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【人】 箱庭の雛 フェレス私は……僕は…… [ " どうしたい "かなんて、そんなもの 決まってる、 僕は、誰にも迷惑をかけないで生きたい。 私は、生きていたことを誰かに覚えていて欲しい。 ―― あれ? ] (141) 2021/12/16(Thu) 0:44:19 |
【人】 箱庭の雛 フェレス―― 記憶/少女はただ[死にたかった] ―― [ 少女が初めて" 演技 "をしたのは母の死の日だった。 他の人からどう見られていたとしても少女は母が好きだった。 病弱な自分を唯一" 悪魔 "から守ってくれた母が。 ] お母さん、■■■は大丈夫だよ だから早く病気を治してね? [ 心配そうな母に大丈夫だと、自分は強いのだと、 泣いてしまいそうな本心を隠して、言葉にした。 けれど結果は大失敗、 少女は騙ることができなかった。 ] (142) 2021/12/16(Thu) 0:44:36 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ それ以来少女は学んだ。 いい子でいる方法、誰からも嫌われない方法。 笑って、泣いて、 怒って、嫌って、 気が付けば、自分は何者なのだろうか、 ] お母様、大丈夫ですか? ええ、大丈夫よ それより――いいえ、なんでもないわ [ 境界線もあやふや。 何もかも本当の体と心。 少女は自分を失った。 ] (143) 2021/12/16(Thu) 0:45:09 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 悪魔は言った。 お前はこのために生かしていたのだと。 ならばと少女は言いました。 あなたのために役立ちましょう。 少女は酷く喜びました。 こんなにもあなたに求められているなんて! 男の瞳が見つめていたのは少女ではありませんでした。 けれど少女は言うのです。 幼いあの日に見た踊りと、あの言葉を。 ] ワルツを踊りましょ! [ 白く濁った、夜の夢。 悪魔は満足げに笑ったのだ。 少女は未来を失った。 ] (144) 2021/12/16(Thu) 0:45:26 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ そのことがバレたのは何度目か、 善人の女は心配そうに問いかける。 大丈夫ですか? 少女はその人物の望むように答えた。 大丈夫だと、か弱く、怯えたように。 善人の女は可哀そう、守らなきゃなんて、 英雄思考のような感情を思い出して。 少女は、安全を願い彼女に縋った。 彼女の感情を刷り込まれて、正義を刷り込まれて、 それでも、と。] 大丈夫だよ、クレア 信用して? [ 深い繋がりを求めた。 遠く、彼方、一人は寂しいと凍えるのだ。 少女は母親を失った。 ] (145) 2021/12/16(Thu) 0:45:40 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 少女は失い続ける、けれど辞めることはない。 何故なのかと問われれば少女は語る。 ――――綺麗に死ぬためだと。 ] (146) 2021/12/16(Thu) 0:46:02 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 少女はそのためならなんだってやった。 母のいない生活に慣れて来た時。 魔女の機嫌を損ねないように、 魔女の娘になった。 ■■■は、 少しずつ本当にも慣れて来た時。 悪魔に捨てられないように、 悪魔の神になった。 私は、天真爛漫な女だった。 普通にも慣れて来た時。 正義感の強い善人が夢を叶えるように、 健気な娘になった。 僕は、か弱い少女だった。 気が付けば何者でもない少女にも癖がついた。 嘘の中でついた嘘がわかる仕草。 その時には決定的に何かが壊れていた。 ] (147) 2021/12/16(Thu) 0:46:22 |
【人】 箱庭の雛 フェレス(だから諦めていた、) (きっとその夢は叶わないって、) (願うだけ無駄なこと、) (そう思って心の奥底を守る、) (なのに、) (なのに、) (148) 2021/12/16(Thu) 0:46:35 |
【人】 箱庭の雛 フェレス私、僕、……いや、違う [ 零れるのは宝石のような涙。 そして、大切な言葉達。 ] ずっと苦しかった、けど [ 演じることも、騙ることもない。 願いを。 あの頃に叶えたかった夢を。 ] (149) 2021/12/16(Thu) 0:48:30 |
【人】 箱庭の雛 フェレス人といっぱいお話して友達たくさん作って、 見たこともないような綺麗なとこにいって、 幸せだって、自由だって笑いたい [ 諦めてたこと、 それがたくさん溢れて、流れ出て。 ] だからっ! [ あの日に言葉にしなかった、叫びを。 ] (150) 2021/12/16(Thu) 0:48:54 |
【人】 箱庭の雛 フェレス■■■は優しすぎなの もっと自分を大切にして欲しいわ? 私はいつも神様に願ってるのよ? 私の愛する■■■が自由に生きて、 誰よりも幸せになりますように、って (151) 2021/12/16(Thu) 0:49:25 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 掠れたように声にならなかった言葉、 少女は声になりそうだったことを知らない。 その言葉の意味を知らない。 忘れ去られた宝物。 たった一つの存在証明。 再び少女の言葉として世界に記憶されることはなかった。 けれど、その言葉は少女の心の中で確かに生きていた。 ] (154) 2021/12/16(Thu) 0:51:45 |
【人】 箱庭の雛 フェレスメミニ、愛しているわ [ 幸せをいつも思い出せますように、 そう願われた少女の名前が。 メミニ。 少女の唇は確かに動いた。* ] (155) 2021/12/16(Thu) 0:52:06 |
【人】 星集め サダル「そう思ってくださるのはとても嬉しいです。マスター。 でも、マスターの喜びが私の喜び。 マスターの望みが私の望み。 ですから、そういうことはあまり…なのです。」 そうやって気遣ってくれる優しさで満たされてしまう。 彼は成長し、ホムンクルスは見た目は衰えなかったけれど。 ちゅ、と彼に口つけて。 彼を優しく寝台へと押し倒す。 「ただ。長生きしてくださいね、マスター。 願いがあるとするならばそのくらいです。」 (157) 2021/12/16(Thu) 5:52:27 |
【人】 星集め サダルそれと、貴方の子を産んでみたかったと。 そう思い小さく口にしたのは、サーシャのことを感覚的に知っていたからか。それともどこかで聞き及んだからか。 ホムンクルスの身体ではできないこと、と、理解してはいるけれど。 貴方には貴方らしく生きていてほしいと、ベリルは教もまた彼を愛する。 さて、今日は抱こうか、抱かれようか。 彼の体をさすりつつ、微笑んだ。** (158) 2021/12/16(Thu) 5:52:42 |
【人】 星集め サダル―後日談― 無事に双子の男の子を出産して。 それからの毎日は怒涛の如く。 赤ん坊を育てるのは大変で、それが同時に二人なら尚更大変で。 イクリールさんの手助けもたくさん借りて。 ルベドを始めとしたホムンクルスたちの助けも借りた。 同じ顔を見るのが苦痛だ、なんて言っていられなかった。 子供たちは混乱するかもしれないから、多用はなるべく避けたけれど。 子供を育てながら冒険者ギルドの受付で働く事ができた。 子供が小さなうちはギルドにも連れてきたり、近場で預かってもらったりなどして。 そんなふうな毎日が、濃密で大変で。 自分が自分であるために。 私だけをみて欲しくて。 そんな事を言う暇がないくらい忙しかった。 親になるとは、そう言うことかもしれない。 (159) 2021/12/16(Thu) 6:01:39 |
【人】 星集め サダルそして、私はやはりホムンクルスでもあり、人間でもあるようだった。 今までがそうであったように、この体は成長はしない。一部分を除いて。 その一部分は、子育てをする際に必要だったからか、胸は少し膨らんだ、その程度のことだけれど。 そんなふうに過ごして、いつの頃だっただろう。 彼は、毎年エオスに来て、イクリールさんの所には来ていたのかもしれないけれど。 (160) 2021/12/16(Thu) 6:02:02 |
【人】 半淫魔 メレフー後日談 閑話 これから大人になる君へー [オイルランプの僅かな高原だけを頼りに、手紙をしたためる。 傍には書き損じた何枚もの紙の束と、小さな箱と、ワインとグラス。 生憎、このような贈り物は不慣れで、本当にこれで良いか何度も首を捻り、文言を見返して、そして気に入らずに紙を丸めて放り捨て、紙束の山をより高くする。 結局書き上げた頃には、オイルランプの灯りは切れて、部屋の窓から日の光が差し込んでいる有り様だった。 さて、この手紙と贈り物はどうやって渡そうか。 本人に渡すのは照れ臭い、さりとて信用できない人物に渡せない。 ーーイクリールであれば、きっと適任であろう。 そう思い至り、手紙と荷物を纏めて、さっさと部屋を後にするのだった。] (161) 2021/12/16(Thu) 12:34:50 |
【置】 半淫魔 メレフ『拝啓 サーシャ様 子供への祝酒。 ちゃんと飲めるようになるまで、取っておく事。 その為のおまけもつけといた。』 [手紙の内容は、至極簡素でぶっきらぼうなもの。 手紙に付属していたのは、上物の酒と、グラスが一つ。 そして小箱。 箱を開ければ、小さな懐中時計が入っている。 蓋の表部分には、細かく、びっしりと彫刻が施され、中心には何時ぞやの紅血晶の欠片が埋め込まれている。 ーーそれは、所有者を悪意から守る魔法陣の彫刻と、陣を起動させる最上級の魔力源。 蓋を開ければ、一点の曇りなく磨き上げられたガラスの中に、長針と短針が寸分の狂いなく時を刻む。 そして、蓋の裏には一言、この時計を受け取る人物の平和と成長を願う言葉が添えられていた。] (L0) 2021/12/16(Thu) 12:35:23 公開: 2021/12/16(Thu) 12:40:00 |
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