94 【身内】青き果実の毒房【R18G】
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| 普川 尚久は、「うれしいな、ありがとう」 少し的外れな言葉を返した。 (a64) 2021/09/27(Mon) 16:19:00 |
| (a65) 2021/09/27(Mon) 16:19:46 |
「…………はあ」
ため息が止まらない。
「……俺は本当は、こんな事を言うつもりじゃなかったのに。
…………俺は先輩に、お礼をいう用事があったのに」
迷彩と闇谷が廊下で重なりあっているのを見た日。
真意がどうであれ、普川の言葉によって背中を押されて行動することができたのだ。律儀で生真面目な少年はその件に関してあとできちんとお礼を言おうと考えていた。
それなのに、今こうして飛び出した言葉はなんだ?感謝とはまるきり違う棘を含んでいる言葉ではないか。
「…………はあ」
ため息が止まらない。
的外れな言葉を耳にしながら、自身も食堂へ向かった。
>>【食堂】
がたん!
音を立てて立ち上がる。
「───ッごめん、」
咄嗟にそう、口から出た。
苦しい記憶を開かせて、
あまつさえ言葉にさせてしまうなんて。
そこまでさせるつもりじゃなかった。
なんて言葉は、ここ以外だって通用しない。
知りたがって貴方の傷に触れた。
悪い、と呟いて再度椅子を引く、座る。
「……同じな訳ないだろ、
違うよ、違うんだ、リョウ……。
お前は望まれて産まれてきたんだ、
そんなことあってたまるかよ……!」
ここには居ない男の言い分も、理解できなくはない。
それでも情のせいか、目の前の少年の事ばかりが大切に思えてしまって
本当に、探偵失格だ、と瞳を細めた。
箸を取り落としそうになって、置いた。
>>【食堂】
立ち上がった貴方に、少年は目を丸くした。
大したことを話したつもりなど、微塵もなかったから。
死ねと言われたことが悲しかったわけじゃない。
自分の夢を、生きる理由を、
ちっぽけなものだと扱われたことが悲しかった。
貴方の感傷が、理解できない。
「やっぱりそうだよね?
ここで死んだら、同じじゃないもん」
故に。
的外れな言葉を、そうと気付かず平然と返した。
「でもさ、でもさ。望まれて産まれただけじゃ、」
ほんの数年で見える世界と常識は一変した。
無学な少年でも、大人達が何を言わんとしているかは察しがつく。
「────生きるのを許された、ってことにはならないよ」
これは曲論だらけの少年が学んだ、数少ない正論だ。
| (a66) 2021/09/27(Mon) 17:25:42 |
少年の言葉の何処かを拾い上げて食事をつつく箸を一瞬ぴたりと止めた。
何事もなかったかのように食事を進める。ふと家族の事を思い出したが、もう関わりのない話だ。
「へぇ。珍しい事を言いますね。非なるとは散々言われましたが、
“似てる”が入っているのは初めてです。どう言う事ですか?」
気だるげな顔から少しだけ疲れが消える。
少し前に期待して、また落胆する羽目になったから止めようと思ったのだが。これは期待とは少し違う、同類の可能性への興味だからいいだろう。
「別に“お前”でいいですよ。気付かれたくないって言いましたし。
下手に名前をつけると、アレにバレると困ります。
……アレの中では私、もう消えた事になってるので。
思い出すと暴走しかねませんから。私の事大好きすぎるので、あの子」
最後の最後、気を抜いたせいか、
今までの声色と違って少し苦笑に近いものが零れた。
「俺も、人間ではないからだよ」
ちらりとカメラを、マイクを気にする動きを見せつつも。
記憶を選り分け、言葉を選んで話を続ける。
最も簡単な方法と知りながらも口を噤むことを選ばなかったのは、たぶん、ただ話をしたかったから。
同類への――普通でないものへの、期待。それをこの男も有していた。
「異能によってうまれた生き物。
……まだ人間として認められていないと言えばいいか?」▼
「『父親』が……俺を作った、あの人は。
そうだな。俺のことが、好きだったんだろう」
瞼を伏せ、言葉を吐く。
笑いの一つも零れていないのに、どこか穏やかな声色をしていた。
「おかげさまで、難儀している。
――で? お前、“アレ”は“お前”をどう好いたんだ」
少年に倣って、呼び分ける。
消えたはずのお前の話を、聞いてみようかと思った。それが短くとも、長くとも。
「成程。私の場合は、一時期は半共存のような形でしたが。
そちらはそもそも“別個体”として存在は出来るんですね。
それ、アレが知ると喜ぶから教えてあげるとどうですか?
最も私が見ていない際に、そう言う会話は出ていたかもしれませんが。あくまで私は“本元”ですし、近いのはアレの方でしょうから」
別段、今の『南波靖史』をしている異能は、自分が人ない事を隠してはいない。話に流れがあれば、容易に話していた。
それでもまさか“自分と同じ異能そのもの”が居たとは想像だにしていなかっただろうから、知ると喜ぶのはそうだろう。
▼
「そうですか」
貴方の気にする先を、視線の先を薄ら確認する。
この状況で、全てを正直に話す気がない──そもそも不可能な事も勘付いている。
本当に貴方の言う相手が『父親』なのか、違う存在なのか。気にはなったが確かめられる状況ではないけれど、どちらにしてもその声色だけで少しだけ慰められた気分になった。
……自身の異能に対しての罪悪感は、0ではないから。
「中身や記憶が同一なのかは、気になるし本当はお話したかったのですが。……もうあまり時間もないでしょうし、それは“全部終わった”後に。気が向いたらアレに話してあげて下さい」
この演劇が終演を迎えた時、ここまで監視も盗聴も厳重じゃない──個人の会話同士くらい、誰にも聞かれない時間が生まれる。それは、この役職についてる自分だからこそ、知っていた。
▼
「──この現代社会における、」
「“ただしい好き”と言う感情を、持って生まれませんでした」
それを指す対象は、これを語る『本人』か『自我のある異能』か。或いは──『両方』なのか。そのどれかは、語らない。
「どう好いたんだ」の問いに、ただ。
「うまれつき他者の事を正しく愛せなかった」
と、付け加えた。
曖昧な言葉のそれは、少なくとも『ただしさ』を重視する社会では、許される方向性の愛ではなかった事は理解できるだろう。
>>【食堂】
口を一文字に結ぶ。
具材が沈殿していく味噌汁の色が、薄くなっていく。
貴方はいつだって変わらず、理解してくれない。
けれどそれで構わない、理解し合うだけが『友人』ではない。
だから。
「生きるのに許可なんて、いらない。
誰の許可が必要で、
誰にダメだと言われて死ぬんだ。
もっと好きに生きて、良いんだよ……」
好き勝手に、言葉をかける。
「リョウは、
誰かに許されないから死ぬのか?」
貴方からそんな言葉が出た事が悲しいと、
そんな想いだけは、知って欲しいから。
「だったら俺は、
お前が死ぬのを許したくない。」
正論なんて、くそくらえ。
箸を拾い上げて席を立つ。少しだけ、胸が苦しくなった。
| 普川 尚久は、ごちそうさまでした。そのまま話を聞いている。 (a67) 2021/09/27(Mon) 20:43:04 |
思考の海に浸り続ける。人は、いつから人に許可を求めるようになってしまったのだろう?
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