77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】
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しかし村の行末を見守るのもまた新たな契り。
村を滅ぼすのは彼女の本意ではないのだから。
ならばラサルハグの取る手段が
一つに定まってくるのは自明であろう。
***
己の行動は彼女を幾度か驚かせたらしい。
その度に大丈夫だと告げることになるだろうが
それも繰り返せば慣れてくれたようだ。
ソフィアを娶ると決めた日から
ラサルハグは人の姿で隣の村に足を運んでいる。
彼女が生活が出来るように。
そして己が彼女の様式美を知るために。
しかし実際に必要なものは彼女がここに来て
初めて知ることになるだろう。
本人にしか分からないことなのだから。
「お前に出会わなければ知ることも
決してなかったのだろうな。」
彼女が村に閉じこもったままでは
知ることが出来なかったというのならば
洞窟に一人閉じこもったままでは
ラサルハグは知ることが出来なかっただろう。
それもまた運命と呼べるのだろうか。
────犠牲を忘れることなかれ。
己の願いを叶えた彼女を
ラサルハグが生涯忘れることはない。
彼女が全てを忘れなかったのに同じ。
ラサルハグはソフィアという賢者の歩み。
その歴史の語り部となることを決断する。
時の刻みは種族の壁を超える。
普遍の真理の前には全てが無力のまま
長い時の中で朽ちていくのが摂理。
しかし、無力でありながら無価値ではないと
ラサルハグにその気付きを与えたのは
紛れもなく彼女である。
今宵もまた互いの選ぶ道が重なろう。
ラサルハグは柔らかに微笑み
裏葉柳に水を与えるがごとく彼女に語りかける。
『賢く強く、育ちますように。』
あなた達に与えられた名前に恥じない人間に
私はなれているだろうか。
── ▷ epilogue ──
フライパンに被せた蓋を開ければ
もわ、と湯気が立ち上がり、
美味しそうな匂いを辺りに振りまいた。
すっかりと出来た移住スペースで調理中。
焼けたものをお皿に載せると
クリームを全体に塗り、果物を飾り付けていく。
「 出来たわ! 」
やがて、やり遂げたという達成感に
思わず歓声をあげれば。
転ばないように気をつけながら、
彼の待っている机へと両手で皿を持ち運んでいく。
ただ、待っていてとしか伝えていないから
なにをしているのかも、なにも
わからないんじゃないだろうか。
彼はどんな表情をしているだろう。
私は目を弛ませて柔くほほ笑みかける。
擽ったそうにしながら伝えると
いつかのように、彼の手を取る。
触れる体温は冷たい。
でも、私の心はほかほかと
温かい気持ちでいっぱい。
だからその後の行動は、何気なく。
彼の手をそのままそっと持ち上げれば、
甲に顔をちかづけ、唇を寄せる。
それは誓いの口付けのように淑やかに。
閉じていた瞳を開けば、
頬を染めて照れくさそうに笑った。
| [子天狗の吐いた呪は、遥か昔に天狗が生まれた村に掛けたそれと同じ >>0:59だが、その齎す結果には大きな違いがあった 天狗の呪は彼の村を不毛の地と変えたが 子天狗のそれは不浄を払うもの >>83子天狗の、茅の本質ともいえるだろうその力は 長きにわたり凍てついていた天狗の魂の澱すら払うよう] ほんに、茅らしいやり方じゃの [鬼火は ただ一人を除いて 全てを灰に変え無に還す 灰は灰に、塵は塵に 村人の魂が上がるか堕ちるかなど知ったことではないが この地に澱みが残らぬならば、いずれまたこの地も村として蘇るだろう ヒトを絶やすが目的ではなく、全ては他を護るためと それは天狗が背負った物に背くものではなかったので] (90) 2021/07/02(Fri) 14:24:53 |
| [きっと、茅には元から資質があったのだろう 無条件にヒトを愛しヒトのためにありたいという思いは、きっと今も変わってはいない 悪意に気づかなければ或いは、などと思ったところで嫁にする意志は変わらぬし それを惜しむ気は天狗にはない、子天狗は今でも真っ直ぐなままだから 天狗は気付いていない、自身もまた同じだと ただ天狗は初めから悪意を見てしまっていた、ヒトの愚かさを、醜さを 人など信用するに値しないと、だが それなら、 何故天狗はここに居る? 本当に、ヒトなどどうでもいいと思っているのならば 先代に呪をかけられたとて放っておけばよかったというのに 人を守り、人を育み、そばにあり続けた 天狗もまた、人を見捨て切れてはいなかったのだ まったくもって当人は気付いてもいなかったが] (91) 2021/07/02(Fri) 14:27:14 |
| [茅は天狗を厭わなかった 天狗が何者かを知っていてなお 、村のためとはいえ 受け入れて 天狗の毒ではなく自分の意志で天狗を望んでくれた だからこそ手放したくなくて、愛しくて 共にありたいと望んだ、いつまでも、いつまでも そんな望みさえ、人を捨ててまで受け入れてくれた茅 この先、茅にとっては困ることも辛いこともあるかもしれない もっとも天狗がそんな目に合わせるようなことはないが それでも、このまま変わらずにいてくれたなら 天狗もただの悪童から変われるのかもしれない それは、まだまだ先の話だろうけれど] (92) 2021/07/02(Fri) 14:29:18 |
| [甘えるように腕を差し出す子天狗を腕の中へと抱き収め 労いにと問えば返るのは一つの望み >>-153耳たぶに触れて囁くのにからからと笑う] 無欲じゃな、ワシの嫁さんは [耳元に囁き返して背を撫でる 強請られなくても精はいつだって注いでやるというのに 無欲なのではなく他に望む物がないというのが正しいかもしれないが ] 住処に戻るか? それとも、ここで村の奴らにお前の幸せな姿を見てもらうのもありかの? [骸は燃え落ちてもはや人の形ではなかったが、一つ残った人影見遣って問うて その返事も待たぬまま、言葉ごと唇を吸い上げた**] (93) 2021/07/02(Fri) 14:30:39 |
[ 天狗には会ったことがない
鬼にも、龍にも、大蛇にも
そも嫁たちの生まれ育った里ですら
己はこの目で確かめたことはない
それなりに生きてきたとは自負しているが
それなお、己の知る景色はあまりに少なすぎる
鼻をかむのすら手伝おうとする冥桜
幼児に対する様なその仕草に
わずかな苛立ちを覚えはするものの ]
鼻ぐらい自分でかめるが
────……まぁ、いい
しかし、強くしすぎてもダメで
優しくしすぎてもダメとは難しい
取り外せたら楽だとは思わぬか?
[ 促されるままに鼻をかむ
右、左、交互につままれ鼻から息をし
そうして吸い込んだ水を出し終えたなら
ふぅ、と安堵の息を吐き ]
[ また一つ、知らぬ話に瞬きを
女子は──と言われれば
平らな己の胸にぺたりと手を置き確かめて
次の話には興味深げな視線を脚の間へ向け ]
ふぅん
知らぬことが沢山で
少しばかり癪にさわる
それもまた、
我が大きくなるまでは
内緒のままということか
[ 教えろとねだる気にはなれない
子供ではないと言い募る気にも
ため息一つ
せめてもの仕返しに
邪魔なものを太腿で締め付けつつ
肩口はおろか口元まで湯に沈み込み ]
────ん
[ 顔半分、湯に潜ったまま嫁の言葉にこくり
湯を飲まぬようあくびを噛み殺した* ]
― 勘違い ―
な、なんと。本当はかんぅ殿は余を殺すためにやってきておったとは……。
[白竜様がぷるぷると震えながら、本を読んでおられます。
上流に捨てられた本がどうやら滝壺に流れついてきたようだ。
それは大和という国の神話らしい。
ぱらぱらめくっていたら、生贄の女性の代わりに一人の若者が女装し、相手の居住地に乗り込んできたとかなんとか。
色々な神話が混ざっているが、え、デジャブを感じる。
自分たちをベースに二次創作してる?レベルにそっくりで。
というより、古来よりよくあるパターンなのだろう。
魔物に嫁いできた女装男が大きな蛇の化身である男を酔わせて、剣を突きつけるシーンでは、とうとうさめざめと泣きだしてしまった。
読者多しといえども、魔物側に感情移入をして読んでいるのはきっとヤオディだけだろう]
かんぅ殿も本当は、いつも背負っている青龍偃月刀で余を殺すために……。
女装をしていたのも、余を油断させて、殺しやすくするため……
[ぼろぼろ泣きながら読み進める。そこ泣くところじゃないし。
ヤオディ、ちゃんとよく嫁。いや読め。
かんぅはあっさりと男と見破られていたのだから、その女装意味ないし。
その後も嫁であることにこだわって女物を着るの大好きなとことかは、綺麗に忘れているらしい。
あの人、絶対、ほんとに嫁に来たがってただけだから]
ふむふむ、この後は……。
[涙をふきふき読み進めていくと、なんかふいんき(変換できない)が変わっている。
女装をしていた男が、俺の草薙剣をくらえ、と酔った魔物をズコバコと下半身の生身の剣で突き刺して、くんずほぐれつしている。
わー、すごい、こんなことまで!?
縛って目隠ししたり、あれやこれや、知らない道具を使って魔物を責めている。
確かに、ヤオディもかんぅから色々なことは教わってはいるが、かんぅは基本、ヤオディに激甘なので、痛いようなプレイはしないから。
感じすぎて死んじゃう、というのはあっても、せいぜいぴしゃん、とお尻を叩かれるくらい]
か、かんぅ殿ももしかして、余にこういうことしたいのか……。
[真っ赤になって一人で慌てている。
こんな激しいことはされてはいないが、嫁となってきた者に、魔物が肉剣に倒されたのも同じ。
あはんでうふんな本を、河原とかに捨てて次の若者の糧にするのはどの時代、どの世界でも同じこと。
よりによってマニアックな一冊が滝壺に流れ着いてしまったようだ。
その本でも結局、魔物は英雄の剣「に」屈服し、もう悪いことはしませんでした、めでたしめでたし*]
[よもや婿殿が多趣味(あぶのーまる)であったとは。
かんぅが其れを見つけたのは二人の愛の巣の寝具の下である。ふんふんと筋肉掃除をかんぅをしていたところ、ついうっかり見てしまったのである。其の本の題名は、俺の草薙剣であった。
なぜよりにもよってその本を…
これが、他の本ならば
婿殿をかんぅが殺すはずがないと誤解を解いて
美しく幸せな接吻(きす)をするはずだったのに。なぜかよりにもよって、くんずほぐれつをしているほうを見てしまったのか。其れをかんぅは熟読した]
…ほう、ほう?目隠しとな
[ああ、読み進めているよ。
婿殿早く来て、止めて]
道具 む?滝壺 か
[滝壺?!滝壺で何をするの。
蛸壺とかじゃないかな。まってとても危険。危険が来る。河原とかに捨てたあはんでうふんな本から飛躍していく。この男自体が、危険すぎて河原に捨てられかねない。
そんな危険(R18)な妄想を逞しくし
すくっと立ち上がれば]
婿殿!!!婿殿!!!!
[かんぅと夜の合戦をしようぞと
駆け出した。性交(あぶのーまる)。
婿殿の明日はどっちだ。真っ赤になっていた可愛い婿殿はどうなっちゃうのか。でも、期待しちゃっているところあるから、きっとうまくいくでしょう。たぶん。
婿殿が叫ぶ結果になるのは目に見えているが
それも愛ゆえに。頑張れ、婿殿。
俺たちの戦い(せっくす)はまだ始まったばかりだ。*]
「……当然だ。
この名の一つ一つ、決して忘れられやしない」
| ―― 後日譚 ―― [天狗の加護を受けていた村の一つが「無くなった」という話は 偶然その村を訪れた行商人から周囲の集落に伝わった 何事かと駆け付け調べては見たが、そこにあるのは焼け跡のみで 居た筈の住人の姿は「どこにも」無かった ただ一人、娘が彷徨っているのを保護したが、答えられる状態ではなく よほど恐ろしい思いをしたのだろうと人々は噂をした
だが、誰一人として、それが天狗の仕業だとは口にしなかった それは、口にすれば災いが及ぶなどという話ではなく 「山神様がそのようなことはしないだろう」と皆が思ったからだった 山神様は山裾の村々を護り、その「礼」にと娘を嫁に送り出す それはもう、ずっと昔からのことで、そもそもそれが何故かなど 村人はほとんど覚えてはいなかったので] (128) 2021/07/03(Sat) 2:30:06 |
| [それから少したって、天狗は保護している村全てに使いを送る そのようなことは滅多になかったから村人は驚き そうして、先の村が滅んだ一件を思い出す もしや、この先に良からぬことが起きるのではないかと
不安げな人々に向かって、使いは天狗の声で「安心せぇ」と笑って見せた 使いは「影」であり、それを通して話しているのだと前置きしてから 此度の要件を語りだす
……「もう、嫁はいらぬ」と] (129) 2021/07/03(Sat) 2:31:04 |
| もう嫁はいらぬ 此度、ワシは長きにわたり共にある「眷属」を得た これまで、大切な娘を送り出してくれたことに感謝する そして、悲しい思いをさせただろう、すまんかった
[村人はざわめき、そうして泣き出す者もいた 天狗が去ってしまうのではないかと、そう気に掛けるものもいた、が]
安心せぇ、ワシはこれからもこの地を護る 嫁を取らぬようになるだけじゃ
じゃがの、一つ気がかりなことがある…… 皆も知っとるじゃろ、先日「無くなった」村の件じゃ
[村人たちがはっとして使いを、天狗を見る] (130) 2021/07/03(Sat) 2:32:11 |
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