140 【身内】魔法使いの弟子と失われた叡智
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[
紅
い光を見た時から、
娘に魔法の才がある事はわかっていた。
しかし、男に弟子を取るつもりなど無かったので。
積極的に何か教える事はせず――
強請られる事もあっただろうか。
ただ、歌に魔力の乗った時か、それ以外でか、
ふいにその力が溢れるような事があれば、
魔力の扱いだけはしっかり覚え込ませた。
魔法を教える事は無かったものの、
書物を漁ったり、見て覚える分には咎めなかった。
無論、危険があれば叱る事もしたが。
それ以前に、遠ざけようとした。
]
[世捨て人として暮らせば、外への興味も薄れる。
だから、娘の身の上について
不要な詮索はしなかった。
しかし、その魔力については。
――自身がこの地に独り生きる事を選んだのは、
持て余す程の魔力が原因だったから。
今はここに居る事を選んだ娘が、
いつか別の道を選ぶのならば。
彼女が
それ
に、煩わされる事の無いようにと。
そう思ってしまったのは、
隠者になり切れない愚者に未だ
人間らしい感情が残されていたためだろう。]
[何の因果か。
終わりが訪れるまで、たったの二年。
百年よりも長かった気のする、二年だった。]
[花咲く城で過ごした二年間。
いつの間にか眉間の皺が解けていたように、
娘に対する物言いも幾分和らいで。
結局、根負けしたのか、絆されたのか。
好きに解釈すれば良いと、
最後まで理由を告げようとはしなかったけれど。
二年の間に、男は娘と約束を交わしていた。
叶う事の無かった約束。
大嘘付きと罵られても構わなかったが、
それでも。]
[残してゆくつもりはなかった。
押し付けるつもりも。
何の枷も無く、ただ自由に、あるがままに在れと
それだけを思って。
――願いを口にするのが下手な男だったが
それでも、振り絞った一言は。]
『ルービナ。
お前はまだ、ここに居る事を望むのか?』
[最後の最後に。
男は、娘の意志を尊重した。]
[そうして、全ては引き継がれ]
[川を渡る前。
最後だからと、男は少々
我儘になって。
お喋りに付き合えないから、歌でも歌っていろと
そんな風に言ってきた、二年の建て前も取り払い。
「あの歌を聴かせてくれないか」
穏やかにそう言って、
少し物悲しくも聞こえるような、
優しい子守唄を所望した。]
[それから。
長い時を過ごした、城の声が聞こえなくなる前に。
娘の居なかった頃のように、一人きりの時を選んで。
「あいつがここに居る間、
お前が見守っていてくれ。
きっと泣くだろうから。」
と、言葉を残した。
赤くなった目を何度も見てきたのだ。
指摘などするわけがないから、
気付かれていないと思ったのだろうが
予測するのは容易い事だった。]
[そうして川を渡った男は、この世の秩序を守り通し
後ろを振り返りはしなかったから。
その子守唄、咲いた花、
紡がれる言葉の意味を知る事も無く。]
[輪廻の輪は巡る。]
[それは美しい物語――ではない。
生きる事に疲れ、
死に抗う気力も失くして、
涙を拭ってやる事もできなかった
情けない男の末路である。]**
[長く生きてきた師とは裏腹に。
経験の浅い少年だった自分は
授業≠フ一環として話を聞いていた。
――だからこその、無思慮。
]
それではやはり、溜まったものは
見えずともそこにあり続けるのですね。
…綺麗に見えるけれどな。
この湖の底には、
何が降り積もっているのでしょうか。
[飲み水にするには汚れているという湖。
そこに一体何があるのかと、
純粋な興味で師の顔を見上げれば
……あの時、どんな表情をしていたのだったか。]
[私の義眼は黒蛋白石でできている。
それは使用者の魔力と馴染ませるためなのだけれど、
宝石を使っていても、左右の見た目に違和感はない。
宝石魔術師は、その魔力の波長のせいか
宝石と似た色彩を持つ者が多いと聞く。
私の場合は魔眼持ちだったからか、
よく見ると黒い虹彩の上に
青
や
緑
が散っていて。
さながら黒蛋白石の遊色効果のように見える、
普段はそんな目の色をしていた。
…それだけでも珍しいかもしれないけど。
もっと珍しいのは、魔眼の力を使う時
別の色が混ざること。
赤
、
黄
、
橙
。
その色が今、仮面の下で煌めいている。]
[ さよならもしっかり伝えられなかった。
そんな別れ方。
貴方の眉間に皺が消えて
出会って二年の時が過ぎて
いろんな思いが変化して
弟子をとるつもりのなかった貴方に
約束を取り付けたのはきっと直前だったはずで
楽しみにしていた20歳の誕生日。
その日を境にもう貴方に会えなくなるなんて
想像すらできなかった。 ]
[ ただ
湖に伸ばした手が届かなかったことだけは
鮮明に覚えてる。
目の前で光った
蒼鉛
が覚えている唯一の……。 ]
ねえ、私の姿
あの時の姿から変えてないの
貴方と別れた時から
止まってしまった姿……って言えたら良いけれど
でもね、見つけやすいようにって……思って
別れた時のまま
刻が止まったのは私の心
私は今でも歌う
川の向こうにいる貴方へ
弟子だった小さな貴方へ
立派に成長した貴方へ
私の歌を望んでくれる限り
続けるわ、いつまでも
[ どこを見ても
そこを探しても
城に貴方の居た名残は見つかるのに
貴方だけがいない。 ]
[ 城は光が入らなくなり
花は枯れ
城は廃れていったわ。
主人を失ったのですもの
城も悲しみに暮れ
私も何もできずに城と泣いたわ。
荒れ果てた城はいつしか不気味だと
悪い噂が流れ出し
人間達が城を壊そうと押し寄せた時もあったわ。 ]
[
壊れた方がいい
壊れたい
でも……
貴方の場所を無くさせはしない。 ]
[ 落ち込んでるだけなんて
私らしくなかったわ
でも貴方を思って悲しむ時間は
私にとっては必要だった。
それは今この時まで続いている想いと寿命を
繋いでくれた。
謂わば私と城は戦友なのよ。
貴方の言葉に答えは出たわ
此処にいること、私は望む
─────────自らの意思で決めたの ]
[ その膨大な魔力。そしてこの城を。
私は引き継いだわ
貴方の為? いいえ、私の為。
ただ
ただ
会いたい
貴方に
会いたい
その想いだけ ]
[
女は執念って言ったでしょ?
私の執念のしつこさは1000年なんて余裕よ。
ただ貴方も1000年待たせた男なのだから
覚悟してよね。
私の1000年分の執念を受け止める覚悟を。
ええ、私ってこういう女なのよ。
知ってるでしょ?
貴方なら。 ]
[ まず、この魔力と城は返すわ。
私の魔力はそれで終わる。
魔力が尽きれば人の生も終わる。
わかるの、私は転生出来ないだろうことが。
魂の輪廻の理からは外れてしまった存在。
でもそれでいいの、十分生きたわ。
リアントはもうすぐ一人前になれそうだし
万能薬が無事に出来て
貴方に依頼した品を受け取ることが出来たら。
そしたら……。 ]
[ 報酬に貰った全てをお礼だと押し付けて
笑顔でお礼を言って
ダッシュで逃げてそのまま消えてやろう。
これが私の1000年前からの計画よ
どう?計画性バッチリでしょう!
計画通りの顔もできるようになったのだから
この時に使ってみせるわ。
一世一代のチャレンジ
しっかり熨斗を付けて
渡すのだから
当然
喜んで受け取ってくれるわよね? ]
[ でもこれを実行するのはもう少し先。
まずは薬を完成させて
依頼主からガッポリ報酬をもらわないとね? ]**
[はたして、それが叶ったなら。
紅
い石に宿る魔力を見て、
ようやく今、弟子の言葉を思い出し。
――ようやく、その意味が繋がった気がして。]
……師匠。もしや、
以前、姉に
花を――――
[送って下さいましたか、と言いかけ。
…先程考えていた、我が師の気質を思い。]
……いいえ。
ありがとう、ございました。
[皆まで言わず。受け取った紅
へ、礼を伝えた。
素材に対する礼にしては、
少々湿り気を帯びてしまったかもしれない。]*
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