人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


 



      
  俺を……視てくれ



[真っ直ぐ正しく愛された試しのない男の欲求は、心の通わし方も、其れを伝える方法も知らず。
唯、物足りなさを覚えるのは────無意識の内に、彼女の胸中に在る人物が己では無いことを悟っている故なのだろう。


弾んでいく息に隠して零した台詞は、懇願にも似て。嫉妬でさえ“抱く必要がなかった”王には、苦しみの根源が掴めない。]
 

 
[オレの叫びは
 確かに真昼くんへ届いた、と思ったのに
 聞き入れてはもらえないようだった。

 また自分のせいで
 無駄に痛い思いをさせてしまうのは
 あまりに頭が悪いし、本末転倒すぎるから
 暴れるのは止めて
 首を小さく横に振るに留める。]



   まひるくん… ダメだ…… っ、あ、 …!!



[気の早い毛が
 疎らにぴょろぴょろ生え始めたのが
 妙に気恥ずかしくて、
 できるだけ人に見られないようにしていたソコが
 彼の手でさらけ出される。

 身代わりになれば
 真っ裸を見られることは覚悟していた、とはいえ
 羞恥がなくなる訳ではない。
 頬や耳が、カぁッと
 窓の外の夕焼けと同じ色に染まった。]
 

 
[少しでも視界を遮ろうと
 前屈みになろうとするオレの動きを遮るように
 真昼くんが近づいて、告げる。

 その顔に、悲壮感はなくて‥‥


   (きっと、オレを安心させるために
             本心を隠してるんだ、)


 そう思うのに、昨日の
 ドキドキ・ドクドクしてしまった時の表情が
 どうしてだかオーバーラップして
 また心臓が騒ぎ出す。

 こんな時に、こんなこと
 考えてる場合じゃないっていうのに。]
 

 
[熱い耳に手が触れて
 初めて…?って不思議に思っているうちに
 唇が触れ合った。



   
──────!!!!!!!




[こ、れ、は………
 
これは、これは、これは、これは、



 ‥‥キス?! 
キスだーーーーーーーっっ



 好きなひとと、する特別なヤツ。]
 

 
[え? …えっ? えええ?
 なんで? オレ、男だよ、男だけど、男なのに …いいの?!

 両親の仲がよくて
 異性愛が当たり前って刷り込まれてるオレは
 だいぶ混乱しながら
 理由を訊こうと合わせ目を開けば、
 柔らかい唇が更に深く重なった。



   っ、…… ま、 ぅ、んん…… ?



[どうして?って謎ではあったけど
 全然、イヤじゃなかった。

 むしろ……すごく、気持ちが良くて
 何度も繰り返される口づけを
 やわらかく受け止めながら

 くらり、と世界が白む。

 周りのことなんか、どっかに吹っ飛んで
 視界も脳も、真昼くんのことだけでいっぱいになった。]
 

 
[ふいに、くすぐったいような感覚が
 膝から這いのぼってきて、
 普段、風呂でさっと洗うくらいしかしない箇所に
 辿り着き、やさしく持ち上げられた瞬間、



   ん、ぁッ…



[ぞわぞわが
 背中のあたりを駆け上がって
 体をひくんと跳ねさせてしまった。

 こんなとこが、
 こんな風に感じるなんて、知らない。]
 

 
[ズボンをずり降ろされた時には
 しょぼんと項垂れていたのに
 今はどうしてだか、僅かに顔を上げていた。

 色が浅く、細長いソレは
 先を窄ませるように包皮に覆い隠されていて
 筆のようにも見えなくはない。

 その勃ち上がりかけの軸の部分を
 薄絹をまとわせるくらいの力で
 やんわりと包むようにして触れられるのは、
 もっと、もっと、
 比べ物にならないくらいに
 気持ちよすぎて、ヤバかった。]



   
あっ… ああっ、… っ、ぁあ!




[動きに合わせて勝手に声が漏れる。

 唇を塞がれれば、その間は
 くぐもった声をつながった口の中に飲み込ませながら
 あっという間に
 昨日の真昼くんの、みたいに
 彼の手の中でパンパンに腫れ上がらせていった。]*
 

 
[暴れるのはやめてくれたから
 衣服を乱す際に
 押さえつける必要はなかった。]


   (空澄くん、もう生えてるんだ……)


[暴いたのは最小限だけれど
 斑らに生えかけで
 大人になる過程にある肉体は木目が細かく
 透き通るように綺麗だ。

 肌を染める様は初々しく、愛らしい。]
 

 
[そんな空澄くんの様子に
 初心で可愛い……、と
 見惚れるのは僕だけじゃない。

 ――彼が身代わりになると言った時点で
 乗り気だった有象無象は二人ほどだった。
 彼は身長が低いわけでも
 顔が女の子っぽい訳でもないから。

 彼の可愛らしい反応を見て
 彼を貪りたいと欲張る輩が増えるのを
 背中で感じ取りながら
 奪った唇はとても甘かった。
 

 
[睫毛同士触れそうなほど近いからよく見える。
 戸惑いをはっきり浮かべられた目は段々と
 パンケーキの上のバターみたいに
 蕩けていった。]


   ───…っん、……ちゅ、……


[――ああ、駄目。駄目だよ空澄くん。
 そんなに可愛い顔を見せたら駄目。

 みんなが君を犯したくなっちゃうでしょ。

 避けるのは悪いとでも思われているのか
 抵抗のない唇を味わいながらそう考える癖に
 与えたくて堪らない自己矛盾を孕み
 抑える心算は欠片もない。]
 

 
[昨日の反応から察す
 るに、自分で弄った経験すら
 ないのかも知れない。

 殆ど肌と変わらぬ色の鞘に
 納められたままのものを
 伍本の指で優しく摩っていれば
 彼は素直に反応を示してくれる。

 声も全部僕のものにしたかったから
 手と唇を休ませるタイミングは一緒。
 体内から直接響く君の声を飲み込み堪能した。]
 

 
[彼のが僕の手でも育ってくれたのを
 硬さと熱さで理解すれば
 唇を解放した。]


   ────……は、ぁ……


[自分のを擦ってた訳でもないのに
 上気した頬はほんのり赤く染まり
 眼差しはとろりとしていた。

 彼の勃起で引っ張られた包皮の先からは
 僕の頬よりなお淡い色の果実が少しだけ
 顔を覗かせているのが確認できる。]
 

 
[きみと繋がったらどんな心地だろう?
 直ぐにでも腰を沈めてしまいたくなったけど――、
 我慢、を選択する。
 使う孔は異なれど
 中で剥けるのは大変に痛いことと知る故に。]
 

 

   っ!?


[先ずは口で。
 そう考え再び彼の足下に膝をつくと
 後ろから伸びてきた手に顎が捕えられ
 振り向かされた。

 ――吉田くん。
 呼ぶ前に言葉を発する出口が塞がれる。]


   ん……っ


[何だ? 一瞬思うけれど
 外野が手出しをしてはいけない
 ルールはなかった。確かにそうだ。]
 

 
[無知な空澄くんには色んなこと
 直接、教えてあげたい。
 邪魔されたくないんだけどな。

 吉田はたぶん、
 おちんちん咥える前にキスしときたかったとか
 そんなところだろう。
 ぬるりと侵入してきた舌に応じて
 くちゅ、ぬちゅ、と水音を立たせる。
 空澄くんとのキスにはあった甘さは、無い。]


   ん、……ふ、……っ


[左、後ろ、上方。
 それぞれの向き限界に曲げさせられた首が
 悲鳴をあげ、苦しさに顔を歪めつつも
 暫く相手すれば、解放された。]
 

 
[纏わりついて離れて行ってくれる気配は
 ないけれど、放置することにして
 荒れた息のまま空澄くんのかわいい
 先が薄ピンク色のおちんちんに顔を寄せた。

 少しツンとした臭いが鼻をつく。
 剥いて洗うなんてしたことがないんだろう。
 どうしてかそんなところも可愛らしいと思う。]


   痛かったら言ってね……?


[唾液を溜め、潤ったクチの中へぱくりと導けば
 ぬるぬるの温かい舌が歓迎する。]
 

 
[包皮の中に小さな舌を忍び込ませて
 たっぷりの唾液を潤滑油に緩慢に這わし
 少しずつ、……少しずつ、
 先端に張り付いた皮を剥がしていく。]


   ん、…っ ちゅ、…ん…っく、…ちゅ…


[時折舌が見つける恥垢は舐め取り、
 しっかり味わってから飲み込んでしまう。
 嚥下しても唾液は次から次へと溢れて止まらない。
 懸命にしゃぶりつく顔は恍惚としていた。]
 

 
[その頃、空澄くんの死角で動く手は僕に伸びて。**]
 

 
[ 生きる為に両親を見殺しにした。

  生きる為に妹を売った。

  生きる為に裏切った兄を殺した。


  生きる為に。
  生きる為に。


  仕方がなかったんだ。]

 

 
[ ────本当に?]

 

 
[ 例えろくでなしの親でも、
  本当は死んで欲しくなかった。

  金の為なんかに、
  本当は妹を売りたくなんてなかった。

  裏切ったからって、
  本当は兄を殺すつもりじゃなかった。]

 

 
[ 自分が欲しかったものは……────。]

 

 
[ 男の顔を見た瞬間、
  無表情だった顔は歪み始めて。

  目玉が零れてしまうかというぐらい
  両目を剥き出しにし。

  大きく開いた口からは
  恐怖に塗れた呻きが零れだす]


   あ、ぁ、あぁぁ……あ。
   ………ああああああああああああ!


[ 溢れる叫び声は止まらない。
  次から次へと零れ落ちていく。
  何時までも、何時までも。]
 

 
[ そうして暫くしてから今度はえづき始め
  胃に微かに残っていた食べ物を口から吐き戻す。

  吐くものがなくなった後も
  胃液を口から垂れ流し、それは止まることはなく。

  吐きながらも、声にならない声を上げて
  その場に座り込んでは身体を震わせていた]
 

 
[ 今、そこにあるのは
  壊れた人形がただひとつ。

  ────それだけ。]*
 




  (そこに隠された感情の正体が、わからない。)



[堕ちきった脳みそが微かに受け止めた懇願のような言葉の意味に気づけない。

  放っておくことだってできた筈だ。
  何回も「殺す」と吠え続け、屠る機会だってあった筈だ。
  なのに、今まで一切も牙をつきたてなかったのは、
  彼の無事を心から喜んだのは、
  受け取った刃を復讐に染めずに残したのは

              …………一体
のため?


白黒、朦朧とした世界の中で、自分が受け入れている相手の輪郭が揺らいでいく。──過去と現在の曖昧な記憶の中で揺れていれば、“守りたい”と真っすぐに感情を向ける存在などいつまでも確定されやしない。]
[唯一無二が決められないから、大切なものが零れ落ちていく。手放してしまう。そのまま全てなくなって、狂い果てた孤独の咆哮を世界に轟かすだけの定め。]


  






                    
(……■しい、)


 



 やたらと素直に言う事を聞くと思ったら……


[いや、まぁ。
いきなり叫び声を上げ、
口にしたものを吐き戻したあの時から
その予感はあったのだ。


こりゃあ、壊しちまったんじゃねぇかって。



悪い予感ばかりがよく当たるってか、
正味、ビンゴだったらしい。


着替えさせる手にもなすがまま、
あの威勢の良い剣士は何処へやら。
ただひたすら震え続けるばかりでなぁ]

[なんとか飯屋に連れていき、
なんのかんのと話しかけたものの
それこそ綺麗な面したお人形さんというか。

はい、とか、いいえ、とかの
機械的な返事を聞くのが精々だっただろうか。


こうなりゃ剣士としては使えねぇ。
食事も終わり、いっそ路地裏にでも
捨ててっちまうかとも思ったが……]


 ────吐いたゲロの掃除くらい、
 自分でしてもらわんと困る。

 ほら、帰るぞ。


[そういうわけにゃあいかんよなぁ。

抱いちまった以上は情が移るし、
身体を造ったっつー意味では、餓鬼みたいなもんだし?]

[何より此処に置いてって、
こいつを他の奴らが好きにするっつーのは
どうにも気に食わないというかなんというか。

そんな訳で、再び館へととって返し]


 こうなった以上、右目奪還は当分お預けだ。

 片目が無いとなー、
 遠近感が判らんと言うか。

 飯と部屋は提供するから、
 館の掃除を頼めるか?


[と、メイド服を手渡してみれば、さて*]

 
[ その後、飯屋では
  何を聞かれたところでその口が
  音を紡ごうと動くことはなく。

  焦点の合わない目は
  ただひたすら虚空を見つめていた。


  館に連れ帰られた後も
  まともな意思疎通は叶わなかっただろう。

  それでも問い掛けには辛うじて首を縦に振って
  目の前でメイド服を受け取っては着替えていく]
 

 
[ そうして着替え終われば
  指示された通りに館の掃除を始めていった。

  床を掃き、雑巾がけをしたり
  特に何も無ければ館内の掃除をする事が
  彼女の日課となっていったか。


  それからは
  館のあちこちを幽鬼のごとく彷徨い
  掃除していく姿が見掛けられただろう。

  何も言わず、その瞳に光を宿す事もないままで]*
 



 廊下がホコリ塗れじゃないだと……


[ぴっとハメ殺しのマジックミラー号窓の桟に
人差し指の腹を走らせる。

今迄なら、何処ぞの田舎演劇よろしく
綿埃やら血痕やらが着いたもんだが。

此処しばらく、そんな馴染みの光景とも
おさらばする事ができたのだった。


──という訳で、普段であれば
短期間で変える隠れ家も
アシュレイちゃんが来てからはずっと同じ館に居続けで。


飯の用意は俺。
掃除全般はアシュレイちゃん。
ちょいちょいやって来る来客のお相手はオーク達という
妙な共同生活が続いていたのだった]

[まぁ、此処に居続けなのはもう一つ理由がある。

俺様の最新の実験体こと、
アシュレイちゃんの状態の観察の為だ。


ぶっ壊れちまったのが
精神的外傷のせいなのか
それとも俺様が行った精神移植魔導手術の
構造的な欠陥のせいなのか。

いやまぁ、いずれにしろ原因は俺様なんだが。

なるべく環境の変化を少なくして
色々試してみたいってなところだな]


 んー……
 ガントレットの宝石内の本体のバイタル値は
 変わら無いっつか、正常の範囲内だよなぁ……

 やっぱ、本体との接続部分な鎖と首輪で
 首絞めちまったのが不味かったか……?


[──だが、彼女が吐いたのはその後だ]



 やっぱその……
 おじさんにアレコレされたのが
 そんっなに嫌だったのかー?


[今日も今日とて全自動お掃除メイドな
アシュレイちゃんの進行方向に立ち塞がる。

っつても、怖がらせちゃいけないから
ちっちぇ子相手にするみたいに
少しばかり身を屈めて目の高さを合わせて]
 

 仲間を全滅させられたり、
 触手に襲われたり、オークに襲われたり、
 女の子にされちゃったり、まぁ、色々あったわけだが……

 アシュレイちゃん的に一番キツかったのが
 俺に手を出された事、なんかな?


[と、試しに無表情な彼女の頬に手を伸ばしてみれば*]

 

[ 泥濘を彷徨っていた。
  掴み所のない空間はいつしか温度を上げ、
  物体が独りでに燃え出すような灼熱に近付く。 ]


  ( だが、夢だと自覚出来ていた。
    もう悪夢に囚われることもない故に、
    此処でしか逢えない人物を思い浮かべる。 )



 [ その影は不思議な事に硝煙の向こう側からやって来て、
   座り込んでいた己の傍に佇むようにして立った。 ]

 

 


           先生。
   役目は終わった。言えなかった何もかもが。

  だが……もう一つだけやるべき事が残っている。


[その影に語りかければ、景色は川のほとりへと変わる。
例え、自分が心の中に生み出した幻影だとしても構わない。
もう直ぐ自分は終わるのだと、それだけ伝えたかった。

彼は黙って頷くだけだ。
唯耳を傾ける彼に、抱き締め合う歓びを教えてくれた彼に、
確り向き直って、言葉を選ぶのはそう難しくはない。]


 




     [ それなのに、目が覚めてしまった。 ]

[ 彼女の事だけは言う積もりになれなかったからなのか。 ]


 

 
[時折、彼がくれる小休止の合間が
 息継ぎの時間。



   はぁ…  はぁ… っ、んん…



[喘ぐように酸素を取り込んで
 また官能の海に沈められていく。

 少しの息苦しさと
 揺蕩うような心地と
 痺れるような気持ちよさが
 押し寄せてきて

 飲み込まれては、また引いていく。]
 

 
[繰り返される度に
 快感の波のうねりは強くなって


   
(‥‥もっと、)



 離れようとする
 唇を追いたくなった頃だ。

 彼の色っぽい表情でいっぱいだった視界が
 ふっと開けて、
 油断ならないヤツの姿が目に入る。

 気づかぬうちに吉田のヤロウが
 真昼くんの真後ろにまで来ていた。]
 

 
[あ、っと
 我に返った時には
 もうソイツの手は伸びていて

 今まで触れ合っていた
 もっと、と望んだ柔らかい唇が
 掠め取られていた。

 自分のモノって訳でもないのに
 盗られた!って思って、一瞬で頭が沸いた。]



   吉田、止めろッ、
   今すぐ 真昼くんから離れろッ!!!!




[猛烈な腹立ちを
 ビリ、と窓ガラスが震えるほどの声で叩きつける。

 それでも、その行為は終わらなかった。
 むしろ見せつけるように
 もっと激しくなって、
 涎が混じり合うみたいな音までし始める。
 

 
[昨日みたいに、
 体当たりして突き飛ばしてやりたいのに
 出来ない悔しさも全部

 
嫌だ!
とか
 
止めろ!
とか

 あらん限りの声に乗せて喚きまくった。

 水音が聞こえなくなった代わりに
 盗っ人の口が離れた時には
 オレの声は少し掠れていた。]
 

 
[真昼くんがこっちに向き直った後も
 早くどっか行けよ、と
 そのデカイ図体を見上げて睨み付け続ける。

 何も出来ない状態のオレに
 凄まれたって、屁でもないのは分かっていても
 そうせずには居られなくて。]
 

 
[そうしたら、ふいに真昼くんの声がして
 視線を下に向けるのと同時、
 憤りを体現したみたいに立ち上がったオレのものが
 ぬるりと飲み込まれていった。]



   ぅあぁぁぁっ……!



[びっくりしたのと
 あまりにも気持ち善すぎるのとで
 普段とは異なる、上擦った声が飛び出す。]
 

 
[柔らかくて、あったかくて、ぬるぬるで。
 腰から溶け出して
 オレの全部が真昼くんに吸い込まれてしまいそうな
 体験したことのない心地よさに
 また、頭が真っ白になってく。]



   あっ、…すご い  っ、

      ああっ、… まひるく、っ、 んんん…



[微かな痛みもあるけれど
 それを遥かに上回る快感で塗り潰されて
 驚くくらいに、声も甘く蕩けた。]
 

 
[やばい、すごい、きもちいい…以外
 何も考えられない。

 そんな汚いの、舐めたらダメだよ、とか
 吉田のヤロウのこと、とか
 何より、この持て成しが成功したら
 また昨日みたいに彼が酷い目に合うってこと、とか

 絶対に忘れちゃいけないことまで
 すっぽり抜けてしまうくらいに
 彼の手ほどきは、繊細で、優しくて、巧みで。
 

 
[糊で固められた穂先が
 ぬるま湯で解けていくみたいに、
 今までずっと隠れたままだった淡い桃色が
 恥ずかしそうに顔を露わしていくと

 そこを撫でる舌が、
 内側に溜まっていた汚れまで
 飲み込んでくれてるなんて知らなかったけど
 その時に押し付けられる上顎が
 どうしようもなく気持ちが良くて。


 そのうちに

 付け根の、さらに奥んとこが
 なんか…
 なんていうか……

 上手く言えないけど、なんか堪らなくて
 苦しいのとは違うのに
 ギュぅッと眉根が寄っていく。]
 

 
[そうこうしていると、さらに
 怖いくらいの、すごいのが込み上げて来て。]



   あっ、あっ、…まひる、くんっ、 

          あっ、なんか、やばっ…、ぃ


   で、っ…  出そ、ッ……



[切羽詰まった困惑声を響かせる。

 両脚の間の彼の頭を
 抱え込むように、体をくの字に折り曲げて
 必死にその恐ろしいほどの快感の波をやり過ごそうと
 全身にぎゅっと力を込めた。]*
 



   ────現実の温もりは、夢想迄もを変えてくれない。


   お伽噺の中の怪物はいつも独りぼっち。
   眼前に現れた人影に喜び近寄ろうとすれば、
   すぐさま頭に銃口を突きつけられる。

   血に塗れた誰かが自分を指さし罵倒する。
   臓物を吐く誰かが自分を睨みつけ続ける。
   大切だった誰かが自分を拒絶し遠ざける。


   「お前のやっていることは所詮自己満足だ」
   「仇討ちなんて言い訳のひとつにしかならない」
   「同胞さえも手に掛けたお前はもう─────」

      
「   唯の
殺しだ。   」


   一心に向けられる刃に心が悲鳴を上げても
   居場所のない化け物に安息が与えられるわけがない。
   息をすることさえも苦痛で仕方なくても
   止める事さえ許されない……死が許されぬ生き地獄。


 




    何時かの時。
    苦痛の夢から救ってくれた人物の影が脳裏を過ぎる。
    彼の名前を呼ぼうとして───錆び付いた喉が灼けた。



(名前が………言えない。思い出せない。
 焼けた手紙と共に朽ち果てた少女の初恋は、
 人間性と共に勢いよく崩れ落ちていく。

     何れまともじゃいられなくなる予兆のように、
     美しい思い出でさえも腕の中から消えていく。)


 







      醒めろと何度も念じ続ける。
      いつか醒めぬ現実になると分かっていても。

 

 
[空澄くんとしたのより大人のキスを
 別の人としていると
 鼓膜が痛いほどの怒気が発せられる。

 嫌なことを強いられていると
 思っているのだろう。
 僕が感じることのない痛みを感じて
 僕の代わりに怒ってくれているのだろう。]


   (ああ、かわいいなぁ……)


[粘膜を擦り合わせるよりなおゾクゾクする。
 胸の奥から泉のように感情が湧き出ずる。
 それを
愛おしさ
と呼ぶことを僕は知らぬ、まま]
 

 
[咥え愛でれば掠れてしまった声も
 蜂蜜のように甘くなっていった。

 他のことは忘れてしまったように
 僕が与えるものだけに耽溺する君を
 口に含んだまま見上げ思う。]
 

 
[────とても残念だよ、空澄くん。

 でも、仕方ないよね。
 だってこんな気持ちいいの、きっと初めてだもんね。]
 

 
[胸の奥から溢れていた何かがぴたりと止む。

 誰かに盗られてしまう前に
 この場で跨り、奪ってしまいたかった。
 そんな欲望はいまはなりを潜めた。

 快楽を教える動きだけ休むことを知らず
 背中の白い羽根を一枚ずつ優しく毟り取るように
 恥垢を剥がし、飲み込みきれば、
 露出した如何にも粘膜といった先端を
 顎の内側、喉奥へと擦り付けて嬲った。]


   ん、っふ、 
ぢゅ……っ



[唇を窄めて深く咥え頭を揺するのを繰り返し
 限界を伝えられれば一層強く吸い付いた。
 温かく青臭いものが口の中に拡がっていく。]
 

 

   ……、……ぷ、はぁ……


[君を気持ち良くできて嬉しくて
 受け止めた体液はゆっくりと喉奥に流し込み
 どろりとした喉越しが過ぎれば息を吐いた。
 達成感は確かにある。
 けれどどこか冷めた心地が足下を攫っていく。]
 

 

   …………目、瞑っててね


[見せた微笑みはこれまでで一番淡い。
 強い力で腰を抱かれ、
 身を寄せていた膝から引き剥がされる。]
 

 
[十一月。日の落ちた教室は冷え込み
 触れていた箇所に移っていた温もりが
 消えるのは早かっただろう。

 今日もこの階だけ、見廻りが来ることはなかった。**]
 

 
[ 物言わぬ人形は今日も館の掃除を行う。
  館の主人の気持ちを知る事もなき儘で。


  そんなある時、進行方向に立ち塞がる影。
  館の主たる魔王その人である。

  彼の手が頬に触れても、何か反応を返す事はなく
  そのまま横を通り過ぎては掃除を再開するのであった。


  声は届いているのかもしれない。
  それでも表情は冷たく凍った儘。

  手を動かしてははたきで埃を落としていく。]
 

 
[ それからも、掃除を日課として
  物言わぬ儘館のあちこちへ足を運んで。

  日々を過ごす内、ほとんど何も変わらずに。


  けれども少し内側で変化があったのか。

  空を飛ぶ小鳥を指差しては
  「ちゅん、ちゅん」を小さく声を零しては
  両腕をぱたぱたとさせたり、
  オークを目にしては「ぶーぶ」と呟いたり。

  まるで小さな子供のような反応を示していた]*
 



[─────最後の注射針を、腕に深く刺し込んでいく。
痛々しい針痕だらけの腕は悲鳴をあげていてもおかしくないのに、もう痛みさえもわからないくらいに感覚が麻痺していた。

有り余るほどにあった赤い薬品ケースが、今では一つも見当たらない。
材料が無ければ作りたくてもそれすら叶わないだろう。
この日が終われば不要になるとわかりきっていたから敢えて作らなかったのだ。

綿密に、秘密裏に編み込まれた計画の中。今宵は綺麗な満月が望める筈だ。明から暗へと変化するグラデーションを眺め、沈みゆく火の惑星を見守った。

  (この夜を超えれば、私は。
   ……本当にどこへも行けない怪物になってしまうのだ。)

引き留めるものも理由もありはしない。全て自分の意思で捨ててしまった。
後は嘗て死にかけだった獅子を頭から貪れば、きっとそれで終わってしまう。
少しも寛げなかった客間の扉を静かに閉めれば、向かっていくのは謁見の間。

  息苦しさに喘ぐ   彼
……王族に唾を吐く性格の彼女には到底似合わない場所こそ、最期を飾るに相応しく。]


 

 

[ 広がる光景に酷い既視感を憶える。
  覚醒すれば忽ち薄れて消えてしまう様な記憶だが、
  夢の続きに導かれて再び小川の畔に立っていた。

  アルデンヌの森。
  小春日和と呼ぶべき柔らかな温もりを風が運ぶと共に、
  木の葉のさざめきと栗鼠の鳴き声を伝えている。 ]


 ( 言いそびれた台詞などたった一つだけ。
   其れを解っているから貴方は何も訊かないのか。 )



 [ 隣合う影法師は何も語らない。
   此方が口を開くその時を待っているかの様に。

   言わなければ。
   もう、夢を見る事だって二度と無くなるのだから。 ]

 



[ 睦言を交わし合う様な仲でこそなかったが、
  課外学習に似た認識をお互いに抱いていた筈だ。
  其れは最早利己的な利用関係には留まらず…… ]


( 然れど、あの学び舎に背を向けた日から
  二度と逢う事はないと思っていた。

    学友を、教師を、実の父でさえも殺す未来を
    打ち明ける決断は出来なかったのだから。 )


 



        
( ……だから。 )


    ・・
( お前だけは何も知らなくていい。
  望んだ時のみ遠い國の史書を手に取れば良かろう。

   血濡れた路を辿らず、陽向の如く唯、
   何も出来ずに────老いて、然して逝け。 )



 [ 其れがたった一つの、彼なりの優しさだったから。 ]


 

 


           
さようなら。次は無い

       …… Auf Wiedersehen.



 



[ 多くの人間に失望した。
  其れを元々立っている場所が違うのだと割り切って来た。

  其の中で彼は、内情に踏み入ろうとはしなかった。
  その上で手を貸し続けてくれた。
  他の誰とも違う。

  其れでも、置き去りにするのだ。何一つ告げぬ儘。
  戦士でなければ、野心家でもないのだから。 ]




      [ 懐剣を抱き締めて、其の場を去ろう。
        既に最期の夜は明けようとしている。 ]*

 





  其の頭上で、月が消える。
  再び衣に包み隠された氷の星の表情は失せる。


   同時に、黒き至高の獣の行方を僅かに眩ませるだろう。



 



  [────月が、味方しているのだろうか。]

  [幾ら空に、
  映る水面に手を伸ばしても届くことの無かった幻想。

  つがいの獣を喰らい、自らの運命を呪った夜も、
  寄り添い合って安らぎを得た夜も、
  熱を与え、痛みを分け合い混じりあった夜も、

  ……すべてを見守っていた、
  どこまでも大嫌いで憎たらしかった呪いの元凶が。]


 

 
[焦るような声を上げてから、あっという間だった。
 強く吸い付かれるのと同時

 
ドクン!


 死んじゃうんじゃないかってくらい
 ものすごく大きな
 心臓の鼓動みたいなのが来て]



   
あっ、 んああっ……!!




[おしっことは違う
 なんかドロっとした熱い塊みたいなのが
 溢れ出る感覚があって、

 それが、
 今まで感じた事のない
 めちゃめちゃに強烈な快感で。]
 

 
[だけど、その余韻に
 浸れるような状況じゃなかった。

 また、
 胸がギュッて痛くなるような
 真昼くんの、あの
 消えちゃいそうな儚い微笑みが見えて、

 それから、その後は────…]
 

 

[後悔の嵐だった。]

 

 
[夜端のヤロウが言った”持て成し”の意味。

 こうなることが分かってて
 真昼くんは、オレを身代わりにさせまいと
 懸命にしてくれたんだってこと。

 何も分かってなくて
 ただただ気持ちよくなってしまった
 自分の浅はかさ。

 全部、全部、理解できた。
けど遅かった。遅すぎた。

 

 
[ぐちぐち、と
 汚いモノが真昼くんの体を引き裂くのを
 至近距離で見せつけられて

 悔しさが、憤りが
 目から零れ落ちてくる。]



   
………ぅ、 …………っく、…




[殺しきれない嗚咽が
 キツく噛んで血の滲んだ唇の奥で、鳴る。]
 



   (オレも、あいつらと
    何にも変わらないじゃないかッ!

    助けるなんて言ってたくせに
    自分勝手に気持ちよくなって
    真昼くんをあっさり生贄に差し出して、…

    最低だ、最悪だ、ッ

    オレも、アイツらも皆、死ねばいい!!)


                         ]

 
[蟀谷が痛くなるくらい泣き腫らして
 視界が狭くなっても
 睨み付けることを止めなかった。

 視線で殺せるなら
 全員、焼き殺してやったのに。
無力だった。

 

 
[ふたり、残された教室。

 青臭い匂いも
 残された水風船も
 意味を伴ってしまえば、吐き気を催す代物だ。

 そして、自分もまた同じものを
 彼に飲ませたんだと思えば、殴り倒してやりたくなる。
 なのに、痺れた腕では
 拳を固く握ることすらままならない。]



   真昼くん… ごめん、 ごめんね…

   オレ、あいつらと同じだった。
   ほんと最低だ、
   死ねばいいと思うよ、

   ……けど、
 
   このまま死んだら、ただの犬死になる。
   あいつら全員 殺してからだ。



[憎悪の滲む低い声が
 冷たい教室の空気を震わせた。]*
 

 
[枯れた声が地を這い鼓膜を震わせる。
 深い後悔の一部が伝わってくるようだった。

 最中も、そちらを見ずとも
 伝わってきていた。

 僕が持つ前に諦めた憤り、殺意が。

 君も彼らと同じだと思った。
 ――だけど、違うと思っていい?

 手足の縄を解いてあげた指先を
 残る跡へとそっと伸ばし、優しくさする。]
 

 
[君は感じなくて良い筈の
 痛みに触れて苦しんでいる。

 心も、身体も。

 解放してあげるべきだろう。
 きっと、そうした。]
 

 
[ 僕に人の心があったのならば。 ]
 

 

   ────…ダメだよ、空澄くん

 

 
[僕は引き止める。
 君が見せてくれるかも知れない未来に期待して。
 ……そう、どこまでも身勝手に。]


   僕のそばに、いてくれないの
   そんなことをしたら

   僕はまたひとりになっちゃう……

   空澄くんは、僕といてくれなきゃダメ


[放っておかないという
 君の言質を利用する。

 ……今日の奴らだけじゃだめなんだ。
 この先僕を傷つけうる全てから
 守ってくれなきゃ。守り続けてくれなきゃ。]
 

      
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[ 君は僕のものだから。** ]
 




[雲隠れした月明かり。その隙間から光が差し込まれるのが見えた。
朦朧とする視界の中で、自身が最初に手を下した傷だらけの姿が歩いてくる。
「迎えにきたよ」と弱々しい手が差し伸べられた気がしたから、腕を伸ばして────……]


              ………………噫。


[ゆっくりと、その手を下ろす。
腕の中の赤い髪を、傷つけないように梳き下ろした。]