人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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 アリーチェ

「…俺はまあ、頼れて信頼できる男だが。
 ……そのうち若くてデキそうな男捕まえた方がいいぞ。
 そういうやつが出世したとき、メリットがデカい」
「まあ俺も信頼されてる分は、キチンと返すがね。」

世話にもなってるしな、とわはは笑い。
ついでとばかり胸をドンと叩けば、

「大丈夫、俺もよく味なんかわかってねえから。
 始めたころは、こんな苦えもんなんでありがたがって飲んでんだと思ったもんだ」

小学生みたいな事を返す。実年齢との差分を考えるなら、こちらのほうが深刻かもしれない。

「マ気が向いたらな。
 あー、アレね。悪い悪い」

そして何かあったら頼りなさいみたいなことをいっておきながら、
さっそく金塊の件で平謝り。

「ちょっと別件で使っちまってて、口座にすぐ用意できる分がなくてよぉ。
 そうだ、いいじゃん、飾りつけ。ドーンとお供えしてやってくれ」

無茶を言う。

#収容所

 ニーノ

「男が他に心配するところはないだろ……?」

あるだろう。
ぐりぐりとした抵抗に、まるで男児のようにわひゃひゃ、と笑う。
ぶらぶらとだらしなく腕を揺らしながら、

「うむ、立派な男になったな。
 とかいうとなんかフィオ辺りから怒られそうな気がするが………」
「だが、男ってなそういうもんだ。だろ」

ひどい責任転嫁と自己弁護を展開しながら、そこでやっと手を離した。
その後のあなたの抗議には、

「えー、めんどくせえ。
 ガキ同士で片付けといてほしい」

…ろくでもない大人度を高めながら返したりはしたが。


#収容所

こういうのフラグっぽいから言いたくはなかった。

でもさあ!しょうがなくね!?自分に言い訳をしている。

 黒眼鏡

「あるだろ」

あるだろ。即座にツッコんだ。
色恋から離れて生きてきた男は、兄との価値観の違いを痛感して呆れた様子で溜息を吐いた。

「そうやって結論付けたら何でも良いと思ってない……?」
「つーかフィオねえ泣かせておいて
(※仮定です)

 めんどくせえじゃねえ」

どん。
手が離れた辺りで軽く肩に頭突きして、また溜息。
まあでも大分と、そう。
いつも通りの会話ができた気がして安心した。
自分の移動もそろそろ近いだろうから、よいしょと立ち上がりながら。

「…………」
「……なあ、にいさん」

最後にと、貴方を見下ろしてひとつ尋ねる。

「クロスタータ、嬉しかった?」

#収容所

ニーノ

「あるか〜〜」

へらへらと。牢屋に入って、マフィア稼業から解放されたのを楽しみでもしているのだろうか?

「そうそう、俺の言うことを疑うことから始めなさい。
 マお前は賢いからよ、大丈夫だとは思ってるが。
 それでもな」

あなたが溜息をつけば、それこそを喜ぶように目を細める。

「俺はその結論でいいのだ。
 お前がそれではダメだと思うのも自由だが」
「ははは、いや、まだ泣かせて……いやたまに啼かせてはいるが……」
「まだ泣かせてないから」

多分。と自信なさげに言って、ついでに小声でなんか言っている。
そうしていつも通りの会話も、ざわざわと過ぎゆく看守や囚人たちに紛れていって。

「おう」

あなたを見上げて。

「すげぇ嬉しかったよ。いい土産をもらったわ」

にか、と、子供のように笑った。

#収容所

アレッサンドロ

指の上の葉巻をぱっとひったくるように取り上げる。
火のアテもないそれを手の中に仕舞い込んでしまって、
振り向きもしないまま踵を返す。

「ガキはさっさと家に帰れ」

黒眼鏡

「い、いえ……そう言う方を作るのは、今は……
 その、今で精一杯と、言いますか……」

ごにょごにょ。急に口籠ってしまう。
意中の相手がどこかにいますとバレバレありありな所作。

「飲み始めは皆さんそうだと聞きますが今でも何ですか?
 ……じゃあ、雰囲気を楽しんでおられる方が多い……」

微妙に失礼だ。

「えぇ、そんな事したらあっという間に泥棒に入られてしまって、教会内の治安、一気に悪化しますよ。だめですだめ!

 もう、もし長期間口座が用意できなさそうなら取りに来てくださいね!返品です返品!なんたって、あれ隠しておくのも、結構勇気がいるんですよぉ……」
#収容所

ダヴィードは、メッセージを送ってから、やっぱりちょっと恥ずかしくなった。
(a24) 2023/09/25(Mon) 22:02:54

レシピ本扱いされて、わらっていた。そうだな。

弟子を取ることになるかもしれない。

悪いことをする人間が、嫌いだ。

ロメオは、生きとし生ける人間は皆病気だと思っている。
(a25) 2023/09/25(Mon) 22:38:58

歌う。何度でも。

ペネロペは、約束をした。
(a26) 2023/09/25(Mon) 23:37:01

ヴィト

「カッチーン」

唇を尖らせるように不満を示しながら、擬音オトマノペ

「あんたら警察がここに泊まれって言ってるんですけどォー。
 ドロボー。もどってこーい」

その背中にぎゃあぎゃあと悪態を投げかけながら、小さく舌打ちした。

 アリーチェ

「………ハァ〜〜、まったく、若いってのはいいなァ〜〜!」

ぐいんとのけぞるほどに天を仰いで、随分楽しそうに声が弾む。
オッサンは若者のコイバナだって好きなのだ。

「まぁソウ。いや、珈琲を摂取すること自体には意味があるんだよ。
 忘れがちだが結構な刺激物だからな、あれは。
 そんで不味い珈琲は露骨に不味かったり臭かったり、
 なんだかんだ少しは『あーこれチョット違うな』ってわかるものもあるワケ。
 ただまぁ……俺は六割雰囲気だな……サイフォンで淹れると美味いっていうより、あれつかうとカッコイイって理由で使ってるし……」

特に失礼ではなさそうだ。


「大丈夫大丈夫。教会に盗みに入ったらあれだろ、神罰がドーンって下ってオシャカさ。
 どーーしても心配なら、あれファミリーの誰かに渡してみ。
 多分嘘みたいに言うこと聞くぜ。
 
 ハイハイ、気が向いたら…いや暇が出来たら取りに行きますよ〜。
 ……マフィアの中に突っ込んで調査しにくるほど、勇気がいることはないと思うんだがね」

嘲笑と苦笑をブレンドして、そこに興味と愉快をぶちこんだような複雑な顔で笑った。

#収容所

黒眼鏡

大げさな反応を受けてこれは恥ずかしい事を言ってしまったなとじわじわと湧き上がる羞恥に、思わず目を逸らした。自爆というやつだ。

「なるほど、質が低いものはわかりやすい、と……
 あの刺激が癖になって虜になるのは何となくわかります。
 いえ、私はむしろそれが怖くて普段飲まないのですが…
 確かにサイフォン、飲まない私でも格好良く見えますからね」

詳しくないコーヒーの知識が深まった!
説明を受けて少しコーヒーに対する興味は上がったようだ。

「そんなこと神はしませんよぉ……えぇ、そんな不埒な……
 まだ普段の感謝を込めて贈り物にするほうがマシですよ。
 いえ送りませんけど……他人から貰ったもので言うことを
 聞かせるなんて事は私にはとても恐れ多いので……

 もう、頼みましたからね、本当に。
 調査は──私が失敗しても私が最悪死ぬだけと思いますけど
 教会は私以外の人が巻き込まれかねないので……
 普段から私が金塊を持ち歩いておけるなら別ですけど」

持ち歩いてリスクが減るなら、持ち歩くらしい。

「……って、お言葉に甘えすぎてお話を聞いて頂きすぎましたね。お付き合い下さってありがとうございました。……これなら、牢で一人思い悩まなくて済みそうです」

ぺこりと頭を下げながら、別れようとする事だろう。

 黒眼鏡

「疑うのって〜難しくて〜……」

賢いだなんて自分で思ったことは無い。
それでも貴方にそういわれると背を押してもらえたような心地になる。
とは思いつつももちゃもちゃと文句は垂れていたわけだが。

「…………オレはその辺にツッコまないからな」

小声で言われたことにはジト目を返した。
男は"そういう"話題にはいつだって一歩引くのはご存じの通り。
兄と姉のそれについても同様だ、とりあえず泣かせていないならいいのだが。
はあ、と溜息。たぶんこれで最後。

それから見上げた貴方が贈ってくれる全てには。

「……ん」

#収容所

[1/2]

 黒眼鏡

「なら、よかったや」

へら。
笑う、ようやく。
それが聞けたらなんだか十分に思えた。
知らないことはまだ多くあったとしてもだ。
やっぱりこの言葉と笑顔は嘘じゃないだろ。

「じゃ、オレ行くよ」

「またな、にいさん」

普段通りに手を振ることはできなかったがそれだけは告げて。
看守が遠くで己の名を呼んでいることに気が付いたから、そちらへと駆けて行った。

#収容所

[2/2]

約束をした。

 アリーチェ

「カフェインに頼るようになっちゃいけねえが…
 警察官ってのも大変だろ。
 体壊さないようになあ」

珈琲に関しては、にわか・・・なようだ。
本人が言う通り、趣味以上のものではないらしい。
それでも数少ない趣味であるらしく、そーなんだよー、なんて嬉しそうに相槌をうちつつ。

「マフィア相手なんだからよぉ、そんくらいして言う事聞かせた方がいいって…
 なんて、マ、あんたのやり方を変えろたあ言わねえけどな。
 だがそういうやり方もあるということだけ覚えときなよ」

そのほうが楽だぜ、なんて。
ろくでもないことばかり囁いて。

「あんたが死んでも色々巻き込まれる人はいると思うがね…。
 ハハ、指輪とかにして身に付けときなよ。
 似合わないと思うが、文無しになった時とかに助かるかもしれん」

結局金塊を引き取ることはしてくれないようで、からからと笑い飛ばす。
そうしてあなたが頭をさげれば、
それをただ見送って。

「おう、こっちも悪いね、話させてもらっちゃって。
 ああ、取り調べでひでえ扱い受けそうならちゃあんと、相手の顔と名前を訪ねて、憶えておくっていうポーズをとるんだぞ。 
 ───"後"で覚えとけ、ってやるだけで、ちったァマシになるもんだ」

……ただ見送るわけではなく、ロクでもない入れ知恵をしながら、見送った。

 ニーノ

「痛い目にあううち覚えるさ。
 女に騙されたりな」

もう騙されてるかも、なんてぶしつけに笑い。
なんだツッコんでくれないのか、なんてまた笑い。
いくつかの種々様々、ころころと切り替わる顔をあなたにぶつけて、
それでもあなたの笑顔には、

「おう」

──満足そうにうなずいて。


「いじめられたら"俺の兄貴を誰だと思ってるんだ、アレッサンドロだぞ"っていうんだぞ〜」

駆けていく背中を、嬉しそうに見送る。
──若者の背中を見るのが、この男は好きだったから。

#収容所

悪態をついた。

拳銃を取り出し、こめかみにあてた。

もう限界だ。

サンドイッチ美味しかったですね……

メモを貼った。

フィオレは、結局ローストチキンの方は、そのまま差し入れしてあげた。
(a27) 2023/09/26(Tue) 12:49:57

痺れて感覚のないままの片手を撫でた。

リヴィオは、叩き起された後、その場から姿を消していた。
(a28) 2023/09/26(Tue) 14:01:16

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

――その日男は、朝礼の後姿を消した。
一箇所牢屋に立ち寄ったけれど、それを知るのは本人のみだ。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか」

人気のない会議室でノートパソコンを開き、協力者に指示をする。それは事前に手を回した、マスコミの折り紙付きの情報発信者インフルエンサー

僕はこれから、警察としては褒められない手を使って、ある人物を告発する。

(33) 2023/09/26(Tue) 14:54:51

【置】 花浅葱 エルヴィーノ



『反社会組織取締法』施行の立役者、
ヴェスペッラ警察署長代理、ナルチーゾ・ノーノ氏。
使用された多額の献金は、違法献金!
資産家、アリソン・カンパネッロ女史の正体は、
アレッサンドロ・ルカーニア
マフィアのカポ・レジーム、
”黒眼鏡”
だ!

これを皆は許せるだろうか?
あの署長代理を即刻更迭せよ!

(L7) 2023/09/26(Tue) 14:58:18
公開: 2023/09/26(Tue) 15:00:00

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

SNSで唐突に発信されたニュースは、瞬く間に広く拡散された。
発信者が何万ものフォロワーを抱えるインフルエンサーだからというのもあるが、その内容があまりにも衝撃的だったからだ。
拡散され、炎上し、その矛先はすぐに警察へ向かう。
今頃きっと、署の電話はなりっぱなしに違いない。

その状況をしかと見届けた僕は、直ぐに告発文を手にして署長代理の部屋へ移動する。
そこに前日約束した彼は居ない。
ずっとSNSに齧り付いていたから、彼が自首をしたことは……まだ知らない。
それでもともに来てくれた警官と、どさくさに紛れて逃げられぬよう、すぐに取り押さえることができる場所に陣取っていた。

逮捕令状?
そんなものは必要ない。……と、思っている。
自分が施行した法律をもって、今はまだその男を逮捕可能のはずだ。
証拠の証言もしっかりと抑えてあるから、取締法がなくなったとしても署長代理を勾留することは可能だろうし。
警察はそもそもがこういったスキャンダルを重く捉える組織だから、
罪はどうあれ、彼を署長代理に据えたままにはもう、出来ないはずだ。

(34) 2023/09/26(Tue) 15:00:45

【人】 花浅葱 エルヴィーノ



―――そうしてその日、銃声がひとつ、鳴った。



これはヴェスペッラ警察署長代理、ナルチーゾ・ノーノが
電光石火で逮捕されることになる少し前の出来事だ。
(35) 2023/09/26(Tue) 15:03:03

「ハハハ」

独房の中、腕を枕にベッドにごろんと寝転がる。
ぶらぶらと足が揺れて、天井を見る目がすうと細まった。

「やっと『プラン』が整った」

 

「……面倒なことの気配がする」

硬い布団に潜って丸くなる。
ああ、
恋人
が恋しいな、態とらしく呟いて眠ろうとした。
身体は休めておいたほうがいいと長年の勘が告げている。



「……」

「くっそ……ラウル!」

結局起き上がって一人の部下の名をよんだ。

ダニエラは、笑っている。
(a29) 2023/09/26(Tue) 15:37:02

とん。
ととん。とん。とん。

とん。────とん。

いつもの音。
いつもの音が響いている。
いつも通りの音だけが。

男は仕事中・・・だ。


#取調室

【置】 コピーキャット ペネロペ

「あーーーー、……ハハハ……無茶苦茶するな」

街中に燎原の火のように広がっていく報せ。
反社会組織取締法に則って、署長代理を告発せよ。
そのさまを見て、猫被りは一人笑っていた。

確かに、何か考えあっての事だろうとは思っていたが。

「……車回すか」
(L8) 2023/09/26(Tue) 15:50:32
公開: 2023/09/26(Tue) 15:50:00
リヴィオは、「ほら、もうすぐ外は晴れるよ。───」
(a30) 2023/09/26(Tue) 16:08:24

リヴィオは、どこかでそう、呟いた。
(a31) 2023/09/26(Tue) 16:08:36

【置】 門を潜り ダヴィード


「アハハッ」

お行儀悪く端末をいじりながらの街歩き。
鬼ごっこに時間制限が追加されそうだ、という知らせ。
それなら張り合いも出ようと言うもの。

「こんなの、頑張れちゃうじゃないですか。
 はあ〜……かっこいい……」

足取りが軽くなる。
まだ、歩ける。
(L9) 2023/09/26(Tue) 16:26:48
公開: 2023/09/26(Tue) 16:25:00
「……なるほどよくわかった。
 どうも今月、俺は運が向いてない」

SNSどころか物理的な音声となって署内を駆け巡る噂に
がああ、と頭を掻きむしる。拷問吏との会話を思い出して、
やっぱり俺は賭け事なんかしなくて正解だと思った。

――だから信用出来ないんだ、どいつもこいつも!

いつか描いた、出来すぎた未来をまた描く。
Inutile piangere sul latte versato.こぼした牛乳をどれだけ悔やんでも無駄だ
…それなら、自分には何が出来るだろう。

細い穴に糸を通す。通していく。
心だけは、もう決めていた。

叩き起され、お呼び出しを食らった後。

目的の場所へ向かいながら、
ふと、浮かんだ連絡先について首を傾ける。

"忘れ物"とされたあれは、
一体どこに繋がったというのだろうか。
どうせなら出頭前に確かめておくんだったな。

頭の中で数字をタップしていく。
勿論そんなことじゃああの先には繋がらないが、
確認出来る機会があるなら確認したいと呑気にも思う。

熱は引かない。痛みも変わらず残る。
しかし"隠すことは得意"なんだ。

そんな呑気さを抱えながら、外が晴れることを気長に待とう。

「…………虹、見えるといいな」

任せたよ、エルヴィーノ。
手伝いが出来なかった埋め合わせは、また、いずれ。

待っている。

二人で祭に行く許可を貰った。

フィオレは、インフルエンサーの発表で聞いた名前に、ええ!?と声が出た。色々な意味で。
(a32) 2023/09/26(Tue) 18:02:18

そういう生き方をしてきた。

そういう生き方をする。

任された仕事はするかあぁ、と思いつつ。

お祭りの時に、端末を頂戴すると決めた。

柔らかい肉が好きだ。

看守たちが騒がしくしているのを聞きながら、
ようやくに包帯で固定された右手を天井に翳す。
天気予報は、どうやら当たりそうだ。

「……うん」


聞こえてきた名に心が波立てど、どこか頭の芯は冷えていて。
だから、大丈夫だ、と思った。
此処から出るときに全部が変わっていくとしても。

もう目を塞がないと決めている。

ダニエラは、真実を、自白した。
(a33) 2023/09/26(Tue) 20:46:12

ダニエラは、嘘を、自白した。
(a34) 2023/09/26(Tue) 20:47:11

ダニエラは、笑っている。
(a35) 2023/09/26(Tue) 20:47:35

【置】 門を潜り ダヴィード

「はっ、はっ……」

夜。
痺れを切らした追跡者たちが、距離を詰めてきているのを感じた。
悲しいかな木っ端の下っ端に付いていた追跡者は一人だけで、意を決して走り出せば慌てて向こうも走り始めた。

勝手知ったる路地裏に誘い込めば逃げ切れるか、と暗く細い街路へと走り続ける。
あと少し、そう思った時のこと。
どっ、と腹に強い衝撃が走った。
勢いのまま転げて、なんとか頭を庇って縮こまる。

「さんざ走り回りやがって、このクソガキが」

「オラ手ェ出せ、手錠嵌めてやる」


待ち伏せされていたと気付いたのは罠に嵌ってから。
逃げ回って翻弄したつもりでいて、実のところは追い込まれていたの自分だったのだ。

「アハハッ、なんの根拠があって?
 俺の何が悪くて、どうして逮捕されるんです?
 説明し、あ"、ぎッ……」

罵声と共に降ってきたのは拳。口の中が血の味でいっぱいになる。痣が出来るだろうなあ、とぼんやり思う。

「見えるところはやめて、くだッ 
 やめろって言ってんだ い"〜〜ッ……」

減らず口で時間を稼ぐにも限度がある。彼らだって曲がりなりにも警察官なのだ、『抵抗したから』以上の危害は加えられないだろう。
いやだ、いやだ、約束を守らないと。
嘘を吐くのはいやだ。
(L10) 2023/09/26(Tue) 20:50:44
公開: 2023/09/26(Tue) 20:55:00

【置】 門を潜り ダヴィード

「……あ?電話?
 チッ、んだよ……張り込み中に電話すんなッて!誰だよ!
 今いいとこなんだから邪魔すんなって!
 ……ア!?失効だあ!?」


ざわ、と周囲の男たちが騒がしくなる。
どうすんだよこいつ、知るかよそんなもん、とりあえず行くぞ、ここにいるのはまずい。


先ほどとは違うばたばたとした足音が引いて行けば、周囲に人の気配はなくなっていた。

「……失効……?ってことは……時間切れ?
 おいおい、俺偉いんじゃない?
 アハハッ、アハハハハッ!」

あいててて。思わず大笑いすると腹に響いて鈍い痛みが戻ってきた。
さっき聞いたことが本当なら、付け狙われていた根拠が効力を失ったというのが本当なら。

「は〜〜〜〜〜〜ぁあ」

特大のため息も漏れようというもの。
ああ、俺は約束を守れたんだろうか。
腹も顔もじんじんと熱を持っている。おそらく腫れて、痣になるかもしれない。でも生きているし、無事だ。

「使わなかったな、お前も」

懐から愛用のナイフを取り出して、鞘は払わないまま撫でてやる。
警察は嫌いだし、殴られた分はお返しを計画するだろうけれど、死んでほしいとは思わない。
暗い空を見上げて、またひとつ笑いが溢れた。
(L11) 2023/09/26(Tue) 20:51:15
公開: 2023/09/26(Tue) 20:55:00
ダヴィードは、「うるせえ!」と近所の窓から空き缶を投げられた。そんな。
(a36) 2023/09/26(Tue) 20:55:16


車のエンジンを掛け、シフトレバーを引き、
ハンドル片手にアクセルを踏む。

目的地はただひとつ。『家族』の顔を一番に見てやる為に。