【人】 召喚士 アハトアハト確かに感じる甘い香りは、トゥエルの鼻先にも感じられたようだ。 少しくらりとするような、思考を鈍らせてしまいそうなその香りに眉を顰めながら口元を腕で覆い隠す。 トゥエルに荷物を持たせたままにもさせておけないので再度ゴーレムを召喚しようと魔力を練り上げ始めて──? 「…っ?」 その魔力が上手く練り上げられないことに気付いた。 これは沈黙のガスだろうか。沈黙、とは言え単純に言葉が放てなくなるものではなくて、詠唱や新たに魔法を使わせるのを封じるものだろう。 先ほどの罠からの自力救済を防ぐ目的だろうか。 ケホ、と無意識に喉を詰まらせてむせる。 魔法が使えない。そう気づくと微かな危機感を覚えて、カチリと何処かで音がした。 反射的に扉を振り向けばいつのまにが閉められている。 咄嗟に扉に近づいて開こうとしたがどうやら施錠されているようで舌打ちした。甘い匂いは益々濃くなってくる。 (131) 2024/02/20(Tue) 6:03:50 |
【人】 召喚士 アハトアハト「ち、トラップ部屋だったとはな。 悪いトゥエル、こっちも壊し──。」 壊してくれ、と頼むつもりの舌先が縺れる。 ふー…っ、と、深く息を吐き出した俺は自身の熱が昂る兆しを感じていた。 これは不味い…のか? 先ほどのトラップのことと繋げて考えるならば、おそらくは催淫系の状態異常も兼ねた何かが漂っているのだとは思うが。 ちら、とトゥエルを見遣る。 俺としては今は二人きり。任務中だが多少なら或いは…とは思うが。 「…この研究施設。こんな罠ばかりなんだろうかな。」 頭を掻きながら、そんな風に呑気に語りかけてしまう。 これ以上ここで罠が発動しなければ良いのだが。** (132) 2024/02/20(Tue) 6:04:05 |
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