人狼物語 三日月国


161 完全RP村【こちらアンテナ、異常アリ】

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【人】 メカニック ゾズマ

[その「一人じゃない」を教えてくれたルヴァは、この告別式に参列していただろうか。
 彼が今、側にいなくても、いてくれていても――。
 棺の中で眠るチャンドラに、白いカスミソウを捧げた時に。
 涙を零し、嗚咽を零し、大きな声で年甲斐もなく泣き出してしまうのは、止めようがなかった。]

 あり、が、と。
  ドクター、 ありがと……ござい、まし、た ……

[膝をついて動けなくなってしまうのだけは堪えて、棺の前から歩き出した。
 今は眠れるチャンドラの瞳が、あの時、幸せを得た人間のいい顔を映していた>>339なんて思いもしないまま。]
(426) 2022/07/24(Sun) 10:04:32

【人】 メカニック ゾズマ

[さてこの告別式、奇しくも(?)アンテナ号のクルーの同窓会のような形にもなっていた。
 とはいえ、あの旅路を共にした全員がここに集ったという訳ではない。
 スピカは療養上の事情で、参列していない>>329>>330
 それにキャプテン――アンドロイド・アンテナは――]

 バーニーに会うの、すごい久々だな。

[それは他のクルーに対しても言えたかもしれない。ラサルハグ>>340にせよアマノ>>320にせよダビーにせよ、あれから無事に退院できたゲイザーにせよ、いつ最後に会ったかの記憶もこの1年間の東奔西走の中でごちゃごちゃになっていた。
(バーナードには本星への帰還>>265>>266という空白期間があった訳だが、その辺りの事情は聞かされなかった)
 喪主を務めていたバーナードがアマノに声を掛けられる>>321>>332のが遠目に見えたので、こちらからの用件はひとまず彼らの話が落ち着いてからにした。]
(427) 2022/07/24(Sun) 10:07:37

【人】 メカニック ゾズマ

[アマノとの話がひと段落ついた後>>326>>335(同居の件までは聞き拾っていない)、黒い喪服のゾズマはバーナードにひらりと手を振った。]

 おつかれ、バーニー。

[自分の死の際には誰にも泣いてほしくないと言っていた>>1:374(結局、ゾズマはこの遺言を忘れてはいなかった)バーナードだったが、彼自身、チャンドラの葬儀の場で涙を零していなかった>>331
 “のんびり屋”の称号以上にぼんやりして見えた彼は、泣けないのか、泣かないようにしているのか。そこまではゾズマには察せられない。この時も、あまりそのことについては気にせずに声を掛ける。]

 あのさ。アンタに会えた時に
 渡しておきたいモノがあったんだよね。

[ゾズマの目は未だ涙で腫れたまま、けれども顔かたちはけろっとした気丈な無表情で。
 小さな掌を少し上回るくらいの大きさの、白く四角い紙封筒を、バーナードに差し出した。紙封筒は少しだけ膨らんでおり、月の型がうっすらと紙越しに透けて見える。]
(428) 2022/07/24(Sun) 10:08:35

【人】 メカニック ゾズマ


 これさ、ドクターのヘアピン。
 キャプテンが着けてたから
 なんとか回収してきたんだけど――

[こんな、華やかでなくとも丁寧に整えられた見送りの場すら設けられないアンドロイドのことを、少しだけ振り返りながら]

 バーニー、これ、持っていく?
 今日さ、アンタが喪主になってるの見て、
 やっぱり、ドクターのこと想ってたんだって
 確信できたっていうか、うん。そんな感じだし。

[偲ぶ想いは、艦での日々を共にした皆に通じることだろう。
 ここでゾズマが口にするのは、それ以上の想い、だ。]
(429) 2022/07/24(Sun) 10:09:13

【人】 メカニック ゾズマ

[穏やかで幸せだった文字通りの夢の中に、それでも、ぼんやりとしたさびしさと共に残っている記憶。
 ひとりきりのふたりきり――そんな感じの、遠目故もあって小さく見えていた背中>>257>>>258>259。
 何故か、自分からは近づけなかった背中。そして自分が眠りに就いてしまう頃にも、確かにまだ起きていた背中。]

 あの人がキャプテンにあげた、ってことは、
 多分キャプテンか他の誰かに、このピン、
 託したかったんだと思う。
 バーニーに持っててほしかったかまでは
 判らない、けど――…

[そのやり取り>>8を聞いた記憶までは、ゾズマにはまるで無かったのだけれど。
 もしバーナードがこれを受け取らない(もしくは、受け取れない)のであれば、その時は自分がこのヘアピンを引き受ける心算だった。**]
(430) 2022/07/24(Sun) 10:09:55
メカニック ゾズマは、メモを貼った。
(a52) 2022/07/24(Sun) 10:15:48

【人】 メカニック ゾズマ

【1年後:告別式】

[全員集合の同窓会とまではいかなかったこの告別式に、ゾズマはヘアピンの包みとは別の紙封筒を携えてきてもいた。
 これは託し物ではなく、純然たる“手紙”だ。
 ゾズマは何故この今時に、通信ではなく古風な手紙を用いたのか。それはふたつの理由から。

 一つ目。それは決して返信を急ぐものではなかったから。そもそも返信自体、なくても良いものだったから。
 今回の事故以降の“彼”の多忙極まる状況を思えば、事務用件でもないメッセージをわざわざ一つ増やすことは躊躇われた。

 そして二つ目。端的に言えば“機密の漏洩を防ぐため”。
 通信内容を傍受される可能性はゼロではなかった。こういう時、いわゆる“アナログ”は存外に役に立つ――とゾズマは思っている。
 万が一開封されたならば一目でわかる開封痕が残るし、便箋一枚だけを収めた薄っぺらい封筒であれば透視スキャナーを掛けられることも通常は無い。余程何かの密輸やテロ計画に対する厳戒態勢が敷かれているなら話は別だが。
 といっても、この手紙に直接的に機密事項を記したわけではないので、この理由は、ちょっとした気分の問題でもあったのかもしれない。]
(460) 2022/07/24(Sun) 13:29:42

【人】 メカニック ゾズマ

[……尤も、この古風な手紙を書いたところでどこに届ければ良いか、という問題もあった訳だった。
 彼の居住地や実家の所在地は知らなかったし(ホテル暮らしをしていた>>190ことも知らなかった)、彼の所在を知っていそうでかつ信頼できる他者と顔を合わせる機会も、この間の炎上騒ぎの影響で得られなかった(現在は流石に忘れられてきているが)。アマノ辺りに尋ねることも一瞬考えたが、通信越しに個人情報をやり取りするのはもってのほか。
 こうして、一度認めた手紙を抱え持ち、チャンドラの訃報を聞いた際に一度手紙を破棄して書き直し――漸くここで、宛先人たるラサルハグ>>340との対面が叶った訳である。]


 ラス、久しぶり……だよ、ね?

[告別式の終了後にそう声を掛けるも、本当に何時ぶりなのか思い出せず、ややきまり悪そうな上目遣いになる。
 それこそメディアでの記者会見その他を逐一見ていれば「昨日会ったかも」という錯覚も起こしていたかもしれないが、メディア情報を意図的に遮断していた身にはそれもなかったのだ。]
(461) 2022/07/24(Sun) 13:30:15

【人】 メカニック ゾズマ


 あのさ、これ。
 帰ってからでも、いつでもいいから
 読んどいてくれたら嬉しいなっていうか。

[そう言って差し出したのは、惑星間郵便エアメールの規格に準拠した、横長の長方形の紙封筒。
 白地に黄みの橙colorcolorの2色のラインが、水平方向に真っすぐに引かれている。
 封筒表には『ラサルハグ マエダ』という宛名人だけが、黒いインクペンで綴られている。

 この封筒の中には、折りたたまれた紙の便箋が一枚入っている。
 手紙の文面も、封筒の宛名書きと同じ黒いペンで書かれており、ひとつひとつの文字が(多少の歪みはあれど)判りやすく綴られている。]
(462) 2022/07/24(Sun) 13:30:55

【人】 メカニック ゾズマ

[自分の進退については未だ不明の構えでいたこの文面>>-1495>>-1496だったが、ラサルハグの今後については、この時点であくまで“再び翔ぶ未来”を前提とした書き方になっていた。
 後の移植手術の成功>>447>>448を予知していた訳ではない。
 ただ、また共に同じ旅路に発てたら――という希望から、自然に綴っていた文章だった。

 さてこの手紙の、今は既に便箋ごと破棄されている元々の文面はというと――。
 「7年前」の部分は、「6年前」になっていた。
 そして「軍にいらっしゃったダビー様」の前には、「チャンドラ様」という名前が記されていた。
(元々はこの箇所は追伸扱いであり、書き直しに当たって本文に組み込んでいた)

 新たに一から綴り直した手紙の便箋には、努めて、涙痕ひとつ滲ませなかった。**]
(463) 2022/07/24(Sun) 13:34:44
メカニック ゾズマは、メモを貼った。
(a53) 2022/07/24(Sun) 13:54:56

【人】 メカニック ゾズマ

【それは告別式より前の、―――】

[その日の一仕事>>388を終えたゾズマは、一人暮らしのアパートの一室に入って鍵をかけ、扉を背に座り込んでいた。]


  ッ、 は ぁ …………


[本当に、本当に長い息を吐いて、目を閉じる。
 鞄の中にはもう、艦体データをコピーしたメモリーはない。
 そのメモリーと入れ替わりになった形で、あの月型のピンが収められている。]
(477) 2022/07/24(Sun) 16:34:47

【人】 メカニック ゾズマ

[必要な業務での外出であれば、顔を隠すこともなく堂々と出歩いた。
 コールドスリープ装置の件の炎上騒ぎで、記者からはマイクを、一般人からはカメラを向けられることもあったけれど、会見の場で口にしたこと以外は何も言わなかった(本当に、言えることなどそれだけだった。責任追及先のチームに対して「殺す」と言わないのは当然のこと、「訴訟」の語を口にすることもなかった)

 あくまで自分は必要な仕事をしているだけの仕事人。
 そんな毅然とした対応を続けているうちに、次第にゾズマに対しては同情論、賛同論が出始めてくるわけだが、それはもう少し後の話>>452。尤も、「美人」だから悲劇が絵になる、なんて現象はゾズマの望むところではなかったのだけれど。]
(478) 2022/07/24(Sun) 16:36:54

【人】 メカニック ゾズマ

[……こうした対応の継続が叶ったのは、ゾズマ個人を取り巻く問題が「責任転嫁系美人メカニック」の件だけで済んだからだろう。
 ゾズマが他のクルーとの私的な連絡を殆ど行わず、対面に至っては全て絶っていた(絶たざるを得なかった)ことがあり。
 他者についての一切の醜聞も「知らぬ存ぜぬ」「アマノに聞け」で通し続けたことがあり。
 そして、ルヴァのほうに押し寄せてきた記者たちが早々に引き上げていった>>392ことがあった。
 そういう意味では、要領の得ない返答だけを告げたルヴァにまた助けられた、とは言い得ただろう。

 けれども、―――。]
(479) 2022/07/24(Sun) 16:38:05

【人】 メカニック ゾズマ

[どうしようもなく、寂しい。
 どうしようもなく、虚しい。
 無重力空間とは異なる奇妙な浮遊感があって、
 世界が惑星の軌道みたいにぐるりと回っていくよう。

 縋りつきたい。
 けれど縋りつける人には、会えない。
 誰にも会う訳にはいかない。]
 
(480) 2022/07/24(Sun) 16:39:22

【人】 メカニック ゾズマ

[母やスピカとは私的に連絡を取っている。
 けれどもこんな有様を彼女たちに伝えれば、向こうからうっかり駆けつけてこないとも限らない。そうでなくとも、どんな言葉でこの有様を伝えていいのかがわからない。

 ルヴァには何の連絡も送っていない>>445
 多忙故の余裕のなさからの音信不通は、様々な報道を耳にしてしまったことで、“ルヴァを守るため”という意味合いをも持つようになった。

 ルヴァと直接連絡を取らない分、彼の名前を、母やスピカとの遣り取りの際に折に触れて出すようになっていた>>442
 彼と会えない、声を交わせない、そんな空白を埋めるように。
 そんな彼と“付き合っている”とまで言わなかったのは、万が一どこかで話が漏れてしまうのを懸念してのことでもあったが、それ以外にも――]
(482) 2022/07/24(Sun) 16:40:05

【人】 メカニック ゾズマ

[ルヴァの状態自体は入院中に看護師を通じて聞いていて、退院後も(辛うじての隙を見つけて)経過を訪ねたことがあった。だからスピカにもその旨を伝えることはできた>>402のだけれど。
 彼のお見舞い自体は、なんとなく行ったような気でいて――行っていない>>392>>393
 なまじ人づてに経過を聞いていたが故に、実際の記憶とその話が混濁してしまっていたのだろう(そしておそらく、これはゲイザーの見舞いの記憶についても同様だった)

 ……ルヴァに“忘れられている”かもしれないという不安が、漠然とあった。
 彼の心を支えたいと願いながらも、もしもこちらのことをまるで認識しない彼を目の前にしたら――そんなおそれが、きっと、あって。
 そうしているうちに、自分のほうが既に、夢の記憶を本当の夢の如く忘れてしまいそうで――]
(483) 2022/07/24(Sun) 16:40:35

【人】 メカニック ゾズマ


(  つらい、よ、
    さびしい、よ )


 ( 声、聞きたい、よ、
   抱きしめて、ほしい、よ、
   そばにいてほしい、よ ―― )


    あいたい よ ……。


[互いに届くことのない願い>>396が、ひとりきりの場所で、零れる。


 ――この時、ゾズマは、ある“ひとり”の最期を見送ってきたばかりだった。]
(484) 2022/07/24(Sun) 16:41:50

【人】 メカニック ゾズマ

【同日:帰宅>>477より前】

[とある解体業者の作業所。
 ミスティックアンテナ号の解体・解析及び、アンドロイド・アンテナの“処分”を行う現場にゾズマは立ち会っていた。
 必要な艦体データの提供だけでなく、解体の場にも直に立ち会わせろというのは越権行為だったかもしれない。それでもこのメカニックは、越権行為だろうが何だろうが、この場でやってのけた。
(この件でラサルハグに提出書類を(6)1d6ページ追加させるかもしれない、というのは頭に全くなかった)]

 ――それで、艦の中には
 これだけの未回収物があったの?

[遭難中にアンテナに託されたもののうち、ラサルハグの義足は既に回収されている>>340
 アンテナが所持していたボックス、その中の銃>>2:413――夢ならぬ>>3:+13それ――は、銃外装の特徴などから調査員であるルヴァの元に戻されていた可能性もあったが、果たしてどうだったか。
 ともあれ、解体の邪魔になる物資を取り分けて整理していく様を見やる。]
(485) 2022/07/24(Sun) 16:44:23

【人】 メカニック ゾズマ

[そして“未回収物”のひとつに――他ならぬアンテナの髪に飾られていた、チャンドラのヘアピンがあった。
 けれども業者側はそれをアンドロイド・アンテナのアクセサリーだと考えたからか、特に取り分けることをしなかった。]

 っと、ちょーっと失礼!
 これクルーの私物なんで、回収しちゃうぜい。

[ゾズマは乗艦当事者であり、後に「証拠捏造があった」などのトラブルが起こるのを避けるために、基本的に自分からは手を出さない心算だった。
 けれどもこのピンの存在を現実の光景として目の当たりにした際、一歩踏み出して手を伸ばしていた。]

 ( ……ドクターが託したん、だ。
   それを、スクラップにされて堪るか )

[容易にそう察することのできたメカニックの回収作業は、実に手早かった。
 何か怒られた気もしたが、怒られたということは「隠れてやった訳ではない」ということなので、ゾズマは堂々とピンを鞄に仕舞い込むだけ。]
(486) 2022/07/24(Sun) 16:45:26

【人】 メカニック ゾズマ

[けれど“クルーの私物”こそ回収できても、その私物を持っていたアンドロイドのスクラップ行きまでも阻止できるわけではない。これは調査委員会での管理の後、既に決定された事項だ。
 廃棄までの間にメンテナンスがきちんと行われてたことを示すように、その機体はひどい損傷もなく、小柄な女性型の外形を綺麗に整えらえている。]

  ……、じゃ、これでお別れだね。

[誰かの脳を埋め込んでいる訳でもない(それならそれで大問題だが)、完全なる機械。
 誰かの姿を模してはいても>>431、その“誰か”そのものではない人形>>437
 コアから記録を抜き出され、役目を取り除かれたメカ。

 喩えそのメカがどれだけ人間らしく振舞おうとも。
 誰がそのメカを人間らしく扱おうとも。
 葬儀もお別れの会も、アンドロイドのスクラップ行きには必要とされないものだった。]
(488) 2022/07/24(Sun) 16:49:25

【人】 メカニック ゾズマ

[勿論、例外はある。
 コンパニオン用に開発されたメカは、所有者の意向や心情次第で、起動不能になったり大破したりした際に“葬儀”が開かれることはある。
 愛称をつけられ世間一般に広く親しまれたメカであれば、役目を終えた時に“追悼”めいた回顧特集が組まれることもある。

 けれどもこのアンドロイド・アンテナには、それらの対応が公的に為されることはなかった。
 限定状況下での感情増幅機能>>4:180まで搭載していても、これは変わらなかった。
 尤も、救助に当たった者たちも回収作業に回った者たちも、アンテナの“人間らしい”姿を目の当たりにすることはなかったのだが>>17>>18>>*0>>19。]

「メカは全部モノだって割り切る」、って
 ほうのメカニックじゃなくて、悪い?

[「別れ」を口にした時に聞き拾った、現場責任者からの皮肉には、何の表情も作らずに淡々と返した。]
(489) 2022/07/24(Sun) 16:49:58

【人】 メカニック ゾズマ

[ミスティックアンテナ号の艦体自体の今後の措置は、解析結果を見て判断するとのこと。
 展示の際の危険性を高める程の損傷がなければ、モニュメントとして形を留める道も未だある。展示に適さないと判断されれば、バラバラにされていく。
 一方でアンドロイドのほうは、記念物として残す選択すらも採られない。“ヒトガタ”であるが故の“呪い”めいたおそれの感情がヒトにあるが故に、敢えて記念物にはしなかったのかもしれない。

 こうしてゾズマは、廃棄所に搬送されていく、文字通り物言わぬヒトガタのメカを見つめていた。]


   さよなら、キャプテン。
    みんなを、生きて還してくれて、ありがと。


[これはまだチャンドラが死亡しておらず、私的な“お別れの会”の提案>>456>>457も出ていない頃の話。
 “告別式”ならぬ作業の場で、見送り人として、努めて涙を抑えてその“最期”を見届けていた。**]
(490) 2022/07/24(Sun) 16:50:39
メカニック ゾズマは、メモを貼った。
(a57) 2022/07/24(Sun) 16:59:03

【人】 メカニック ゾズマ

【チャンドラとの別れの後】

[バーナード>>464から目の赤さを指摘されれば、特に取り繕うでもなく眉を下げてみせた。
 アンテナ号が帰還してからこの間、彼が“星に帰って”いたという旨もここで聞くこととなり、はたと瞬いたのだが]

 ――そっか。そういやさっき、
 なんかそんな話してたみたいだし。

[遠目に見ていた時にぼんやりと聞こえてきた話>>332の断片を頭の中で繋ぎ合わせるも、どうも彼の母星(それが“ノイギーア”だということも知らなかった)で色々検査されていたらしい、くらいの認識に留まる。バーナードの身体がいわゆる“普通じゃない”らしいことは、今や遠い夢の中の謝罪>>144>>194でも知れたことだけれど。]

 そっちも大変だったっしょ。
 うん、おつかれ。そしておかえり、だ。

[状況がはっきりと判らずとも、それだけは伝えられたこと。
「星に帰っていた」者に「おかえり」というのも妙だったかもしれないが、これは艦を共にしたクルーとしての出迎えの挨拶だ。]
(502) 2022/07/24(Sun) 18:10:21

【人】 メカニック ゾズマ

[さて、チャンドラのヘアピンの経緯について、想像も含めて伝えた時。
 バーナードからの返答>>465に、ゾズマは目を瞬かせた。
 それは意外な返答だったから、ではない。想像はあくまで想像だし、「わかんない」という認識自体は、そういうものかと受け入れて飲み込んでしまうものだった。
 瞬いてしまったのは――続けられた話もそうだったが>>466――なんだか“他人ではない”ものに出くわした気がしたからだ。ゾズマの場合は、自分が抱えているものが“本当に何なのか解らない”という訳ではなかったけれども]

 ……、うん。
 うん。そっか。 そう、なんだ。

[ひとつひとつの言葉に、相槌を打つ。
 そのうちに、雫が落ちる小さな音がひとつ聞こえて――。
 止めどなく零れる涙を前に、先ほど泣いたばかりの自分まで、もらい泣きみたいに目頭が熱くなるのを感じた。]

 泣くよりは笑って、なんて。
 やっぱ、無理な話、だったじゃん。

[今や破棄された遺言のことを思いながら、涙交じりに笑みを形作り]
(503) 2022/07/24(Sun) 18:11:44

【人】 メカニック ゾズマ


 わかんないまま、なら、
 わかんないままでも、いいんだと思う。
 無理に「想ってるんだー」って思っちゃうより
 全然、その方がいいし――…

[想っているのか“わからない”まま、それでも一緒にいて、いろんなことを教えて貰える。そんな日々の中で幸せを得られるなら――。
 ここでそう口にできなかったのは、バーナードとチャンドラのそんな未来の可能性が、もう、なくなってしまっていたから。]

 うん。
 あの人のために泣けるだけで、
 十分、貰っていいと思う。

[それだけでも、バーナードの元にこの月のカタチが巡ってきて良かった、と。
 「僕で、いいの」と言いながらもヘアピンを受け取った彼に小さく頷いてから、離れていく。**]
(504) 2022/07/24(Sun) 18:12:41

【人】 メカニック ゾズマ

【XDay】

[その訪問は突然だった。
 インターフォンの音が響いた>>506。決して大きくはない筈の音が、玄関扉に凭れた背中にまで伝うようだった。

 今は夜、ゴシップ目的の記者や観衆の気配も遠のいている静寂の時。それでもやって来る者がいるのか――と薄ら考えなかった訳ではない。
 けれどもそれよりもこの時は、きっとすぐに潰えてしまう淡い期待へと意識は寄せられた。

 ――スピカは、療養中。
   今の時間は外出もできなかった筈、確か。

 ――ママは、この時間は仕事中。
   ここを通りがかるルートで
   フードトラックを走らせてもいない。

 ――ルヴァは、……きっとまだ療養中。
   そもそも住所をはっきり告げた覚えはない。
   ママと住んでいた実家のことは、
   ちょっと話した覚えもあるけれど。]
(509) 2022/07/24(Sun) 19:28:34

【人】 メカニック ゾズマ



 ( ……そんな都合よく、誰か、
     来てくれる、なんて   )


[ある訳がない。
 そう思いながら、インターフォンの画面――ではなく、玄関扉に備え付けられた覗き窓に目を近づけた。]
(510) 2022/07/24(Sun) 19:28:51

【人】 メカニック ゾズマ

[昔話の化物の幻にでも遭ったかのように、暫く、玄関扉の前で硬直する。そこからゾズマがドアノブに手を掛けるまでの時間は、およそ20秒ほど。
 目にしたそのひとの姿を未だ信じられないまま、鞄を靴置き棚の上に置いてから、おそるおそる玄関扉を開いた。]

  なん、で。
  なんで、アンタ、が。

[隔てる扉を開け放った先、確かにルヴァは立っていた>>507
 普段の無表情が嘘であるかのように思いっきり驚きの滲んだ顔で、瞬きすらもせずに目の前のひとを見つめる。
 彼は最後に見たときよりも、少しやつれて見えて。笑っているようで、泣いているようでもある、そんな顔をしていた。
 もしかしたら自分の音信不通がルヴァに勘違いを起こさせていたのかもしれない>>496と考える余裕も、この時はなくて]
(511) 2022/07/24(Sun) 19:30:06

【人】 メカニック ゾズマ


 ルヴァ。

[なんで本当にここが判ったの、とか。
 体調がまだ悪いのに来てくれたんだ、とか。
 ……自分を忘れてなんていなかったんだ、とか。
 そんなカタチある思考は、彼に抱きしめられた時に、すぐに吹き飛んだ。]
(512) 2022/07/24(Sun) 19:30:39

【人】 メカニック ゾズマ


 ルヴァ。
 ルヴァ、ルヴァ あ、ああ、ああああ……

[耳元で告げられる言葉に返したい言葉を、すぐには口から発せられない。
 言葉よりも前に、どうしようもなく涙がこぼれて、泣きじゃくって、ひたすら名前を呼び続けて、また泣きじゃくって。
 夢ではない現の中で、確かな腕の力と温もりに包まれるのを感じて――。
 泣きじゃくりながら、思いっきり、ルヴァを抱きしめ返した。]
(513) 2022/07/24(Sun) 19:31:42