246 幾星霜のメモワール
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
| >>1:116 ロキ 魔族ってやつはこんな感じなんだろうか? ――全く怖くない。 からかう様子に、スン……とした表情を浮かべて。 「なるほど……聖女の加護でこの場にか……。 加護の恩恵がどんなものか気になってたが、アンタが居るとわかりやすい」 人型である時点でそれなりの強さはあるとは思うが、魔族もピンキリか。 この場の聖気に耐えられない程となると、神殿に近づくのは初めてなんだろう、きっと。 ……しかし、なんだろうか。 この魔族と会うのは 初めてのはずなのに、初めての気がしない 。 「ふぅん、それならその痣、大事にしないといけないな。 ――――あー……変なことを聞くが、前にどっかで会ったことは……ないよな?」 (0) 2024/01/30(Tue) 23:13:13 |
「嘘だろ、もう告白の選択肢見えてたんだけど。
もはや最近は魔女ちゃんに操を立てて、
このまま他の女の子には声を掛けないまであったのに。
いや、まだ好感度が上がればチャンスはある……。
このまま他の女の子に声を掛けずに一途で行こう……!」
硬く決意をする。滅多なことがなければ破られないだろう。
声を掛けられたら本性出ちゃうけれど。滅多です。
「あ、大丈夫だった、バラバラ死体もできなそう。
多分この分だと魔女ちゃんのとこにもこの問題届くかも。
遅かれ早かれ魔女ちゃん向きの話だし。
聞き耳も立てないからゆっくりしておいで。
こっちもこっちで楽しくやってるからさ」
飲んでも意味ない酒なんか飲みながら。
「別にいいのに。あなたが一途なところで、
あたしの心は結構移ろ気よ?
これだけ話しただけでも、面白いなあとは思ったけど」
つまり、ちょっとは気に入ってるということ。
何だかんだチャンスは生まれつつあるのかもしれない。
「ああよかった。あたしにお鉢が回ってくるのはいいわ。
向いてるなら猶更……でも、ま、
埋め合わせはいつか要求すると思うから考えといてね」
魔女の小さな契約。冗談めかして言ってから、
誰かに声を掛けられたのか一度念話が途切れるだろう。
祭り初日の、朝。
「 ファリエ 」
どこからかあなたを呼ぶ声。
遅れて、雪のような白銀の髪が空気に揺れた。
「 お祭り やくそくよ 。
…… ねえ、いつからいけるかしら? 」
跳ねるような声。姿を見せた聖女の口許は笑んでいる。
待ち望んでいたと、楽しそうにくるりと回った。
「……人聞きが悪いなあ。
まるでボクが血も涙もない酷いヤツみたいに言っちゃって。
みんなが消えないように聖女様のお願いを聞いてるだけさ」
建前の上では何もやましいことはない。
自分たちのすることは世界から消えてしまう者を救うこと。
何度も祭りに参加していれば真実を知らないはずもないが、
それでも悪魔は、後ろめたさなど感じないかのように嘯く。
「この世界も悪いことばかりじゃない。
今ではすっかりこの世界に骨を埋めるつもりのやつもいる。
キミだってたくさんの人に助けられたりしてきたでしょ?」
隙の多いあなたが今まで生きてこれたのは、そうした良い縁に恵まれたからのもあるだろうと決めつけるように尋ねながら。
「寂しがる人とかもいるんじゃないかな、キミがいなくなって。
それもキミの心を引き留めるには至らなかったみたいだけど」
「リッカ?早起きだね」
朝早く孤児院の外に出て、冷たい空気で目を覚まそうと深呼吸をしていた時だ。
聞きなれた声の主は、優しい月光ではなく眩しい陽射しを反射する。
朝露のような煌めきに思わず目を細めながら、どこか違う雰囲気のあなたへと流れる髪を辿って。
「心配しないで。待ちきれないで今日来ると思ったから空けてあるよ。
あんまり待たせてたら子供の世話をしているときに出てきそうなんだもん」
こうして見ると完全に子供の引率と変わらない。
似たような対応を昨夜、興奮で眠れない子供達にしたばかり。
もう少し落ち着いてから出ようかと思っていたけれど、既に身支度は済ませている。
孤児院で完結する生活を送っているため、普段から洒落っ気など皆無に等しい。
何より道具を揃えるほどの貯えも無い。精々簡単に髪を整える程度。
「……それで?
どうして一緒にお祭りに行こうなんて言い出したか教えてくれる?」
歩き始める前にひとまず気になっていたことを聞いた。
消えないように、聞いてるだけ。
何を白々しい、と敵意は刹那、苛烈さを増し、しかしその後のロキの言葉に何を焼くこともなく直ぐに淡く冷えていく。
「……それは、きっと、いてくれるけど」
まるでこちらの無情を咎めるかのような言葉に、黙して視線を俯かせる。
ロキの言うところに誤りはない。仮にも二十余年、この世界の人間として過ごしてきたのだ。少なからぬ縁というものは生じているし、マーサが惜しむ人間も、マーサを惜しんでくれる人間だっているだろう。
少なくとも、この世界に産み落としてくれた、現在も壮健な両親は自身の喪失を嘆くのには違いない。
しかし。
それでも、前の世界に帰るべき責任というものは、確かにマーサの内にはあった。
「……、そっちはどうなの、ロキ。
何回も何回も参加してるみたいだけど、いったいいつからここに居るの。……戻ることなんて、考えたこともないの?」
伏した眼差しを持ち上げて、そちらの眼をじっと伺う。
| >>13 ロキ 「確かに……普通魔族と聖女は対立しているし。 そんな相手にすら加護を与えるとなれば、慈悲深さを強調することはできるだろうな」 聖女は確かに存在しているし、その力を疑うことはない。 ……が、そこまで信心深くもない男なので、あまり敬うような物言いはしないようだ。 なるほど、と小さく頷いて理屈に納得すれば、再び様子のおかしい態度をみて目をしかめてしまった。 「…………それは本気でいってるのか、俺をからかってるのかどっちかわからん」 言ってること全てが嘘だと言われてもおかしくはないくらい、その真意がつかめない。 今までからかって来ていたのだから、後者だろうか。 しかし、どこかで見た顔だと思った自分の感覚が嘘ではないと信じたい。 (16) 2024/02/01(Thu) 19:50:22 |
「 ふふっ 本当? うれしいわ 」
くるり、くるり。
文字通り地に足もつけないで、嬉しそうに衣服を翻して。
またおんなじように、白銀の髪がきらきらと朝の冷たい空気に揺れていた。
邪気ひとつなく彩やかな、それでいてどこか澄み渡った聖女のこえ。
それはこの冬の寒空にどこか似ていた。
そんな快晴を背に、聖女はくすりと喉を鳴らす。
「 ――― 聞きたい? 」
勿体つけるみたいに、蒼の瞳を細めて。
浮かび上がったその身体が、あなたの正面でぴたりと止まった。
じいと、あなたの化粧けもない顔をその蒼に映す。
「 だって、
今年が
最後になっちゃうかもしれないでしょう? 」
―――当たり前のことみたいに、聖女はいった。
転生と、聖女祭りと、痣と。……あなたの記憶と。
そういうことが全部、その一言には内包されている。
聖女の知る限り、痣が出た人間で記憶を取り戻していないものはいない。
だから、あなたも当然。と。
あなたがそれをこれまで口にしなくとも断定するのは易く、故にこうして、あっさりと口にすることもできる。
そうして、何でもなさそうに、聖女は微笑んでいる。
「 わたし、
ファリエと お祭りが見たかったのよ 」
それだけよ、って。
そう空気に溶かして、微笑っている。
「それ、聞いちゃう?
今回もこの祭りにいることが一番の答えでしょ?」
いまさら多くを語るまでもないことだろう。
何度も祭りに参加し、聖女からの祝福を賜っている。
それはすなわち、この世界から抜け出したいと考え続けている証左に他ならないのだから。
「いつからここに居るかなんてもう忘れちゃったよ。
うんと長生きしてると物覚えも悪くなって困るね」
こちらを伺う眼差しに返るのは、軽薄でおどけたような態度と言葉。
いつからここにいるのか、忘れたと語る口もどれほど信用できるか。
悪魔として生きてきた今生で得たものは、このようなものばかりだ。
「いっそ、何もかも全部忘れてくれれば気楽なのにね」
諦念と哀愁を帯びたこの言葉も、どれほど信じるに値するだろうか。
/*
お疲れ様です!
次回の更新が近づいてきているので襲撃についてのことを決めなければと思っております!
無慈悲な聖女様がさっそくマーサさんの証を光らせることを決めてしまったので、襲撃ロールをやるとなった場合はマーサさんの担当であったほうが良いかなと思っているのですが、いかがでしょうか?
襲撃対象も含めましてそちらにおまかせするつもりでいますが、何か相談事がありましたら何でもおっしゃっていただければと!
「……、だったら、他の人が帰りたい気持ちだって分かるでしょ」
その上で、彼らの願いを踏み付け蹴り飛ばし、自らの願いだけを貴ぶ。
それがマーサには、酷く恐ろしく痛ましい。何度も繰り返すのなんて、想像するだけで怖気が走る。
彼女は、自らの悪徳に寛容に出来ていなかった。今回"こちら側"に立つことになったのも、相当以上の躊躇の末だ。
尤も、決めてしまった以上、他者を顧みることこそ浅薄で傲慢なことかもしれないのだけど、マーサはその事実に思い至らない。
ただ、彼女と自分とは分かり合えない。
論議に痛む胸を疎んでそう結論づけた女は、しかし耳元に滑り込んだ最後の言葉に目を瞬かせた。
そして、ふるりと頭を振る。
「忘れたくないから、七年ごとにここに来てるんでしょう。
……どうせ、忘れたら忘れたで、正体不明の焦燥に苦しむんだと思うよ。
私がそうだったから」
――前世の記憶が戻るまでの幼少期。
年齢に似付かわしくないまでの使命感と、その使命が何なのか把握できずに不安だけを募らせていた時期を思い出した。
無意識のうちに、肩口の痣をそっと撫でる。
/*
お疲れ様です!
一発で抜かれてしまうとは……短い赤窓でした。
墓場から健闘をお祈りしています。せっかくだから村人を全滅させてくれ……!
襲撃対象については……白状しますとほかの誰とも対話ができていないため……ランダムで運のない人を襲っちゃおうかなあと思っていた次第でした。ロールと連絡は……今からです! 動きが遅くて本当に申し訳ない……。
ただ、処理順的には処刑の方が先っぽいのでロキさん襲撃の方が順番としては自然なのかな……? とも思った次第でした。
でも正直ロールで前後しそうなのでこれはどちらでも!
何よりここで死んだら仕事をしないチュートリアル狼さんになってしまう……。
ともあれ、こちらの担当で良ければランダム選出で行こうかなと思っています、とだけ! 決まったらすごい嫌そうにしながらやりますので、覚悟を見せるときとかそんなふうにそそのかして頂ければありがたいかなあと思います!
──これは、あなたが見た夢だったかもしれない。
──水晶玉を通して見た景色だったかもしれない。
──白昼夢のようなまぼろしだったかもしれない。
あなたはこの夢の光景を、音を、どのような手段で知っていても構わない。
これは、誰かに焦点を当てた夢。
ずっとずっと、この世界の外を見続けた誰かを見ている夢。
/*
主に一人称視点で描写予定です。
描写外のことは、曖昧になっているものとして
お受け取りください。例えば思考している時の声だとか。
何かあればご連絡くださいませ。
この窓が見えているあなた様方の良きようにしていただければ幸いです。
「あなた達に新しい命をプレゼントします」
突然の衝撃、転がるバス。
その次に見たのは、よくある異世界転生でありそうな空間に、
これまたご都合主義に無償で良くしてくれる女神様。
ああいや、正しくは聖女様か。
どうやら自分達はあのまま死んで、本当ならそのまま終わるはずだった。
そんなところを、聖女様が自分の世界に転生させてくれるそう。
話を聞くに、一応善意であるらしいことは理解できた。
所謂チート染みた特典だとかはないようだが、
現代日本の知識を持って渡るだけでも大きなアドバンテージだ。
異世界転生ものが流行ってどれくらいだろう?
自分が転生したら、というのは勿論考えたことがある。
正直わくわくした。まさか現実になるなんて!
とは言えその現実は、まずひとつの大問題にぶち当たったわけだが。
『幾星霜のメモワール』
自分の出生が判明してすぐ、
この世界がいくメモの世界であることが分かった。
設定が補完されていそうな部分もあるから、
正しくは似た世界なのかもしれないが、細かいことはいいだろう。
どうしてすぐに分かったかと言えば、家名に覚えがあったから。
──ミューツバイ家。
何作品目だっけな、サブイベントで黒幕だった中流貴族。
密輸+密売が名前の由来だ。ヘンキョー国ドイナーカ村だとか、
見てそのままの名称はいくメモでは度々出てくるが、
これはイベントを進めていて「おっ」となったから、結構印象に残ってる。
大問題というのは、将来的に滅びることが予想されるということ。
世代が違う可能性も考えたが、父親や兄達の名前は覚えがあるものだった。
ゲーム内では当主、妻、長男次男に末娘以外の子どもには
触れられなかったから、自分の行く末は分からない。
が、罪を犯した没落貴族の第n子が幸福になれるとは、到底思えなかった。
先ずは最低限、この世界で生き延びられる力を
つけることを第一に、勉強や鍛錬を重ねた。
時期当主にだなんてまつり上げられないように、実力は極力隠して。
何だか、ますます転生もののやれやれ系主人公っぽいな。
手を出してもバレないと思える程度に実力をつけた頃、
書庫の隠し棚を漁った際に、古代文明関連の書籍を見つけた。
そう言えば追い詰めての隠し球でロストテクノロジーを使っていたな。
書籍は古代文明の研究者の著のようで、
最初は何か使える技術や情報があればと読み進めていた。
が、途中で目的が変わった。
直接的には書いていなかったが…
…この本の著者は自分と同じく転生者らしい。
元の世界…つまり現代日本へ帰るため、研究を続けていたとのことだ。
──彼はそれを、宇宙へ行くと表現していた。
家を出て現代日本とゲームの知識で無双する。
無双なんてせず程々に楽しく一生を過ごす。
──そこに加わった、第三の選択肢。
たぶん、現代日本に戻るよりも、
人生を成功させられるのはこの世界の方だろう。
人生二周目、かつ外から知識を持ち込んでいるのだから、
当然と言えば当然だ。
それでも。
それでも、選択肢を並べて考えた時に思ったのは、
『帰りたい』ってことだった。
漫画の続きが見たい。友達とバカ騒ぎをしたい。家族に会いたい。
大それたことなんてない些細な望みだが、
俺にとっては大切だと思えることだった。
宇宙へ行くこと──それが俺の夢になった。
彼との出会いは、7年前のこの祭りの頃だった。
彼はどうやら見習いらしい様子だったが、
俺は店主の品よりも彼の品に目を引かれた。
オーダーメイドの品を頼まれて嬉しげにしていたのと同じツラを、
まさか暗殺依頼の現場で見るとは思わなかった。
──古代文明の研究者の暗殺依頼。
ゲームでは主人公の目の及ばないところで
暗殺の知らせだけを聞かされて、
それでしばらく後に実は生きていたと出てきたNPC。
どうやって助かったんだよ、ってネットで一生言われてたっけな。
放っておいても死なないかもしれない。
けど、死ぬかもしれない。
盗賊ギルドで見つけた依頼を、俺は受けた。
暗殺の偽装は初めてのことじゃない。失敗しない自信はある。
──と思って行ったらまさか他の暗殺者が、
それもついこの間知り合いになった奴がそこにいるなんて。
ふと気付くことがあって、もしかして…と名を呟いたら
どうやら合っていたらしく、爪の形で判断したと言ったら唖然とされた。
俺も正直自分でもどうかと思う。素直に気持ち悪いだろ。
なんで覚えていた? パッシブスキルのおかげだちくしょうめ。
いつもお世話になっています。
最終的に、俺の方がその場で彼に暗殺の偽装依頼をする、
というところで手を打った。
金はまた稼げる。神経は多少擦り減るが。
彼の偽装工作は、
俺がやるよりも非の打ちどころのない、完璧な工作だった。
暗殺を依頼する人間がどういうところを見るかを心得ている。
実際に見たわけではないが、
暗殺技術そのものも高いだろうことが窺えた。
後で聞いたが、これは暗殺の才能があると言って過言ではない。
とは言えあまりやりたくなさそうでもあったから、
そんなことをしないでも生きていけるようにの
助けにはなってやりたいと思った。
したくないのなら、しないでいられた方がいい。
この世界の人の基準で言えば甘い考えかもしれないが、
俺は平和ボケした現代日本の人間なので。
俺自身、殺しは絶対にしない。
この世界の裏側で許容されていることだとしても。
誰かの命を奪った上で、自分はきっと
平和に暮らせないのを知っているから。
俺はそういう人間だ。
閑話休題。
兎角彼に俺ができることと言えば、
金を払ってやること程度だった。次にこの町に来るまでにと、
結構な難しい依頼を押し付けて行くことにした。
彼に作ってもらった外套は、今でも冒険でよく使っている。
高い所に軽い労力で行けるのって強いだろ?
5年以上ぶりに会っても皮肉を言われる程度には
そこそこ無茶な依頼をしたとは自分でも思う。
が、店を持てたというのは、素直に喜ばしく思えた。
かなり安定していそうだったな。
技術は前よりもずっとずっとよくなっていた。
が、この何年かで、少なくとも見ただけで使える
鑑定スキルは習得していなさそうで。
それは、よかった。
死の呪いがどうのなんて、知らない方がいいと思うから。
久々に会った知人が死ぬかもしれないとか、要らないだろ?
そう言えば店名が若干気になりはしたが、結局聞きそびれてしまった。
予想通りだとしたら戒めか何かなのだろうか、と勝手に思っておく。
聞くことがあるとすれば、今回のことで俺が帰れなかった時にだろう。
…あまり考えたくないな。
/*
すみませ〜ん!
村建てさんの指摘諸々を受けまして処理順敵に襲撃先はこちらのランダムで決めさせていただきます!
システムの理解が浅く話が二転三転させてしまい申し訳ない!
襲撃ロールはそのままマーサさんの担当ということでよろしくお願いします!
もしも既に襲撃対象が決まっていましたら共有いただけますと助かります!
/*
とりあえずささっと襲撃先を決めてしまうぜ……
<<エミール>>who
/*
承知いたしました、確認を取っていただきありがとうございます!
襲撃についての担当、了解いたしました。エミールさんの方にその旨だけ連絡させていただきたいと思います。
ちょっと色々お任せっきりになってしまい申し訳ない……!
「……ふぅん、キミ"は"そうだったんだ?」
言外に告げるのは、自分はそうではなかったというように。
前世の記憶を取り戻すまではまさしく奔放な夢魔だったのだ。
余計なことなんて忘れたままでいられるならそれでよかった。
しかし、思い出してしまったのだ。
それまでの景色が、かつてと同じに見えることは決してない。
「ボクにはわからないね。
こんな良い世界だってのに、他の人の帰りたい気持ちなんてさ」
あなたが悪魔の気持ちを解せぬのと同じように。
悪魔があなたたちの気持ちを解せることもない。
あなたを見る眼差しには一瞬、微かな妬みが入り混じって。
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