人狼物語 三日月国


242 『慰存』

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視点:


プロローグ

【人】    



『安堵という媚薬が人に狂気を孕ませる。』



  
(0) 2024/01/06(Sat) 0:17:24
到着: 葉山 裕太郎

到着: 七海 聖奈

【人】 葉山 裕太郎


[薄暗い部屋ですらすらと執筆に没頭する男の名は葉山裕太郎。葉山はお世辞にも有名とは言い難い、ベストセラーと呼ぶにはしがない小説家であった。

華やかな生活の象徴とは程遠いワンルームマンションに篭もり執筆する小説は、一部のファンを持つものの大当たりする事はなく、自信を持っていたミステリー小説というジャンルも結果は中々奮わない。

ひょっとしたらストレスの捌け口に別名義で時折執筆している官能小説の方がまだ人気があるのではないかとさえ思う。
現に、サイン会などのイベントはいつも別名義の官能小説の方ばかりだ。
本業じゃないからと名義を適当にしたことを、葉山は末代まで後悔することになるのだが。


これでは小説家を名乗るのも烏滸がましいのではないかと、葉山は頭を抱える日々を送っていた。]

(1) 2024/01/06(Sat) 22:45:53

【人】 葉山 裕太郎


[そんな作家としての才覚に疑問が残る葉山だが、意外にも生活はキッチリとしている。

愛用しているタバコの銘柄とはもう五年の付き合いで、食生活もしっかり自炊と外食を使い分けている。
本人としてはこだわりがないのだが、日々におけるルーティンを大事にするという性格が、この生活を成り立たせているのだ。

朝食も毎日しっかり摂る葉山は朝になれば冷蔵庫の中を開ける。

葉山は朝食はいつもたまごサンドと一杯の紅茶、紅茶は駅前の紅茶専門店で売っているアールグレイで、砂糖は入れずポーションミルクを入れたミルクティーにすると決めている。
一日の活力を見出すために、これも必要なルーティンなのだが。]

(2) 2024/01/06(Sat) 22:47:07

【人】 葉山 裕太郎



      うわ、やっちゃった…………。


(3) 2024/01/06(Sat) 22:48:01

【人】 葉山 裕太郎


[なんとたまごサンド用の卵が切れていたのだ。
このままでは近くのスーパーまで買いにいかなければ、たまごサンドは夢の中に消えてしまう。
だがしかし、いくら歩いて5分の場所にある24時間のスーパーとはいえ朝6時から買いに行くのはやや億劫だ。]


      買いに行くか……

               さっむっ…!



[しかし諦めたように外コートを羽織って外に出ると、季節に暴力を振るわれてしまって、深くため息をつくのだった。]*

(4) 2024/01/06(Sat) 22:49:41

【人】 七海 聖奈



   『まさか復讐の手段が性病を感染すことなんて…
    読んでいて驚いてしまいました。
    甘い蜜を吸ったと思っていた人が
    地獄に落とされた瞬間の描き方が好きです。
    愛憎両方を併せ持つ魅力は
    普通の作品では味わえないので
    是非読んでみて欲しいなと思います。

          
…………とても人は選びますが。』



          ××出版 「ambivalence」
          ネタバレありレビュー

  
(5) 2024/01/06(Sat) 23:37:36

【人】 七海 聖奈


[私は小さい頃から本を読むのが大好きでした。
 書くことにも興味はありましたし、
 書いてみたこともあったのですが。
 文才がない、とすぐに思い知らされてからは
 書くことはせず、読書ばかりするようになって。

 ジャンルは選ばずに様々な本を読んでいるうちに
 読んだ本の記録を残しておきたいな、なんて考えて
 レビューサイトに感想文を投稿することが
 日課になっていきました。 ]
 
(6) 2024/01/06(Sat) 23:38:12

【人】 七海 聖奈


   ……やっぱり文才はないから。
   見た人の興味を引く感想は
   あんまり書けていないのだけれど。

 
(7) 2024/01/06(Sat) 23:39:05

【人】 七海 聖奈


[ミルクティー片手に書いてた感想が
 無事投稿されたのを見届けた後は
 好きな作家さんが新しい本を出すかとか
 今流行りの本は何か、とか情報収集の時間。

 普段はあまり収穫がないことも多いけど
 
今日はと言えば……。]

 
(8) 2024/01/06(Sat) 23:40:25

【人】 七海 聖奈



   
……えっ?!?!


  
(9) 2024/01/06(Sat) 23:42:43

【人】 七海 聖奈



   血腹先生のサイン会…!!!
   
ぜっっったいに行きたい!!!!


  
(10) 2024/01/06(Sat) 23:42:57

【人】 七海 聖奈


 
   どうしよ、バイトのシフト変更間に合うかな…
   いやいや、その前に服どうしよう、
   何にサイン書いてもらおう……


  
(11) 2024/01/06(Sat) 23:43:49

【人】 七海 聖奈


[立ち上がった勢いで空のカップがごとりと
 鈍い音を立てて落ちたのにも構わず。

 落ち着きなくうろうろと歩き回って
 本棚の方に目をやれば
 私の好きな作家さんの官能小説が並んでいた。]
 
(12) 2024/01/06(Sat) 23:44:13

【人】 七海 聖奈


[……言えません。もちろん友達には言えませんし
 こんな部屋には友達を呼ぶわけにはいきません。
 
だって恥ずかしいじゃないですか!

 
 私は性癖暴露大会なんてしたくありませんから。
 この作家さんが好きなんだ、とか
 友達と話すなんてことしたことありません。
 レビューサイトも本名ではないですし
 きっと私の趣味を知っている人なんていません。
 ……居たら困ります、色々と。]

  
(13) 2024/01/06(Sat) 23:44:55

【人】 七海 聖奈



   
……眠い、な。


   もうこんな時間か……
   休講で本当に助かった……。

   今日は16時から21時までのシフト……。
   うん、朝ごはん食べたら寝よう。

  
(14) 2024/01/06(Sat) 23:47:11

【人】 七海 聖奈


[本を読んでいたら夜が明けていた、なんていつものこと。
 暫くうろうろしてた私ですが
 時計を見てもう朝だと気づくと
 とたんに眠気と空腹感に襲われてしまって。
 何かないかな、と冷蔵庫を見てみても
 なんにも入っていません。

 …………やってしまいました。
 本ばかり読んで、肝心の生活は疎かになりがちで。
 流石に何もないのはまずいですよね。


 でも、こんな時間からやってるスーパーなんて……
 そういえば、少し離れたところにあるんだっけ。

 歩いていくには遠いけれど自転車なら
 ギリギリ許容範囲かな、とコートを羽織り
 マフラーをまいて外に出ることに。  ]
  
(15) 2024/01/06(Sat) 23:47:45

【人】 七海 聖奈



   さむい……
   でも行かないとなんにもない……。



[寒さにUターンしたくなったものの
 戻ったところで何もないし。

 しかたないな、とため息をついて
 アパートの自転車置き場へと歩き出すのでした。]*
  
(16) 2024/01/06(Sat) 23:48:24

【人】 葉山 裕太郎



   『奇才・血腹 妖が□□書店にやってくる!』



(17) 2024/01/07(Sun) 0:28:13

【人】 葉山 裕太郎


[たまごサンドの苦難を乗り越えたとしても葉山に降りかかる第二の試練。そう、サイン会だ。>>10
サイン会は今日からちょうど一週間後、駅前の本屋の中で行われる。

名義は当然、葉山では無い方の。

抵抗がないと言えば嘘になるが、購読者を蔑ろにするわけにはいかないとサイン会のオファーはいつも快諾している。
しかし葉山では無い方の大きな問題はこれだ。]

(18) 2024/01/07(Sun) 0:29:26

【人】 葉山 裕太郎



      ペンネームミスったな、やっぱ………


(19) 2024/01/07(Sun) 0:29:51

【人】 葉山 裕太郎


[あまりに勢いでつけたため、ペンネームが絶妙にダサいのである。
サイン会用の備品です、と出版社から送られてきた垂れ幕に書かれたペンネームに軽く絶望を覚えたのは言うまでもなく。>>17

これではまるで黒歴史の全公開、アナログタトゥーではないかと葉山は頭を抱えるしかなかった。

以前SNSで「推し性癖を教えてください。抽選で選んで書かせていただきます。」なんて企画をやりだしたこともあったことを考えたら、黒歴史というには今更かもしれないのだが。]

(20) 2024/01/07(Sun) 0:31:02

【人】 葉山 裕太郎


[しかしつけてしまった以上は仕方ない。
たまごサンドを食べてもう現実逃避でもしよう。

寒さで悴む手をポケットに突っ込んでマンションを出ると、朝の光が灰青色の空に煌めいていた。

人は案の定ほとんど歩いてはおらず、やはり冬は安息の室内で暖を取るのが大半なのだと直ぐにわかる。葉山もまた、願わくばそうしたいと思っていた一人なのだから。]

(21) 2024/01/07(Sun) 0:32:12

【人】 葉山 裕太郎


[こんな時間なら歩きタバコも許して欲しい。
そう思って火をつけながら、一週間後のイベントに悩みながら横断歩道を待つ。

スーパーまで、もう少しだ。]*

(22) 2024/01/07(Sun) 0:34:39

【人】 七海 聖奈


[人よりは色々な本を読んできたと思います。
 小説、随筆、評論、詩……とにかく読むことが好きで
 図書館は宝物の山だと小さい頃から思っていました。

 特に好きなものはミステリー……だけでした、前は。

 あんまり知られていないけれど好きな作家さんを
 推しているのですが……やっぱり有名な人たちの影に
 隠れてしまうのか、本屋大賞受賞、みたいな
 分かりやすいヒットは出ないまま。
 魅力を知ってもらえないのはファンとしては
 残念でなりません。]

 
(23) 2024/01/07(Sun) 16:23:52

【人】 七海 聖奈

 

[まさか、推している二人の作家さんが
 同一人物だとは思いもしないまま。]


 
(24) 2024/01/07(Sun) 16:25:08

【人】 七海 聖奈


[ともかく……以前は好きなジャンルは?と聞かれれば
 ミステリーかな、と答えていました。

 血腹妖の官能小説を読んでからは魅力に気づいて
 色々…そう、本当に色々読み漁って。
 
少々人には言えない嗜好になった自覚はありますけれど。


 
でも、結局私の中での一番は血腹先生なんです!

  
(25) 2024/01/07(Sun) 16:26:14

【人】 七海 聖奈


[もちろんSNSだってフォローしています!
 通知をオンにして毎日欠かさず見ているんです。
 以前の推し性癖の企画だって参加しました!

 あの時の私は確か―――――。]
  
(26) 2024/01/07(Sun) 16:26:44

【人】 七海 聖奈


[そんな、W推しWのサイン会、
 行かないなんて選択肢は有り得ません!

 以前もあったようですが、
 私が血腹先生を知る前だったり
 バイトの都合がつかなかったり。

 巡り合わせが悪かったのか
 今までのサイン会は行けていませんでした。
 今回こそは、絶対に行きたい。
          
行かなければ。]

  
(27) 2024/01/07(Sun) 16:30:39

【人】 七海 聖奈


[頭の中はサイン会のことでいっぱい。
 前なんてろくに見ていないのに事故を起こさなかったのは
 この人が少ない時間だったからでしょう。

 誰かが見ていたら嫌な顔をされそうなくらいのスピードで
 自転車を走らせて、ようやくスーパーに到着。
 ……帰ったら寝よう、本当に。

 若干ふらつきながらも店内に入って
 カゴをカートに乗せて売り場を回っていくのです。

 普段の食生活は……
 ずぼらでお金のない大学生を体現したような感じ。
 もやしとかよく食べるし朝は食パン1枚で
 済ませてしまうような、そんな生活です。

 とはいえ、お米だって食べますし
 あんまり食費を削ろうとしても
 いいことなんてないですから
 ほどほどにはしていますけれど、ね。
 
 買った荷物を送ってくれるサービスを当てにして
 お米なんかも入れて。
 紅茶のティーバッグも忘れずに。
 あと何か忘れてるものないかな……。]
 
(28) 2024/01/07(Sun) 16:33:29

【人】 七海 聖奈



   あ、卵忘れてた!


[卵を買えばあとは帰るだけ。
 早くご飯食べて寝よう、なんて
 それしか考えていなかったものですから。
 注意力散漫になっていた私は
 誰かにぶつかりそうになってしまうのです。]*
  
(29) 2024/01/07(Sun) 16:34:07

【人】 葉山 裕太郎


[葉山にとってのサイン会開催とは本来望んでいたミステリージャンルとの決別を示している。

官能小説家(他称)が書いた作品など色眼鏡をかけて見られるのは明白だ。
それが同一人物であると悟られてはいけない以上、晒せるのは片方の顔のみ。

もうミステリー作家の葉山裕太郎が表に出ることは無いだろう。いままで通り細々と活字の仮面を被っていくことになるのだから。

だが実態は至極単純で、ミステリーの世界では腹は満たせなくなっていっただけのこと。
生業とするか趣味に留めるか、葉山もまたその選択を迫られた一人でしかなかった。]

(30) 2024/01/07(Sun) 22:01:05

【人】 葉山 裕太郎


[それでも程よく趣味の域を出ずに生業に出来るのは企画に反応をくれる愛読者の方々のおかげだということを、葉山は誰よりもわかっていた。>>26

あの企画もいわば還元の一種だが、応募が多かったので抽選で決めたのだった。]

(31) 2024/01/07(Sun) 22:01:35

【人】 葉山 裕太郎


[あの時の企画で書いたものは短編と称してかなり長くなった。なにしろシチュエーションが奥深いものだったおかげで着想が止まらなかったのだ。

当然その小説はメンバーシップに登録していれば誰でも見れるものだが、感想のコメント欄に「何食べてきたら思いつくんだろう」とか、「相変わらずエグくて推しです」とか、散々な言われようだったのは今でも覚えている。]

(32) 2024/01/07(Sun) 22:07:48

【人】 葉山 裕太郎


[あの企画、またやってもいいかもな、などと考えながら葉山は卵を買いにスーパーへ向かう。
卵コーナーは狭いから気をつけなきゃいけないのに前方不注意のまま進んでしまい、ついには誰かとぶつかってしまった。>>29


      あ、ごめん、大丈夫ですか?


[避けることが叶わず、咄嗟にぶつかりそうになった人を支えると、謝罪の言葉を告げながらなにか落としていないかと様子を伺ったのだった。]*

(33) 2024/01/07(Sun) 22:16:29

【人】 七海 聖奈


[あの時は本当にうれしかったな。
 だって、応募者が多くて自分なんか選ばれるはずないって
 そう思ってたのに、私が書いたシチュエーションが
 採用されたんですから!

 いいようにも悪いようも解釈できるもので
 応募したつもりでしたが
 書いてもらった作品は私の予想を超えていて。]
  
(34) 2024/01/08(Mon) 0:14:24

【人】 七海 聖奈


[コメント欄に残せばいいのに
 感想をわざわざSNSのDMに直接送ってしまうほど
 あの時は夢中になってしまって。

 恥ずかしい、でもどうしても直接お礼が言いたくて。
 鬱陶しいファンだと思われてしまったでしょうか?
 心の内は分からないまま、
 何度もその作品を読み返していました。]
 
(35) 2024/01/08(Mon) 0:15:45

【人】 七海 聖奈


[ぼーっとしてたせいで、
 男の人とぶつかってしまいました。
 ぶつかった拍子に落としてしまった
 スマホには気づかないまま、]


  わっ……ごめんなさい…!
  ぼーっとしちゃって、……
すみません……。



[ふらつく身体を支えてもらって
 謝罪を繰り返し、ペコペコと頭を下げます。
 だって悪いのは私ですから。

 ―――――地面に目を向けると
 落としてしまったスマホが目に入って
 慌てて拾おうと手をのばすのでした。]
 
(36) 2024/01/08(Mon) 0:18:10

【人】 七海 聖奈


[画面がついたままのスマホ。
 開きっぱなしのページには
 以前の企画で書いてもらった血腹妖の作品。

 血腹先生には男性ファンもいるとは聞いてますが
 いくら何でも見られたら恥ずかしすぎます。

 
 見られる前にスマホを拾おうとした私ですが……。]*
 
(37) 2024/01/08(Mon) 0:18:33

【人】 七海 聖奈


***


[そわそわしつつ、1週間を過ごしてサイン会当日。
 
 あの後、バイトのシフトは他の人に
 変わってもらうことに成功したし、
 着ていくものだってちょっと背伸びして。
 ピンクのふわっとしたブラウスに
 レースの黒いスカートにブーツ。
 膝丈のそれは普段の格好を考えると
 ちょっと恥ずかしいな、なんて思うのですが
 こんな機会だから、服装にはこだわりたくて。

 受け取ってもらえるかは分からないけれど
 差し入れだって用意したし、
 サインを書いてもらいたい本……
 血腹妖のデビュー作、初版のそれも
 しっかり鞄に入れて、準備は完璧です!]


  
早く着き過ぎちゃったな……



[会場となる駅前の本屋に
 2時間以上早くついてしまった私は
 暫くは暇つぶしに店内を歩きまわるのでした。]*
  
(38) 2024/01/08(Mon) 0:38:47

【人】 葉山 裕太郎


[古き良き恋文、熱いファンレターは昔から胸が高鳴る。今はそれがDMに置き換わっただけで創作に勤しむ人間にとって、好意的な感想はいつだって活力の元だ。

誰からも感想を言われなくなった時に創作家は死を迎えるという持論がある葉山にとっては、時に否定的な感想さえ有難くもあるというのに。

その感想をどうやって否定的に捉えろというのだろうか。

それが作品の感想であるのなら常にリアクションを返すのが葉山流だ。]

(39) 2024/01/08(Mon) 22:00:25

【人】 葉山 裕太郎


[とはいえ、作品の内容が内容なのでこの短編小説にこうも丁寧な感想をいただいてしまうと、この読者の方はいい意味で官能小説を読む才能があるのだとそう思わざるを得ない。

倫理観が適度に欠けていなければ、この手の小説を素直に受け入れることはできないだろうから。

もしもこの人がオタクなら、間違いなく将来有望だ。]**

(40) 2024/01/08(Mon) 22:04:38

【人】 葉山 裕太郎


[ぶつかって支えられたのはいいものの小物まで受け止められるほど気を利かせることは出来ず、スマホは床へと落ちてしまう。
音が周りに響き渡るも、幸い店内にはあまり人がいないため人目は浴びずに済んだようだ。]


   いえ、こちらこそ…申し訳ないです。


[直ぐにスマホを拾ってあげようと葉山が屈んだのは七海よりも少しだけ早い。
厚意で拾ってあげたのだがそれが逆に迷惑だったのかもしれない。>>36

そう感じたのは、その画面を見てしまったから。]

(41) 2024/01/08(Mon) 22:05:17

【人】 葉山 裕太郎


[画面には見覚えのある文章、それもそのはずだ。>>36
なんといっても自分が書いた文章なのだから。
しかもこれは出版したものではなくあの時の企画で書いたリクエストの話で、メンバーシップでなければ読めないはずのもの。

まさかこんな近くでメンバーシップにまで登録してくれている人がいるとは思っていなくて。
画面の内容というよりはそっちの方に驚きを隠すことが出来ずに。

知名度を求めてはいなくてもこれもひとつ励みになるのだから、むしろいいはずなのに。]

(42) 2024/01/08(Mon) 22:05:34

【人】 葉山 裕太郎



   はい。どうぞ。画面が割れてなさそうでよかった。


(43) 2024/01/08(Mon) 22:06:04

【人】 葉山 裕太郎


[理想を崩さないようにただの村人Aに徹そうとした葉山は白々しくも知らないふりをしたのだった。

その白々しさが露呈すると知るのは一週間後のこと。
]*

(44) 2024/01/08(Mon) 22:06:15

【人】 葉山 裕太郎

***

[サイン会の当日は裏口からこっそり入場することがほとんどだ。昔は無名ということもあり表立っても目立たなかったのだが、一時を境にやけに目立つようになってしまった。
しかも、ジャンルの影響か分からないが、何故か女性の読者が増えた気がして葉山には不思議でならない。

顔が良いアイドルでもあるまいし調子に乗るなという自分への戒めのため、サイン会は他の人の視線に晒されまいと書店の奥にブースを構える。

しかし日に日に列は長くなるのでまるで意味が無い。]

(45) 2024/01/08(Mon) 22:38:22

【人】 葉山 裕太郎



   すみません、ちょっと一服……


(46) 2024/01/08(Mon) 22:39:11

【人】 葉山 裕太郎


[今は設営が一段落し、サイン会まで二次会を切るった頃。緊張という程では無いが今のうちに済ませるものを済ませておこうと、葉山はフロア内のトイレへと向かう。

まさかあの時の彼女がここを訪れているなんて気付かず、一人の客のように裏方から出てくる姿は、もしかしたら彼女にだけは目撃されていたかもしれない。

来ていると知っていればもう少し見つからないように動くのだが、それも気付けない以上は無理な話だ。]

(47) 2024/01/08(Mon) 22:39:35

【人】 葉山 裕太郎


[彼女がこのサイン会にやってきたと知ったのはサイン会中にちょうど列が進んだ時か、それともサイン会が始まる前か。

なんにせよ色々な意味で驚かされることになるのだろう。
まさかこんな近くに、自分の熱烈なファンがいて、しかも最古参だなんて。]*

(48) 2024/01/08(Mon) 22:42:50

【人】 七海 聖奈


[執筆活動でお忙しいと思っていましたし
 DMなんて、読まれていなくても不思議はない。
 不特定多数から色々なメッセージを貰うだろう人なら
 なおのこと読まれてなくても仕方ない、
 お返事がもらえるなんて思ってもみなかったので]
 
(49) 2024/01/08(Mon) 23:12:08

【人】 七海 聖奈



   …………!?!?
   血腹先生からお返事来てる……!!!!

 
(50) 2024/01/08(Mon) 23:12:46

【人】 七海 聖奈


[思わず持っていたスマホを落とす程度には驚きました。
 えっ、どうしたらいいのでしょう?
 もしかして明日大雪だったりしますか?
 嬉しすぎて反射的にお返事をスクショしちゃいました。
 これって応援してます、とかお返ししても
 ご迷惑にはならないでしょうか???]

 
(51) 2024/01/08(Mon) 23:13:39

【人】 七海 聖奈



[……結局お返事は書いてしまったんですけれど。
 勿論、これ以上のやり取りはあると思ってませんし
 完全に自己満足です。]


 
(52) 2024/01/08(Mon) 23:15:21

【人】 七海 聖奈


[このやり取りをきっかけに、新作が出る度
 かなり長い感想文を勝手に送り付けるようになりました。
 迷惑だと言われれば控えたかもしれませんが
 そうでなければ、返信の有無など気にも留めず
 感想を送るのはやめなかったでしょう。]
 
(53) 2024/01/08(Mon) 23:16:34

【人】 七海 聖奈



[オタクだとしたら将来有望?>>40

       完全に反応はオタクでしたとも。]**


  
(54) 2024/01/08(Mon) 23:16:54

【人】 七海 聖奈


[きっとこの人は優しさで拾ってくれただけで
 画面を見ようとか、そんなつもりはなかったはずで。

 そもそも画面を消しておかなかった私が悪いし
 もっと言えばぶつかってしまったのも私のせい。


 ……そう、文句なんて言えるわけもありませんし
 言うつもりだってありません。
 ただ、拾われた後の一瞬の間は
 もしかして見られたんじゃ……?
 と思わざるを得なくて。]
 
(55) 2024/01/08(Mon) 23:49:14

【人】 七海 聖奈


[まさか、作者に見られたとは思いもしない私は
 見ず知らずの男性に見られた、と思っていました。

 ……それはそれで恥ずかしいので
 私は拾ってくれた人の顔をまともに見れず。]


   
あ、ありがとう、ございます……。



[ぺこりともう一度頭を下げると
 卵の事なんて忘れてその場を後にしたのでした。

 誰に拾ってもらったのかわかるのは
 もう少し先、一週間後の事。]
  
(56) 2024/01/08(Mon) 23:49:38

【人】 七海 聖奈

***

[当たり前ですけれど、サイン会みたいな場で
 作家やアイドルは正面からは出入りしません。
 裏口から出入りしているんだろうな、と
 予想はついていても、実際に見かけることになるなんて。

 早すぎたかな、と思いましたが
 一足早く姿を見れたと思えばラッキーかもしれませんね。
 とはいえ、一瞬の事だったので 
 しっかり顔を見ていたわけではないのですが。>>47
 
(57) 2024/01/08(Mon) 23:49:59

【人】 七海 聖奈


[本を眺めつつ過ごして
 サイン会の開始が迫ってくれば
 私が来た時より人は増えていました。

 早く来たおかげで、一番乗りにサインが貰えそうです!
 想定より人が多いからなのか、 
 もう準備が整っていたからなのか
 予定より少しだけ早くサイン会が始まって。
 血腹先生の前に行き、顔を見て一瞬固まりました。]
 
(58) 2024/01/08(Mon) 23:51:04

【人】 七海 聖奈



[この人、会ったことある……。
 もしかして、スーパーでぶつかった人?

 そうだとしたらあまりにも恥ずかしいし
 仮にそうだとしても覚えてない可能性だってあるし

            知らないふりをしよう……。]


  
(59) 2024/01/08(Mon) 23:51:35

【人】 七海 聖奈

  

   あの、えっと……いつも応援してます!
   血腹先生の作品が大好きで全部読んでて……!!

   この本にサイン貰ってもいいですか……?


   
[頬を染めて、震える手で持ってきた本を差し出して。
 一週間前の事には全く触れないまま振舞って。]
  
(60) 2024/01/08(Mon) 23:52:44

【人】 七海 聖奈



   
差し入れとか、大丈夫でしたっけ……

   もしご迷惑でなければ受け取って欲しくて……。


[差し出したのは有名な焼き菓子店の紙袋。
 中身は紅茶に合いそうな甘さ控えめの缶入りクッキー。
 ……と、小さいくまのぬいぐるみ。
 なんとなく、クッキーだけじゃ寂しい気がして 
 入れてしまったけれど余計だったかな。


 なんて、今更考えても仕方ないことですけれど。]*
 
(61) 2024/01/08(Mon) 23:53:09

【人】 葉山 裕太郎


[アイドルともなれば人の目に気を使う。
自分のように人目が気になるのではなく、そうしなければ命の危険さえあるからだ。
裏返せば葉山の危機管理はアイドルのそれからは大きく劣るもの。要するになめているということに他ならない。]

(62) 2024/01/09(Tue) 20:20:07

【人】 葉山 裕太郎


[だからといってその顔が出てくることは流石の葉山も想像だにしていなかったのだが。
ブースの中、一瞬お見合いのように固まる。

血腹という小説家を知っていて、メンバーということも知ってはいたがそれ以上とまでは分からない。
まさかこのサイン会にまでわざわざ足を運んでくれるなんて。

まいった、今更白々しくなにを話せばいいのだろうかと言葉に詰まっていると、沈黙を破ったのはあちらの方だった。>>60

(63) 2024/01/09(Tue) 20:22:10

【人】 葉山 裕太郎



   こちらこそいつもありがとう
   多分メンバーの方、ですよね?

   せっかくなので差し入れ、いただきますね。


(64) 2024/01/09(Tue) 20:23:10

【人】 葉山 裕太郎


[サインを書いていると、後ろのスタッフが差し入れは禁止だったはずと耳打ちをしてくる。その声はきっと彼女にも届くだろう。しかし葉山はというとスタッフに微笑み。]


   たまにはいいじゃないですか。
   こうして足を運んでくれたわけですから。


[そう言って差し入れを受け取るのである。
全員から受けとっていたらもちろんキリがない話なのだが、差し入れなんて元々そんなに多くもないし困らないだろうという判断をしただけのこと。

中身を相手の前で見るのはマナー違反と思い、今は確認することはしない。]

(65) 2024/01/09(Tue) 20:23:54

【人】 葉山 裕太郎



   これからも応援よろしくお願いします。

   今度また新刊を出す予定なので
   良かったら読んでくださいね。


(66) 2024/01/09(Tue) 20:24:35

【人】 葉山 裕太郎


[一番手に並んでくれた彼女に作者としてのお礼を伝えると、葉山は握手を求めて手を差し出す。

この機会に、改めて作者として一読者へ、最大限の謝意を込めたのだった。]

(67) 2024/01/09(Tue) 20:25:03

【人】 葉山 裕太郎



[その行為が全ての引き金を引いてしまうというのに。]



(68) 2024/01/09(Tue) 20:26:23

【人】 七海 聖奈


[女性ファンが多い血腹先生。
 ご本人がどう思ってるかは分かりませんが、
 私から見れば、顔立ちだって整っていて
 ある種アイドルの握手会のような感覚で
 ここにきている人もいるのではないでしょうか。


 私?私はそんな感覚じゃありませんよ?]
 
(69) 2024/01/09(Tue) 21:46:20

【人】 七海 聖奈


[覚えていないかもしれないし……なんて
 思ってみても、相手の反応を見れば
 あの時会った人だと言っているようなもので。

 ……考えるのは後にしましょう。
 だって、時間は限られていますから。]

 
(70) 2024/01/09(Tue) 21:47:32

【人】 七海 聖奈



   そうです!>>64
   企画の短編も読んでます!


  
(71) 2024/01/09(Tue) 21:48:29

【人】 七海 聖奈


[サインを書く手を眺めていれば
 私の耳にも、差し入れは禁止だという
 スタッフの言葉が届いて、どうしよう、と
 困惑した顔をしてしまうのです。

 やっぱり、ご迷惑だったでしょうか
 なんて、心配の気持ちと、それから。]
 
(72) 2024/01/09(Tue) 21:48:55

【人】 七海 聖奈



   あっ、ごめんなさい……
   禁止、ですよねやっぱり…………。



[受け取ってもらえたとはいえ、
 優しさに甘えた形になってしまったから
 申し訳なくて、謝りながらも
 彼の優しさに嬉しくなってしまう自分もいて。]
 
(73) 2024/01/09(Tue) 21:51:02

【人】 七海 聖奈



   新刊出るんですね!
   絶対買って読みます!!



[満面の笑みを浮かべると
 差し出された手を見て、
 間を置かずにその手を握るのです。

 大好きな作家さんと握手出来てしまうなんて……!
 男性ですし、当たり前かもしれないけれど
 私より手は大きいな、とか
 ちゃんとハンドクリーム塗ってきて良かったなとか。
 一瞬の間に色々考えてしまった私ですが。]
 
(74) 2024/01/09(Tue) 21:52:09

【人】 七海 聖奈



   ありがとうございます!


[ぱっと手を離すと、 
 その場を後にして、列を離れるのでした。]*
 
(75) 2024/01/09(Tue) 21:53:15

【人】 葉山 裕太郎

***

[サイン会も無事に終わり自宅へ向かう。
今日のサイン会も読者たちには喜んでもらえたようだと安心したのもつかの間、煙草を切らしていることを思い出して近くのコンビニに立ち寄る。

お気に入りの煙草をカートンで複数、バラで何個か購入すると店の前で煙草に火をつける。
歩き煙草は今どき風当たりも厳しいし、灰皿も今じゃここくらいにしかない。

人のいない夜の今なら少しは許してくれるだろう。いや、もう許して欲しい。]

(76) 2024/01/10(Wed) 0:40:05

【人】 葉山 裕太郎


[気の所為だろうか。

ライターで煙草に火をつけているとふと誰かに見られているような気がして、辺りを見渡してみたものの誰もいない。

頭を掻きながら煙草を吸い終えると灰皿に吸殻を刺して、また家へと歩き出す。]

(77) 2024/01/10(Wed) 0:41:42

【人】 葉山 裕太郎


[そういえばサイン会の後、差し入れには何か危ないものが入っているかもしれないとスタッフの一人が心配していたことを思い出す。

とはいえ、そんなことをするのは悪意がある人くらいだろうしわざわざここまでファンでいてくれる読者に要らぬ疑いはかけたくない。

それに興味の対象は自分の書いた小説であって自分ではないのだから、そこまで警戒をする理由もない。

葉山は自分を案ずる彼らの言葉を聞き入れることはせず、そのまま持ち帰ってしまった。]

(78) 2024/01/10(Wed) 0:42:17

【人】 葉山 裕太郎


[マンションはオートロックがあるタイプのもの。万が一にでも不審者は入って来れない。たとえほかの居住者に紛れたところで、24時間交代で常駐している管理人達がそれを許すことがない。

高すぎるセキュリティは自身の意識を弛めてしまうもので、葉山は家の鍵を開けて部屋に入ると、そのまま貰ったぬいぐるみを執筆用のデスクのそばに置くのだった。

葉山の頭の中はいただいた紅茶を明日の朝に嗜むことでいっぱいだ。]**

(79) 2024/01/10(Wed) 0:45:40

【人】 葉山 裕太郎


[あれから数ヶ月経った頃、いつも良くしてくれている管理人さんとばったり会って挨拶をした時にお隣の住人の話を聞かされた。

このマンションは元々あまり引越しなどで人が出入りすることもなく、インターネットを探してもいつも空室がなく出たとしても一度に一部屋くらいという人気ぶりだ。
だからそれ自体が珍しいことだったのだが。]


   え。お隣さん、引っ越したんですか?


[管理人さんが教えてくれたその事実に葉山は目を丸くする。
お隣さんは確か女性で、引越し挨拶をした以外の関わりはほとんどなかった。

詳しくは知らないがどうやら交際していた男性とのトラブルのせいで、住む場所を変えなければならなくなったようだ。

自分には無縁のような話だけに、その時は大して重くは受け止めていなかったのだ。
隣が空室になったところで何の影響もないのだから……。]**

(80) 2024/01/10(Wed) 0:52:30