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![]() | 【人】 人造生物 ユスターシュ―― 後日譚/街の何処か ―― [主様の親友に手紙を渡した日の夕暮れ時。 この数日間ですっかり好きになった馴染みの宿屋の屋根の上。 陽が傾き始めて遠くの海が柑橘類の色に染まるのを見つめていた。] …。 [――歌いたければ、またいつでも呼ぶといい>>0:225 あの日、彼はそう言っていたけれど。 今は、大丈夫だろうか? 今は歌いたいというのとは少し違うし、もしかしたら忙しいかもしれないけれど。 ただ、彼にお願いしたいことがあったから] (74) 2022/11/30(Wed) 23:50:13 |
![]() | 【人】 人造生物 ユスターシュ――…ファントム。 聞いてほしいことがあるんです。 [この街の神出鬼没な彼の名を呼んだ。] [果たして、彼は現れてくれただろうか。 もし、姿を見せてくれたならば] 今晩は。突然呼び出してごめんなさい。 それと、来てくれてありがとうございます。 [嬉しいけれど、それと同時に少しだけ胸が痛くて 浮かべた笑い顔ははにかむような、微苦笑めいたもの。] (75) 2022/11/30(Wed) 23:51:08 |
![]() | 【人】 人造生物 ユスターシュえっと、今日はお願いがあって貴方を呼んだのですが どこから話せばいいのか。 えっと……僕、人間じゃないんです。 [そこから話すのは自分が何者であるかと、この街にやってきた理由。 残りの寿命も恐らくあと幾日もないだろうこと。 そして。] あのとき、話しかけてもらえて嬉しかったです。 一緒に歌を歌えたこと、忘れられない思い出になりました。 本当に、ありがとうございました。 [この街で優しくして貰えてうれしかったことへの感謝。 一通り前提を話し終えれば既に日は沈みかけていて。 橙から深い藍へと空は目まぐるしく色を変えていく] (76) 2022/11/30(Wed) 23:52:58 |
![]() | 【人】 人造生物 ユスターシュそれで、お願いなんですが。 …僕が持っている賢者の石と魔法具を 貴方に受け取ってほしいんです。 [言いながら、自分の左腕を胸へと添えると そのまま徐に身体の中へと腕を沈ませる。 まるで水の中に潜るように左腕は身体の中へ入り込み、 そうして次に腕を取り出したときには、 心臓ほどの大きさの赤く輝く石が左腕に握られていた。] (77) 2022/11/30(Wed) 23:55:04 |
![]() | 【人】 人造生物 ユスターシュ僕は…、この石の力も、主様がくれた力も うまく使いこなせなかったけれども。 貴方なら、この力を街の人たちのために 使ってくれるんじゃないかって、 そう、思ったから…。 [勿論、賢者の石や魔法具たちをどう使うかは譲った彼次第。 だけど、彼はこの力を決して悪いようにはしないだろうと 短い時間なりに彼と接してそう、思ったから。 このまま自分の命が尽きて、主様が遺した物が 見知らぬ誰かに渡ってしまうよりも、誰かに託したい。 叶うなら、僕が信頼できる人に。]* (78) 2022/11/30(Wed) 23:55:27 |
![]() | 【人】 「怪人」 ファントム―― 後日譚/街の何処か ―― 「――いつ呼んでくれるかとわくわくしていたよ。」 彼の呼びかけに応じて、その背から声を掛ける。 礼を告げる声には、「なんの」とだけ片手を振り応じた。 (79) 2022/12/01(Thu) 0:25:19 |
![]() | 【人】 画術師 リュディガー[目を覚ましたのはどれくらいだったか。けっこう長い間、こうしていた気がする。起きあがろうとしたが強い倦怠感と異物感によって阻まれたので、そのまま横たわっている事にする。] …………すっごかった………… [芸術家として貴重な経験であったし、「女」としてもなんだか沢山階段を登ってしまった。 それに、やっと。 探し求めていたものが見つかったのだ。 空虚な自分に足りなかった、「美しいもの」を手に入れる事ができた。 これからけして離さない様にしようと、静かに決意する。] (80) 2022/12/01(Thu) 0:25:43 |
![]() | 【人】 「怪人」 ファントム―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※― 「なるほど、事情は把握したよ。 ――だが、その頼みは聞けないね。」 彼の左腕を、彼の胸の中へと押し戻す。 自分は自由を愛し、迷える魂にのみ味方する。 自分のやりたいように振舞う。 誰かを救って回るなど、まっぴらごめんだ。 「それはそれとして、私も君に相談があってだね。 私の屋敷には働き手がいなくてね。 『彼女』はよくやってくれているが、ブラック領主だパワハラ仮面だなどと、心にもない事を言われてね。 私もなんとかせねばならんという訳だ。 ――それに、君とならリリーも打ち解けてくれるだろう。」 元々、自分と契約して働ている魂たちには必要最小限の労働を申し付けているだけだ。 彼らが心残りに決着をつけ、主の御許と昇るまで。 その間を取り持っているだけにすぎない。 そのせいでイルムヒルトの母には、随分無茶をさせてしまっている。 (81) 2022/12/01(Thu) 0:26:08 |
![]() | 【人】 画術師 リュディガー[暫くして店の主人の姿を見かけた。流石に気恥ずかしくて、目を合わせる事は出来なかったけど。] お、おはよう〜……色々と、ありがとう…… 好き。 [もっと色々言いたい事はあるはずなのに、最初に出た言葉はこれだった。 それから寝ている間に画材道具の所在をどうしたか、着替えはどうするのか質問したのち、魔女が今どうしているかを尋ねるだろう。]* (82) 2022/12/01(Thu) 0:26:36 |
![]() | 【人】 「怪人」 ファントム「――君には身体を捨て、魂となって私の元で働いて貰いたい。 労働条件は…そうだな、 『その石と魔道具をより多くの人の為に使う事』 嫌とは言うまいね?嫌と言っても連れて行く気まんまんだが。 安心しなさい、君は私と初めて出会った時から立派に 『人間』 であったよ。――早いところ、私の屋敷に帰ろう。 リリーにも、『彼女』にも君を紹介しなくては。」 くるりと踵を返して、自らの屋敷へと歩み出す。 彼がどのように選択するかはわからないが、もしついて来てくれるなら、屋敷の住人が1人増えた事だろう。* (83) 2022/12/01(Thu) 0:26:47 |
![]() | 【人】 「怪人」 ファントム―それからの話― 彼女が「私だけの舞姫」となってから、随分と経つ。 彼女が舞うたび、私は舞の虜となる。 そして、私は彼女の舞に負けぬよう、声を響かせる。 立派な劇場でも豪華なステージでもない、ただの街中の路地や少し開けたスペース、そこで私達には十分だった。 ――今宵もまた、街のどこかで怪人の声が響く。 彼だけの舞姫の為に、強く、のびやかに歌い続ける。 (84) 2022/12/01(Thu) 2:35:51 |
![]() | 【人】 大富豪 シメオン[───1年。 それが男に残された時間だった。 あの夜。 イルムと共演したあの剣舞によって文字通り男は命を燃やした。 失った時間を巻き戻すように若さを取り戻すという行為、紙の摂理に逆らうその代償は決して小さくはなかった。 しかし男はそれで満足だった。 あと10年かけても届かないはずの『美』に確かに届いたのだから。 ただ未練だけがある。 愛するイルムの傍にいつまでも居たい。 人として当然のその想いを男は手にしていたのだ。 それも宿命と男はそれを受け入れていた。 この想いの幾つを己の業によって砕いてきたのか。 いまさら自分だけがそれを享受できるとは思っていないし、だからこそ命を燃やすことができたのだ。 己の命も幸福さえも捧げる覚悟が男にはあった。] (85) 2022/12/01(Thu) 16:08:06 |
![]() | 【人】 大富豪 シメオン[人は何のために生きる。 世に自分の痕跡を残す為、それが答えの一つだろう。 ならば男ほどこの世に『美』を残した者はおらず、そして己の傍らには最も美しき女がいる。 それはこの目が見出し、この手が花開かせた『美』だ。 悔いはない。 だが未練はある。 故に男は死に足掻気続け、拒み続けるのだ。 「その姿を醜いとおもうか?」 明日を決して諦めず。 100年先までイルムと共にある様にと願う。 男はそうして一年を過ごす。 最後の瞬間まで『美』への渇望を抱きながら。*] (86) 2022/12/01(Thu) 16:09:11 |
![]() | 【人】 奏者 イルムヒルト[命が尽きるその日まで、 戦い続ける貴方に見惚れぬことがあろうか、いやない。 貴方と過ごすたびにより貴方への愛が深くなり 心を奪われて、同時に腹に宿る命を 貴方に逢わせてあげられそうにないことに心を痛ませる。 それでも、私達は出逢えて、幸せだった。 私は、幸せだった。 貴方によって美を花開かせ その指で、眼差しで愛されたことで 私の美は、満たされながら狂おしく叫ぶ。 それほどまでに渇望するものと出会えた幸福よ。 1年という短い期間の貴方との蜜月は濃密で、熱く、穏やかで。 最後の瞬間まで、貴方は誰よりも美しい>>86 誰よりも私を、魅了する。 未練はあるし、もっと共にありたいと願うけれど。 同時に、限りあるからこそ貴方はその命を燃やし尽くし 美しくあり続けたのだろうとも、思うのだ。 もっとともに居たかった。愛しい、貴方 貴方の躰は朽ちようとも、100年。貴方の存在は 私の、人々の記憶に残り続けるでしょう 私の紡ぐリュートの調べに合わせ、貴方の名はきっと千年、万年。*] (87) 2022/12/01(Thu) 18:43:24 |
![]() | 【人】 奏者 イルムヒルト― 終幕 ― 「お母様、あの曲を弾いて。」 [幼い息子が、目を輝かせて強請る曲がある。 舞台での演奏や、酒場で踊り子と――偶にその庇護者の歌声とともに演奏するときはあるが その時は一節だけ。旧いリュートを爪弾いて 貴方の若き日の英雄譚を奏でるけれど この子と2人だけの時は、 貴方の狂おしい程の美への思い、貴方と紡いだ愛の日々を。 貴方の父親がいかに美しく、尊かったかを奏で、歌う。 我が子は、2人きりのときはよくせがんで 顔も知らぬ父を追憶するのを、母は知っている。 生まれる前に貴方は女神のみもとへ旅立ち、 貴方がこの子に残した名を、愛しげに私は呼んで 子の頭を、柔らかく撫でる 貴方と交わした音と刃の演舞の時に見た若き日の姿に瓜2つのこの子は、 画術師に描いてもらった父の肖像のように育つのでしょうか。 或いは、この子も、この子だけの「美」を見つけるのでしょうか。 そのために、飢えながらも希求していくのでしょうか。 今の私や、貴方のように] (88) 2022/12/01(Thu) 18:44:09 |
![]() | 【人】 奏者 イルムヒルト 「お母様。お父様ってすごいねぇ。」 [無邪気に。歌われる父に思いを馳せる我が子へと 私は微笑み、頷く。 この街で有名な奏者ではなく、母としての。妻としての顔で。 もしも私までこの子を置いていくことになったら 私は母を失ったあの日のように、魔女の店に願いを告げに行くかもしれません 愛しい人との結晶を。守れなくなったら。 辛くて胸が張り裂けてしまいそう。 母も、私に対してこの様な気持ちだったのでしょうか。 ――あなたも、私や、腹で育まれていたこの子を置いていくとき。 そんな気持ち、だったのでしょうか。] (89) 2022/12/01(Thu) 18:44:26 |
![]() | 【人】 奏者 イルムヒルト ええ。お父様は凄いのよ。 ――誰よりも美しくて。素敵な人なのよ。 ね、シメオン様。 [愛しい人。私は貴方のいない世界で、 貴方を心に抱いて生きていく。 友人や、我が子と共に過ごす日々の中でふと、 音とともに華麗に舞う、浮かぶ刃の軌跡を思い浮かべれば 傍で貴方が微笑んでいる、気がして。 私の口元も小さく笑みを、零すのでした**] (90) 2022/12/01(Thu) 18:45:04 |
![]() | 【人】 「邪毒」 スカリオーネ[>>80キッチンへ向かおうとしていた男はその言葉を聞かなかったことにした。 男の術をあれだけ施し『すごかった』で済んだヒトを男はブランシュしか知らない。 知らず知らずの間に新たなる『美』の巨神を生み出してしまったのかと少々不安になる。 男が作ったサンドウィッチはハムとサラダが挟んだものとチーズを交えたものと殻を剥いたゆで卵を雑に砕いたものを挟んだものだった。 サンドウィッチのパンに耳はなく柔らかな触感だけを味わえる。 飲み物は柑橘系の果物を絞ったものを用意してサーバーに乗せて運んで円柱の部屋に戻ると>>82感謝の言葉を好意を投げかけられ男の眉根が僅かに動いた] 俺は自分のなすべきことをなしただけだ。 これはサービスだから好きに食べろ。 [着替えはシャワールームがそのまま更衣室に繋がっていることを伝え、お帰りはそちらからとなるとも教える。 ブランシュがどうしていたかは不明だが男が用意した軽食は二人分ある。 無論、男はパンの耳を食べている**] (91) 2022/12/01(Thu) 19:12:44 |
![]() | 【人】 画術師 リュディガー>>91 そっけないなあ。まあ、仕事だもんね。 最高の職人だったよ、本当に…… 好き。 [相変わらずの様子に、少々不満になりつつも「そういう部分が良い」と思ってしまうのも、惚れた身分なので許してほしい。着替え等の所在を把握したので、少し落ち着いたら行動することにしよう。 運ばれてきたサンドイッチを見て、そういえば空腹だな、と思って一つ手に取る。向こうでいつもの愛想のない表情でパンの耳をかじっている姿に声をかける。] ねえ、スカリー。サンドイッチはんぶんこしない? お前もお腹空いてるでしょ。 あとさ…… 今日は動けそうにないから、泊めてくんない?* (92) 2022/12/01(Thu) 19:36:44 |
![]() | 【人】 画術師 リュディガー―フェス・2日目― >>2:87 そっか、それなら良かった。 そうだね、はじめて、って素敵なことだ。 ……おれ?いや、違うよ。……むしろ、悩みが消えたから、かな。こうなってるのは。 じゃあ、残りも楽しんでいって。 [踊っていた男と簡単な会話を交わしたあとは、日が沈むまでぼんやりと広場にいた。 空飛ぶ怪人と踊り子の話や、中央ステージでの奏者と剣聖の交わりなど、人々の話は絶えず続き。 夜になって、各々会場の片付けを始める時間帯に、家族の元へと戻る事にした。]** (93) 2022/12/01(Thu) 19:44:43 |
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