──ある人が言っていたことを思い出した。
"もし何か悪い事をしたとしても、それは生きる為にした事"
いい子のままでは生き残れない。そう、メイジに説得してくれた時の彼は
まるで自分に言い聞かせているようだったのを、覚えている。
それと同時に
"自分のやった行いは許されるものではない"
と、また別の人の言葉も思い出してしまうけれど。
それでも"死にたくない"とメイジは選び、ここまできた。
誰かを犠牲にしてまでもそうする術を教わって。
"僕は、たとえ死んでもきみに賛同し続けます"
覚えている。背を押してくれた言葉を、頭を撫でてくれた温もりを。
死後の存在に確信のない少年には
今でもそうであることを信じて、祈るだけだった。
それは"尊敬"に近くて、すこし"同情"にも似た感情。
彼が医師を志した理由をきいてしまったからだろうか。