129 【身内】狂花監獄BarreNwort2【R18G】
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「彼女、他の何にも興味を抱いて居ないようだからな…。
好きな物であれば違ったのかも知れないが」
視線すら合わぬ彼女の様子を思い出す…が、考えても無駄だろう。彼女の気を引こうとも特に思っていないのだから。
「コヨーテ、成程。確か小さな群れを作るのだったか…?
詳しくは無いが狼は狼を名乗らぬだろうし問題ないだろう。有難く名乗らせて貰うよ」
「俺だけ貰うのは不公平だものな。
勿論君にも考えよう…、そうだな…」
暫しの間考え込んだ先、ゆっくりと告げる。
「
グロリオサ
、はどうだろうか。
気に入らなければ別の名を考えよう」
「ああ。……何故そう思ったのかは、ここで話す事項ではないね。通信越しでは無く話をする時にでも、是非。
もしも狼が狼を名乗っていたとするなら……まあ、それでも兎が笑う程度で済むんじゃあないかな。」
そして、自身に与えられた呼称を。
ゆっくりと噛みしめて。
「グロリオサ……炎の百合、か。
うん、気に入った。有難く頂戴しよう。
改めて、暫しの間。相方としてよろしく頼むよ、コヨーテ。」
「どれくらい効かないのか、あらゆる毒を知っているのか、試す機会ではあるでしょうけどね。」
耐性を持つということは、それだけ長く苦しむということでもあるでしょう?
「ああ、では由来は機会があれば。
敢えて…名乗って欲しくなるな、狼。俺が兎ならばリクエストしていた、面白い方が絶対に良い」
この通り兎では無いので我慢だ。
「こちらこそ宜しく頼むよ、グロリオサ。
名を贈り贈られるなんて初めてだ。…少しばかり擽ったいな」
「ふふ、同感。折角の宴だ、どうせなら狼達にもより面白く彩って欲しい所だな。
……これを聞いている君はどう思う?なんてね」
後ろの方の言葉は、相方ではない誰かさん達に向けて。
「俺も……そうだな。贈られるのは多分初めてだったかな?
まだゲームは始まったばかりだけれど、普段関わる機会がない相手と密談の様な事をするのは新鮮だ。これから君の事も知れればいいと思っているよ。」
「おや、俺が初めてだなんて光栄だな。
…俺も君に興味がある。何故此処へ来てしまったのかも、君がどういった人なのかも。
この宴が始まってから自覚したのだが、俺は気になると我慢がきかないタイプのようだから付き合ってくれると嬉しいよ」
「勿論、盗み聞く者が居ない場が良い話は直接会った時で構わない」
「へえ?それは少々意外だった。ああ、いや……なるほどね?
……うん。これ以上はお互いの正体に触れかねないな。
別にちゃんとしたルールがある訳でもないし、俺の方はバレてもいいといえばいいのだけど……折角だ。
君さえ良ければ、是非この宴の最中に。直接会って話そうじゃないか」
「確かにそうか。好きなものに浸って死ぬのも悪くないかもしれないし」
「ただ、そうなると、俺は毒物がさほど得意ではないからなぁ……ダスト中心でやってもらうか、俺らの実験台になってもらうかしかないな」
「毒か。俺は全く知識がない訳でもないが、専門家には遠く及ばないだろう。……キュー自身の知識を借りることになるな」
「案を出したハーミットが行いたいのであれば聞き出すサポートのみ行おうと思うが。俺がやっても構わない」
「感謝する。…この機会を逃してしまったらいつ話せるか分からない、そこまでお預け…なんてことにならなそうで安心した。
…そうだな、君の都合が良いタイミングでそちらを訪ねよう。俺はいつだって構わないから」
「分かった。その時を楽しみにしてるよ、コヨーテ。
……何かあれば、遠慮なく話しかけてくれて構わないからね?」
そう言って一度、通信は途切れるだろう。
「あー、あぁ…OKわかったわ。楽器いいわよね」
簡単に説明しといたほうがいいかな、と思い口を開く。
端末で投票して、沢山票が集まると殺されるのよ、とか。
人を殺していい役職とかがある、とかを軽く伝える。
「まとめると、囚人たちが合法的に人殺し出来るってわけ。アンタ宴に出てる中で嫌いな人とかいないの?」
今なら殺せるわよ、と笑みを浮かべながら。
説明されれば、首を傾げつつ。
「ンン?」とか唸りながらも頑張って聞いていただろう。
「……ン! たぶん分かった!
えっと……アリガト、クロノ!
……、俺の嫌いな人? は……別にいない!」
対するこちらはかな〜り無邪気な笑みだ。
そも顔見知り、二人しかいないこの環境。Yeah!
たったったー……と小走りで優勝者に近寄って。
「……、すげェなアンタ!! …………オメデト!!」
こっそり。
小声で伝える様子はどこか嬉しそうだ。
「ん、そーいやさ、ハーミットはルール上殺し自体は出来ねぇ……よな?
だからやるなら俺かダストのどっちかになるんじゃねーの」
そんな音声が深夜にポンと送られた形跡がある。
普段より随分砕けた口調ではあるが。
「ええ、実は。やり方を教えるくらいは出来ますけどね。
実際に手を下すのはお二方にお願いすることになるでしょう。
ワタシはタダの相談役。」
またの名を愉快な茶々入れ係。
「ゲームの進行次第では、お役に立つ方法も出てくるのですがね。」
ぶっちゃけ勝ち負け度外視のこの遊戯では、ホントにただのお喋り要員。
「さて、盗み聞きのアナタ。ワタシは誰でしょう?
賞品でも用意しておきましょうか?」
「……そういえばそうか。ここで普通に話しているから手伝いだということを忘れていた」
「毒殺はダストがやる?気が乗らないなら俺がやってもいいけど……」
「せっかくだしさ?」
「気は乗る」
「では明日の実行は俺が。毒殺以外に何かリクエストはあるか。
先に言っておくと、俺はあまり綺麗には殺せない。芸術的な飾り付け以外で頼む」
「……へぇ。綺麗じゃないのか」
「
いいじゃん?
見に行ってもいい?」
「見るだけか?別に構わないが。
綺麗好きではないのか。意外だ」
「いやぁ……俺が手を出すと死因が毒殺にならなそうでさ。
意外?やった、嬉しい〜〜」
きゃっきゃ。
「綺麗なのに越したことはねーけど、終わった後に綺麗にしたらそれでいいじゃん?派」
「へぇ。決まったやり方があると見える。
掃除は……今回はやる意味がなさそうだ」
やる気はない様子。
「決まってるっていうか、得意な範囲が狭くてさ。
まぁ、いずれ分かると思う、どうせ」
「掃除は無し、洗濯とお風呂はしよう。OK!」
掃除する気無しその2。
「おや、折角です、ワタシも見学させて頂いても?」
見学ツアー参加申込。
「ちなみにワタシは手出しできませんので。」
掃除する気なしその3。
「……俺もその内見学させて欲しいものだな。
では……殺すのは本人の部屋でいいだろう。
時間になったら来てくれ。扉に鍵はかけないでおく」
そして時間になれば、どのようなことがあったのか、2人ともが目撃することになっただろう。
ポルモン!(今気づきました大変失礼しました!)
「ふふん、私くらいになればね」
(ホントに運が良かっただけなんだけど)得意げな表情だ。
「悩んだ時は私に乗るといいかもね、運が向いてるわ」
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