人狼物語 三日月国


113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】

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「…お褒めの言葉をどうも、野良猫。
 気遣いは受けとるが、俺は甘やかされずとも仕事はする。
 無理に褒める必要は無いとだけ言っておこう」

そちらに御鉢が回った事に関しては、まあ。
それとなく、若干の哀れみの目を向けたりなんかして。

「付け加えるなら、仕事に趣味も何も無い。
 少なくとも俺はあんた達のやり方に文句は付けないさ
 …後は任せる。だからあんた達も好きにすればいい」

「……嫌? 嫌でも従わなければならないのが命令だ。
 貴方は、……そうだな、きっとやさしい、のだろう」

やさしい、の使い方はこれであっているかは、わからずに使う。

「俺が探った男には、おれはほとんど関わったことがないが。
 この件にはさほど興味がなさそうに見える」

だが、貴方の言葉を心得はしておこう。

「貴方は……彼女とは、親しかったのだろうか」

貼りだされた名を思い出す。
貴方が何かを呟こうとしたことも耳の良い青年は、すべてではないが、聞こえていた。

「では、私の命令は『嫌な時は嫌と言っていい命令』という事でよろしくお願いします。

誰かを縛る事に、慣れていないだけですよ。
私は此方に縛られた者を彼方へ導く者ですから。
……ですが、やさしいと思ってくれた貴方の気持ちは素直に受け取らせて頂きますね」

ゆら、ゆら。幽かに揺れるカンテラを撫でる。

「そうですか。……不死者が関わっている訳ではありませんから、さもありなんといった所でしょうか。
何もなければ、それはそれでいいのです」

 
「興味がないからこそだ。
 好意の有無で左右される人間じゃないだろう。

 同じ様な人間ばかり好みで選んでいたら、
 徒党は組めても組織は成り立たない。
 そう言った点で見る目はある部類と見ている」

適切な人間を呼べるだろうと言っている。

最もただ好みで選ぼうとも野良猫の好みであるなら
別段問題でもないと踏んでいるのもあるが。

「つけられるような場所で行いもしない。
 何より勧誘相手の反応を見れば問題も発露──

 ああ、相手を決めたなら早めに教えてくれ。
 こちらも準備がある。そこは外して整えるとする」

「……聞こえていましたか?」
名を呟いた。どうしてと、誰に向けるでもない問を零しかけた。気まずげに頬を掻く。

「旧知の仲です。私がここに来る前からの。
死に近い我々は忌避もされやすい。
真実であれ虚偽であれ、疑いを向けられやすい立場でしょう。
遅かれ早かれとは思っていましたが、こんなに早いとは」

すっかり塞ぎ込み端にいる、鼠の青年をちらと見る。
……この事態を引き起こした者達を支持する立場だ。けれど、彼女が酷い事をされなければいいと思う。

「……………………おかしな命令だ…………」

けれども、それが命令ならば従うほかない。しずかに頷く。

「貴方の言葉を借りるのならば、おれは貴方に導かれている、といってもきっと、間違いではない」

縛るほどの命令を受けている感じはない。
ガルムは、未だ、自由に不自由を感じる性だ。
今までの主と比べればそうなのはほとんど必然。

「……そうか」

青年はそういった仲の存在を知らないから、こんな時にかけるべき言葉がみつからなかった。

「おれにできることがあるのなら、命令を」

そうして、行き着く先はそれだけだ。

「………………鼠の男のあの目は、覚えがある」

遠い記憶だ。怯えたような、恐怖に苛まれた目。
きっと、いう通りにしなければ殺すとでも、脅されたのだろうか。あのみょうちきりんな首輪だって、あからさまに怪しい。

名を張り出された者が同じ目に合うとしたら酷い目に合うことは逃れられないのかもしれない。

「生者は変わりますから。
貴方が誰に言われるまでもなく、貴方の望みを持つ事もありましょう」

導く者がいつか手から離れて行く事を知っている。
今までそうだった故に、それが当然だと。
これもまた、今までと比べてそう考えるのだ。

「ありがとうございます。
ですが、こればかりは手の出しようがない」

この状況で直接動けば厄介な事になる。
貴方が仕事を失敗させるとは思っていない。
ただ、その後の身の振り方は厳しいものになるだろう。
ヨルムガルドから出ざるをえなくなる可能性もある。

「相当酷い目にあったのでしょうね。
妙に目立つ首輪は見せしめも兼ねているのでしょうか。
あのようにならない事を願いますが……まったく。昔も今も、何もできないというのは嫌になる」

「………………おれの望みか、どうだろうな。
 持ったことがないから……今この自由すら、持て余している……」

強いて言うなら、貴方の役に立つことだろうか。
それは己の望みなのか、それくらいからっぽだ。

「ヒトはみな、あるものなのだろうな。貴方にも」

「こうして、ひそかに探るしか、まだできることはないと。そういうことか」

「……では、次は誰を探るべきだろうか」

ずっと、定位置で立っているが、一応周囲に起きることは観察をしている。気になる人物といえば、みな、いつもどおりのように見える。突飛して気になることはない。

特に命令もなく"このまま"でいけば。
あの配達屋を探ることになりそうだ。

■■は彼に憧れていた──。
彼には才能があり、決してそれを鼻にかけず、義理と人情を重んじ、この街においても人々から好かれ、■■はそんな彼を幼少の頃より誇りに思っていた。

『■■もおおきくなったら■■になるっ!』

これを言うと彼は喜んでくれて、■■はなにかにつけてよくそう言った、本心だったからだ。
夢を実現する為に■■は努力を怠らなかったが、彼が亡くなった際にそれを継ぐことが出来なかった。
■■はまだ若く、一人前とはいえない見習いだったからだ。

しかし、■■は彼が死してなお目標とし、努力を怠らなかった。

「大小あるでしょうが、それなりにあると思います。
より良き生活を送りたいというのも、望みですからね。
柔らかな布団で寝たいだとか、おいしいものを食べたいだとか。……ガルムにはそのような望みも、無いのですか?
いったいどのような環境で過ごして、」

そこまで口にして、これは命令になるのだろうかと言葉を止める。
もし良くない環境で育ったなら、もし良くない記憶があるのなら。
それを掘り返していいものだろうか?

「えぇ。今は、まだ」

「そうですね。次は―――」

常のごとくここは賑やかだ。
首輪がつけられても御布令が出てもそれは変わらない。
誰も彼も、変わらないように見える。
微かな灯りが、揺らぐ。
―――灯りは花売りの少女を映していた。

「誰かがきめるのではなく、おれの望みといわれると」

「……むずかしい……」

抱えるように、片手で顔を覆い隠した。
貴方の問いに、ガルムは足りない脳みそを回しているようだった。

「おれは、子どもの時からずっとこうだ
 ルールが決められていて、それが当たり前で
 望みをもつことはゆるされなかった」


「きっとそれが、こびりついている……」

「でも、それでいいと思っている」

己の環境をわるいとは、言わない。
けれどそれはどこか、諦めたような言葉。

 
「今は、貴方の役に立てればそれでいい」

「……では、おれもまた調べがついたら報せよう」

今宵知ることができる結果がわるいものであってほしくはないという望みくらいは、ガルムにもほんのすこし、あるらしかった。


「うーん……特にコレってのがいないからくじ引きの方向かにゃあ……」

とりあえずの現状の報告だ。

「もし因縁の相手ができたり、あからさまに掴んでおくべき奴を見つけたなら、今じゃないにしろ順番とかは気にしないでもらっていいからにゃ」

 
「因縁などでは全くないが、そうだな。
 ≪掃除屋≫と話していて気掛かりな事があった。
 だが、準備がまだかかる。故、もう1日様子を見て──
 猫が違う者を選んだなら次はそこに行くつもりだった。

 無論、そちらも掃除屋に行くなら止めるつもりはない。
 あくまで革命軍の利になるならそれでいい。任せる」

「ふん?まあいいにゃ、それならばくじからは外しておく。
 もし出たら捨てるにゃ、気味が悪いから。

 にゃーも彼には思うところがある。とはいえ、優先するべきなにか、までは掴めたわけじゃないにゃ」

「今待たせてる人たちとの話を終えたら……沙汰を決めるとしましょうかにゃ」

 
「…新参者と違って、あんた達なら
 前々から目を付けていた奴の一人や二人くらいは
 居るだろうと思ったが、そうも行かないか」

「まあいい、くじ引きだろうと何だろうと
 成果が出るなら他の連中も構わないだろう。
 あんたは"野良猫"らしく、気の向くままにやるといい」

「……先引いときましょ。間に合わないのもアレだしにゃ」

じゃかじゃか〜〜じゃん!<<ペトルーシャ>>who

捨てた。

じゃかじゃか〜〜じゃん!<<オーウェン>>who


「……腐ってるにゃ、このくじ引き」

当たるまで、やります。<<アンゼリカ>>who

「ふうん?掃除屋の話をしてたら奇しくも、にゃあ。
 言動に気がかりな部分はあったし……うん、後詰めには悪くないにゃ、ね」

 
「……先が思いやられる出だしだ」

たまによくある。

「…あの見習いか。
 以前怪しい言動をしていたし、いいんじゃないか
 黙らせるにしても引き込むにしても、
 こちらにとっては利になるだろう」

「……今は、ゆるされていない訳ではないんですよね?」

確認するような、言葉。

「当たり前を変えるのは難しい。
ですが、ゆるされている事をしないのは少々勿体無い。

そのような生き方もあるのでしょう。
私が感じるより悪くはないのかもしれません。
けれど、私は貴方が貴方に、自身の望みをゆるせるようになって欲しいと思います。
こうして関わったのもなにかの縁でしょうし……役に立つと言ってくれる貴方に、私も報いたいと思います」