双子 吹雪/雪菜は、メモを貼った。 (a40) 2020/07/13(Mon) 22:44:56 |
【人】 曳山 雄吾─ 閑話 ─ >>0:44[ 『バーとは、 人生に疲れはてた者の最後の止まり木である。』 雄吾はまだ学生の頃、そんな一文を何かのエッセイで読んだと記憶している。それとも、もっと直截的に、『自殺志願者の』だったろうか。 彼自身は人生に疲れを覚えたことは無かったが、 それ以来、彼は一人で、あるいは友人と、 またあるいは恋人と、様々なバーを訪れた。 それらは、 蝶タイを締めたマスターが営む正統的なバーであったり、 学生の有志が立ち上げた気のおけないバーであったり、 水底のように幻想的な照明が揺れるバーであったり、 スポットライトの下、白と黒の駒が行き交うバーであったり、 した。] (126) 2020/07/13(Mon) 23:39:21 |
【人】 曳山 雄吾[ どれだけのバーの扉を開いたことだろう。 成人して父親の会社に就職し、 いずれはそれを継ぐべき立場を明確に意識した頃。 雄吾は、繁華街から少し離れた所にある、 とあるバー>>0:44の常連と言える客になっていた。 彼が30歳を少し超えた頃だから、 かれこれ5年は通っていることになる。 初めて訪れたその日はみぞれ混じりの寒い日で、 コートの襟を立てて訪れた。 冷たい雫がスラックスまで染み込んで、 ひどく不快な気分だったことを覚えている。 雄吾よりは幾らか年上のマスターが、 コートを脱いで掛ける様子に一声、掛けた。 「寒かったでしょう。何になさいますか。」 何でも。温かいやつを。とにかく、寒かった。 そう答えたことも覚えている。] (127) 2020/07/13(Mon) 23:39:31 |
【人】 曳山 雄吾[ スツールに腰掛けて、待つことほんの二分ほど。 カウンターに肘をつき両手を組んで待っていた雄吾の前に、 一杯のマグが差し出された。 カクテルを調製したのはマスターではなく、 まだ学生のようにさえ見える若い青年だった。 実際、その時かれはまだ21歳だったのだが。 マグから立ち上る、甘く温かい香りの湯気。 カフェオレ色をしたそれは、ホットのカルーアミルクだった。 熱せられたアルコールが鼻腔をくすぐり、 馥郁としたコーヒー香が疲れた心をなだめていく。 火傷しないようにずず、と啜ると、 リキュールとミルクの甘味は 身体を中から癒していくようだった。] (128) 2020/07/13(Mon) 23:40:00 |
【人】 曳山 雄吾……美味い。おかわり、貰えるか。 [ 熱さにはすぐ慣れて、ぐいと飲み干した。 マグを替えての二杯目は、先より少しぬるい温度。 気が利く青年だ、と思った。 そこでようやく、注文以外に口を開くゆとりが生まれたことを 雄吾は感じたのであった。] お兄さん、名前は? 今のの礼に、あんたと乾杯したい。 [ 酒はそうだな、とバックの棚を眺める。 少し眺めて、こわばった筋肉をほぐすように首を捻った。 テキーラのショットはどうだ、と尋ねて、 冷凍庫から取り出されたとろりとした蒸留酒で乾杯したものである。]* (129) 2020/07/13(Mon) 23:44:30 |
双子 吹雪/雪菜は、メモを貼った。 (a41) 2020/07/13(Mon) 23:45:33 |
曳山 雄吾は、メモを貼った。 (a42) 2020/07/13(Mon) 23:50:55 |
曳山 雄吾は、メモを貼った。 (a43) 2020/07/14(Tue) 0:02:08 |
天野 時雨は、メモを貼った。 (a44) 2020/07/14(Tue) 0:11:46 |
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