人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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けど、先輩だから卒業すんだろ、先に。
そんで卒業式の日にさ、なるべく女子っぽい文字練習して、超丁寧に『大好きでした』って手紙書いて下駄箱に突っ込んで、それで終わり。

――終わりに、した。

[あの手紙は何らかの物議を醸したのか。その顛末すら知らない。
 或いは自分の存在がとっくに気づかれていて、嫌悪のままに破り捨てられたかもしれない。
 想像はできるが、それだけだ。]

こんなお話でよろしい?
ま、だから俺はさ、麦がずっと想い続けてくれたのすごいなって思うし、それを知ったからにはなんか応えたくなるん、だよなぁ。

[年寄りは長話をしました。
 反省とともに、水割りを飲み干してグラスを置く。
 ソファにとろんともたれかかって、そのまま麦の方に体重を寄せる**]

タイプはジンさんです。
他のこは好みじゃないし。
ダンはちょっとだけジンさんに似てたかも。


[ジンさんがダニエルに似てるんじゃなくて逆だからね。好みのタイプは時空を超越する。]


寝ませんよ。
じゃあ…パン食べてていいですか?


[バケットを手元に手繰り寄せた。
そのままでも齧れるが、アヒージョの残ったオイルがある。つまり美味しい。]

[もくもくとパン食う。
一度回りきった悪い酔いは、トイレで吐き出してしまったのかふわりと肌の上に温かな膜が張ったような感覚だけ。]


演劇部の、先輩。


[全力で何かに打ち込む姿に、光を感じた。
聞く話に胸が苦しくなる。どんな気持ちだっただろう、どんな思いで見ていたんだろう。
それは少しわかる気がして。]

[グラスが空になる。
体重と体温が近づいて、もたれかかる体を抱きしめた。]


きっと、すごく嬉しかったと思いますよ。その先輩。
相手が誰だかわかんなくても。
きっと想いは伝わったし、努力する姿が素敵だなんて、誰だって言われたら嬉しいです。


ジンさんは、一目惚れの特別な恋を終わりにしたの、
きっと辛かったですね。
でも、だから優しいんですね?

こんなに俺に応えてくれようとするのが、その経験の影響なら。俺はその恋に感謝します。



[キスは、しても平気だった。

触れるのは?
髪に、顔に、腕に、背中に。撫でるだけなら彼は緊張しない。
境界線はどこだろう。]


大丈夫ですか?
まだ潰れないで。起きててください。


[手のひらを胸に押し当てる。鼓動を皮膚で感じ取るように。
それから上へ滑らせて、鎖骨の輪郭を辿る。
ぎゅっと抱き寄せて、服の上から触れてるだけだ。
でもただ撫でているのとは違う、そういう動きで。]



[息を呑むなら、緊張を押し殺すなら、それ以上はしない。
すりすりして、許されるなら寄り添って、もっと飲んで。一緒に眠ってしまうのもいいかも。

だから無理やり応えようとしてくれなくてもいい。
体が、触れて平気ならむしろ、それでいい。

胸を滑り降りて、脇腹から背中へ。
ソファにもたれかかっているから、腰の上あたりでやんわりと円を描くように撫でた。**]


 驚く、で済めばいーけど。
 まー、反対されても説得するだけだ。

[正直まったく想像がつかないが、どんな反応が返ってきても、自分がすることは如何に紫亜が今の、そしてこれからの自分の人生に必要不可欠かを説くだけだ。

成長具合を見て貰うなら、その日の夕食を作らせて貰うのもありかもしれない。
ビーフシチューを煮込む時間はないから、お子様舌の友人に合わせたハンバーグとか。
手が温かいから苦手など言っている場合ではない。
練習せねば。]

[うとうとと微睡む彼女がそのまま眠りに落ちるなら、それを見届けてからシャワーに向かおうと。
呼吸に合わせて撫でていた手は、相変わらず無自覚に男を煽る台詞で固まる。
流石にすぐに復活する程サルではないが、胸をドスッと突かれた感覚があった。

参ったな、と苦笑を胸に仕舞って、彼女の息が深くなるのを待ってから立ち上がった。
彼女の下に敷いたままのバスタオルは、後で洗うことにしよう。**]

[乱れる嵐が可愛くて。つい、意地悪をしてしまう。
指を締め付ける強さが、彼女の様子を物語るのに。
指を引き抜けば、蕩けた瞳が物足りな気に此方を見詰めた。
愛おしくて、たまらなくて、口付けを交わして。]


そ。自分で。


[彼女からも求めて欲しくて、導くけれど。]


……ん。入った。上手。


[身に着けたままの下着が邪魔する中。
腰を落としてくれる彼女をじっと見詰めて。
でもその声に涙が混じったら……]

怖かった?

俺に抱き着いてて。大丈夫だから。


[嵐の腕を、自分の首に絡めて。
頭と背中を抱き寄せて、身を委ねさせる。
それから彼女の腰を抱いたまま、身を進めて。
ゆっくりと、嵐と一つになった。
膝の上に座り込むような嵐に、顔を覗き込むように微笑む。]


全部入った。……身体は大丈夫?


[背中をさすって。自分を抱き締める嵐を見上げて。
落ち着くまで、そうしていよう。]



ねえ、嵐。キスして?


[今朝のような渇望とも違う。
でも酷く満ち足りた気持で。
見上げた彼女に、口付けを強請った。*]

そう?
ま、言われて悪い気はしないねえ。

[タイプはジンさんです、と言い切られて。
 若い子だしもっといろいろあるんじゃないかな、と思ってしまうのは、癖づいた自己評価の低さのせいか。
 いやいや、それだけじゃないだろうよ。こちとらいい歳だし。]

――嬉しかったかね。そうだったらいーけどさ。
努力する姿が素敵のところまで、伝わってたらそうかもな。

[たった6文字のラブレターには、それ以上の情報はない。
 いっそそうした思いも綴ればよかっただろうか。
 いや、きっと書けなかった。知られるのが、怖かったから。]

そーだねぇ。辛かったんだと思うな。
事実、あれからあれ以上の恋は、してないと思うしなぁ。

[セックスはした。女を抱いて、甘く囁いて、この腕の中に抱きしめて。
 照れくさそうに顔を逸らす仕草が好きだ。愛おしくてたまらなくなる。
 まっすぐ立っている女が好きだった。凛とした横顔が蕩ける瞬間を知っている、その事実が欲をくすぐる。
 けれどその日々が光っていたかと言えば――やめよう。]

はは。感謝か。
そう言ってもらえるなら、青臭い黒歴史も、悪くないね。

[目を伏せる。
 アルコールを含んだ呼気を吐いて、感傷を払う。]

我慢させたくないから、悩んでんだよなぁ。

[境界線を探るやり取り。
 いつか慣れて、欲を失わせるのはしたくない。
 かといって、今はその欲に応えられそうにない。
 段階を踏むとは言ったが、段の大きさの測り方がわからない。]

[許容範囲は、それなりに広いつもりだった。
 耳朶に触れられる、熱い手が胸元をなぞる、抱きしめられる。
 食み合うようなキス。もし歯列を割られるなら、きっと迎え入れた。それは対等な行為で、女とするのと大して変わらない。]


      
――   
は 、



[微かに吐息が震えたのは、服の上からなぞるその手が腰に向かってゆるく撫ぜられたときだ。
 舌を絡められるのにこれにぞくりと震えてしまうのは、自分でもどうかと思う。
 自分が『暴かれる対象』になるかどうか。そこに越えがたい壁がある。
 好きな相手に欲情することは笑い飛ばせるくせにな。]

[小さな震えは麦の手を止めるには十分すぎたろう。]

……ごめん。

[小さく謝って、擦り寄ってくるなら抱きしめた。]

なんだろーなー。オカズになるくらいだったらヘーキかなー。

[なるべく空気を変えたくて、そんな風に冗談めかした*]

――夕食――

[襖を閉めて、シャワーで洗い流した後、露天風呂へ。
かけ流しの風呂は数時間前の名残をすっかり消してくれていたので安心して入ることができた。
背中や腕が浸みるのは紫亜に愛された甘い痛み。

新しい下着に着替えて備え付けの寝巻用浴衣に袖を通す。
此方は袖が洋服のようになっている、スーパー銭湯でよく見るタイプだった。
今日だけで下着は3枚目。
念の為多めに持ってきているとはいえ、携帯用の洗濯バッグで洗って絞り、クローゼットに干させてもらうことにした。

お食事です、と仲居が運んでくれたのは、固形燃料を燃やす小型の卓上コンロと鉄鍋、鍋の材料と。
紫亜の好みを優先して選んだ蒸籠蒸しの温野菜。
船盛の刺身は自分の憧れで選んだ。

所狭しと並んだ料理は圧巻で、ついスマホで写真を撮ってしまう。]

[起きて身支度を整えた紫亜が向かい側に座ったら、二人で手を合わせて固形燃料に火をつけた。
蒸籠の蓋を取ると、ブロッコリーやかぼちゃ、オクラ、レンコンなど多くの野菜がつやつやと並んでいる。]

 紫亜は日本酒大丈夫なんだっけ?

[自分の分は手酌で注いだが、彼女も飲めるなら用意しよう。
甘口だから飲みやすいとは思う、と銘柄が書かれたラベルを見て説明した。*]

[唇は唇と触れ合わせただけ。ごく軽く食み合うようなキス。
抱きしめて、鎖骨を撫でて。
胸から腹へ。]


……、


[手のひらを後ろに回したところで、それ以上進めずに止まった。見えない、侵せる勇気のない壁を感じて。]

謝らないで下さい。
俺のために悩んでくれるのはすごいうれしいけど。


[手を離して、代わりに体を擦り寄せた。

抱きしめてくれるのだから、触れることは許してくれるのだから、キスすらしてくれるのだから、]


──…ッ


[喉の奥で引き攣ったような息が一つ漏れた。]

おれは、ジンさんをお……
カズ
…にするの、平気じゃないです。
貴方を思い浮かべて、いいように扱って、抜くの……無理やり汚してるみたいで。
なのにやめられなくて。我慢できなくて、出したら凄く
       ……苦しくなります。


[罪悪感。
彼が笑って許してくれるのは、想像の中で何をされているのか、わからないからだ。きっと。]

今度は、ジンさんがしてくれませんか?
どれくらいまでなら、俺があの──煽られないのか。


[ぎゅう。腕に力を入れる。]


いっぱい撫でて欲しいです。キスもしたいです。
でもさっきみたいな深いキスは。
キスが上手すぎて、俺慣れてないから、勃っちゃうから、たくさんはだめです。

[反対されても。とは言うものの、恐らくそうはならないだろう。
母と料理していた姿を思い出して目を細めながら。
彼の将来の話に、自分が隣りに居ること前提で進んでいることが嬉しい。

兄の結婚式は夏の最中。
季節は梅雨を越えようとしている。
約束は近々果たされるだろう。

体温の高い手が頭を優しく撫でて、その心地良さに微睡みの中に落ちていく。
落ちて来る瞼に抗えずにゆっくりと視界を閉ざして、意識を手放した。]

―― それから ――

[数十分か数時間か、目を覚ませば既に辺りは暗くなってきていて。
脱いだ浴衣を羽織ってそっと隣の部屋を覗けば、既に食事が運ばれて始めていた。

慌てて身支度を整えようと、お風呂に向かう時。
内腿から伝う違和感に気づいたら、どうしようもなく恥ずかしくなって脱衣所へ飛び込んだ。
こっそりと事後処理をして、余り待たせては悪いからとシャワーだけで済ませる。

髪はまだ乾かしきれなかったけど、後は自然乾燥に任せて。
お風呂上がりに脱衣所で部屋着用の浴衣に袖を通して鏡を見たら、浴衣では隠しきれない箇所に赤い華が咲いていて、指先でその痕をなぞる。]

 ……どうしよう……。

[肌を隠しきれないのは困るけど。
彼の所有物になった気がして、嬉しくもある。
首周りの襟をきゅっと寄せ集めて、できるだけ帯をキツく締めた。]

[ようやく身支度を終えて、部屋へと戻ったら。
テーブルには料理が見事に並んでいて、彼のほうも準備万端だった。]

 わあ……、豪華ですね。
 おいしそう……!

[机を挟んで座椅子に腰を掛けたら、鍋に火が点る。
鍋に火が入るのを待ちながら、開かれた蒸籠へと視線を移せば、茹で上がった野菜達が顔を覗かせた。

両手を打ち合わせ、期待に目を輝かせた。
日本酒の説明を受けて、

 日本酒は嘗める程度しか飲んだことないんですけど、
 せっかくだから飲んでみたいです。

[興味半分、ご相伴に預かることにした。*]

[褒めてくれるのに、手は出してくれない。
甘く嬉しそうな目で見詰められれば、
燻る熱は上がるのにせつなく疼く場所には届かなくて、
時間ばかり過ぎていくから。
とうとう、ぽろりと目尻から溢れた雫が頬を落ちて。

ようやく伸ばされた腕に、胸が安堵で満たされ
彼の首に両腕を絡めて身を委ねた。]

  こわい、より……
  ちょっと……さみしかった、───…ぁ ン、

[蓮司さんが手を伸ばしてくれなくて。
目の前にいるのに、くっつけなくて。
ぐすぐすと訴えながら、支えられて彼を飲みこんでいく。]

[いつもより深い場所まで入り込むのを感じながら、
僅かな苦しさに眉根を寄せていたら。
覗きこんできた彼と目が合って、ふふ、と目を細めた。]

  ん。……へいき、です。
  おくまで、蓮司さんでいっぱいなの……うれしい。

  ……その、重くないです…か?

[背中をさする掌がやさしい。
見下ろしたところにある額に、こつんと額を寄せて。
濡れた頬が乾くまで、しばらくそのまま。]

[そして、馴染んできた頃。]

  ん。

[ねだる声に、小さく頷き。
鼻先をすりつけながら、彼の唇へ啄ばむようなキスを。
唇に、頬に、鼻の頭に、じゃれるように口付けていたら
身動ぎに合わせて擦れた奥に、小さく声が零れた。]

  ッ ふ……、
  あの……蓮司さん、動くの……まだ、だめ?

[ゆるやかに彼を締めつけてしまい。
目尻を赤く染めながら、彼をじっと見下ろした。*]

 




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