真白の腕が背に回る。
預けられた体温が心地好い。

「これ以上ない」

そんな熱に浮かされて言葉を紡いでいけば、とんでもないものが返って来た。]


 っ!
 それは反則でしょう……。

 僕が幸せになることで、君に好きを教えてあげられた?
 ああもう、すごい殺し文句だ!

 初恋を僕がもらっちゃっていいの?
 絶対返さないよ!


[耳が熱い。
彼女を揶揄えない程に自分も今真っ赤になっている自信がある。]

[送ろうか、と立ち上がったのは、時間がもう遅いというのもあるけれど、
これ以上彼女の可愛さを摂取したら過剰摂取で倒れてしまいそうだと思ったからだ。]

夜は更け、人はよりまばらに。
彼女さえ体力が残っていれば徒歩で帰路につく。]

[公園から見える位置にあるマンションの5階が神田家。
一人暮らし、実家は他県。
客用布団もあるから、仕事帰りに体調が悪くなったら使って。

25歳、誕生日は冬。もう過ぎた。
A型。ご存じの通り身長も体重も顔も声もすべて平均的。

たくさん食べても太らないのは、健康で新陳代謝が活発なのと、多分趣味が登山だから。

今まで好きな色を聞かれたら、美味しい食べ物が多い「茶色」と答えていたけれど]

 ちょっと前から白が特別になったよ。

[車検ついでに秋に車を買い替えた。
前は何も考えずに黒に乗っていたけれど、どうしても白から目が離せなかった。

そんなことをつらつら話して。]


 休みって何してる?
  ――これはデート計画に関わってくるからね、好きなこといっぱい聞かせて。
 インドア?アウトドアもいけちゃう方?

[あまり質問攻めにしたくはないと思っていたけれど、しつこかったかもしれない。
この夜が最後ではなく、店でだって色々聞けるのに、「また今度でいいや」と自制できなくて。

明日は休みだと聞いたが、月にどのくらい休みがあるのか、とか。
旅行に行くとしたら休みは取れそう?とか。

一駅、ゆっくり歩いた筈なのに、あっという間に着いてしまって別れ際。]


 そうそう、さっき言えなかったけど。
 「全部全部、食べて欲しい」っていう言葉はね、
 ちょっとこう、一瞬別の意味に捉えちゃったよ、って懺悔しとくね。

 話の流れでご飯っていうのはわかっててもね!

 ……すけべ心があるっていうのは、憶えといて。

 
じゃ!おやすみ!


[顔を隠すように手を振って、踵を返す。
初恋だと言う彼女のペースに合わせるつもりだけれど。
信頼される男でいたいけれど。

ああ、Madam March Hareで理性に聞く料理を注文しなきゃ!**]

メモを貼った。

【人】 厨房担当 ゲイザー

― 再起動前 ―


 
応援してもらって別にいいでしょ。



[とまあ、その自論だけははっきり真顔で伝えた上で>>359
 バグからの回復後、「友達」としての栗栖>>360からの言葉に、はっとして目を見開く。
 葉月本人だけでなく、自分自身も、彼のことを見くびっていた――そのことを突きつけられた時、まるで頭でも打たれたように、くらりと眩暈が過った。
 それでも、栗栖から顔を背けずに、言葉の続きを聞く。]


 ……うん。


[口に出さないことも多いから、どれだけの者が気づいているかは知れないが――。
 「貧乏だから可哀想」の件に限らず、速崎には、頭のどこかで「他者を自分より低く見る」きらいがある>>0:3>>1:409。大咲の試作品の件は、あくまで商品としてのクッキーへの指摘だけだったけれども。
 この背景については、語る機会があれば、またどこかで。]
(404) 2023/03/08(Wed) 19:15:58

【人】 厨房担当 ゲイザー

[問いかけ>>361には、ほんの少しだけ、返答までに間があった。]


 ……、堪えたよ。
 ハヅキんなら多分、私なんかよりも、
 ずっと、堪える、でしょ。


[確かに同じ立場なれど、それでも、完全に同じ人間としては語れない。
 そんな迷いを滲ませた答えを、力なく、笑みの消えた顔で呟いた。]
(405) 2023/03/08(Wed) 19:16:33

【人】 厨房担当 ゲイザー


 ―――そうだったん、だ。


[その事件>>1:4>>1:6>>1:24>>1:25>>1:26があった日、速崎に何があったのかは置いて、その現場を速崎は見聞きしていなかった。
 結末だけ>>1:115>>1:130に触れていた耳は、事の次第をここで漸く知ることになる。]


  そうだったん、だね。
  ……私が、テンちゃんにできなかったこと、
    ハヅキんには、できたんだ。


[ふっと昔の心残りの名がここで零れたが、それはここでは些細なことだろう。
 ただ、明らかにドスの入った声ではっきりと告げられたことに、目は逸らさないまま、苦しげな息をひとつ吐く。]
(406) 2023/03/08(Wed) 19:16:55

【人】 厨房担当 ゲイザー

[それから「友達自慢」の意図を知らされれば>>362、別の意味で気恥ずかしくなり――。]


 ……マジ、バカな勘違いしてごめん。
 恋愛脳のバグだって笑ってくれて、いいよ。


[思い返す。「怖かったら」というのは、「傷つけた相手に謝るのが」怖ければ、ということだろうと>>143
 だからこそ、葉月を引き合いに出してその勇気と根性を伝えたのだと。
 速崎はそう理解し直して、ひどく苦い笑みを浮かべた。]


 うん、じゃあ、ちょっと肉作ってくる。
 私のお任せでやっちゃっていいね?


[その鶏肉の何かを手がけるのには、少し時間が掛かるが――。
 ともあれ、この程度の事で、との言葉に気の抜けた笑みを零しながら、キッチンの仕事に戻っていった。*]
(407) 2023/03/08(Wed) 19:17:34

【人】 厨房担当 ゲイザー

― そして、再起動後 ―

[これはおそらく、栗花落向けのブロッコリー香草焼きを作っている間のこと。
(フライパン中は火から目を離さなかったが、それ以外の工程なら、多少場を離れる程度の余裕はあった)]


 あ……、ハヅキん。
 いらっしゃいませ〜!


[カウンター越しに葉月>>293の来店に気づき、いつも通りの明るい笑顔で振り返った。
 速崎の目に涙や涙痕はもうなかったけれど、泣いたこと示すように赤く腫れてはいた。]
(408) 2023/03/08(Wed) 19:18:00

【人】 厨房担当 ゲイザー

[それから告げられたのはオーダー……ではなく「好き」の告白。
 言われた直後こそ、不意打ちを受けたようにきょとりと瞬いたものの、すぐに、ああ、と理解して。
 身体ごと真っすぐに葉月に向き直り、落ち着いた態で、紡がれる言葉に耳を傾ける。]


 ハヅキさん。
 ……ううん、ハヅキん、でいっか。


[「こたえてくれなくて大丈夫」とは言われたが、それでも答える。
 ちゃんと真剣に向き合っていることを示すように、「さん」で一度呼びはしたけれど――やっぱり「なんでもない」今まで通りの呼び方がいい、と。]


 ありがと。ちゃんと、教えてくれて。


[眼鏡越しの葉月の両目を覗き込むように見つめて――見つめる目ごと緩める形で、表情を笑みの形に崩した。]
(409) 2023/03/08(Wed) 19:19:38

【人】 厨房担当 ゲイザー


 知ってたよ、前から。
 ハヅキんの顔に、仕草に――助けてくれたことに、
 「好き」がすごく出てたから。


[「助けてくれた」はかなり抽象的な言い回しだが、これについては少し後に説明されることになる。]


 それでもさ、ただ「好きっぽく見える」だけなのと、
 ちゃんと言葉にして伝えてくれるのって、違う。
 思いをはっきり言葉に出すのって、勇気要るもの。
 それも、ついうっかり……とかじゃない、
 ちゃんと自分で心に決めて、口に出すのってさ。
 
(411) 2023/03/08(Wed) 19:20:23

【人】 厨房担当 ゲイザー


 私は別の人が好きかも、とか、
 私にフラれるかも、って思ってたんでしょ?
 そう思った上で「好き」を伝えに来たハヅキんは、
 ものすごく勇気あると思う。……うん、勇者だ。


[璥という人間が栗栖に対して行ったそれは、「好きでいるだけ」を良しとした者の事故的な吐露でしかない――少なくとも、この時の璥はそう思っている。
 けれど自分の心と、葉月祐一という人の心のかたちは違う、と。
 「関係ない」、「伝えたかっただけ」、とその人は言ったものの、そこに至るまでにどんな心の旅路があったか>>174>>175>>176>>238>>275は判らない。
 判らないなりに、自分とは異なる苦悩があったのでは、と考える。]


 ってか、あのスターゲイジーパイを
 がっつり食べてくれた時から既に、
 ハヅキんは勇者だったもんな。あっははあ。


[星を見つめる魚のパイを葉月と栗栖に食べて貰った夜を思い出しながら、気楽で他愛ない調子で笑い声をあげて――。]
(412) 2023/03/08(Wed) 19:24:10

【人】 厨房担当 ゲイザー

[そんなふざけた調子は一度止めて、真剣な、けれども穏やかな笑顔で。
 葉月の目を真正面から見つめて、はっきりと言い切る。]


 うん。
 私の心には、好きな人がいます。
 そして、他に好きな人がいる私は、
 ハヅキんの恋人になることはできません。


[自分の告白を既に葉月が聞いているとは知らないまま――。
 他の誰かに守られながら自分は黙り込むこと>>2:499>>2:500など考えずに、自分の口で直接告げる。
 けれども昔のように、結論から入って用件だけで終わらせるという形にも、この時はしなかった。]
(413) 2023/03/08(Wed) 19:25:32

【人】 厨房担当 ゲイザー


 ( ……本当は、あいつへの恋心は、
   消しちゃいたいん、だけどな。  )


[抱えているものをつい正直に零してしまう癖はあれど――。
 この望みに関しては、努めて意識して、速崎は黙っておくことにした。
 
友達になってくれたあいつではない、
自分への「いつか」を期待させてしまうかもしれない言葉は、出さない。

 今のこの「恋」が、自分が死ぬまでに消えてくれる保証はない。
 そして、自分の中に葉月への「恋」は無い。
 そう思えばなおのこと、無責任な期待など抱かせてはいけない、と。]
(414) 2023/03/08(Wed) 19:28:48

【人】 厨房担当 ゲイザー



 ……とまあ、そうお断りした上で。

 こんな・・・私でも好きになってくれて――
 って言ったらハヅキんにも、テンちゃんにも
 失礼になっちゃうから、訂正。
 女の子とか男の子とか、パイ焼きとかじゃなく、
 ちゃんと、ひとりの人間としてのゲイザーを
 好きになってくれて、ありがとう、ハヅキん。

 私は、あなたに好きになって貰えたことを、
 心から、とても、誇りに思います。


[葉月の目に目を合わせたまま、ちゃん屈託なく笑った。]
(415) 2023/03/08(Wed) 19:29:29

【人】 厨房担当 ゲイザー

[オーダーの件が気に掛かったこともあり、一旦ここで話を終えようとしたのだが]


 それと……そうだ。
 この前出迎えてくれた時に言いそびれちゃったから、
 ちゃんと今、伝えたいんだ。


[あの日>>148>>149>>150に言うことも考えてはいたが、当時の自分の迷いだけでなく、あまりにも美味しそうにシェパーズパイを食べて貰ったことで、伝えるタイミングを見失ってしまっていたこと。]


 私がお店飛び出していった時、
 ハヅキんが追いかけてくれて、声かけてくれたから。
 私はあの時、ちゃんと足を動かして進むことができた。
 ……本気で急いでたのに、動けなかったんだよ、あの時。


[背を摩って貰ったとか、肩を抱いて貰ったとかがあった訳ではない。それでも後を追って言葉だけでも届けてくれたことに救われたのだ、と。]
(416) 2023/03/08(Wed) 19:30:44

【人】 厨房担当 ゲイザー



 だからハヅキんは、私を助けてくれた恩人。
 命の恩人、って言ったら大袈裟かもしれないけど、
 そう言ってもいいくらい、かっこいい人です。


[もう一人からの「かっこいい」の太鼓判は、当人自ら押して貰おう。
 「かっこ悪くたって、頑張らなくたって、いいんだよ」の自論>>1:466は今は封印して――。
 葉月ににっと笑いかけてから、今度こそ本当に、ブロッコリーの香草焼きの仕上げに奔走する。*]
(418) 2023/03/08(Wed) 19:32:07
 

[ 一緒に痛がってくれるのが嬉しい、なんて言ったら
  貴方は果たしてどんな顔をするのだろう。
  同情でも何でもなく、あの日の傷を肯定してくれること。
  例え立場が違っていても その想いは確かでしょう?

  これから先、二度と傷付かないなんてことはきっとなくて
  でもその代わりに私の隣には貴方がいるし
  貴方の傍にも私がいる。
  ──守られるばかりじゃなく、一緒に、どんな痛みも傷も
  向き合っていきたいな …そう思えた。
  うさぎだって、いざという時はやるんですよ。 ]


  ……私が一番好きな声は、神田さんの声、ですよ
  だから、その
  …………あんまりドキドキさせないでください……


[  真剣な声音が本気なんだと教えてくれる。
  そろそろ本気で担当カラーを桃色にするべきか。 ]

 

 

[ 好きな人のことなら、どんな人生でも聞いてみたい。
  寧ろ貴方が私みたいな道を歩いていなくて良かった、と
  そんな風に想うのは 大咲のエゴだけれど。
  「取り立てて面白みのない生い立ち」と思っているなら
  今から私が色を付ける余地が幾らでもあるということ。

  カメラを向けなくても美味しいものがなくても
  目の前に貴方がいれば、私は自然と咲えるんですよ。
  ……なんて、それはきっと、未来で示していける筈。 ]


  ────……ぁぅ、……。


[ かわいくないです、と言葉を否定したくはなくて
  でもいつものように肯定で茶化せもしない。
  形にならない声が零れ、赤い耳を隠しかけるけれど。 ]

 

 

  ……だ、だって、脈無しだと思ってたんです
  ナンパでも歓迎ってうっかり言っちゃって、
  どう返せば気まずくならないかなって、その……

  信用してたのも、本心ですし……


[ 「言わないでください……」といよいよ顔を覆った。
  気になってつい貴方の声を聴いてしまうし、
  常に探していたのも事実であるだけに。
  本人から指摘が来ると、ほんとにもう、居た堪れない。
  恋は盲目という先人の偉大な言葉が頭を過る。

  正直、遠い世界の、違う感情なんだとさえ思っていた。
  誰かを好きになる。その人に好きになってもらう。
  ──どうやって? 抱えた答えは出ないまま。
  一生縁がないなと思っていたのに、
  気付けば林檎が落ちるように恋へ転がって。 ]

 

 




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