168 【飛び入り歓迎】Hospital of Delusion ー妄執の病院ー【R-18RP】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
| すべての患者が集まった。 さぁ、みなを治療しに行こう。
(0) 2022/08/11(Thu) 4:00:00 |
[同時に、なぜかその負の感情を塗りつぶすように感じる下腹部の疼き。
もっとも、これはとある水子の霊からの贈り物ではあるのだが、それを私は知る由もなく
]
少女に贈った「モノ」。
それは、少女の「恐怖」を「別の感情」で塗りつぶすもの。
彼女を貶める為のものではなく。
彼女を堕としめる為のものでもなく。
一切の悪意を含まない。
けれど、どこまでも残酷な贈り物。
彼女がもし、恐怖に心が折れる時が来たら。
彼女がもし、逃れようのない、苦痛に満ちた死に直面したら。
彼女の心が「恐怖」に気付かないよう、心を塗りつぶしてしまう。
彼女が恐怖に折れず、生きて病院を脱出しようとするなら。
塗りつぶされた心は、元の色を取り戻し、やがて贈り物も消え去るだろう。
けれど、全ての人間がこの病院を脱出できない事も知っている。
ならば、せめて。
その最期が恐怖ではないように、と。
水子が彼女の為に、文字通り身を裂いて送ったものだ。
[チハヤが拒もうとしない限り、
彼の頭は胸元に押しつけられることだろう。
温度はない。鼓動もない。死の甘い匂いがする。
そして何より命を刻むはずの場所は空っぽだ。
しかしそれ以外すべて人間の形をした柔らかさが、
彼の頬や鼻をくすぐることになる。]
チハヤ、
[彼が教えてくれた名前を呼んだ。
これまで彼に対して示した態度とは一変して、
紡ぐ音は蕩けるように甘やかだ。]
何も怖ろしくないわ。
気持ち良くて、楽しくて、それだけでいい。
だから早く、いたいのなくしちゃおうね。
[言葉と同じ甘さを持つ指が彼の首筋へ伸びる。
明確な死の冷たさを持って、
少しずつ彼の体温を蝕もうとして。
蹲る彼の上に黒くて長い髪が垂れ下がって。
――夜が満ちていく。]*
君のこの、胸の方こそ
必要だろうに…
[ぼくが漏らした弱音を叶えてくれようとしているなんて、
彼女がそれほど甘いとは思っていない。
それでも自らの身体を使って、優しい仕草で、
丁寧に肌を重ねようとしてくれている仕草に
彼女を見上げてゆるい笑みを溢した。
艶やかな黒糸の流れに視界は塞がれる。
壁に背を預けたまま、彼女の冷ややかな身体を引き寄せ、
温度を混ぜ合わせるように唇を重ねた]**
[彼女の体重が預けられた机の影から伸びた何本かの影が彼女の太腿に、腕に、身体に、絡みつくように触れる。
ほんのりと湿り気を帯びたそれは太さは様々で、
彼女の身体を這うようにゆっくりと上へ上へと伝っていく。]*
[理性を失った者がぶち込まれる豚箱。
外に放ってはならない、ケダモノの巣窟。
欲望に塗れた、獰猛な姿。
嗚呼、それはいつかの──両親
そして、いつかの──自分。
相応しい場所
死ぬのならば、此処──だろうか、と]
[――それなのに。
彼の言葉に一拍、息が止まる。]
……どうして。どうして笑うの。
[それなのに先程までの憔悴した様子は掻き消え、
その笑みは初めて声をかけられた時のような
気の抜けるものだった。]
必要ない。
だって……今から、
あなたがいっぱい注いでくれるんでしょう?
[あなたのためだと優しくすれば、
彼は死の海に浸り続けてくれただろうか。
真実が必ずしも幸せを運ぶ訳じゃない。
望む噓を吐くことだって、意味があるのに。
なぜか、彼の問いに頷くことができなかった。
代わりに冷たい手が彼の頬を撫でて、
瞳孔が開いたままの瞳を大げさに細めて見せた。]
[分からないこと、言いたくないこと、
知らなくていいこと。
結局自身が彼の問いに返したのは半分くらいで、
残りのすべては己が腹の内に沈む。]
チハヤ。
[彼の顔が上を向き、黒糸を下ろす己と視線が交わる。
唯一知る名を囁いて、こちらからも身を屈めた。
サマーカーディガンを手放した彼の白いシャツが、
黒々と染まっていく。]
― 名もなき病室 ―
[闇に溶けた先は、どこかの病室だった。
20年程前には誰かが生きようと足掻いていた場所。
今となっては薄暗く、薄汚れた一室でしかない。
身体を離すことを許さず、古いベッドへ押し込む。
軋んだパイプが耳障りな音を立てた。]
……ん、
[合わせた唇もまた、生者と離れた冷たさがあった。
しかし自ら誘い込んだ腔内は温かく、
瑞々しい唾液がくちゅりと音を立てる。
明確な実体化が感覚さえも鋭敏化させるのか、
舌が顎裏に触れる度、肩を震わせ甘香を吐いた。]
ハぁ、……もっと、
[優しいだけなら現実でもいい。
彼に死の意味を刻み付けなければならなかった。
ひやりとした手が彼の両耳を塞ごうとする。
上手くできたなら、再び唇を寄せて
くちくちと口腔を舌が泳いだ。]
[そうして、触れて、重なって、
埋め込んだ種≠ゆっくりと育てていく。
痛みは彼の意識を少しずつ侵そうとするし、
彼がここから脱すれば、
種≠ヘ何の痕跡も残さず消えるだろう。
あるいは、快楽さえあれば彼の苦しみは遠のく。
痛いのはつらいけれど、
痛いのが消えてなくなるのは気持ちいいでしょう?]
……ね。この夢の中だけが、
あなたに理由を与えてくれるの。
[彼の内側に痛みと音と甘さを注ぎ込んで、
正常な現実から引き離そうとした。]*
ん、んんっ……
[悪夢はまだ続いている。
とはいえ、種類が変わったけれども]
ぁ、いゃぁ……
[妹の死体は目の前から消えた。ここで知り合った女性と男の子もいない。
暗い空間の中、体中に湿り気を帯びたナニかが這ってきている]
ぁ、ぇ……だ、れ?
[体中に絡みつくナニか。それの正体が何なのか判別はつかないけれど、良くないものなのは直感的に分かる。
現実でも、彼女の手によって影でできたナニかが絡みついているのと同期するように、夢の中の何かも同じように私の体を上っていく。
どうにか抵抗しようと体を動かそうとしても、身じろぎするばかりで振り払う事も出来ず]
[実態を持ったしなやかな影は、彼女を拘束するというよりは下腹部の疼きを煽るように蠢いている。
細いものは器用にボタンを寛げ、服の隙間から入り込んでその柔肌に触れようとするだろう。
太腿に絡みついたものはやがて彼女の下着の上に到達し、布越しに上下にやわく動いて下肢に微弱な刺激を与える。
あえかな声など聞こえないかのように。
あるいはもっと声を引き出さんとするように。
身じろぐだけなのをいい事に、器用に彼女の身体に悦を植え付けようとする。]
[しなやかな影の蠢きは、私に確かな恐怖を抱かせ始めていた。
夢で妹の死体を見た時に比べたらなんてことはない恐怖。
未知のモノが私の体をまさぐるように這いまわるくらいなら、妹を失ってしまった時を思えば問題ない。
それでも私の中にいる水子は反応して、恐怖の代わりに快楽を沸き立たせていく。
それに合わせるように、影の蠢きは疼きを煽るように動いていて。
私の体をまさぐ影によって、少しずつ少しずつ、私の体は昂りを感じ始めていた。
肌に触れられれば身じろぎはすれども抵抗できず、敏感な場所に触れられればびくりと跳ねるような反応を見せる。
歌詞に微弱な刺激を与えられれば、もどかしさを感じるように腰を動かした。
もれ出る吐息も艶が出始めていき、微弱な刺激に曖昧な意識で無意識に反応していく]
[埋めてくれる?と問いかけたが、
拍、と息を飲んだ後に答えはなかった
名を呼ぶたびに震える事にも理由があるのだろう。
彼女が頑なに飲み込む言葉を暴きたい]
ねぇ、教えて、タチバナさん
[視界が闇に飲まれていく。
ぼくの姿もなんだか黒く染まっているような気がした。
彼女の白いパジャマと肌を、
黒のカーディガンが包んでいる。
相対的で少し笑った]
……ふふ、かわいい。
[漏れ出る艶を帯びた吐息。
もどかしそうな腰の揺れ。
影の与える刺激に反応を見せる姿に女はうっとりと目を細める。
愛おしくてたまらないというように、耳朶に口づけた後に甘噛みし。
肌理を楽しむように肌の上を動いていた影も、彼女の様子から学習して敏感な反応を示した場所に吸着しようとしたり、強弱をつけて動くようになっていく。
生き物のように服の下を動き回る姿は愉しげですらあった。]
[女がゆるりと首を傾げながら答えた瞬間、
下着の裾から侵入した影が、陰裂の表面を擽るように触れた。]
──名もなき病室──
[突如空間が歪んだような浮遊感に襲われる。
それと同時に、柔らかな感触に体が包まれた。
貪るように口付けを深めながらも、彼女はぴたりと身体を密着させている。
ぼくの腕は勢いに任せるように彼女の腰を引き寄せ互いに乱暴な所作を散らせる。
自らを解すような振動がギシリとベッドを揺らしていて、唾液を零してでもその下肢を見ようと舌なめずりをした。
怨霊云々を忘れるには容易い
あまりに扇情的な姿だから]
・・・もっと、何?
[瑞々しい音をかき混ぜるように、
白い指が引き抜かれた窄へ自身を充てた。
これまでも幾度と経験はあったけれど、
触れもせず昂るのは初めてだと思う。
これも頭の中に燻る何かのせいなのだろうか。
くらくらとしながらも、ひどくあつい。
蜜の滴る膣口は熱で疼くようなのに、抱きしめている彼女の腰は冷ややかなままだろうか。
深く深く夢を貪るように、
言葉の続きを伺いながら
腰はゆっくりと彼女に沈む]*
― 夜の夢の中へ/名もなき病室 ―
[お互いの黒
を肩にかけながら身を寄せ、
生死の境を超えて唇を合わせる。
彼の動きに黒い髪は散らばり、
どちらかの手によって黒いカーディガンは剥がれた。
白いシャツも穴の開いた白いパジャマも
次第に解けて、お互いの肌が露わになっていく。]
……ん、
[鼻にかかる控えめな声を上げ、
身体を貪る彼の首元を冷たい指でなぞり上げながら
頭に過るのはここに来る直前の彼のことだ。]
[彼の言葉の意味を問いたかった。
生から解き放たれた己の
どこが縛られているというのだろう。
しかしそれを尋ねるよりも、
彼の思考を鈍らせることの方が重要だと思った。
どうやら、死の甘さは彼には少々辛いらしい。
けれど、もう逃がすつもりはなかったから。
あなたは私の獲物だから。被害者だから。
彼の思惑など知らぬまま、
すべてを曖昧するため彼を死で包み込もうとする。]
[それなのに、彼の欲求は止まらない。
知らないことで空白を満たそうとするかのように、
何度だって、彼はこちらに答えを求める。
必要ないでしょう。
楽で気持ちのいいことは好きでしょう。
現実で出会えるような優しいだけじゃない、
他のことがどうでもよくなるくらいの
帰りたくなくなるくらいの快楽をあげたいのに。
どうして、何度だってこっちを見るの。
震えて怯えるべきは生者のはずなのに、
きっとその時の自身は不可解を瞳に宿していた。]
……や。
[結局、子どもみたいに駄々を捏ねて、
大人しか知らない口づけで続きを封じた。
――それらの言葉を紡いだ彼の口は、
今や唾液を零し、色に染まっている。]
[首筋を弄んでいた手を滑らせ、頬を撫でた。
胸の内に捉えてしまおうとした時、拒むどころか
自ら寄ってきた彼を思い出したからだ。
彼はどんな反応をしただろう。
こちらとしては無意識の行動だったので、
自分で自分に驚いたように目と口を開く。]
っ、これは……あ♡
[いつの間にか下肢に伸びていた指の刺激に、
意識しているよりもずっと甘い声が漏れた。
堪えるように唇を噛み、はだけた服の海を泳ぐ。
口腔と同じように、
下肢もまた外皮とは一線を画す熱を有していた。
イイ場所を擦られる度、蜜が滲んで彼の指を濡らす。
痛みを忘れるのは彼だけではないのだ。
頭痛から逃れる感覚にビクビクと腰を跳ねさせた。
彼が続きを促す頃には
ベッドに押し込んだ時の体勢は崩れ去り、
すっかり力の抜けた肢体を預けている。]
なん、で……。
[蜜口へ触れる明確なカタチは、
触れてもいないのに火傷しそうな程に熱い。
抱えられた冷え切った腰が、
寒さとは違う理由で震えた。]
聞かなくて、いい……っ
[これまでの人間と違って、どうにも上手くいかない。
やっぱり私が出来損ないだからだろうか。
与えたのは痛みと逃げ道。
楽に幸せになれる方法。
決して効いていない訳ではないだろう。
それなのに、彼は快楽だけに溺れてはくれない。]
んん……っ、
[触れ合う腰が少しずつ近づいて、
彼の熱を食むように受け入れていく。
すっかりどろどろに解けたそこは、
貪欲に杭を締めつけ、うねっては震えた。
目の奥がバチバチと弾けるようだ。
痛くない。気持ちいい。もう何も考えたくない。
だから、]
もっと……ぁっ、 いっぱいに……し、てぇ
[口から零れた声は、意図したものではないのだ。]**
っ……!
[さらに下着の中へと侵入した影が、私の陰裂を擽る。
悪夢の中で得た快楽と、こうして影に昂らされた影響で、表面でも湿り気が分かるくらい濡れていて、
くちゅくちゅと音が彼女に聞こえてしまっていたかもしれない。
その事に恥ずかしさで耳まで真っ赤になってしまう。
家で一人でする時もここまで敏感に、快感を覚えたことは無かったはずなのに。
拘束まではされてないようなので、とっさに腕が下肢を弄る影を掴もうとするけれど、うまくできずに自身の下腹部を押さえるにとどまってしまう]
だって、もっと知りたい・・・
ぼくは、君のことを何も知らない
[満たされて、楽に幸せになれるなら
ぼくはこれまでときっと変わらない。
いつ死んでも良いようにだなんてやりたい事を優先して来た果てが今なのだから。
ぼくはきっと、このまま果てればそのまま幽霊にもなれずにただ死を迎えて消滅するだけではないだろうか。恨みも未練もない、幸せとも空虚とも言える昇天なら───、やはりこれまでと変わらない]
ふふ...っ…ここ...
ね...すごい...。なにもつけてないのに、
...とろっとろ...
[頬を引き寄せる仕草に合わせ彼女の顔を覗き込めば、瞳孔を開いままの瞳は至近で熱を持つようだった。はくはくと唾液に濡れた薄い唇が艶やかで───自然と笑みが溢れる。
もっと暴きたい。
もっと知りたい。
傲慢で貪欲な「自分」が目を覚ます]
ただ溺れて飲まれてしまうなんて勿体ないよ
なにも考えられなくなるのなら
目の前にいるのが君じゃなくても
いいって事になってしまう
[かすれる問いかけに優しく返しながら、
そう思わない?と彼女の蜜壺をぼくのもので埋めていく。
僕の頬を抱いた彼女の瞳はまだ僕を見てくれているだろうか。逸らされないよう、甘えるように彼女の鼻筋に擦り寄った。
そして]
…ん。もっと、もっと満たしてあげる…
[黒系が散る様を見上げながら、彼女の腰を上下に揺さぶる。どこか口惜しい声音のように聞こえたけれど、深く、音を散らし突き上げ始めたならその表情も変化するだろうか。
貪るように互いに衣類を剥いでいたせいか、騎乗位の体制で見上げる白い四肢は艶かしい。
揺れる胸と、ぽっかりと空いた空洞がアンバランスだが美しい。腰をがっしりと固定し、彼女を揺らし続ける体制で、舌先を伸ばしその淵をなぞる。
押しのけられでもしない限り]*
― 二人きりの病室で ―
[残念ながら今そんなことを考える余裕はない。
チハヤの頬を撫でると、目がこちらを向いた
。
彼の言葉を如実に示すかのように
視線は己を捕らえ、唇が楽し気に綻んでいる。]
んっ、 ぁ… ゃ……ッ
[言及されると意識してしまうのか、
太ももを溢れた蜜が伝っていくのが分かった。
零すまいと力を籠めれば、指を絞めつけてまた啼く。
そんなことを繰り返す内に蕩け切った蜜壺が、
彼の昂ぶりによって拓かれていった。]
……?
[一瞬、チハヤの言葉が理解できず反応が遅れた。
貫かれる衝撃に仰け反ろうとするも、
擦り寄る彼と向き合うことでそれすら叶わない。
逃がすことのできなかった快楽が渦巻いて、
鼻同士が触れ合う距離で目元が甘く蕩けた。]
[その通りだと思った。
私が与えるのはここに留まる理由で、意味で、
それは私でなくとも構わないもののはずだ。
――だって、私は愚かで、価値などなくて。
捨て去った常識や良識より深く、
真実として根づいた評価は変わらないのだから。
]
ふ……ふ、
[思わず唇の端から笑いが零れた。
彼の熱をすべて受け入れ、一呼吸入れる。
その間にも内側は蠕動を繰り返し、
彼と自身に絶えず快感を覚えさせようとしていた。]
満たされたら……本当に、
現実が夢になってしまうよ?
[それでいいはずなのに、望んでいるはずなのに、
忠告めいた言葉を伝えてしまうのはなぜだろう。
最初に出会った時は希薄だった彼の表情に、
探求心が表出したのを見て取ったからか。
彼がここで死んだとして、現実への執着もなく、
後悔すると思えないからだろうか。
あるいは……彼の欲望に、
生きる者特有の眩しさを感じたからだろうか。
あぁ、それなら――憎い。憎くて羨ましい。
羨ましくて、とびきり大切にしてしまいたくなる。
分からない。
自分のことさえ分からないのに、
他の誰かのことが分かるはずもない。
まだ視線が交わっていたなら、僅かに顔をずらし、
悪戯な鼻筋に柔く歯をたてようとする。
歯形すらつかない、窘めるような仕草。]
チハヤ、
[彼はこちらのことを何も知らないと言ったが、
それはこちらも同じことだった。
名前を呼ぶ以外に、彼を求める言葉がない。
咥えた下腹部に力を入れ、尻をぐりぐりと揺らした。
杭が浅い場所も深い場所も擦り上げて、
痛みも吹き飛ぶ強い快感が脳を焼く。]
……ぁっ、 ……は ハ
[これでいい。何も考えなくて済む。
唾液に濡れた唇が楽しそうに歪んだ。]
[快楽に解けた思考が口を滑らせ、
彼がそれに応えるように舌から突き上げる。
蹲る彼を抱き込んだ時と形はそう変わらないのに、
今や揺さぶられるのはこちらの方だ。]
あっ、……んんぅ は、ぁ ……あ♡
[声を堪えようとしては鼻にかかった音が漏れる。
寂れた病室には、死と欲の甘い匂いが充満した。]
……ッ 、そこ、 は
[彼の下が生者にはない穴に触れた時、
一瞬我に返ったかのように目を見開いた。
熱い舌先が冷たい肌に触れ、
なぞる度に唾液が残り、ひやりとした感覚を残す。
きゅう、とナカを絞めつけてしまい、また喘いだ。]
なんで……っ、ぁ こわく……ない の?
[血こそないにしろ、そこは明確な怪異の証だ。
しかし種≠植えたとはいえ、
彼の穿たれた熱は衰えていないように感じる。
荒れた息を整え、震える指で眼下に蠢く髪を梳いた。]
……じゃあ、 あなたの話を、して。
[唐突な言い出しだっただろう。説明もしなかった。
既に彼から与えられる快感に余裕がなかったのか、
下りた最奥が彼の先端に口づける度、
舌が空虚をなぞる度、限界を訴え腰が跳ねる。
彼の首元に回した腕に力を籠め、
自らの背をベッドに押しつけようとした。
きっとその方が、彼も自由に動けるだろうと。]
ぅ…… おぼえてられる か、
わからな、い …… け… ど、 ぁ あっ
[だから、もっと。
ねだるように彼の腰へ白い足を絡めた。]*
おとうさん、おなまえよんで。
まなぶ の おなまえよんで。
(駆けようとした足を、何かがつかんだかのように動けない)
………なぁ。教えてくれよ。
[その意味を。理由を。
存在価値を───俺に。]
[静かな部屋の中で触れる程近くにいれば、下着の中の水音も耳に届く。
影は女の肉体程には感覚が拾えないが、悦を生む刺激は与えられているらしいと。]
感じてくれたんだね。
かわいい。
[彼女の首裏を左手の指で擽り、真っ赤になってしまった耳に吐息を吹き掛けるように囁いた。
心底嬉しそうに。
そしてたのしそうに。
そうしている間に影は体液を塗り広げるように前後に動いた後、秘された奥へと触れようとゆっくりと蠢いて。]
だって、満たされたい、ん・・・でしょ?
[もっと、満たして欲しいと溢れた声に
突き上げる衝動はより強くなる。
彼女にとって、既にここは現の先の夢の中。
怨霊として沢山の命を誘って来たのだろう。
なのに彼女は逡巡する様子を携え、ぼくの鼻筋を齧り、甘く柔らかな愛撫を残そうとする。
まるで恋人同士が戯れ合うような仕草に思えてくすぐったい]
ッは…声、えっち…。響いちゃうね…
他の人間や、怪異にも聞こえちゃうのかな…
こわいと思うなら…、
…誘いには乗らないよ
[胸に開いた空虚の淵に、唾液を乗せた舌先が触れていく。拒絶される事はなかった代わりに、目眩がする程、彼女の襞が肉欲に絡みつく。
ああ、囚われてしまいそうだ]
[でも足りない。
もっと、もっと味わいたい。
未練を?悲しみを?後悔を?
ぼくにない物を教えてほしい。
代わりに君が知らない幸せを注いであげたい。
でもそれだと、彼女を苦しめる事になるのだろうか。
まるでぼくたちは、
鏡写しのようじゃないか───]
…は…、だぁめ…
[絡まる彼女の白い足は腰に巻きつき、突き上げ揺らされる重みを全て享受するかのように跳ねている。その都度ずぐりと奥を抉る肉欲に、甘い息を隠せない。
ぼくの話なんて、なにもないのだ。明日できる事は明日やる、今やりたい事を今やる、そんな単一な選択肢。
本当につまらない、ただの幸せな人間の話。
ぼくにとっては何の意味も無さない空虚な世界。
彼女に問うた答えが返らない意趣返しに、ぼくも笑って答えを潜める。ベッドに自重で沈みゆく彼女に被さり絡みつく足を開けるなら、さらに奥へと熱を穿つ。
耳元に顔を埋めて、彼女がぼくに与えようとした音のない世界のように]
[甘い甘い声を残すが、彼女には聞こえているだろか。
腿裏を抱え、より深い所ばかりを犯し続ける。
XXXを聞けたのなら、何度も言葉にして。
後悔も何もない。
昇天してしまうのならそれもいいのかも知れないと思うほど、
ぼくの命は彼女の掌の中にある]*
[あやされ慰められながら、苛められるように可愛がられ弄られるなんて経験そうそう得られるものではない。
それに内側から快感が溢れる感覚に、それを助長するように影のような何かにひたすら弄ばれる。
どれも未知の経験で、自分一人で処理するにはなかなかに厳しい。
影によって奥へと触れられ刺激されれば、押さえきれない快感に身を固くして耐えるしかなく。
妹の事が無ければ、そのまま快楽に飲まれて普通に頷いてたと思う。
その結果どんな事になるかは分からないけど]
[突き上げと共に事実を確認するような彼の声。
それを否定したいのか、ただ快楽を逃がしたいのか、
チハヤの身体にしがみついたまま首を横に振る。]
あ、ぁ……ッ、 ん、ぅん
[他の誰かに聞かれたところで、
その子たちも巻き込んでしまえばいいこと。
生者はみな堕ちて、怪異へと成り果てればいい。
そう思っているのに、人間の頃へ戻ったように
声を唇の奥へ閉じ込めようとした。]
ん、んッ ……んぁ ぁ ……ぅ
[何もかもが思い通りにならなくて、
眼下の男に振り回されている。
理由はもう分かっている。
彼の興味が、与える悦びや快楽ではなく
目の前の自身に向けられていることを、
その行動すべてが示しているようだったから。]
[だから、私はこの男が憎い。
憎くて、羨ましくて、おいしそうで、
――ほんのちょっぴり、怖ろしい。
彼の欲望が自分に向けられているのが分かる。
求めた夢を満たすだけの価値を己に見い出せずとも、
チハヤをここに留めるだけの理由はあるだろう。
留まれば、彼の命は喪われる。
あの時は消えてしまいそうだと思ったけれど、
今はどうなんだろう…………分からない。
快楽に溺れるどころか、
それすら糧にして己の欲望を育んでいるような。
自我を失うどころか、
これまで希薄だった分を取り戻すような。
その貪欲さは、執着は、
一度すべてを諦めてしまった私にとって、
生の輝きに等しい。]
[だからこそ怖ろしいのだ。
家族への怒り、恨み、哀しみ。
生者への嫉妬、羨望、憎しみ。
気づいたら死んで、気づいたらここにいた。
そんな私のしがみつくべき存在理由が、
彼の欲に塗りつぶされてしまうのではないか。
塗りつぶされたら、どうなってしまうのか。
注がれて満たされてしまったら、
私なんて簡単に消えてしまうかもしれない。
それなのに気持ち良くて、もっとして欲しくて、
痛みと恐怖と快楽が頭の中でぐちゃぐちゃになる。]
わたし……は、こわ い。
……ぁ ぁッ、ふ、ふ。
おそろし い、ひと。
[彼が空虚に舌を這わせる頭上でぽつりと零した。
それは古いベッドが軋む音とお互いの荒い息と
かき混ぜられる粘液の音しかしない病室の中でも
聞き逃してしまうくらいの小さな声だった。]*
[お預けを食らった抗議は痛みも恐怖も掻き消す
深い挿入に吞み込まれた。
意趣返しだと分かる彼の笑い声が
鼓膜を擽るだけで痺れが指先まで広がるようだ。]
や ぁ…… っん ん
[次の望みは叶えられ、古いベッドに白い肌が落ちる。
自重から逃れた代わりに彼の腰がより深く穿たれ、
これまでと違う場所を擦り上げられれば
腰の奥から脳天へ、何かが駆け上がる感覚がした。
汗も滲まなければ肌も冷たいまま。
しかし甘く蕩けた声と表情、水音の増した下肢が
彼の与えるものにどれだけ感じているかを
雄弁に伝えてしまうだろう。
腰を逃がそうとしても既に力が抜けきり、
彼が耳元に顔を寄せることも容易に許してしまう。]
ぁ……む、 むす ぶ……ッ
[注ぎ込まれた
XXXを壊れた玩具のように繰り返す。
むすぶ、むすぶ。
私に恐怖と快楽を与えてくれる人。
下腹部からせり上がってきた感覚が止まらなくて、
ナカが限界を告げるように痙攣を繰り返す。]
ん、ん ……ッ ―――――
ぁ♡
[ほとんど湿った吐息に近い声をあげて絶頂に達した。
背は弓のようにしなり、
彼の欲望を搾り取るように締め付ける。
すぐには戻れず、投げ出された肢体は成すがままだ。
突かれれば跳ね、抉られば甘く啼くだけの女になる。
しかし注ぐ前に腰を引くことだけは許さず、
最奥に広がる温もりを感じれば手で腹を撫でた。
それから視線を頭上の彼に向け、唇を動かす。]
― それから/名もなき病室 ―
[彼の欲は収まっただろうか。
未だ昂ぶりを残すのなら、蜜壺はねだるように蠢く。
きっと溺れさせることはできないのだろう。
それを理解してもなお、獲物を手放すことはない。]
…… っ、はぁ …… うふ。
[一度きりにしろ、続きがあったにしろ、
ベッドの軋む音が収まった頃には、
病室の中はすっかり色の匂いだけが漂っていた。
結が眩暈を覚えた甘い死の香りは目の前の己から
発され続けているが、彼の様子はどうだったか。
もしまだ耐えられる様子であったとしても、
腕の中に誘って肺いっぱいに吸い込ませよう。]
少し、休んだ方がいいわ。
……そうしたら、また痛くて、また欲しくなる。
[彼が強い意志で抗わない限り、
一人ベッドを抜け出すのは容易いだろう。
脱ぎ捨てた衣服はベッドの下に散らばったままだが、
真っ白な己が裸体は既に元通り、
落ちているものと同じ白いパジャマを纏っている。
質量を得てはいるが、生者と同じではないのだ。
彼の耳元へ唇を押し当て、口づけのように囁く。]
[初めて会った時、
かけてくれた黒いカーディガンを彼の肩に被せた。
攫った場所からそう遠くない病室だ。
目撃者が探しに来るかもしれないし、
結自身が好きに動くこともできるだろう。
何も阻みはしない。
己が画策せずとも、異界化したここから
容易に逃れることなどできはしないのだから。
最後に彼を一瞥した後、制止がかからない限り、
再び黒い闇の中へと溶けていく。]*
[なんで、生きて来たんだ?
"死ななきゃいけなかったんだ"───]
[悲しみが、怒りが、憎しみが、恨みが
黒く、黒く……渦巻く感情が、同調する。
再び己の心を、支配してしまいそうになり───…]
おとう さん
おなまえよんで
[俺に寄り添うように、忘れるなと戒めるように
時折聞こえるその声は本当に幻聴なんだろうか]
[やはり己は───
存在してはいけなかった。
そう、
"嗤う"
しかなく。]
[絶望。
そこから這い上がる術だって知らない。
闇のように、どす黒く哀しい感情
それが己の耳か、脳内かは不明だが
届いた
声
が───
更に、己を
嘲笑
した気がした。]
少女が下腹に感じた違和感は、贈った『僕』も気付くことは無い。
今まで、「そうなった」ことは一度も無かったし、意図したものでもないからだ。
――けれど、少女の中に潜んだ『私』は、確かにその変化を感じていた。*
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