人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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【人】 『ブラバント戦記』  



 包囲突破作戦の折、アリン公は
 最後の一人となる覚悟で戦い抜いたと云う。
 物量で上回っていた彼の敗因を分析する学者らは
 奇襲、準備期間、地理……と様々な要因を挙げるが、

 最大の理由は“相手が悪かった事”に尽きた。

 居城の広間にて捕えられた当主ジョセフは
 死の間際まで皇帝を避難し続けた。

 『宣戦布告を行わなかった卑怯者』
 『青二才なんぞに命乞いはしない』
 『貴様の様な男は卑しき魔物同然』……


(98) 2020/11/30(Mon) 9:20:59

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム

 


    ──── だとしたら何だと言うのだ?


 
(99) 2020/11/30(Mon) 9:21:40

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム

 

        
[ しろかねの翳りがその頸を
つ。 ]



 [ 父帝に剣を振りかざしたその時とは異なり、
   唾棄すべき謀反人の頭は石畳に転がり落ちた。
   その髪を掴み上げ、戒めの様に掲げる。

   断罪とは呼べぬ二百年越しの報復だったが、
   獅子がその爪と牙で一つの貴族の全てを奪い
   歴史から消し去ったのは確かだった。 ]

 

       ……生まれ落ちた其の日から、
         欠かさず貴様の死を望み歌い続けたが
         聴こえていなかったのか?

           其れは遺憾だ。

 
(100) 2020/11/30(Mon) 9:22:04

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム

 

[ 騎士団長に渡された毛皮で懐剣を拭う。
  刀身には焼き焦がされた血が硬化してこびり付いている。
  切り伏せた刹那に命まで燃やそうとしたかの様だ。]



     加え、俺の様な男はこの俺だけだ。
         
( 俺で最期にすべきだ )


[ その眼が、主君の死を見届けた敵兵をなぞる。
  恐怖に竦み上がり、思わず声を上げる者までいる始末。
  だが、而して屠った無抵抗の羔などに価値は無く。 ]



[ 出生から将来に至る生涯の全てを火に焚べた心には、
  仇敵の言葉など最早何一つ届かない。 ]



 
(101) 2020/11/30(Mon) 9:22:53

【人】 『ブラバント戦記』  



 アリン家滅亡の報せは公国諸侯にとって
 十分過ぎる事実上の脅迫になっただけでなく、
 其の衝撃性から遠方に至るまで知れ渡っては
 異常な求心力によって各地の統治環境を狂わせた。

 文字通りの火と血の雨を降らせた闘い振りは噂になり、
 真の王の訪れを信じた人々が領土に溢れる。
 彼をテリウス大陸全土の王と謳う者さえ居た。

 アリン家が納めていた集落は『解放』されたが、
 新皇帝は略奪や徴収を決して許可しなかった。


 
(102) 2020/11/30(Mon) 9:23:33

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム

 

  施しがあれば受け取るのは構わん。
  だが、此方から要求する事は許さない。
  奪い取るなど言語道断だ。

      ────彼等は“今も昔も”余の民であるが故に。


 ( 恐怖による支配を望んだ訳ではなかった。
   とは言え、歴史書が其れを記す事はないだろう。

    ……後の世など知った事ではないが。 )


 
(103) 2020/11/30(Mon) 9:24:01

【人】 『ブラバント戦記』  

 

 緑樹の葉が落ちる頃には国に戻り冬に備える。
 冬支度をし、暫くの平穏に息をつく事が出来るのは、
 この国の深く積もる雪の功績でもあった。

 同時に敵には充分な時間を与える事になる。
 次の攻撃はこれまでの様には行かないだろうと、
 世論も議会も721年度の計画を慎重に練っていた。


 侵攻を恐れた近隣諸国から舞い込む無数の交渉。
 金品や栄誉にまるで興味を示さない帝に、
 女ならばと実の娘を投げて寄越そうとする王族。

 仇ですらない彼等の憂慮は的外れであったが、
 皇帝はいつしか供物として捧げられた女達の中から
 一人を選んで妃として迎えた。

 
(104) 2020/11/30(Mon) 9:24:33

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム



[ 添い遂げられないと知っていて選ぶのは、
  他国からの協力を得られる可能性があったから。
  政略結婚など幾らでも目にして来たが、
  いざ当事者となっては誰の眼も直視出来ず……

   家柄も、容姿も、振舞いも考慮はせず
   唯一人悲しむでもなく、一度たりとも俯かなかった
   凛々しい横顔の彼女を選んだのだ。 ]


  ( 選ばれた者が幸運なのか不幸なのか、
    其れすら確かめるには時間が足りない。)


(105) 2020/11/30(Mon) 9:25:06

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム




 ( 選ぶ立場でありながら、誰と向き合っていても
  『何かが違う』と過去に思いを馳せるなど────
   図々しいにも程があるとは解っている。

    其れでも、夫婦の務めは果たさねばなるまい。 )



 
(106) 2020/11/30(Mon) 9:25:43

【人】 地名 真昼

 
[引っ越して来る前、母さんは店の客を
 毎日のように家に連れて帰ってきた。
 体を売ってお金を貰う為で
 僕に相手をさせることもあった。
 客じゃなく、同僚を連れて来る日もあった。
 前も後ろもよくわからないまま初体験は過ぎた。
 相手をする頻度は次第に上がっていき
 複数人まとめて、なんて日もザラになっていった。
 母さんも隣の部屋か、同じ部屋で客の相手をしてた。
 一度に沢山相手にした方がお金がたくさん貰えるから
 僕もそれは効率的だなと思った。
 客は勝手気ままに振る舞った。
 ヤりながら殴られたり煙草の火を押しつけられたり
 ブッ飛ぶクスリを注射されたり――、
 そんな非常識こそが僕にとっての常識。]

 
(107) 2020/11/30(Mon) 9:46:59

【人】 地名 真昼

 
[置かれた環境が世界の全てで
 拒絶をするすべも発想もないまま完璧に順応した。
 母と己が毎晩相手を変えて行っているのが
 本来子を成すための行為だと知ったのは
 身体がすっかり快楽を覚え切ったあとのこと。
 ご飯を食べるのと水を飲むのと同じくらい
 セックスは日常に溶け込んでしまっていた。]

 
(108) 2020/11/30(Mon) 9:47:09

【人】 地名 真昼

 
[母さんは、お金が大好きだ。
 DNA鑑定の結果と共にこの村にやってきて
 僕らの世界は変わってしまった。

 食べたことないような美味しい食事。
 トイレと別にある泳げるくらい広いお風呂。
 柔らかくてふかふかのお布団。

 父と弟は、あたたかく僕らを受け入れてくれた。]

 
(109) 2020/11/30(Mon) 9:47:17

【人】 地名 真昼

 
[僕には物足りなかった。
 客が帰り色んな体液に塗れてくたくたのへとへと
 今日もよくがんばったねって掛けられる労いの声と
 頭を撫でてくれる掌こそが親から貰える愛情。
 他では、ダメなんだ。足りないよ。]

 
(110) 2020/11/30(Mon) 9:47:40

【人】 地名 真昼

 
[だから取り戻すことにした。*]

 
(111) 2020/11/30(Mon) 9:47:46
 
[ ぐったりとした後、何時の間にか
  何かの台に寝かされている事に気付いた]


   はー……、はー……


[ 荒い呼気が唇から漏れる。
  胸郭が呼吸に合わせて上下に動く。

  未だに手足は蔦に絡め取られたまま。

  身動きも出来なければ逃げられそうもなく
  まさに、まな板の上の鯉といった状態であった]
 

 
[ 暫し、深呼吸を繰り返していれば
  視界の端で何かが動くのを目に捉える。

  この悪夢の元凶たる男。
  そいつが足先の方から近付いてくる。


  睨みつけるのは今出来る精一杯の抵抗。
  怯えた表情を見せないのは己の矜持故。

  けれどそんな強がりは長くは続かず
  すぐに視線は別の場所へと引き寄せられた]
 

 
[ 男の手にしている金属、鋸。
  鋸は部屋の照明を受け、冷たくギラっと輝く。

  それを目にし、認識した瞬間。
  目を大きく見開き、恐怖に顔を歪ませて]


   っ……! や、やめ、ろ……!


[ 必死に蔦から身体を自由にしようと藻掻く。

  けれども、蔦は頑丈に絡みついており
  己の力ではそこから逃れる事など出来もせず]
 

 

   っ……! あ、ぁ、 ───────っ!!!!


[ 肉の焦げる匂い。足の付け根に走る
  今までに一度も感じたことの無い、地獄の痛み。

  思わず、口から声にならない叫びが迸る。
  あまりの痛みに背筋を海老ぞりにして全身を硬直させる。


  刃が進む度、己の口から
  悲痛な叫び声が飛び出していく。

  それでも男の手が止まることはなく
  ただ押し寄せてくる
  強烈な痛みを享受する事しか出来ず。

  そのうち限界を超えたのか意識は薄れ始め
  最終的に真っ黒に塗り潰されたのであった]
 

 
[ それからどれだけの時が過ぎたのだろう。


  闇に沈んだ意識は浮上し
  薄っすらと目を開ければそこは知らない天井。

  頭は霞がかってぼんやりとする。
  自分はどうしてここにいるのだろう。


  記憶を辿っていけば、浮かび上がってくるのは
  悪夢のような出来事。
  思い出すだけで全身にじとりとした脂汗が湧く。

  目を閉じ、あれは夢だ、夢なんだと
  胸に手を当てては己に言い聞かせるように
  内心呟く。

  ────と、その時であった。
  自分の身体の変化に気が付いたのは]
 

 

   な、なんだ…これは…!?


[ 胸のたわわな膨らみ。
  それは本来男である自分には存在しない筈のもの。

  そして下半身の妙な違和感に
  思わず上半身を跳ねるように持ち上げ。

  己の下腹部に目を向ければ、
  剥き出しになった足の付け根、
  本来あるべき筈のものがそこにはなく]
 

 

   な……なんで、いや。
   俺は……一体、何を……?


[ 手を伸ばしてもそこには何もない。
  最初からなにも存在しなかったというように。

  すぐに現実を拒絶するように
  目を閉じては首を大きく横に振る。

  だが、そんな事をしても何も意味はなく。

  ただ時間は残酷に過ぎ去っていくだけであった]*
 



 七年に及ぶ研究の甲斐あって、
 遂に帝に献上が叶う出来栄えの秘薬が生まれた。
 芥子、麻……その他様々な原料を混ぜ合わせたこの品を
『夜の翳り』と呼ぶ事にする。

 凱旋されてからというもの、
 陛下は不調続きであらせられる。
 戦により経済が活性化したのは良い兆候だが……

 既に冬が訪れたが、城下では流行病の報せが出ている。
 万が一にも陛下が罹患でもなされたら大変な事だ。
 よく眠られる様に我々が手を尽くさねばならない。

 赤子の頃から陛下を密かに見守って来たが、
 少年にして既に不眠症を患われていた。
 あれは恐らく……根本的な解決まで至るには
 国中の解呪師を掻き集めても不可能なのだろう。
 そういった類のものだ。





 我らが王は真実を見抜く力に長けておられる。

 先日も仰せつかった通りに議員を問い詰めた所、
 やはり公国に金を握らされた工作員だった。
 これで投獄された政治犯は三桁に及ぶ。

 陛下曰く、解っていて泳がせたとの事だが
 そう顔を合わせる訳でもない議会の連中を
 如何にして見極めているのだろうか。

 旧い付き合いであるあの学匠であれば、
 何か秘密を知っているのかも知れないが。

 下手に探れば次に飛ぶのは私の首かも知れない。
 私は粛々と裏切り者を裁くだけだ。





 先日毛布をお届けに寝室へ向かった所、
 夕餉がまだですが既にお休みになられている様でした。
 しかし微動だにされなかったので不審に思い、
 近付くとどうやら呼吸をしていないのです。

 まるで毒を含んだかの様に……息を詰まらせて。

 わたくしは慌てて揺り起こしてしまいましたが、
 陛下はお気付きになると感謝を述べられました。
 曰く、ここの所ずっと眠りの質が悪いのだとか……

 前の廊下を通る際にも、何やら呻くような声が
 部屋の中から聞こえた気もします。
 やはり戦争が陛下を変えてしまったのでしょうか?



 

[ 透明な薬をワインに一滴落とし込み、呷る。
  真夜中に目覚めたのは悪夢の所為。
  野営中の軍幕では見る事がまるでなかった故に、
  煉獄に墜ちる夢はやけに生々しく、耐え難かった。


      身を灼く痛みに目を見開いた時、夢は醒める。
      荊に抱かれ、氷海に沈められ、雷に打たれ、
      刺客に刺され、謀反人の弩に貫かれ……
      舞台と場面を変え、死の瞬間を繰り返す。 ]



( そんな夜が続き、ふと思い立って手を伸ばしたのが
  遣い鴉の鉤爪に括られていた髪紐だったのは……

  あの報せが、直筆で示した俺の存命が、
  確りと届いている安心感に浸りたかったからなのか。 )


 

 

[ 眠る度果てしない苦痛に苛まれるか、
  夢も見ないほどの深い眠りへ無防備に落ちるかの繰り返し。

  悪夢が仇を滅ぼせと戦火に追い立てる中、
  名も知らぬ感情が日に日に募っていった。 ]



  ( 何故、逢いたいと思うのか。
    何故、顔を合わせて言葉を交わしたいと思うのか。
    戦の経過を聞き、話す訳でもあるまいに。

    どう表すべきかも見当が付かぬ苛立ちばかり。
    より長いと感じる様になった夜を如何にせん…… )



 


[ 淡く酔いが廻ると共に、瞼が降りてゆく。
  呼吸は深く長く、次第に規則性を得て
  月が傾けば同じ様に意識も揺らいでいった。

  効用の強すぎる薬に頼り続ける訳にもいかず、
  健康上の問題で使用を控える夜もあった。
  そんな日な伸びた襟足を留めていた金の髪飾りを外し、
  代わりに薄い色の髪紐を緩く結んで眠る。


  彼が得たことも無ければ、口に出したことも無く
  蓋をされた儘、言葉に出せないその願いの形は、 ]


 

 



    Ich habe Angst, allein zu sein,
    also schaue ich zum
Nachthimmel
und suche dich


 [ 此処へ来て、────どうか息を吹き込んで欲しい。 ]*


 

【人】 帝国新聞  



  王城に一般市民が受け入れられることなど
  何年ぶりのことだったろうか。
  それほどの快挙を成し遂げたにも関わらず
  この若き女研究者は驕り高ぶらず、謙遜することも無く
  実に慎ましく───悪く言えばネタを提供しなかった。

  切れ長の青い瞳には全くと言っていいほど生命力がなく
  視線は虚空を漂っているようにはっきりとしない。

  「傷モノだが、顔は悪くはない」と王は絶賛していたが、
  私はあの女に寒気さえ感じる印象を覚えていた。

  何のために感染者を全て一夜の内に毒殺したのか。
  4年も診療所を経営していながら、一体どうして。

  ……彼女からは、生の気配が少しも感じられないのだ。


 
(112) 2020/12/01(Tue) 2:29:58

【人】 王室研究者 リヴァイ



[「奇病の消滅を祝った宴が数日後に開かれる。」
恭しく会釈した執事はそう言って、此方に出席の返事をするようにと暗に促した。
拒否権なんて最初から存在していない癖に、いかにも相手自身の意思がそうさせたように仕向ける手法は変わっていないのか。
浮かんだのはそんな無感動な感想くらいだった。

自身を舐めるように見つめる視線から逃げるように生返事をして、与えられた無駄に豪華な客室から廊下に出た。
当てもなく歩く足取りは回遊魚のようにどこか力が抜けている。

  どこまでも腐りきった国家だと思った。
  自分たちのために命を捧げた少年少女に対して
  その献身に感謝の一つもせず、あまつさえ死を喜ぶなど。


そんな魂の抜けた人形の如きかんばせが不意に強張ったのは、もう二度と逢わないだろうと思っていた───否、“二度と逢いたくなかった”人間の声が聞こえたからだ。]

 
(113) 2020/12/01(Tue) 2:30:17
 




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