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【人】 書生 茅[ヒトの身に、天狗さまの妖力は過ぎたものだった。 だから青年の身体はそれに見合わんと、変わらんとするのだが…まだ、まだ。足りない。 巡る妖力が暴れ、扱いを知らぬ青年は振り回され……遠くの声を、音にならぬ声までを拾ってしまう。 いっそ、憎めたらよかった。 憎むには、愛しすぎた。 呪えたら、よかった。 呪うには、情が湧きすぎた。 生まれついての化生であれば、こんなにも青年を苛むことはなかったろう。 ヒトで、なければ。 ヒトで、なくなれば。 ざわりと、青年の背中で黒い靄が渦巻く。 欲しいなら、奪えば良い けれど青年の欲しかったものは… 欲しかった、ものは……] (70) 2021/06/23(Wed) 20:15:37 |
【人】 書生 茅[気づけば重ねられた唇に、瞬き一つ。 奪うような口づけではない。 少しだけ吸われ、腕の中に囚われる。 いつの間にか、頭蓋の内側で響いていた声が、幕の向こうのように遠のいていた。 自然、解放した耳から、『青年の為の言の葉』が滑り込む。] 『お前の居場所』 『お前はワシの嫁じゃ』 『ここに居れ』 『何処にもいくな』 (72) 2021/06/23(Wed) 20:17:20 |
【人】 書生 茅[腕の中で青年が伸び上がり、天狗さまの頬を両手で包んで口を吸う。 その言の葉一つ一つも喰らわんとする様に。 伽藍堂の心臓を、温かいもので埋めたくて。 飢え切った雛鳥は、いくらでも餌を求めて嘴を開く。 ちゅちゅ、と唇を重ねる内、『要らない』声が遠のいて、消えた。 代わりに青年の背中に、黒い翼が揺れる。 天狗さまのそれと比べればずっと小ぶりで、飾りみたいなものだけど。 瞳の色は落ち着いた朱に変わる。] (73) 2021/06/23(Wed) 20:18:37 |
【人】 書生 茅 嫁、なら… 一緒に暮らして良いの? [何度も唇を啄んで、ようやく満足した頃青年は小さく問うた。 あんたのとこに、居ていいの? 捨てられることはないと確信したからこそ、口にできた問いだった。 これから先、天狗さまが与えてくれるものが無ければ、どうにも青年は生きていけそうになかった。**] (74) 2021/06/23(Wed) 20:18:53 |
【人】 五色 冥桜[ずっと聞くことなど叶わぬことだ。 その様なことは重々承知している。 何よりもただ聞くだけでは男は自身がそれを許さぬことも知っている。 音も、詩も。 心を動かしてこその代物であり変化を求めてしまうのだ] 夜は寝るものぞ。 寝る前に弾くものもあるがな。 [寝ずに聞けということはない。 ただその一度の調べに向き合ってくれればそれで良い。 左右に振られる手に目を凝らしてからそっと頬を撫でてやる。 撫でていたからこそ表情の変化にも気づけたもので盛大に噴き出すと楽しそうに笑い声を漏らして頭を撫でてやろう] それはハリが良いのだろう。 鼓も同じでハリのないものは音が悪い。 お主の尻は叩き甲斐があるのだな。 [尻を隠し始めるとその仕草もまた可愛らしく。 ヘソを見られると余計に見せてやりもした。 生活の順を考えるのは大切なことで。 少しずつリンとの生活時間を確立していくのはそれぞれが何を行うのか役割分担は臨機応変に] (75) 2021/06/23(Wed) 20:50:26 |
【人】 五色 冥桜 ん、なんだ、どうしたというのだ。 お主……火が怖いのか? [背に隠れるリンへと首を後ろに回して小さすぎて姿は頭くらいしか見えず。 肩を竦めては赤子ないてる蓋を棒で押さえた。 怖いということで茶化すことはせず揶揄いもしなかった] 何、そういうこともあるものだ。 こうしたものはな、道具を使うものよ。 上手く炊くには今しばらくは待たなければならないがな。 [目が見えぬ分は音で分かるのだが後ろの悲鳴と前の鳴き声がとても混ざり合っていて微妙に分かり難い。 少し早めに木炭を崩して火力を削っていきその分少しだけ長めに炊くことにした結果、蓋を空けるとお焦げが出来た塩梅の炊きあがり加減となっていたことだろう。 米が炊けたならばその木炭を七輪に移して包丁を入れた干し鰻に串を打ち込み炙っていきながら残り火に葉に包んだ薬味入り味噌を放り込み熱していった。 少し経てば良い香りがしてこよう*] (76) 2021/06/23(Wed) 20:51:16 |
【人】 天狗[小僧の身に何が起きているか天狗にはわからない だがそれでも、元が自身の妖力であるがゆえに「わかる」 絶望と困惑に飲まれた小僧が人ではないものに変わろうとしていることに>>70 闇に飲まれたまま、変わる自覚のないまま 恐れた、天狗を受け入れた無垢な小僧がそんなことで「壊れる」ことを 満たされたように笑う小僧を、無くしたくないと初めて心から思った 声を上げる、何処にもいくなと心の底から 足りぬかと、そう小僧を見遣れば、伸びてきた手に「すくわれる」] ん [欲しいというなら、何度でもくれてやろうと強請られるままに吸い合って 抱いていた手を背に沿わせればそこに感じる違和に目を瞠る>>73 当人は気付いていないのか、まっすぐな瞳を天狗に向けて、問うた>>74] (77) 2021/06/23(Wed) 22:34:07 |
【人】 天狗 当り前じゃ、言うたろう 「嫁は共に暮らすもん」 ってなそれにな、小僧、何よりワシがお前と一緒に居たいんじゃ その証拠に、なぁ [そ、と小僧の背に触れる……正しくは、小僧の背に現れたそれに] ほれ、まるで子天狗じゃ 驚いたぞ、小僧……ワシの妖力をこうもきっちり受け入れてくれるとは思わなんだ [おそらくは望んだのだ、互いに「同じでありたい」と] 人には扱えん力じゃ……だからお前さんはああなったんじゃが いったい何が起きたんじゃ? [問うは小僧を心配してのもの しかし、小僧が「聞いた>>30」話を聞けば、表情は険しいものになっただろう] (78) 2021/06/23(Wed) 22:35:27 |
【人】 天狗……小賢しい連中とは思っとったが、そこまで腐れておったとはな [小僧が助けたいと望んだ村だ、絆されれば見逃すこともあっただろうが その思いを踏み躙る奴らにはもはや嫌悪しかなかった この件で天狗の怒りを買ったなら「馬鹿なよそ者が勝手にやったこと」と 何しろ嫁は「殺される」のだ、死人に口なしと小僧一人に押し付ける気だったに違いない だが小僧は死なず、こうしてすべてが露呈した どうしたものか、などと考えるまでもなかったが] のぅ、小僧…… まだ村を助けたいか? もし小僧がその気なら、ワシに考えがあるんじゃが、聞くか? [悪いようにはしないと人の悪い(天狗だが)笑みで問う もう小僧には必要のない場所だろう村の処遇を**] (79) 2021/06/23(Wed) 22:37:34 |
【人】 土地神 リン[ 己は必ずしも眠りを必要とはしない それでも夜は寝る、その習慣は染み付いていた 理由は簡単── これまで共に暮らしたどちらの嫁も 夜には床へ入っていたからだ 日が落ちれば共に布団へ入り 物語など語ってもらい目蓋を閉じる そうして物語の続きを考えているうち いつのまにか日が昇り、また朝がくる 己にとっての眠りとはそういうもので ] 寝る前に弾くもの──…… 子守唄みたいなものか? 寝る前は物語が多かったが 違うのもまた、良さそうな [ 培われた流れを変えるのは少し怖い そのくせ、違いを求めてみたくもなる これもまた新しい嫁 ──冥桜がもたらしたものだろうか 楽しそうに笑う声に頬を膨らませつつ 言葉を重ねれば重ねるほどに たしかに形作られていく関係を感じながら ] (80) 2021/06/23(Wed) 22:44:00 |
【人】 土地神 リンそう、だな 火は少しな……苦手だ 火の粉は綺麗だが 燃えれば何も残らんからな 全て飲み込むのが恐ろしい [ 嫌いなもの、怖いもの、苦手なもの 弱点を、弱みを曝け出したのは これからを共に歩む相手だからこそ そうでなければ決して教えはしないこと ぐつぐつと暴れる蓋が棒で押さえられれば 背中にいてもわかるほど、大きく息を吐き ] 成る程、冥桜は賢いな う、我のことは気にせずとも 離れていれば大丈夫だからな 急がずとも、問題ない [ 火は怖いが美味しいものは食べたい 炊き立ての米の旨さを思い浮かべると 逃げるのをぐっと堪え、背中にピタリ おっかなびっくり冥桜の様子を伺っていたが ] (81) 2021/06/23(Wed) 22:44:23 |
【人】 土地神 リン[ しばらく後 米が炊け木炭が七輪に移され 煙も火の粉も、だいぶ収まった頃 辺りに漂う良い香りに耐えきれず こそりと七輪の近くへ寄り ] お味見は、ないのかや? [ 一口くれと、口をぱくり 無理ならそれはそれで仕方がないと さっきより少し急いでお膳を整えるだけ* ] (82) 2021/06/23(Wed) 22:44:47 |
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