人狼物語 三日月国


147 【ペアソロRP】万緑のみぎり【R18G】

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視点:


 
[「ひぁ」だって。
 流歌は漏らす声もかわいいね。

 のけぞった彼女の
 くるしげな吐息が右耳に当たった。
 僕が与えた痛みを受け止めてくれてる。
 彼女の両手は自由だけど、
 僕を退けようとはしないみたい。

 少なくとも今のところは。

 背筋がゾクゾクして、
 ますます、苛めたくなってしまう。
 どこまでの苦痛や羞恥なら、
 僕のために耐えてくれるんだろう?

 ……って、そんなことを考える僕は、最低かなぁ。
 きみを幸せにしたいんだけどな。]
 

 
[童顔で、目が大きくて、出るとこ出てて、
 優しくて、ちょっと天然で、気遣い屋さん。

 きみに想いを寄せる男は実際かなりいたけど
 幼馴染がアレなら、って諦めるように仕向けてきた。
 そのせいもあってかきみの自己評価は低い。
 そこは、完全に誤算だったな。
 少しくらい警戒心を持って欲しい。

 だけどそれは彼女が他の男へ
 意識を向けてこなかったことの証左でもある。
 ────僕の流歌。僕だけの、流歌。]


  そんなわけ、あるよ
  流歌を見てたらこんなになっちゃったんだから

  男って生き物はさ……
  いつだってかわいい女の子のナカに
  こいつをブチ込みたくて仕方ないんだよ


[ごりごり擦り付けながら、……いけない。
 興奮してるから、下品な言葉遣いが混じっちゃった。]
 

 
[学校の後のことも思い出す。
 一体何人の野郎に見られたかわからないけど
 そいつらが見てないもっと内側まで
 見せて貰わないと気が済まない。]


  ねえ、おねがい、流歌。
  服を捲って、胸を僕に見せてよ

  ここは僕だけしかいないから……


[耳に吹き込むように囁いて
 動きやすいよう抱擁の手を緩めた。
 流歌は叶えてくれるかな。
 夢の中って気づいてるのかいないのか。
 ……気づいてても嫌がられちゃうかな。*]
 

[移動中に刺されたと言われましても。
今目の前で、キスマークをつけるのを見た後では、
さすがのミンナでも肯くことは難しい。

通りすがりの虫よりも厄介な彼に、ぅん?と、
調子を合わせるように小首を傾げた。]


 ……えっと、悪い虫さんだね……?


[それは暗に彼に向けているものでもあるのだけれど、
彼自身に伝わるかどうかは分からない。

これは冗談の類いなのだろうか、
それとも本気で誤魔化そうとしているのか。

分からないままではあるけれど、
色の濃いストッキングを履けば隠せないわけではない。
……と、今日の着替えを考えながら、また肌を寄せた。]

[乱れた呼吸がようやく落ち着きを取り戻した頃。
頭上に陰りが現れて、彼の身体が覆い被さってくる。

痛かったらと、言いながらも酷くされたことはない。
(あの時の一件を覗いて、だが。)]


 ……うん、……私も好きだよ?


[唇を寄せられて、ちゅと音の立つキスを交わして。
自然とそのキスが深くなっていく。
同時に、下肢に熱い昂りが触れて。
ゆっくりと秘裂を割り、押し入ってくるのに声を詰まらせた。]


 ……ぁ、っくぅ、……ンンっ……、
 ぁ、ぁッ……はい、っちゃうぅ……っ…
 

[いつも最初に入ってくる時は、その大きさと熱さに身体が強張ってしまう。
だが、一番太い箇所を抜けて、ずぶりと最奥まで貫かれると、
身体いっぱい彼に満たされたようで、充足感に満ち足りた。]

[お腹の奥まで彼のものを感じる。
確かに繋がっている感覚、熱くて、気持ちいい。

両腕を彼の背中に回して、ぎゅっと抱きつくようにして。
額をこつりと、突き合わせる。]


 ……ぁっ、……テンガンの、……で、
 おなか、っ……あつい……

 
[繋がった達成感に、ふにゃりと笑って彼の頬を撫でた。]



[  だから、こんな夢を見るのかな。
  私はきちんと正しく、今を夢だと理解してる。


  夢だって理解してるから逃げないのかな?
  もっと奥深く牙を突き立てられたのならば
  私は潮音のものにしてもらえる?

  痛みに耐える吐息はそんな無意識を、孕んでる。]


[ 潮音の言葉遣いが普段と違う。
  夢は私の願望が反映されるって聞く。

  私はこんな潮音を望んでるのかな、
  そんなはずはない、だって潮音はいつも優しい。

  望んでない?ほんとに?
  ……わかんない。

  だってちょっとだけ怖いのは、本当。 ]


  そんなこと言わないで、
  おかしいよ、……どうしたの、潮音、
  夢だから……?

  私がそうして欲しいって思ってるの?



[ 違う、違わない?違う、
  自答は頭を駆け巡って、気づけば声にもでてる。]



[ 吐息も、押し付けられる感触も、
  ほんものみたいに熱い。

  ……どうしよう。 
  わたし、こんな場所で、
  潮音にこんなことされるの、望んでるのかな。


  部屋でのこと、何も考えてなくたって
  潮音に抱かれる日の事を何も想像してない
  ……わけじゃない。

  あんなにくっついて、おでこのキスはすんでても
  ファーストキスですら
  恥ずかしくてまだ待ってもらってるの。


  どうしよう、どうしよう。
  潮音のお願いが降ってくる。

  耳をくすぐる甘い声が、
  潮音じゃないのに潮音なのがわかるこえ。 ]


[ 抱きしめられた体制のまんま、
  緩くなった腕のなか、

  死にそうな心臓の音をならしながら、そっと
  体操服を胸の上まで捲り上げる。

  今日は白のレースのブラだった。
  すっごく大きくもないけれど、
  抱きしめられた体制でも

  膨らんでるのはわかると思う。 




 



  これで、ゆるして ください





[ 泣きながら、
甘い声で
懇願する。 *]

[彼女の躰を穢す白を喜ぶ姿に息が上がる。
おいしい、と綴る声に目を見開いてそれから年上の女性に翻弄されている自分をしる。責任を取ると自分は言った。だが、果たして彼女は取らせてくれるだろうか。深い思いは濃厚で、自分の感情に自分で振り回されている。

自分と彼女の見ている世界は違う。
だからこそ、息をあげ
濡れ染まった彼女を見て

染みついた熱を感じた]


 ……そうですね。


[それから、苦笑いをする姿を視線でとらえ
それから横を見、小さく首を振った。一緒にという申し出に対して自分の理性が効かないのではと思うのあるけど。]


 先にナナミさんが入ってください。
  俺、その間に此処片付けておくっすよ。


[旦那さんが帰ってくるまでになんとかしなくちゃ。と真面目な顏をみせ、それから、官能的な姿を思い出せば、染みたシーツを撫で。彼女の頬にと手を添えた。
旦那さんが帰ってくるかも、というスリルもいい。けど彼女を困らせたいわけではないのだ。

先ほど、ねばついた精液であそび。

自らを彩った姿を思い出して
前のやり取りを蘇らせれば]

 
 そういや、おっぱいまんこなんて
   ……あまり言わないと思うんっすけど。

 ナナミさん、今まであまり言わなかったんっすか? 
  もちろん俺としては興奮するんで良いんですが。


[翻弄してくる彼女のどこか幼い部分
知識と行動、それらのずれを問いかけつつも、体を軽く拭い。彼女がシャワーに向かうのなら、体を気遣いエスコートしよう。もっとも場所はしらないので案内してもらうことになるのだが、彼女が自分で洗えるようなら、此方は軽くふき、汚れを落として、その間に寝室を整えるつもりで]



 あ、あとこれから口説いて
   好きになってもらうつもりなんで

   改めてよろしくっす。


[今後も頑張ります。と真剣な顏で。
シャワーを浴びて汚れを落とす彼女を見ていたい。のだけど、其処はきちんとしたところを見せないといけない。のだと、周回遅れで追いかける男は思うのだ。*]
 



痕をつけて、誤魔化しのような冗談を彼女に告げると
彼女にさえ理解してもらえず、苦笑いが浮かぶ。
悪い虫と言われると、たしかにそれはそう、と
強くは否定はできずにいた。
寧ろ肯定して、けれどももっと悪い虫もいると
やけに冷静な彼女に言ってみるが、
どう言う反応を得られただろうか。


「黒の靴下持ってなかったっけ。
 それで隠れそうだよ?」

赤く染めた痕を優しく撫でながら、
余裕そうに提案をしてみたが、
彼女の衣服を全て覚えているわけでもなく
冒険者として旅を続けている以上、
荷物を少なくするなら替えが少ない。
故に、持っていたような気がすると提案しただけ。





基本的には、というより彼女が痛がるのなら
やめてしまおうかと思うほど、
彼女のことを壊れやすい宝石のように扱う。
だからこそ、一緒に気持ちよくなっているのなら
それでいいけれど、痛いといわれてしまえば
動くのをすぐやめて、痛くなくなるよう気をつける。


「っ、……もうちょっとだから、力抜いて?」


唇を重ねると流れるように深くなっていく。
舌を絡め合わせて、それと同じく
腰をぐっと深くまで持っていくと、
彼女の体が少し強張ったように感じられ、
唇を離して声を詰まらせる彼女を宥める。
ほぼ奥まで来ていたから、
よしよし、と彼女の頭を撫でてあげて。





「ん、………奥まできちゃった。
 ミンの中、すっごい気持ちいいよ。
 もっと動くね、気持ちよくなろ………」


奥まで到達すると額がくっつき、
彼女の腕は背中に回ってきて、頬を撫でられると
その状態から少し動かずに中の様子を
身をもって体感してみれば、
ゆっくりと前後に腰を動かし始める。
可愛い彼女に口づけを何度も落としては、
可愛いね、と呟き、囁き。



[彼の言うもっと悪い虫というのは何を指すのか。
理解できないまま、瞬いてまた首を捻った。]


 テンガン以上にもっと、悪い虫?
 居るのかなぁ……。


[うぅん、と考えてみる限りは思いつかない。
ただその悪い虫には、望んでつけられているので、
一様に悪い虫というわけではないのだけれど。

彼の手が肌を撫でれば、その擽ったさに膝を曲げる。
提案には自身も似たようなことを考えていたから、]


 うん、ストッキングがあるから大丈夫。
 ふくらはぎどころか、太腿まで隠せるよ。


[くすりと、笑って頷いた。]


 
 ……ぁ、ん、……うんッ……、


[挿入される時に思わず力が入っていたのか、
窘められてこくこくと何度も頷きながら、息を吐き出した。

狭い膣を彼のものが時間を掛けてゆっくりと埋められていく。
言われた通りに何度も、細く息を吐き出しながら
受け入れるように意識的に力を抜いていれば、
ぐっ、と一気に彼のものが突き入れられて、
思わず、ビクンッと腰が跳ねた。]


 ……あぁッ、……ンッ……!
 はッ、……ぁうッ……、


[撫でる彼の手が優しい。頭を撫でる手に、
圧迫感に滲んだ瞳を上げて、縋るように彼に抱きついて。]

[奥まで入ったという彼の言葉を聞いたら、
ふ、と身体の力が抜け落ちた。

気持ちいいと彼が言う。
そうさせているのが自身だと思えば、嬉しくて。
目尻に溜まった涙を散らしながら、緩く微笑みを返した。

中を堪能するように彼が身じろがずにじっとしていれば、
身体の奥がじわじわとうねりを見せる。
そのタイミングを見計らうかのように、彼が動き出す。]

 
 ……んぁ、ッ、ぁッ、ぁッ……
 あッ、だめッ……、ゆっくり、……

 ふぁッ、ぁんッ、……ぁ、ぁぅッ……


[彼の腰の動きに合わせるように次第に、上擦った声が洩れる。
リズムに合わせるように甘ったるい声が跳ねて、
降り落ちる口付けに溺れていく。]


[ 実のところ、悪魔は少年に大した期待をしているわけも無かった。
  駄々をこねたり帰りたいと泣き出したのならば、
  適当に遊んで飽きた後、相応の使い道に回すつもりだった。

  それでも時間を掛けることにしたのは、
  間違えてもあの拙い誘惑に揺かされたからではない。

  空腹に任せて悪魔すら喰らおうと思い至り、
  敵わぬと思いながら他害行動をやめられなかった。
  少しも悪びれることも無く、更に交渉まで仕掛けてきた。
  そして何よりも、あの日々の中彼は――――

  もう既にこちら側なのは確かだったから。 ]*

 
[彼女の声は怯え、微かに震えていた。

 こんな僕では、流歌はいやかな。
 怖がらせたい訳じゃないんだ。ごめんね。
 だけど、そうさせているのが自分だと思うと、
 やっぱり、少し興奮してしまった。]


  うーん……


[惑う声への返事を勿体ぶる。
 実際、少し悩む時間が必要だった。

 夢の内容はきみの願望だと頷けば、
 きみは流されてくれるんだろうか。
 それはとても……、魅力的。

 だけどこの期に及んで彼女を穢したくない自分も、
 彼女の方から堕ちてきて欲しい自分も、居て。]
 

 
[自らの願望だけ伝える。]


  ……それは、どうだろうね。
  でもね、僕の方は、そうしたいと思っているよ。


[きみは自分で決めて良い。
 それが僕と同じじゃなくたって、
 僕の欲望すべてを受け止めてくれなくたって、
 僕はきみをすきじゃなくなったりしない。
 
僕もきみに嫌われるのが怖くて。

 
夢の中じゃなきゃこんな風に触れられない。


 離してあげることなんか絶対に出来ない。
 僕はきみが、きみだけが、すきだから。]
 

 
[ひとつ彼女に投げたお願いは
 僕の願望の第一歩みたいなもの。

 彼女の手が体操服の裾を掴めば、
 肩越しにじっ……と見下ろした。

 服はゆっくりと持ち上げられていき
 いよいよ膨らみが露わになる
 タイミングで、ゴクリと唾を飲み込んで。
 天使の羽みたいなレースに包まれた
 双丘には、目が釘付けになった。]


  ……っ、すご……


[すごく、きれいだし。大きいし。えっちだし。
 流歌が自分の手で晒してくれてるという事実に
 頭が沸騰しそうになる。]
 

 
[そこに聴こえてきた蚊の鳴くような声。

 
甘い声。


 視線を滑らせると、流歌は…… 泣いていた。]
 

 
[ゾクゾクゾク、って、背筋に痺れが走る。
 嗚呼もう、なにその顔。その声。
 ……かわいすぎるにも、程があるでしょぉ?]


  〜〜っ、 
はァ
……
  ……ごめんね、恥ずかしい? 嫌だった?


[昂りを抑え込み、努めて優しく問いかけつつ
 右手で頬に触れて、こっち向かせて。
 目許に唇を寄せて涙を吸い取っていった。
 なんてきれいな涙だろう。白い肌も。

 
もっと見たい。

 

 
[僕って本当に、駄目な彼氏だ。
 大事な彼女を泣かせて、悦んでるんだから。
 嫌われたくない。好き。大好き。

 でも、もう少しくらいなら────……、

   と、次のお願いをしかけたとき。]
 

 
  
Wピーポーピーポーー……W

 

[体の相性も合うけれど、好きだとか愛してるの延長線上にある盲目気味の自分を、彼の虜だと表現したつもりでいた。誤解を招きかねない文脈だったと思い至らないが、嘘偽りない本心とはいえ、陳腐にも聞こえる台詞を紡いだ自覚はあった。

それを笑う訳でもなく、彼が黙ったまま動きを止める。
一体何を考えているのか、……そもそも聞こえていなくて呆けているだけなのか、考え得る可能性が浮かんでは消えていく。話したいから口を動かすのに、頭を働かせた彼の思考がどこに転ぶのか予想出来ない。

頭の中を覗くことも、思考回路を手繰ることも。
誰にも出来ないと分かってはいる]


 ふ、……はあっ、はは……駄目なのか。

 でも君も、自分で……っ動いてる、だろ?
 馬鹿になってる瑠威も可愛いから……、
 ……もっと馬鹿になってくれよ。


[少し腰を揺する度に、途切れ途切れの甘ったるい嬌声が彼の唇から溢れた。素直に快感を得ようとして子供のようにぐずる姿が、可愛くて愛おしくて、同時に安堵を覚える。彼につられて馬鹿になった素振りで、弾む息に機嫌良さげな笑い声が混じった。

実際はセックスを始める前──そもそも転院する以前から。とっくの昔に、自分はある意味馬鹿になっているのだが]

[ぐずる彼が可愛いとは言っても、意地悪く与えずにいられるほど歪んでいなければ、もっと奥まで繋がりたいのは私も同じで。涙声を口付けで塞ぎながら侵犯を深めて腹の奥を抉り、欲望に従って彼の言葉に応えた。

彼の痴態でどろどろに頭が溶ける。
自制心や理性が削ぎ落とされた後に残ったのは、彼の胎内の最奥で果てたいという原始的な欲求で。男だから孕みはしないのに中に注ぐことしか考えられず、思考の破綻を自覚出来る余裕もない]


 っは、…………あぁ、 私も────、


[ほとんど意味のある音を発せないで、嗚咽の断片めいた声を殺す。絶頂への階段を駆け上がるように律動を早め、震える背中を抱き締めた。どくりと脈打った熱が吐き出す白濁を、一滴残らず絞り取るような容赦無い収縮の余韻が続き、堪らず呻く]

[びくびくと打ち震える脈動を埋めたまま、荒い呼吸を繰り返す。満ち足りた感覚と、どっと押し寄せてきた疲労感が心地良い怠さを運んで来る。重い腕を彼に巻き付けて、寄り添ったまま暫くは呼吸を整える]
 

 はあ、…………っは、ぁ……、っ
 …………だいじょうぶ、か?


[あまり大丈夫だとは思えないけれど、働かない頭で言えるのはそれぐらいで。口付けようとするが、ぐったりと項垂れているなら首筋あたりに唇を押し当てて。

細い身体を支えながら、ゆっくりとシーツに横たわらせようとする]

[身体は疲れているのに神経は昂っていて、思い出したように睡魔が凭れかかって来るのに、頭は冴えているような妙な感覚。長年片想いしていた相手と結ばれたのだから、興奮が落ち着かないのも無理はないのか。

と、そこまで考えて何か引っ掛かる。
……私達は結ばれたのか?

彼の「好き」を疑う気持ちはないのだけれどまだ実感がない。
掴み所のない幸福感を抱いたまま、ぼんやりと彼の顔を眺める。こういう時、世の中の人達はどんな会話をするんだ。そもそも会話より休ませた方が良いんじゃないか……、そういえば左手は?

今までずっと意識の外だった怪我を、今更思い出す。
彼の左手を掬い、腕の傷を目視で確認して]


 ……無理させたな。君は休んだ方が良い


[何か話し掛けられれば答えるけれど、ぐったりした様子なら そう声を掛ける。頭を撫でようとした色々な体液塗れの手が宙を彷徨い、やがて下す。代わりにキスをして薄ら口角を持ち上げる。

結局歯止めが効かなくて加減出来なかったし、腹の中には精液が入ったままだ。かなり負担をかけてしまった。彼が眠るまで横にいるつもりで隣に並ぶ*]

[ 可愛いなんて母以外に久々に言われた。
 母に一瞬意識が向きかけて一気に萎みそうになる気持ちを
 可愛いの言葉だけに向けて引き戻す。
 今この人に俺は可愛く見えてるのか。
 昔の印象のまま固定されているにしても
 昔だってそう幼くはなかった筈なのに。
 如何して大の大人の男が可愛く見えるやら
 なんともおかしな話だと思うのに
 何故だか悪い気はしなかった。

 嫌な気分ではなかった。
 どんな評価であれどんな見解であれ
 彼に与えられるものなら、なんだって。

 あの頃も今も変わらず彼が好きな証明なんて
 それだけで足りるだろう。
 あと男に抱かれてるのも。
 こんなに気持ちいいって知ってたとしても
 彼以外になんて、考えるのも嫌なのだから。 ]

[ 興奮の滲む彼の荒く艶やかな呼吸の音。
 潤いも足さずに交わる結合に女を抱く時のような水音はなく
 汗に湿る肌同士が当たる音と軋むベッドの音が耳についた。

 馴染みのある分かり易い快感を以て
 欲望の弾ける瞬間へと向け急速に駆け上がりながら
 覚えたばかりのまだ不慣れで、
 それなのに強烈な心地よさを同時に味わわされて
 頭が、混乱する。
 男として生きてきた自分の体を作り替えられるような
 おかしな錯覚に酔い痴れて。

 あとを追うように限界を訴える彼の声にぞくぞくと
 絶頂の余韻とは違う法悦が駆け抜けて
 熱いものを吐き出すさなかの体を休む間もなく
 断続的に攻められ、声にならず吐息の音だけで喘いだ。

 気遣いや手加減を取り払ったような力強い抽挿に
 彼が彼だけの快感を求めて動いているんだと理解して
 彼の欲をこの身にぶつけられ受け止めているんだと思えば
 訳のわからない感情が込み上げてきて堪らなくなった。

 愛おしさと呼ぶには如何にも狂暴で酷く淫らな。
 言い表す言葉は見つけられる気がしない。

 過去に抱いた女が興奮を煽る為紡いだ言葉が頭に浮かんで
 「なかにだして」と強請った気がする。
 彼を悦ばせるためではなく純粋に自分がそうされたくて。
 きちんと言葉になった自信はない。 ]

[ 元より入口の皮膚以外殆どが感覚を持たない内臓での交わりだ
 中で震える感触も、吐き出された実感もまるでない。

 けれど抱きしめられ重なる身体の震えと
 生々しい呻き声に彼の絶頂を知る。

 体はすっかり疲弊しきって重力が倍に感じるし
 ぜぇぜぇと繰り返す呼吸の音は耳障りで息苦しく
 もう指一本動かしたくないのに、興奮が醒めない。

 熱くて、暑くて。
 張り付く重たい身体が苦痛なのに心地よくて
 離れがたくて背中の後ろに体重を預けようとすれば
 未だ繋がったままのものが角度を変えて小さく呻いた。

 え?萎えてないの?何故?
 いや、俺もだな?俺もだったわ。何故。

 もうなにを考えるのもだるくて
 疑問は浮かぶ傍から投げ出した。
 重力倍増しに感じるクソ程重たい腕を死ぬ気で持ち上げて
 首筋にじゃれついてくる頭をベタつく手で構わず撫でた。
 何も考えない頭で、理由もなくそうしたかったから。 ]

[ 気遣いの戻ったやり方で、すっかり弛緩した体を
 シーツの上に横たえられる。
 死ぬほど疲れていたので逆らわず手伝わず体を預けた。
 気遣うならまず抜けとは思ったが言わなかった。
 離れたくなくて、言いたくなかったので。

 予告通りに汗だくになった身体に
 乾いたシーツの感触が心地よくて
 もぞもぞと蠢き湿っていない場所を探す ] 


 ​────、…───……、……っ、……
 ……しにそ、……むちゃくちゃ、きもちよかった。


[ 遅れた返事を漸く紡げば、緩みきった口から涎が垂れかけて
 垂らしてももう今更どうでもよかったけど
 死ぬほど喉が渇いていたので無理やり飲み下す。

 みずほしい。けど、いいたくない。
 動きたくも離れたくもなかった。 ]

[ 動きたくも離れたくもない、けれど
 顔を見るためのろのろ体を捻れば
 彼が出した分だけ多少の滑りを取り戻した中から
 ずるりと半端に彼が腹圧で押し出されて
 強制的に味わわされる排泄と殆どおんなじ原始的な快感に
 ぞわぞわして戦慄きながら、ぅ゙あ゙とか色気の欠片もない
 なかなかにひどい悲鳴をか細く溢れた。

 ぜんぶ抜けてないから
 まだこれを味わう事になるのがわかってしまう。
 離れたくない以上の嫌を突きつけられて
 はふはふ喘ぎながらも
 当初の目的を成し遂げるべく彼の顔を見る。

 ひどく疲弊しきった顔はそのままに目だけギラギラしてる。
 これは徹夜が過ぎて疲弊し過ぎたが為に分泌された
 脳内麻薬でおかしなテンションになってる顔だ。  ]


 せんせぇも……誠丞さんも、きもちよかった?

 満足したならねなよ。
 ひっどいかおしてる。

 

[ 抜いて離れるのも、抜ける感覚も嫌だけど
 半端な今の状況が、なかなかやばいとこを押してることに
 ばきばきに勃起しだす自身でもって察して、
 意を決してずるりと完全に引き抜いた。

 ずるりと内臓を道連れにするみたいに出ていくのが
 気持ち悪くて気持ちよくて
 え゙だかあ゙だかわからない音で呻いて
 謎の情けなさに泣き出しそうになりながらも
 重い体を引きずって完全に向き直る。

 どろっと産み出された直腸温度にほかほかになった
 彼のやつを、そのままでは気持ち悪かろうと
 その辺のシーツを手繰ってかなり適当に拭いてやった。
 自分の尻も気持ちわるいけどこっちは
 シーツで拭くのが流石に躊躇われてそのままに。

 布団でもかけてやるべきだけど
 これ以上一切動きたくないし暑いので
 寄り添うだけにしておいた。

 いろいろ考えなきゃいけない面倒なことが
 かなり、だいぶ、残っている気がする
 けれど、眠って起きたあとの自分に
 ぜんぶ押し付けることにして。

 ねなよ、おやすみ、を繰り返し
 彼が目を閉じるのを見守ってから、自分も目を閉じて
 泥のような眠りにずぶずぶと沈んでいった。* ]



[ 少し怖かった潮音の口調が
  ちょっとだけ いつものに近づいた。

  相変わらずシチュエーションは
  なんというか、そう、
  日常の舞台なのになんだかそう、


  ……えっちなかんじにみえちゃう。


  夢の潮音は願望なの?って聞いても
  そうだよ、って言わなかった。

  否定も肯定もないところが
  妙に現実的で、……だから余計に混乱する。 ]


  


[ 潮音が願ってくれてるの?
   ……ねえ、ほんと?

  恥ずかしい。死んじゃいそう。

  夢の中だからきっと、こんなことしちゃうんだ。
  怖い。
  
  ……こわい、潮音が、
  ……こわい、わたしが



  どうして泣いてるかわかんない。
  ううん、恥ずかしすぎて死にそうなことはわかる。


  くちびるが涙を拐ってく。
  だから私、目をとじたの、――





  もっと、

 
 Wピーポーピーポーー……



 


[ 眠る時にパジャマの下にはブラ付けない派だから
  少し捲れば簡単に肌は露出してしまう。


  夢でみたもののように、
  夢の続きのように、パジャマをゆっくり捲り上げた。
  夜風に晒された胸の先はつんと上を向いてる。

  お風呂に入ったり着替えたりするし
  自分の裸なんて見慣れてるし、……何もない。
  筈なのに。

  どうしよう、すごくイケない事してる気がする。
  壁を隔てた隣の部屋は潮音が居る。
  ……よね、さっき見たのは潮音、じゃないよね。


  ブレスレットを身につけた手で、
  自ら露出させた場所を隠すように触れた。 ]




  潮音……っ



[ 窓開けて、浚いに来てくれないかな、
  ……動かしたつもりなかったのに、少し指が動いたら
 変な気持ちになってきちゃった。


 ……潮音、私と、えっちなことしたい、って
 ほんとに思ってくれるのかな?



 ブレスレットの無い方の手で、ぱんつ越し
 少し濡れてる場所に、触れる。 ]



「俺が悪い虫になってもっと悪い虫が
 ミンにくっつかないようにしてるから、
 知らないままで十分なんだけど。
 でも…、存在だけは知っておいて。
 もし俺がそばにいないときがあれば、
 そういう虫は近づいてくるから……」


賊というのは甘い香りに飛びつく害虫よりも
粗悪だと思っているほどに彼の中では敵になっている。
一般市民が彼女に視線を送るのは、
手を出してくる心配が賊に比べればないので
まだ、許容できる部分がある。
けれども、賊はそうでもない。
彼女のように綺麗で可愛い女性が1人で歩いていれば
瞬く間に狙われてしまう。

彼女が1人で出歩くことがあっても、
できるだけ人通りが少ないところは避けるようにと
バディを組んだ頃から教えていたような気がする。





「なら、沢山つけても問題ないね?」

彼女の膝が曲がれば、ちゅ、っと唇を寄せ。
もうたくさんつけたと思っているので、
冗談ではあるのだが、太ももにまた軽く何度か
唇を寄せて、時には舌を這わせてみたことだろう。


「そう、いい子。……すごく敏感になったね。
 よくできました、辛くはない?」


今にも泣き出してしまいそうな彼女の瞳。
どんな宝石よりも煌めいて視線を奪われる。
呼吸を整えるその姿も素敵だと感じて。
ゆるりと動かす腰に合わせて吐き出される声。
中も蠢いて、彼の熱に絡み付く。
彼女の全身で彼を受け入れられているような気分に、
ゆっくり、とせがまれれば仰せのままにと
言わんばかりに、ゆっくりと彼女の奥を突き上げた。







「は、……もしかしたら、1回先に出てしまうかも。
 っ、…ふ………ぅ…きもちいい?」

彼女の腰を抱えて少し浮かせれば、
突き上げる場所が変わったことだろう。
溜まっていた分があるからか、
すぐにでも出してしまいそうな気分になる。
堪えるように彼女に口づけを落として注意を逸らした。



 そんなこと、しなくていいわよ!


[彼の気遣いっぷりに驚きながら、慌てて首を振る。

 風呂と一緒にシーツを洗い、片付けようと思っていたのだけれど。
 彼がしてくれようと思っていること自体に驚いたのだ。

 きっとそれは自分のためなのだろう。

 彼は夫が浮気していることを知らない……はず。
 自分と彼の仲はあくまでも不倫で、 自分が浮気をしていることがばれたら立場が悪くなる私のことを思い、体力が尽きてしまった私を思いやって、提案してくれてるんだと思えば、彼の気持ちに心が温かくなった。

でも、彼がどこか引け目のようなものを感じているかのようにも思えて、じゃあ、シーツの汚れだけお願いしていいかしら? とお願いすることにした]


 えっと、風呂場はこっちよ。
 覚えておいてね。


[この先、何度も来るかもしれないから。
 そう暗に伝えるかのように。

 脚が震えてうまく立ちあがれなかったことを、心配になったのか彼が自分をエスコートしてくれる。
 一度立ち上がってしまったらもう大丈夫なのだけど、彼に甘えたくて、彼に抱き寄せられたままになったまま、風呂場に到着したのだけれど。
寝室に戻る際に置き去りにされた言葉に、心がわしづかみにされた]



 好きになってもらうって……。



[浴室のドアの向こうに消えた彼に、一人で動揺してしまう。
 もう、十分に彼のことを好きになっているのに。
 伝わってないのだろうか。
 そう思えば、ちゃんと言葉にして言ってなかったような気がする。
 彼は思いを口にして言ってくれているのに。
 でも、真剣な顔をしていた彼に言っても信じてもらえるかどうか。
 周回遅れどころか、ぶっちぎりトップの好感度を稼いでいる男だというのに。

 そのわかっていない感が彼らしくて………愛しい]


 ああ、もう……。


[シャワーの雨の中に頭を突っ込む。
頭は先ほど洗ったから洗わなくていいというのに。
ただ、もどかしくて。年下の彼に翻弄されているの自分が歯がゆくて。
ただただ、顔が熱い]
 


 ヤスヒサくん、ありがとう。
 よかったら浴びてきて? 


[バスローブを持ってくるのを忘れてて、バスタオルを巻きつけながら部屋に戻る。
 彼が風呂に入ったなら、その間に食事の準備をすればいいだろうか*]

 

  (……、……流歌……?)


[ヒトより良い耳がその声を拾った気がして
 壁にそっと手を当てた。
 気になるけれど、
 ここからは見えないし、それ以上は聞こえなかった。

 寝言かな。

 ……でも、切実な響きを含んでいた気がして。
 妙にドキドキしたまま、
 長いような短いような夜を越えたのだと思う。]
 


 ……ふ、ふふっ……、あははっ、
 悪い虫って……認めちゃうの……


[あまりに真剣に心配されたけれど、
自身を悪い虫だと認めてしまうテンガンが、
可笑しくてついつい笑ってしまう。

窘められたなら、ごめんなさい、と謝りつつも、
まだ笑いを抑えきれないまま頷いて。]


 ……うん、わかった。気をつけるね。


[と、大して本気にせずに頷いた。
だって、いつも隣にはテンガンが居るし、
傍に居ない時だなんて考えられない。

一人で出歩く時は彼に断りを入れているし、
断りを入れたら入れたで、一緒に来るのだこの人は。]

[今はそんな悪い虫のやりとりよりも、
深く繋がった場所が彼の存在を大きく知らせる。

もう付ける場所もないくらいなのにの痕の上から、
再びキスが降り落ちれば擽ったさに身を捩り、小さく啼いた。

つらくはないかと問う声に、こくこくと頷いて、
背に回した腕をきゅうと強くする。

ゆっくりと動き出す彼に揺さぶらされて、
感じ入るように瞳を閉じれば、ふるりと睫毛が涙を浚う。]


 ぁ……あッ、ンン……、
 は、ぁ……ン、……い、い……、

 きもち……いい、よぉッ……


[感じている時は声に出して欲しいと彼に言われてから、
羞恥を覚えながらも、拙く声にするようになって。]



 んぁッ……ぁぁあッ……!
 ……ぁッ、ンン……、ん、ぅんッ……

 ……きもち、いいッ……からぁ……ッ…



[腰を抱き寄せられて、彼のものが弱い箇所に当たる。
思わず悲鳴のような声を上げて、びくんっと背を撓らせた。
うねるように中が蠢いて、彼のものを締め付ける。

濡れた視界の端で彼を捉えたら、再び唇を奪われて、
突き上げられながら口内を蹂躙されて思考が鈍くなっていく。]

[そろそろお互い体力的に問題だろうし、自分が勃たなくなるのでは……と思っていたが。まだ臨戦体勢のままでいる事実に驚きながら、引き抜いてしまうのが惜しくて後回しにする。今日初めて抱き合ったのに、元々私の一部だったかのように馴染んでいるのが心地良くて。物理的な相性というより、精神的な充足が大きいのかもしれない。

彼の返事が無くても、疲労や喉の酷使の所為で声が出ないのだろうと思った。重いだけの腕を回し、背後にくっついて人肌を享受していると、時間差で返事を貰う。
「良かった」と溢すと同時に、比喩表現に小さく笑う。死にそう、なんて。彼が言うとどうしても悪い冗談に聞こえ、軽い拒絶反応を覚えてしまいそうな単語だが。
……今は不思議と笑える。

感想を言葉にしようとして、彼が身体を捩った拍子に頭から抜け落ちた。少し腕を浮かせて待てば、今の動作で疲弊したらしい彼と目が合う。重い瞼が繰り返し瞬く]


 気持ち良かった。性欲だけじゃなくて、
 ……満たされた、と言えばいいのか。

 大丈夫、寝る。
 ただ今は目が冴えてるだけ…………、うん。
 

[セックスがこんなに気持ち良いのだと、私は知らなかった。今までの行為は目的でしかなく、短絡的な欲望を発散する以外の意味を持たなかったから。

埋めた一部を引き抜こうとして呻く様子に、腰を引いて手伝おうとするが、思った程身体が動かなかった。ずるりと粘膜に擦られる感覚に身構え、栓の外れた入り口から滴る残滓を視線で追う]


 ありがとう……、?

[外気に晒された熱を拭う面倒見の良さに、若干の疑問系を含んだお礼を言って]

 そういえば君に名前を呼ばれると、不思議な感じだ。
 先生って呼ばれ慣れてるからかな。


[昔の知り合いの名前まで覚えていないだろう、という勝手な推測が生んだ驚きだ。おそらくは。
半ば独り言のように呟いた後、「る い」と意味もなく彼の名前を呼んだ。
さっきまで何を話したら良いのか、と考えていたのが嘘みたいに]

[一度は彼の言いつけ通り瞼を閉じた。けれど眉間に皺を寄せ、いまいち眠気に身を委ねられずに時々目を開ける。何かをやりっ放しで放置したまま睡眠を優先する、……という状況が少し落ち着かないだけだ。きっと。

そっと目の前を窺うと、寝たと思っていた彼が此方を見ていて視線を泳がせる]


 寝る、……寝るよ、おやすみ。


[わしゃりと長い前髪を乱し、緩やかに撫でる。ベタついた手だからと先程は躊躇したけれど、……まあいいだろう。
そのうち指先すら重いような睡魔に引き摺られ、大人しく眠りに沈んだ]

[──近くの体温に擦り寄り、眠りの浅瀬を揺蕩う。
やけにリアルに感じる人肌。はっと目を覚ます]


 ────……、


[寝ぼけ眼に、見慣れない景色が広がっている。
そういえば此処は孤島病院で、眠る前の出来事を朧げに思い出す。意識がはっきりして一番最初に気になるのは彼の居場所だ。それから今は何時なのかと部屋を見回すが時計が無い。左手にも当然腕時計はない]

[隣の彼の様子を窺う。
まだ眠っているなら、そのまま寝かせておく。

あちこちベタついた身体を起こし、病室を見渡す。
……喉が渇いた。

そういえば患者の世話も担当医の仕事なのだから、ここでじっとしていたら干からびてしまう。ベットの端で半分ずり落ちているシーツを彼の素肌に掛け、外を出歩けない格好のまま水を探しに行くだろう。

色々話さなきゃならない事もあるのだけれど*]



彼女が笑っているのを見るのは幸せになる。
けれども、彼の真剣さとは少しいろんな意味で
彼女の真剣さは差があるようで、
やきもきしてしまいそうなこともある。


「笑いすぎ。こんなに痕つけてるんだから
 悪い虫でいいんだよ、わかった?」

彼女につられて笑いながらも、
納得させるようにもう1度告げて。
彼女がここまで真剣に受け入れないのは
1人でどこかにいくと告げられると、
こっそりだったり、堂々とだったり、
彼女の安全を見守っているからか。
それはそれで、全信頼を置いてくれていると
テンガン自身嬉しいので構わないのだが。





悪い虫のやりとりをやったいたときは
睦み合う時間というよりも、じゃれあっている時間。
けれども今は、それよりももっと深く交わって。
腰の動きに合わせて聞かせてくれる声が
彼の熱を更に熱くしていく。
角度が変われば彼女の体が震え、
中を締め付けられてしまうと、少し危なくなってきた。 





泣かないでと言わんばかりに、
口づけを交わしながら彼女の瞳を優しく親指で撫で、
濡れたまつ毛についた涙を取ろうとする。
ゆっくり動こうと思っていたけれど、
彼女が可愛く、反応が敏感になっていくと、
間に合わなくなってきて、
彼女の腰に手を添えたまま、徐々にその動きは
速さを増していく。


「あ、……ミン、ダメだ、……!
 出る、中に出すから、っ……
 は、ッ………….!!!」


彼女の中の締め付けを大いに感じ、1度目の溜まった熱が
奥を目掛けて吐き出されてしまうことだろう。
出してしまった後は暫くの間その熱を抜かずに、
乱れた呼吸を少し整えるように
彼女を抱きしめて、頬にちゅ、っと
何度も何度も口づけを落とすのだが、
彼女の様子はどういったものだったろうか。



[深く口付けを交わして、キスに酔いしれながらも
浅く、深く腰を突き入れられて、
合わさった唇の隙間から声が溢れて落ちていく。]


 ……ふぁ、……ぁ、んッ……
 あっ、……いいッ……

 ぁッ、あッ……ンンッ……!!


[指の腹で目尻を撫でられれば、雫が彼の指に吸い付く。
強くなっていく刺激に、縋る手が追いつかずに
ずるりと滑り落ちて、シーツを掴んだ。

苦しげな彼の声を聞きながら、
彼が果てると共に、びくんッと下肢がひくつく。

中に吹き出すような熱さは感じない。
代わりにぎゅうっと抱きしめられて、
同じ温度で抱き返すようにように、しがみついた。]

[彼は達したものの、中途半端に熱の点った身体は
まだじくじくと疼いていてる。
抱きしめられて、また慈しむようにキスを落とされては、
じわりと達していない奥が、疼く。]


 ……気持ち、よかった……?


[おずおずとそう尋ねながら、萎んだ彼のものを、
きゅう、と再び甘く締め付けて誘えば、どんな顔をするだろうか。]



[だが、そうしてまで生きた先に何があるのだろうか。

思い至るには実に三百年以上の時を必要とした私は、
確かに嫌悪し嘲笑った愚かな人間の一人であった。

しかもそれが、
魔女の子から悪魔の仔となっても尚
世界の歴史の波打ちに在り方を乱されつつも、
悍ましき羽音に怯えながら駒遊びをする日々に対し、
疲れ果てたからこそだったとすれば、真に救えない話であろう。]



[そんな私だからこそ、分かっている。

裏切りを受け入れ、教会の走狗に敢えて身を委ね
与えられる死に期待を持っていたことを
──貴方はお気づきになられたのでしょう?

意識を失う前に聞こえた声が、今も耳に残り羽音を鳴らしている。
まるで呪いのようだった。]



[ 哀れなものだとせせら笑っていた。
  いつ気づくだろうかと愉しみにしていた。

  魔女裁判を騙る残虐な略奪を繰り返した教会が民衆が、
  火炙りにされた女達同様人間でしかないように
  どれ程歪みを得ようとも、少年の心も人のもの。

  本能とは、朽ち果てる前に種を未来に繋ぐ為に存在する。
  その楔から解き放たれて尚欲求だけを持ち続けるなど、
  人の身で“こちら側”となるなど、

  いつか限界が来るに決まっていたのだ。 ]



[ 形ばかりの笑いの向こう、
  冷えた猛禽の瞳が下僕の所作の一つ一つを
  じっと射抜くように見つめ続けていた。

  犯した失敗も、至った感情のまま人に堕とされようとしたことも
  許していないのは明らかであった。 ]



彼女の中はいろんな箇所が性感帯のようで
前後に動くだけでも何度も反応がある。
それは彼とて同じで、彼女の膣肉に締め付けられると
小さく声を何度も漏らしては抽送を続けて
奥で果てたなら、擬皮の中に吐き出されていく熱。
シーツを掴んで感じてしまう彼女の姿に、
気持ちだけは先行してまた元気になっていくのだが、
それと同時に、彼女の中で体積を減らした自身に気付き、
中には出していなかった、と雰囲気的に言ってしまった
一言を思い出して少しだけ苦笑いを見せた。






「ん、凄く気持ちよかった。………
 ちょっと待ってね、新しいやつに………
 今度はちゃんと奥に出したい。

 ………許してくれる?」


彼女の声、おねだり、中の動き。
いろんな要因のおかげで硬さを取り戻しはじめ、
1度その繋がりを解消すると使用済みになった
擬皮の処理をしていった。
新しいものをつけるか、と思ってみたが、
未開封のものを手にしたままベッドに戻り
彼女に覆い被さって彼の方からもねだってみた。






──── パチンッ


彼が指を鳴らせば、彼女の胸を這うそれだけが
甘く、少し酸味のあるような果実の香りを放ち
じゅわっと彼女の衣服に染みていく。
そして衣服が緩やかに溶かされていくような。


「触るのを待つとは、言わなかった気がするんだ」


実際、補給のたびに腰を撫でたり髪を触ったりと
触ってきたはずなので、彼女もそれには気づいているはず。
だからこれもその延長線上にある。
そう言っても過言ではないかもしれない。*



[彼女の言葉に肯き。
シーツを洗う。本当はもっと何かできればよかったのだけど、生憎自分にできることは限られていて、風呂場の場所を教えてもらえば、きちんと覚えますと頷いた。彼女は、この先も自分との関係を持つ事を望んでくれている。

その事が嬉しかった。
風呂場に入った彼女を見送り、
シーツを剥がせば、洗う準備をはじめ、汚れを落とそう。乱れた其れを見返せば、先ほどの交わりを思い出してしまう。自ら此方の逸物を良くしようとする姿は、妖艶というのにふさわしく。
思い出すだけで欲望がせりあがる。

若いなと自らを自嘲し
声を賭けられるまで

悶々と部屋で待ち]



 ああ、ありがとうござ…い、
 ……その、服は


[彼女の姿に思わずと目を逸らしたのは
自分の中の欲望に勝てる自信がなかったため、先ほどの恰好だって此方を刺激してきたのだ。バスタオル一枚なんて、余計にくる。その姿が改めて彼女との交わりを意識させ、体を火照らせるのだから。

彼女の前をそくさと通り過ぎ
シャワーを借りれば、冷水を浴び
頭をひやしただろう]

[これで好きになってもらうって
まだまだ青い自分で、果たしてどこまで食い付けるか。道は長いと考え、滝に打たれ修行する事を真剣に悩むほど、冷水に浸り。それから、冷えた身体では彼女を心配させるかも。と気づき、慌てて温水で洗えば、戻った頃に食事の準備は出来ているか。

――服、向こうにおきっぱなしだった。と
彼女と同様バスタオルで現れることになったのは、お茶目。というより、うっかりで]


 すみません、ナナミさん。
 服そっちに置き忘れちゃって


[見苦しい姿を見せました。と
反省の顏で現れただろう*]

[ 「満たされた」って性欲以外の何が。
 思ったけど声に出さなかったのは
 何となくその感覚がわかる気がしたからだ。
 「何が」と逆に尋ねられても答えられないけれど
 何かが漸く満たされた気がして
 満たされた気がすることで足りなかったことを知る。
 何かが。いやわかんないけど。

 普段なら終わった後は暫くもう放っておいて欲しくなるのに
 わけのわからない多幸感に満ちていて
 アナルセックスがすごいのか
 好きな人との結ばれることがすごいのか
 後者だったら美談なんだろうと思うから
 後者と思っておくのがよさそうだ。

 この充足感が新たな性癖の扉を開いた所為じゃ
 ないと思いたいなんて考えて、ふと
 もしそうだったとしても許すのは彼だけなのだから
 結局美談と思っておいても大差はないと気付、

 ……いたあたりでアナルセックスに思いを馳せていた
 なかなかに酷い思考を引き戻される。
 いやいや尻のことばっか考えても仕方ないじゃん?
 そのくらいの衝撃だったわけですし。 ]

[気持ちよかったと吐き出される声に微笑んで、
懐くように肌を擦り寄せる。
先に彼が口にしたように中にと告げたのは、
時折、避妊魔法を掛けてそれを受け入れるからだろう。

そう、今も。
耳朶に甘く囁かれれば、蜜壺が期待にひくりと蠢いてしまう。]


 ……う、ん……


[求められることを気恥ずかしくも受け入れて、
一度、彼のものが身体から抜け落ちていく。

薄皮一枚と言えど、熱さの感覚は違うもので、
擬皮がなければ、より彼の熱さを直接感じることになる。]

[ 先に名前で呼んだのは自分のくせに
 俺が呼ぶのは引っかかるらしい。
 なんとなく浮かんだ不満のまま
 なんでだよって突っかかろうとした出鼻は
 噛み締めるみたいに名を呼ぶ声にへし折られた。

 そんな声で呼ばれてしまえば
 些細なことはどうでも良くなってしまった。 ]


 やだったら……、せんせぇって呼び続けるけど。
 けど……でも、……いいじゃんべつに
 ふたりきりのときくらいは、誠丞さんて呼んでも。

 ずっと、『先生』以外の関係になって欲しかったんだ。
 こんなことまでしたんだし、
 なってくれるんでしょ?せぇーんせ。


[ 見返りを寄越せだなんてなかなか性格の悪い台詞を
 どうせ叶えてくれるだろうと信じきった甘えた態度で吐く。

 何に、とははっきりと名言しなかった。
 何になって欲しいのか自分でもよくわからなくて。 ]

[彼が引くのを見て、自身も身体を起こし、
己の下腹部に掌を当てる。
すう、と息を吸い込んでから、小さく囁いた。]


 
Magia contraceptiva



[呪文を唱えれば、ぽうと白い光が掌から膨らんでいき、
下腹部を照らして身体の中へ入り込んでいく。

家を出る時に母に教えられた避妊の魔法。
これを行ったからといって確実に避妊できるわけではないが、
防衛魔法の強化のようなものでパーセンテージは上がる。]


 ……これで、いい?


[光が消え去って体内に入っていくと、
未開封のものを手にしたままの彼が目に映って、上目遣いにそう尋ねる。]

【人】 入院中 阿出川 瑠威

[ 彼は俺の家庭教師で俺はその生徒だった。

 それだけだったから、それ以外も欲しかった。
 それ以外の時間の彼を知りたかった。
 その手始めに欲しかったのが性的な接触で
 体さえ交われば彼の特別な存在になれるんだと夢見てた。

 彼は主治医で俺は患者だった。
 それ以外を欲しがってまた彼が
 俺の前からいなくなってしまうのが怖かった。
 それでも欲しがる気持ちは消えることなく
 変わらないどころかより強い執着として
 俺の心の中に燻り続け
 欲しがる事すら許されない窮屈さに腐敗していった。

 病院から飛び降りようとしたのは、多分故意だった。

 母がいないうちに、そう思った気持ちも嘘じゃない
 けれど
 それ以上に、あの時強く思ったことは……… ]
(112) 2022/05/24(Tue) 21:52:43

【人】 入院中 阿出川 瑠威

[ 彼の一番になりたかった。
 彼の唯一になりたかった。
 彼を自分だけのものにしたかった。
 心も体も時間も全て、この先の未来さえも
 彼を俺に縛り付けてやりたかった。
 彼に俺を刻みつけてやりたかった。
 彼に俺を縛り付けて欲しかった。
 心も体も時間も全て、この先の未来さえも
 俺を彼だけのものにして欲しかった。
 俺の唯一は彼以外いない。
 俺の一番はずっと彼だった。

 そう自覚して初めて
 母の気持ちが少しだけわかった気がした。

 きっと俺は母に似ているのだと思う。
 或いは俺のほうがもっと酷いかもしれない。

 愛し方と、歪み方が。 ]
(114) 2022/05/24(Tue) 21:54:52
[ 途中で一度手洗いに起きた。
 その時に彼をベッドに縛り付けてやろうかと思った。

 転院させられたとは聞いたが
 現状どういう状況なのかわからないなりに
 彼をあの病院に戻れるよう何か手伝えないかと
 思っていた気持ちに嘘はない。
 けれど。それ以上に。

 気付いてしまった。自分の気持ちに。
 彼をここから一歩たりとも外に出したくない。
 一番になりたかった。けれどそれだけじゃ満足できなくて
 二番以下も誰にも譲りたくなかった。

 このまま一緒に死んで今を永遠にできたらどんなに良いかと
 一瞬過ぎった甘美な妄想に囚われ
 彼の無防備な首筋に指が絡むより前に
 もっと強欲な自分が顔を出したから、何もしなかった。

 俺しかいないから俺が唯一なんじゃなく
 他にもいるのに俺を選ぶくらいじゃないと
 きっと俺は満足できそうにない、と。 ]

[ となりで身じろぐ気配で覚醒したふりをして
 むずがるような音で小さく唸って寝ぼけたふりをして
 隣の彼に寄り添って、擦り寄った。

 が、特に効果はなかった。
 可愛いって言ったから自分なりに
 めいっぱい媚びてみたつもりなんだが?
 満足するための方向性がわからない。

 シーツを掛けられ離れて行くから
 仕方なく離れて行く背を見送る。
 綺麗なままの背中を見つめて
 背中に爪あとでも付けてやれば良かったと思った。 ]


 ………どこいくの?


[ そんな無防備な格好のままどこかに出かけやしないだろう。
 けれどそのままシャワーを浴びて着替えた後なら?
 どこかへ行ってしまうのだろうか。俺を置いて。
 俺の知らない時間にどこで誰と過ごすのかと
 考えただけで頭がどうにかなりそうだ。

 不安に駆られ咄嗟に飛び起き声をかければ
 置いていかないでと嘆く子供みたいな怯えた声になった。
 けれど、最中に散々騒いでいたおかげで
 久々に発した声は少々ざらついてしまっていて
 不自然さは、掠れた声に霞んでしまったかもしれない。* ]

 綺麗に落としてくれてありがとね。


[彼が洗ったシーツ渡してくれたので、それを受け取って。
バスタオル一枚の自分を気遣ったのか、彼の目が自分を避けていく。
 そのまま彼を浴室に見送れば、今度は髪を軽くドライヤーで乾かし、バスタオルから女性らしくも清楚なワンピースに着替え、エプロンを上に着ける。
フルメイクする余裕も時間もないから、軽く目元と唇だけメイクして。
 急いで身支度を済ませたから、まだ彼はシャワーを浴びているようだ。

 サンドイッチ用のパンをホットサンドメーカーに挟んで焼いている間に、ビーフシチューを温めなおす。
タルタルステーキにはサワークリームを添えて配膳し、二人分のカトラリーを置いておいて。
アップルパイは後でアイスクリームをのせてもってこようか。
結構すんなりと用意が済んでほっとした。

 ついでに洗濯機に彼が洗ってくれたシーツを放り込んだり、新しいシーツを敷いたりしてして、情事の痕跡が部屋に残らないようにもできただろう。

彼が持ってきてくれたワインの栓をもう開けようかどうか悩んでいたら、彼が風呂から出てきたのに気づいた]



彼女へのおねだりは快く受け入れられ、
避妊魔法を目の前でかけてくれたので、
未開封の擬皮はそのまま使用せずにいられそうだった。


「そうだね、大丈夫だと思う。
 もし子供ができても一緒に可愛がっていくつもりだから」


上目遣いがとても可愛らしく、
ありがとうと呟きながら髪をそっと撫でる。
何度か緩やかに唇を重ねてから、
彼女の腰に手を添え、熱を更に滾らせるために
すり、っと秘裂に戻ってきた熱を添え当てた。






「急ぐ旅でもないから、沢山可愛がる。
 ミンのことすごく好きだって、
 もっと知ってほしいんだ。
 知ってくれてると思うけどさ」


ふっと笑みが溢れて、大好きだよ、と言葉が漏れる。
腰を動かし秘裂でその質量を増していく熱は
時折先端だけ中に入って出てを繰り返して。
準備ができたと思えば、彼女の様子を見てから、
今度は何もつけずに彼女の魔法に甘える形で
くちゅ、っとまた中にその熱を埋めていこうとする。





 おかえ……ふぁっ!?


[思わず漏れる奇声。
バスタオル一枚に濡れ髪の彼が出てきたのに行き会ってしまった。
腰の周りだけをタオルで隠し、その肉体美を顕わにして。

 思わず見とれてしまった。
 こんなの眼福でしかない。
 肉体労働に近いことをしているせいか、彼の躰はやはりたくましくて鍛えられてて。
 肩に盛り上がった筋肉とか、しっかりとした脛などを見ないようでいながらばっちりしっかり見てしまった。
 これではまるで痴女である。

 自分はあの躰に抱かれたんだ―――。

そう思うと、ぶわっと顔から火をふいてしまう]


 は、はやく食べましょっ
 服、そこだから。


[先頬部屋の片づけと一緒に彼の服もたたんでおいたのを指さして。
声が上ずってしまっているが、変に思われてないだろうか。
そう思うが、言い訳もできない。
彼に椅子をすすめ、それから今日のメインのワインの栓を開けようか]

[ワインの栓を開けるのは少し手間取ったかもしれないけれど、無事、二人のグラスに注ぐことはできて]


 お口に合えば嬉しいな。


[もちろん、料理のことである。
もう一つ食べられたものの方は、彼の口に合っていてほしかった。
 思わず自分の唇に触る。
 この唇でキスをして、舐めてしゃぶって飲んだもの……。
 それはこの自分の口に合っていたのだから。

 よく、男を落とすには胃袋と玉袋を握ればいいというが、まさか玉袋の方で彼を落とすことになるなんて思ってもみなかった。
 胃袋の方はどうだろう。

 なんとなく不安になって、彼の方をじっと見ていた*]

 
 うぅん、子供はまだ早いよぉ。
 旅も続けたいし、もう少しだけ
 テンガンのことも、独り占めしていたいし……。

 ……でも、そう言ってくれてありがと。


[ふふ、と小さく微笑んだ。
髪を撫でてくれる手が好きだと思う。
その手に甘えるように頭を手のひらに寄せて、
啄むだけのキスを何度か交わして、互いに笑い合う。

触れ合っていれば腰に熱い高ぶりが触れる。
こくりと物欲しそうに喉がなって、再び足を開いて、
彼のものを中心に充てがえば、一度解されたその場所は、
悦ぶように吸い付いて、ひくりと蠢いた。]

[初めて熱を交わしたときから、彼は情熱的だった。
今も変わらず愛をささやく言葉は変わらず、
私だけを見つけて密やかに紡がれる。]


 ……うん、知ってるよ。
 テンガンが私のこと、好きだってこと。

 だから、
……いっぱい、可愛がって。



[何度も重ねるように送られる言葉に目を細めて、
これ以上ないくらい蕩けた顔で彼を見上げた。

熱が再びゆっくりと中へと押し入ってくる。]


 ……ンっ、……はぁ、ぅ……ッ……
 

[先程よりも熱い雄芯が秘所へ埋まっていく。
奥へと進む度に、は、は、と細く息を吐き出して。
シーツを頼りなく握りしめれば、白い布地に皺が広がった。]

[彼が口にする、少し舌足らずで甘ったるい響きの「先生」も嫌いじゃない。むしろ好きだった。同意を求めるような言い回しに、時間差で返事をする。私の願望を彼から提案されると思っていなかったので]


 ……、……もちろん。私も同じことを考えてた。

 君に先生と呼ばれるのも好きだけど。
 名前だと、特別になった心地がして嬉しいよ。

 ただ慣れないというか、擽ったいのかもな。


[別にふたりきりの時以外も、名前で呼んでくれても良い。付け加えようとした言葉を飲み込んで、緩く微笑むだけに留める。私以外の第三者が存在する時は、此処を出た時だろう。泥濘のような疲労を言い訳にし、想像するのを止める。

先生以外の関係と聞いて、恋人しか思い浮かばない程度には気持ちが浮ついていた。好意的な台詞の応酬が、リップサービスではないと思っていたからこそ。だから関係性について明言しなかった]

[──彼の言葉を真に受けてはいけない。
病院で「夜風に当たっている」姿を見て、彼から目を離してはいけないと思った。本人にその気はなかったとしても、自然と自死に引き寄せられるなら自分が止めなければ。
その行動が正しいとか、間違ってるとか関係無く。

……そう思い詰めていた癖に、彼の隣でまんまと惰眠を貪っていた。呑気に夢を見ていたのは気が緩んでいたからかもしれない。

狸寝入りとは気が付かず、擦り寄る寝顔を見つめて表情筋を緩ませた。もう一眠りしたい欲に駆られるが、世話役としての仕事があるので思い留まる。隣を抜け出して背を向けたが]


 ……、起こしたか?悪いな。


[掠れた声色に手繰られ、振り返って「おはよう」と挨拶をする。床に捨て置かれた冷たいバスタオルが視界に入り、全裸よりはまだ良いかと腰に巻いておく。此処に来てから、自分の中の許容範囲がどんどん広がっている気がする]

[掠れてざらついた奥の色までは気取れないけれど。寝坊助が振り返ったら起き上がっている、その些細な違和感が無意識下で引っかかり、近くまで戻ってベッドの端に座る]


 水を取りに行こうと思って。
 この部屋か、……無ければ給湯室か自販機に行くよ。
 まあこの格好のままじゃ外には行けないが。
 
 ……──そういえば、説明してなかったと思うけど。
 この病院の形態はちょっと特殊で、……

 専門的なことは勿論、患者の世話も担当医の仕事だ。
 例えば食事や、風呂の準備もね。
 

 
 まあ、……表向きは公的な施設ではあるけれど、
 実際は私達医者が、患者を選んでいる。

 
[この病室には、私以外の医師も看護師も来ない。
当然外部の人間も面会は許されていない。

まるで非現実的な業態だけれど、軽い説明をする]

[彼の言う通り大人しく眠ったおかげで、それなりに頭がすっきりしている。「ひっどいかお」はある程度解消されている筈だけれど、彼はどうだろう。顔色を見て、観察に近い眼差しを向け]


 ……よく眠れた? 
 喉使い過ぎて、声枯れてるな。


[手を伸ばし、ぺたりと彼の頬に触れる*]

[ 彼が振り向いただけでほっとして
 戻ってきてくれるだけで肩の力が抜ける。

 そばに腰掛けた彼の手を勝手に取って自分の頬に寄せ
 撫でろと言わんばかりに擦り寄った。

 目の前にいてもこれだ。
 今頃母は発狂してるだろうなって簡単に想像がついた。 ]


 なに、ここ病院ってマジなの?
 誠丞さんの強めの幻覚で俺が監禁されてるんじゃなく?
 ……まぁそうだったとしても別に俺は構わないけどさ。


[ 帰らなきゃってこれっぽっちも思わないのが自分で笑えて
 ちょっと笑い声が溢れる。
 
 死ぬ逃げ出すつもりで捨てたからじゃない。
 なんとなくわかった。
 母が俺に依存していたように、俺も母に依存していた。
 今は新しい依存先ができたから、もうどうでもいいだけ。

 母も俺が居なくなれば新しい何かを見つけて
 そしてどうでもよくなるのかな。そうなればいいのに。
 だって俺はこんなにも薄情だ。
 それがすこしだけ申し訳ない。
 母も俺も同じように互いに依存していたけれど
 同じ強さじゃないことが申し訳なくて、
 だから縛られていただけなんだと今ならわかる。 ]

[ 彼の言い分が真実ならば、いや真実なわけはないと思うが
 例えばの話。もしそうならば……
 医者としての経歴に傷が付かないのか?なんて
 考えてみてもよくわからなくて。

 頬に感じる彼の体温に懐きながらじっと彼の顔を覗き込む。
 正気に見えるけど。俺よりは余程。]


 ん。多分……良く眠れたんじゃないかなぁ。

 ひさしぶりに、そんなに頭も痛くないし
 耳鳴りもしない。それに……
 そこまで死にたいとも思わない。

 ……あー……でも、多少は熱っぽいのかな。
 誠丞さんの手、きもちいい。


[ 全然そんな気はしないけれど。
 ただ甘えたいから心配を誘う。
 
 誘っているのが『心配』だけにしては
 最中にでも聞かせるような
 甘ったるい「きもちいい」だったが
 この仏頂面はそのくらいで動じやしないだろうし
 冗談だと伝える意味でちょうどいいだろうと
 すこしだけ、悪戯な気持ちで悪ふざけを。 ]


[ 水を取りに行くだけのことを先延ばしにさせたくて
 彼の肩にもたれ掛かったりしながら彼の言葉を反芻する。

 医者が、患者を選んでいる。

 どうして俺を選んでくれたの?なんて
 しおらしい気持ちはもうどこにも残ってなくて
 心地よい充足感だけが胸にあった。

 彼が俺を選んでくれた。

 その事が嬉しくて。嬉しくて。
 夢なんじゃないかと疑う気持ちはなくはないけれど
 夢なら終わりにしたら死ねばいいだけだと極端な考えが浮かぶ。

 だって彼が俺を選ばない現実なんて
 必要ないのだから仕方あるまい。
 どうせ捨てる死ぬつもりだった。
 捨てることに改めて躊躇が生まれることもない。 ]

[ 引き止めるために言葉を探す。
 どうせ水を取って戻るだけだ。
 その言葉を疑っているわけじゃない。
 それなのにそれだけのほんのわずかな間でも
 連れて行ってくれないのなら行かせたくなくて。

 けれど今までただの医者と患者の関係を貫いていたせいで
 共通の話題なんてひとつしか思い浮かばなくて ]


 ……俺が入院してる理由は……一応『目』なんだっけ?

 入院期間は……?
 ……​────完治するまで?


[ あれ?入院費どうなるんだろう?
 本当に彼の言うとおりここが病院ならの話だけれど。
 信じてはいないけれど嘘でもどうでもよかったから
 話半分に受け取って、信じているていで尋ねた。
 退院するつもりなんて、これっぽっちもないけれど。

 彼の医者としての経歴に傷が付くのなら
 あの病院に返してやらなきゃとは思う。
 思うのに、ここにいて欲しくて。

 だからこそ、完治するまでかと尋ねた。
 治らないと理解しているから。
 実は治せるなんて夢みたいな言葉をもし今聴いても
 きっと悪夢にしか聞こえないんだろう。* ]



「インタリオ様、ゲヘナにはこの館以外何もないんですか?」

「何故貴方はここに縛られているのですか?」

[肌がすっかりと彼の色に馴染み、変色した髪も見慣れた頃。
呼ばれたのだったか、それとも此処で学びを受けていたのだったか。

最初より伸びた背丈で、やはりこの椅子に腰掛けて
窓の向こうを一瞥した後、少しの躊躇いと共にそう聞いた記憶。
此の地が地獄の最下層に位置するとは知らされても、
それについては語られたことは、問いかける時までは無かった筈。

無限じみた拡がりを見せる神話の真実の全てを掴もうとするよりは、
細やかな存在たる下僕の頭でも理解出来る可能性があることだと

……此方は思っていたけれど、主はどう感じたか。]



「かつてはあったとも言えるけれど、
今もある、と答えるほうが正しいだろうね?」

[ 白肌の下僕が傍らに馴染んだ頃、
  魔術の教育の合間、悪魔は問いを投げられた。

  含む躊躇い、どれ程前から疑問を抱きそして期を伺っていたのか。
  少し意外そうに片眉を上げ、
  笑って返すまでにはそう時間は掛からなかった。]

「ゲヘナが今の状態になったのは、争いによるもの
君が満足に視認し、立ち歩けるのは確かにこの館の範囲だけさ」

[ 語りながらも立ち上がり窓へ近寄る。
  振り返り少年に目を向けるが、来なければそれでもいい。 ]



「オレと同じように沢山の名前を人類に与えられた強力な悪魔が
かつて、地獄にはいたんだよ。
彼女は誰よりも美しい姿をしていたけれど、とても凶暴で
暴れ始めると化け物になり、手がつけられる者は他にいなかった」

[ 何しろ共に生まれた弟すらも殺してしまったくらいだと、
  愉快そうに、同胞たる姉弟の結末を語る。

  人の仔には見えぬ何かを見出すように、
  窓の向こう、館の外まで遠くを見つめた黒黄は細まった。 ]

「死んでいないよ。あれは、今もゲヘナの更に奥底で眠っている
それを抑え込む為にオレは動けないんだ」

[ 人間によって、共に
悪魔の王Satan
とされた彼女
  その者を封印する鍵となって以降遥かなる時が過ぎる間、
  悪魔は現在までゲヘナから移動したことはない。
 
  信仰という定義で
  魂により生み出された装身具と自己を繋ぎ、媒介とし。
  一時の体現をかつてよりは自由に成しているのみである。 ]



「だから、魂が沢山必要なんだ
特に不幸な魂は一層に力となる……分かるね?」

[ 広がる永劫の暗黒から視線を外し、悪魔は翠の瞳を見つめた。

  そう、芸術品として貯め込まれる魂はただの道楽ではない。
  人間の言葉で表現するならばそれは非常食とでもいうだろうか。

  拘りを持って選ばれ、加工されているのは事実だが
  その美しさはいずれ必要とする時にどれ程力になるかを示す。
  向かう先は、剪定外となり装身具にもならなかった魂と同じ。]

「君がオレの期待に応え続け、契約を結ぶ時がいつか来ますように」

[ 大きな掌で、色褪せた緑を優しく撫で付け微笑んだ。

  彼が数多の魂を悪魔に捧げる未来を願い、
  最期には己自身を主の糧とする結末を思いながら。 ]*



「それは……?」

[ゲヘナに堕ちてからの少年の行動は
悪魔に教えられたこと、許しを得たこと、その二つが殆どだ。
幾つもの言葉や感情を押し潰し、言葉にせず留めて過ごした。

故に、それなりの勇気を持って聞いたつもりであった。
しかし、どうやら許されたらしいが返ったのは笑みと謎掛けめいた答え。
重なる疑問と共に惹き付けられ、自然と緊張が解かれる。

誘われるままに立ち上がり、窓に向き合うように彼の隣へ立つ。
自分には視認出来ないという何かは、やはり闇に包まれ見えぬまま。
そこには人ならざるもの達の争いの痕跡があるのだろうか?]



「私にはとても、壮大に感じる話です」
「貴方に相応する存在が他にいる……など」

[多大な功績を残した英雄王が、幾多の名で呼ばれるように。
神話に記される悪魔の名が人類による身勝手だとしても、
強大さをきっと示しているのだろう。

同胞殺しを、兄弟殺しを罪とも思わない様子の
あの地獄を村に齎した悪魔と渡り合い、不自由を永い間強いて、
殺されきることもなく今も眠り続けている
ゲヘナを荒廃させた化け物の女悪魔は、
どれ程の存在なのか、拾われ仔には想像もつかない。]

「奥底というのは、やはりあそこなのですか」

[夜に潜む獣の如く細まる瞳孔を横目に、
弱き生き物は真剣な面持ちと声で問い、裂け目のほうを指差した。

肯定が返れば思わずそこから目を逸らした。
何も知らぬまま門を挟む形で近くまで寄り、眺めたかつてを想って。]


[逸れた目は上を向き、主と視線を交じらせる。
少しの間まじまじと見つめた後、はっと翠が見開かれた。
彼が語った言葉の意味に気づいた。

悪魔が少年の私に施した教育には、彼の同胞との接触方法も含む。
その契約の対価は総じて────魂である。

芸術の悪魔などと謳う、変わり者であり更に強者たる主も
彼らと根本は同じなのだ。]

「はい、……インタリオ様」

[大きな掌を受け入れ、少し俯きながら微笑んだ。
今するべきことは、きっとそれなのだと分かったから。

未来を変える機会は二度は訪れないのならば私に出来るのは、
人間達の魂を捧げ続け自らの結末を出来る限り遠くに置くことだけ。

まるで家畜のようだと感じた。
**]

[幻覚ではなく現実で事実だと、冷静な頭で理解しているが。「違う」とは即答出来なかった。どこか愉快げに見える彼を前に、冗談の軽さで笑い返せずに仏頂面のまま見つめる。手のひらに懐いた頬を慈しむように撫でながら。

さらりと暴露してから気付いたが、監禁と変わりない入院生活だと告げたようなものだ。飄々とした様子には少し面食らってしまう。

脱衣所で話した時、外に残してきた両親を気にしていた様子だったが。気掛かりな所はあれど、彼が構わないと言うならそれでいい。結局ここに留まる選択肢しか許可出来ないのに、あえて蒸し返して「駄目だ」と拒絶するのは……、避けたいことだった]


 ……私もこの話を知った時は、冗談だと思ったさ。


[彼にとっては此処が病院だろうが、そうでなかろうが、大差ないかもしれない。とはいえ彼の生活を制限する以上は、説明しておくべきだとも考える。

会員性SNSの存在を伝える代わりに、どうするか……]

[彼の体調が心配で様子を窺ったが、近い距離で見つめ合うと少し心臓に悪い。私を映す瞳に惹きつけられる。「きもちいい」の甘やかな響きが情事の彼を連想させ、恋慕の色眼鏡が彼をそう見せるのか、それとも熱っぽさのせいなのか判断に困る]


 ……、……調子が良くてなにより。
 でも熱っぽいのは心配だな。
 
 平熱は低い方?
 そんなに昨日と変わりない気もするが、
 あとで体温を測った方がいいね。


[「やけに可愛く言うんだな」という感想を零すよりも動揺が勝り、するりと視線が泳いだ。分かりにくい照れ方。
前髪を片手で引き浚うと、手のひらで額の温度を確かめる。正確性には欠けるので後で測りはするのだけど]

[はじめは転院した体を貫く気でいたから、左眼のためだと話したが。入院理由の話をされ、ふと思い付く。

頬のまろみを辿っていた手指を解き、凭れ掛かる重みをベッドボードに託して、徐に立ち上がる。何か聞かれたら「見せたいものがある」だけで、部屋から出ないと答えるだろう。病室の隅に寄せ、布を掛けられた置物のひとつに近寄る。

背景に溶け込んでいたそのカバーを外して、]


 ……個人的な監禁で、ここまで用意するのは
 なかなか金が掛かり過ぎる話だと思わないか?
 これ一台で数百万はする。


[露出した検査機器を指し示す。何度も眼科に掛った彼なら見覚えがあるかもしれないが、興味が無ければ記憶にも残り難い置物だ。手続きの書類は手元にないので、幻覚を否定し得るものとして代わりに見せる]

 
 この病院のスポンサーは相当の金持ちらしい。
 文面だけのやりとりで直接会ったことはないが……、
 私と似た目的の為に病院を設立した、と聞いた。

 入院費の請求を私達が受けることはないし、
 医者にも給料が支払われる契約……のはずだ。

 …………まあ、信じ難い話だとは思う。
 私ですら夢なんじゃないかと、時々過ぎるくらいだ。

 いくら担保すると言われても初日じゃ判断出来ない。


[患者側にとっては監禁と変わらないだろうから、幻覚という認識でも構わないのだが。どこからか内情が漏れてしまい業務禁止処分……だとか。ある日唐突に終わる可能性があるなら、ほとんど幻のようなものだとも思い始める]

 
 だから──……質問に話を戻すと、だ。

 手続き的な転院理由は左眼だったとしても、
 実際の入院期間は、担当医の匙加減で決まる。

 もしくは、…………此処が閉院する時か?


[彼の判断はどうであれ、説明材料に使えそうな物証は現状これくらいしかない。検査を始める訳じゃないので元通りに整えたら、彼の隣に戻るつもりだ*]

 




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