【人】 桧垣 やよい[ 無口で真面目だったお父さん やさしかったお母さん。 当時のことはぼんやりとしか思い出せない。 事故よりも前のことは、もっともっと思い出せない。 だから、お父さんとお母さんのことも、 はっきりと憶えているわけではないの。 お父さんやお母さんが残した日記を読んで こんな人だったのかな、って思うだけ。 とある夏の日。 ザァァ、という雨の音と、 だんだん暗くなる外の景色 お気に入りのぬいぐるみを抱きしめて、 女の子がひとり、両親の帰りを、待っていた。 ずっと、ずっと、ずっと。 ずっと、ずっと、ずっと 待っていたんだ。 ………そんな、気がするんだ。 ] (3) 2023/02/10(Fri) 14:41:40 |
【人】 桧垣 やよい[ うさぎに猫、犬のぬいぐるみ。 ベッドに並べられたいくつかのぬいぐるみが 私の目覚めと眠りを見守っている。 古びたぬいぐるみたち。 どこに行くにも、一緒だった。 もうすぐ10年。 今年も、あの夏が来る。 手近にあった ── というよりも、 気づけばいつも、このぬいぐるみを抱きしめている 小さく笑ってその子を撫でて もうすぐ夏だねえ、と独り言を言う。 ] (5) 2023/02/10(Fri) 14:42:48 |
【人】 桧垣 やよい[ 学校から帰って来て、制服のままで。 暖かい日差しでついうっかり眠くなりそうだ だめだめ、このままだと、宿題が… 早くやった方がいいってこと、 分かってるのに、眠気には逆らえなくて。 忘れないように、スマホに『宿題』とだけ打ち込んで そのままうとうと、目を閉じる。 ] (6) 2023/02/10(Fri) 14:43:49 |
桧垣 やよいは、メモを貼った。 (a1) 2023/02/10(Fri) 14:51:59 |
【人】 愛智 哲弥良く知りもしないのに、 好きになんてなるか普通? ないない、俺は絶対ないね [ 惚れっぽい友人の話を、 そうして笑い飛ばしていたというのにな。] (9) 2023/02/10(Fri) 19:05:14 |
【人】 愛智 哲弥[ 高校2年の終わり、両親が離婚した。 少しずつ冷えていく両親の関係に気づいてはいたし、 離婚すると聞いた時は、 あぁやっとか。 と、子どもらしくない感想を抱いたくらいには、 そのことに対して何も思っていなかった。 中学2年の妹は、母のもとへ。 そして、俺は父のもとへと。 別れて引き取られた妹は、 離れたくないと泣いていたのを、 会えなくなるわけでもないのに どうしてそんなに悲しいのか。と、 不思議に思いながらも、笑って慰めた。 それから、タイミングがいいのか、悪いのか。 父の転勤も決まり、高校3年の春という時期に 俺は、転校をすることになった。] (10) 2023/02/10(Fri) 19:05:17 |
【人】 愛智 哲弥[ 昔から、俯瞰して物事を見てしまう。 当事者だとしても、感情が強く揺れることがなくて よく笑って泣く妹と違って、 俺は不気味だったのだろう。 小さな頃、眉を寄せながら 顔を覗く親の顔をよく見ていた。 中学に上がる前には、そのことを理解して、 年相応に笑ったり泣いたり、怒ったり、 取り繕うことを学んだ。 だけど、そう。 結局は、見様見真似だったから、 友人たちとの別れも、 それなりに仲は良かった筈だけど。 そこまで悲しいと思わなかったのも、 別れを惜しんで貰えなかったのも、 きっとそんな俺の薄っぺらな感情を見抜かれて、 そこまで深い関係を築けなかったからだろう。] (11) 2023/02/10(Fri) 19:05:19 |
【人】 愛智 哲弥[ 彼女に出逢うまでは。 まだ、出逢ったばかりだというのに、 君のことを、名前すら知らなかったのに、 俺は、君に 恋 をしてしまった―― ] (13) 2023/02/10(Fri) 19:05:23 |
【人】 愛智 哲弥[ 君を想うと、胸を打つ鼓動が早くなる。 君のことを、自然を視線で追ってしまう。 君の傍を通ると、周囲の温度が 数度上がった錯覚をする。 化学的にありえないのに、 論理的に証明もできない。 そんな初めての感覚に、最初は戸惑うばかり。] (14) 2023/02/10(Fri) 19:05:25 |
【人】 愛智 哲弥[ 君に出逢ってから、俺は初めての経験ばかりだった。 視線が合えば、思わず逸らしてしまって、 それでも、また視線を向けて、 照れを含んだ笑みを浮かべたり、 君のことを知りたくて、 自分から声をかけることもあったり。 読んでいる本があれば、面白いか聞いて、 宿題に悩んでいれば、何処で詰まったか聞いて、 少しでも君の記憶に残れる存在になろうとした。] (15) 2023/02/10(Fri) 19:05:27 |
【人】 愛智 哲弥よし、これでよし [ 走らせていたペンを止めて、 終わった宿題に満足そうに笑えば、 明日、君に ―― 桧垣さんに会えるのを待ち遠しく思う。**] (16) 2023/02/10(Fri) 19:05:28 |
愛智 哲弥は、メモを貼った。 (a2) 2023/02/10(Fri) 19:31:45 |
【人】 桧垣 やよい[ ん …… 両手をめいっぱい上へと伸ばす。 窓から入る日差しは傾いていたけれど、 髪の毛に残る熱がさっきまで この場所を照らしていたことを教えてくれる。 何か夢を見ていたような気がするけれど、 内容はよく思い出せいまま瞼をこすった。 制服のまま寝ちゃったんだ。 えっと、今何時だっけ? 時計を確認しようとスマホを持ち上げると、 メモに残された「宿題」の文字に口が半開きになる。 ] (18) 2023/02/11(Sat) 0:39:05 |
【人】 桧垣 やよい[ 眠気には抗えなかった。 分かっているけれど!分かっているけれど! 1時間前の私に声を大にして言いたい。 後回しは良くないよ!!って。 文句を言ってもどうしようもないから、 抱きしめていたぬいぐるみをベッドの定位置に戻し 起き上がるとわたしは机へと向かった。 ] (20) 2023/02/11(Sat) 0:40:16 |
【人】 桧垣 やよい[ 今年になって始めた一人暮らし。 古びたぬいぐるみに思い出の写真。 友達や幼馴染からもらったもの。 並べられた大切なものや好きなもの、 それを見るたびに一人だけど一人じゃない気がする。 他の友達みたいに、帰宅を迎えてくれる家族はいない。 賑やかな食卓でご飯を食べることはできない。 だけど、学校に行けば会える人たちがいる。 それは私にとっての幸せのひとつだ。 ] (21) 2023/02/11(Sat) 0:43:32 |
【人】 愛智 哲弥[ 参考書ばかりで隙間の多かった本棚は、 今まで俺が興味を持たなかった ファッション雑誌などで、少しずつ埋まっていく。 青色で統一された殺風景な部屋が、 色付くように物が増えていくのが妙に嬉しくて。 部屋をちらり、と見渡して、 一人小さく笑っていた。 宿題を終えて、止めたペンをくるり、と 機嫌良さげに回してから、筆箱にしまえば、 明日の授業の予定を確認して、荷物を整理する。 そうしていれば、窓の外はすっかり暗くなっていた。 そろそろ父が帰ってくるから、 夕飯の準備をしなければいけない。] (24) 2023/02/11(Sat) 9:43:16 |
【人】 愛智 哲弥[ ぱたり、と静かに部屋をでて、 足音を殺してキッチンへと向かう。 小さなアパートだから、気を付けないと 階下に足音が響いてしまうから、 いつのまにか、こうして歩くようになった。 冷蔵庫から食材を取り出して、手際よく調理していく。 料理はべつに上手くはないけど、 人間が生きていくには、食事は必要だから、 作れる時はこうして作っていた。 程なくして出来上がった炒飯とスープ。 一人分をよそって自分だけで食べる。 父の分も盛り付けておけば、ラップをかけて 机の上へと置いていく。 一緒に家に住んでいても、あまり顔を合わさない。 顔を合わせても何を話せばいいのか お互い困ってしまうので、楽でいいのだけど。] (25) 2023/02/11(Sat) 9:43:18 |
【人】 愛智 哲弥[ そのうち、妹のように 今日何があったか、なんて話せたらいい。 そんなことを思うようにもなったのは、 俺が彼女と出逢ったおかげなのだと思う。 ほんのりと胸の奥に温かさを感じながら、 今日という一日を終えた。] (26) 2023/02/11(Sat) 9:43:20 |
【人】 愛智 哲弥― 翌朝・学校にて ― [ 人より少し早い時間に教室の扉を開く。 誰かいれば、おはようと挨拶をしてから、 自分の席に座った。 疎らに登校してくる生徒たちを窓の外に眺めながら ぼんやりと過ごす朝の時間が結構好きで、 頬杖をつきながら、転寝をしていた。 特別な音が聞こえてくるまで――**] (27) 2023/02/11(Sat) 9:43:22 |
愛智 哲弥は、メモを貼った。 (a3) 2023/02/11(Sat) 9:45:17 |
【人】 桧垣 やよい[ もしもうたたねしているままなら おはようなんて声はかけないけれど もしも、もしもだよ。 起きてこっちを振り向いたり、 そんなことが奇跡的に起こるなら ] お、おはよう、 愛智くん。 [ 声をかけるくらい、 神様、私に時間を、くれますか。 ]** (31) 2023/02/11(Sat) 12:50:28 |
桧垣 やよいは、メモを貼った。 (a4) 2023/02/11(Sat) 12:52:00 |
【人】 結城 朔也[ 唯野市民なら一度はお世話になったことが あるかもしれない『結城病院』。 その跡取り息子で、成績優秀、進路は医学部志望。 誰にでも人当たりの良い優等生。 ……なんて言ったら、 みんなが僕を、すごいという目で見るだろうか。 ] (33) 2023/02/11(Sat) 14:13:26 |
【人】 結城 朔也[ そんな人間が、唯ひとりだけ接し方が違ったら、 付き合ってる、なんて噂が流れても おかしくないんじゃないかな。 ] おはよう、やよい [ 朝、登校の時に会うことがあれば、 にこやかにそう声を掛ける。 幼馴染である彼女と再会したのは、 高校に入学した時のこと。 離れていたとはいえ、幼い頃は それなりに仲が良かった……はずで。 それに、彼女に起こったことを思えば、 気にかけてしまうのは当然で。 だから親しげに彼女を呼ぶのだって、 何もおかしくはない。 だって、幼馴染なんだから。 ] (34) 2023/02/11(Sat) 14:15:03 |
【人】 結城 朔也[ 彼女を誘って、昔からあるカフェや、公園、 ショッピングモールへ。 懐かしいね、って思い出を辿ることもあった。 君には、その記憶はないのかもしれないけど。 そうだね、そんなところを見られたら、 付き合ってる、なんて思われても 仕方ないのかもしれない。 ] やよいは、幼馴染だよ [ だけど、そう尋ねられても、返すのはいつもそれだけ。 ] (36) 2023/02/11(Sat) 14:17:56 |
結城 朔也は、メモを貼った。 (a5) 2023/02/11(Sat) 14:20:37 |
【人】 愛智 哲弥[ 君から挨拶をしてくれた日は、良い日。 うっかり転寝していると、声をかけられない日もある。 残念ではあるけど、そんな日も 些細な気遣いを嬉しく思ってしまうのだから、 恋というのは、面白いよね。**] (39) 2023/02/11(Sat) 15:00:55 |
【人】 結城 朔也[ ただそれだけ、の関係が、 少しばかり変わったのは、高校三年生の春だった。 ある日、やよいのクラスを訪ねていった。 やよいは一人暮らしを始めた頃だったかな。 僕の父もやよいのこと、気にかけているし、 引っ越し祝いのクッキー缶を、渡しに行った時かな。 僕に頼まなくても、って、思うんだけど。 ]困ったことがあったら、相談に乗るから [ 僕に言えるのはきっとそれくらい。 ……僕に出来る一人暮らしの手伝いなんて、 きっとひどく少ない。 それでも、次はどこへ誘おうか、なんて考えていた。 やよいが、楽しんでくれたら良いなって、思ってた。 その場で誘うことはなかったけど。 じゃあね、と、やよいのところから去ろうとして、 ] (41) 2023/02/11(Sat) 16:34:36 |
【人】 結城 朔也[ 振り返ったことに理由はなかった。 けれど、去ろうとした別クラスの教室の中、 僕から外されたやよいの視線が、 ある方を向いてるのに気付いてしまった。 ……そういえば同じ学年に転校生が来たと聞いた。 こんな時期だけれど、と。 その転校生の彼を見つめるやよいの視線が、 ] (43) 2023/02/11(Sat) 16:35:49 |
【人】 結城 朔也[ ……分かるよ、幼馴染だから。 なんてね? じゃあ彼……愛智哲弥くんっていう名前 だっていうのは知った。 僕も気にしてしまうようになった愛智くんが、 やよいに好意を寄せてるんだろうな、って解るのは、 どうして? ] (45) 2023/02/11(Sat) 16:38:03 |
【人】 結城 朔也[ 欲しいものは、なんだって、 ―― 手にしているように見える? ] [ そう見えているなら、別に知らなくて良い そう、大切なものは、いつだって、 ―――― ] (47) 2023/02/11(Sat) 16:42:02 |
【人】 愛智 哲弥[ 彼は、幼馴染であると、 そう答えているらしいけれど、 直接、それを聞いたことはない。 事実であると知るのがきっと怖いからだ。 初めて芽吹いた感情の行き場を失うのが、 摘まなければいけないものと知るのが、 ―――― 怖いからだ。**] (51) 2023/02/11(Sat) 19:10:26 |
【人】 桧垣 やよい[ でもそっかぁ。 宿題忘れてきちゃってたら、 愛智くんに勉強教えてもらえたのかな、って だめだめ。そんな迷惑かけるようなこと。 心に浮かんだどうでもいいうしろめたいこと、 かき消すように、ちょっとだけ首を横に振る。 ] ……でももうすぐテストもあるね がんばらなきゃなあ。 高校三年生の今が一番! 成績は大事なんですよ〜って 先生、耳にタコできるくらい言うんだもの [ 愛智くんは勉強できるほう…だったよね(違ったかな) 私は…… どうかな。 少なくとも私は、テストが近づくにつれて やだな〜〜と思うくらいには、 あんまり、勉強するのは、好きじゃなかったかも ]** (58) 2023/02/11(Sat) 20:14:42 |
【人】 愛智 哲弥あぁ、そっかテストか…… [ 先生の耳にタコができるほど言われることに 確かに、と笑い返しながら、 悩むように、躊躇うように、 少しだけ視線を泳がせてから、] まだ、その先生の出題傾向とか…… そういうの分からなくて、 桧垣さんよければなんだけど [ そこまで言ってから、 彼氏がいるかもしれない子に、 こういう誘いをしてもいいのかと、 ほんの一瞬、迷って口ごもる。 それでも、確証もないし、 できれば、ちゃんと誘いたいと、 なんとか、自分を奮い立たせて] (60) 2023/02/11(Sat) 21:25:34 |
【人】 愛智 哲弥…… 時間が合えば、 放課後とか、昼休みとかで、 一緒に勉強……する? [ 勉強は、どちらかというとできる方。 現代文や日本史とかは苦手だけれど、 理科、化学、に数学あたりは得意だ。] あ、もちろん ほかに予定があるなら断っていいし、 友だちを呼びたいとかあったら、 言って……くれていいから…… [ 照れ隠しに、後ろ頭を掻いて、 ふふと、こそばゆそうに笑った。**] (61) 2023/02/11(Sat) 21:25:36 |
【人】 桧垣 やよい……うん、うれしい。 予定ない日に、 勉強、教えてくれるとうれしいな [ 大好きな大好きな、愛智くん。 まだ、哲弥くんなんて呼べないけれど、 いつかこの関係が縮まったらいいな、……なんて。 私はこの先を思い描いて、微笑んだ。 ]** (64) 2023/02/11(Sat) 22:08:35 |
【人】 愛智 哲弥ふふ、そうなんだ? あ、でも俺も髪の毛洗ったっけ?って もう1回シャンプーしちゃうこともあるし [ ぼんやりしちゃうことはあるよね。と、 おばあちゃんになっちゃったと、笑う君に、 同意するように言葉を重ねた。 大事なものは、形にしておくこと そうしておこないと、人の記憶から、 思い出も存在も、容易く消えてしまうことを、 俺は、良く知っている。] (65) 2023/02/11(Sat) 23:13:24 |
【人】 愛智 哲弥俺も嬉しいな じゃあ、また都合のあう時あったら教えてね 学校でもいいし…… [ 連絡先交換する?と、 ドキドキとしながら、一つ提案をしつつ、 返事がどうであれ、約束を交わせたことに 表情には出ていなかったけれど、心を躍らせて。 君と過ごせる時間を思い描いて、微笑んだ。] (68) 2023/02/11(Sat) 23:13:54 |
【人】 愛智 哲弥おっと、そろそろ予冷が鳴るね 詳しい話は、またあとで [ 教室前方の時計を指させば、 ホームルームも時刻が迫っていることを告げる。 正直、もう少し話をしていたかった。 あと少し、ほんの少しでいい。 顔を合わせて、言葉を交わせたら、と思う。 でも、時間は有限で、時は勝手に止まってくれない。 だから、名残惜しそうにしながら、 それでも、またと言えることに密かに喜んで、 浮足立った気持ちを抑えるように座り直した。**] (69) 2023/02/11(Sat) 23:13:57 |
【人】 愛智 哲弥[ 君をいつか 幼馴染の彼のように やよい、と、名前で呼べる日が来たら そんな日が来たらいいと願いながら、 今日もひとつ、君の新しい一面を知れたことに じわりと胸の奥に 熱 を灯らせていた。**] (70) 2023/02/11(Sat) 23:17:12 |
【人】 結城 朔也[ 僕にとっては、 デート なのだと、それは彼女には、伝わらなくていい 彼女の好きそうなものを考えて、 行く場所を選んで、誘って、 そんな時間は、僕にとっては、 そわそわ落ち着かないけれど、大切なものだ。 そのクッキー、昔、君にあげたことあったね。 ]覚えてないかもしれないけど。 (73) 2023/02/12(Sun) 0:09:47 |
【人】 結城 朔也[ 幼い頃の別離は、 僕にとってひどく苦しい思い出だった。 だから今度は、今度こそは、 いなくなってほしくない、って、思う。 ] (75) 2023/02/12(Sun) 0:11:29 |
【人】 結城 朔也[ 自分のものではないクラスの前で立ち止まったのは一瞬。 誰かに「おはよう」と声を掛けられたら、 きっといつもの、優等生の顔をしている。 ] (80) 2023/02/12(Sun) 0:14:36 |
【人】 結城 朔也―― 高校生になった彼女と ―― [ 僕がやよいと再会したのは、 高校に入学して直ぐの、雨の日だった。 そう、入学式の日だったね。 帰り道、降り出した雨に、傘を半分貸してくれた君。 ……情けないことに、僕はその時道に迷っていた。 まだ慣れない通学路に、 財布まで落として途方にくれていた。 ] ……え やよい、ちゃん……? [ そこに現れたのが君だった。 すぐ分かったのは、おかしいかな? 君は、僕のこと、分からなかったかもしれないね。 ] (82) 2023/02/12(Sun) 0:47:18 |
【人】 結城 朔也[ それでも彼女は傘に入れてくれて、 あろうことか、財布も一緒に探してくれた。 更には、スマホで道まで検索してくれて…… ……待って。僕、スマホは落としてなかったね。 それだけ焦っていたってことだったんだろうけど、 カッコ悪いとこ、見せちゃったなあ。 ] ほんとにありがとう お礼はする、から…… えっと、同じ学校だよね だからこれから学校でも……よろしく [ 昔も今も変わらない優しさ。 幼い頃の思い出が、色鮮やかに蘇る。 幼い僕は、やよいのことが 好 きだった。そして今も――それは変わらないのだと、自覚した。 ] (83) 2023/02/12(Sun) 0:48:22 |
【人】 結城 朔也[ 後日、学校で、 お礼に彼女に渡した花束みたいなキャンディと、 それからテディベアの小さなぬいぐるみのキーホルダー。 彼女に何を思わせたのかは分からないけど。 僕にとっては、傘を分け合ったことさえ、 相合傘のように思えるくらい、 仕舞い込まれた彼女への想いは、大きくなっていて。 ] (84) 2023/02/12(Sun) 0:49:06 |
結城 朔也は、メモを貼った。 (a6) 2023/02/12(Sun) 0:55:34 |
桧垣 やよいは、メモを貼った。 (a7) 2023/02/12(Sun) 9:05:50 |
【人】 愛智 哲弥― ある日の廊下 ― [ 大量のノートを抱えて、慎重な歩みで廊下を歩く。 たまたま職員室前で教師に出くわしてしまって、 『理科実験室に返却する課題ノートを運んで欲しい』 と、頼まれてしまった。 転校してきてからそれなりに経っているから、 場所は覚えているけれど、頼む相手として、 適当なんだろうかと思いながら、 頼まれたのだから仕方がないと、 目的の場所を目指す。 確か、あの角を曲がって、二つ目が…… ぼんやりとそんなことを考えながら 曲がり角に差し掛かったせいか。 近づく気配に気づけなくて、 慎重に歩いていたせいで もしかしたら、相手も気づいてなかったのか。] (89) 2023/02/12(Sun) 12:41:43 |
【人】 愛智 哲弥ごめんなさ……あ、 [ 残ったノート抱えたまま、 ぶつかった相手に謝罪しようと、視線を向けると そこにいたのが、結城 朔也で、 思わず言葉が止まってしまった。**] (91) 2023/02/12(Sun) 12:41:47 |
愛智 哲弥は、メモを貼った。 (a8) 2023/02/12(Sun) 12:43:41 |
【人】 桧垣 やよい── 朝・朔也くん ── うん、楽しかったな。昨日のお出掛け。 [ 美味しいクッキーを食べて、 昨日はちょっと背伸びしてカフェラテを飲んでみた。 クッキーはどこか懐かしい味がして、 素朴な見た目の想像を超えて美味しく感じた。 誘って良かった、って。 その言葉が嬉しくて、だけど複雑で。 なんて言ったらいいか分からない表情で笑った。 だって、 ] (92) 2023/02/12(Sun) 15:44:33 |
【人】 桧垣 やよい[ 両親が亡くなって、桧垣やよいはひとりぼっちだった。 だけど今は、ひとりぼっちではない。 その心を埋めるのは、誰なんだろう。 桧垣やよいを好いていてくれることを知っていて、 これじゃまるで彼を利用しているみたいだ。 ] (95) 2023/02/12(Sun) 15:44:53 |
【人】 桧垣 やよいありがとう。 ご飯はちゃんと食べてるよ。 ……たぶん。 だけど最近ちょっと疲れ気味だから、 気を付けて食べるようにするね。 [ いつも優しいのは彼の方だ。 優しいのはわたしなんかじゃない。 その優しさに甘えてここまできてしまった。 校舎に入るとじゃあねと手を振って、 それぞれの教室に別れる。 ] (96) 2023/02/12(Sun) 15:45:26 |
【人】 桧垣 やよいごめんね ………… [ 離れていく背中にそっとこぼす。 本当はあの日、 わたしは花束みたいなキャンディと、 テディベアの小さなぬいぐるみのキーホルダーを 受け取っちゃいけなかったの ] ** (97) 2023/02/12(Sun) 15:45:31 |
【人】 愛智 哲弥― あれから、少しして ― [ 桧垣さんとは、テスト勉強の約束をしてから 勉強を教え合ったり、校内や外でも会うことが 少しだけ増えていたかな。 君の明るさ、優しさ。 時折、寂しそうにみえる表情すら、 俺にとっては愛しくて、時間を重ねる度に 君への想いは強くなっていくばかりだった。 一人暮らししているって本当? 俺も同じようなものだけど。 そんな話をすることもあっただろうし、 理由を聞かれれば、両親が離婚したことや、 父と二人であることとか、妹がいて、 今でもよく連絡をくれることとか、 何でもないことのように軽く話しただろうね。] (98) 2023/02/12(Sun) 19:56:09 |
【人】 愛智 哲弥得意料理とかある? 俺は……炒飯とか、簡単やつ たまに揚げ物食べたくなるけど面倒で…… [ そんな他愛もない話をしたり、] 一人暮らしってことは、全部一人でしょ 大変だろうけど…… 無理はしないようにね 一人だからこそ、楽できることは楽しなよ? ちなみにこういうずぼら術が…… [ 心配をしながら、笑って、 君の役に立てたらとこっそり調べたことを教えたり、 そんな風に距離を縮めようとしていた。 でも、一人暮らしの理由については、 君から話をしなければ、聞くことはしなかった。] (100) 2023/02/12(Sun) 19:56:14 |
【人】 愛智 哲弥[ 踏み込んだことを聞いて、 君に嫌われるのが怖かったんだ。 今までそんな風に思ったことはなかったのに、 誰に嫌われても、好かれても気にしなかった。] (101) 2023/02/12(Sun) 19:56:16 |
【人】 愛智 哲弥― 夏祭り数日前 ― [ だから、俺は。 もう少ししたら、夏祭りという日。 宿題を一緒にやっていたか、登校日だったか。 もしくは、連絡先を交換していれば、 メールやメッセージで。] 今度ある夏祭りなんだけど、 もし他の人と約束したりしてなかったら、 一緒に……行かない? [ 頬がいつもより赤かったのは、 きっと、夏の暑さだけではない。 直接、会っていたのなら、もしかしたら 緊張で声が震えているのに、 気づかれてしまったかもしれない。 君と一緒に過ごす初めての夏。 勇気を振り絞って、君を祭りに誘った。 返事を待って、その答えを聞くのが 怖くて、でも少しだけ期待して―― 。**] (103) 2023/02/12(Sun) 19:56:21 |
結城 朔也は、メモを貼った。 (a9) 2023/02/12(Sun) 20:58:38 |
【人】 桧垣 やよい[ だけど夏祭り数日前、 愛智くんからメールが届けば、 きっと光よりも早く私はスマホを手に取って ] 行きたい。 絶対行く。 [ 考える間もなく、返事を返す。 愛智くんとの夏祭り、絶対楽しいに決まってる。 断る理由なんて、私には、なかった。 スマホを手に持ったまま、 私はベッドでごろごろと転がって うれしい、うれしい、と口に出す。 頬が熱い。 浴衣、持ってないな… そうだ、時間とか決めなくちゃ… 目を閉じて、微睡む。 この時がずっと続けばいい、そんな風に願いながら 私は、そのまま、眠りに落ちた。 ]** (106) 2023/02/12(Sun) 22:50:57 |