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【人】 XI『正義』 マドカ[僕の部屋には元々あまり、物がない。 誰かから贈られた大切なものはあるけれど。 だから、片付けはごくごく簡単に済んだ。 贈り物は、持って行くかを少しだけ悩んで、 やめた。 まどかせんせい、とつたない字で書かれた手紙も 羊のぬいぐるみも この部屋に、そっと置いていく。] 僕は、不幸に酔ってるのかな。 贖罪ごっこ、なのかな、これは。 [ぽつん、とひとつ、呟いた。>>4:174] (307) 2022/12/25(Sun) 0:11:51 |
【人】 XI『正義』 マドカ[好きで自分を傷つけるわけではない。 生憎、マゾヒストのつもりはなかった。 傍から見ていてその違いは、分からないだろう。 わかるはずがない。] ……間に合わないさ、 そもそも自分が『人間』だって、 未だに受け止められていないんだ [この世界を選ぶことのできた君たちが、 うらやましいと思った。 うらやましいと思うくらいには、未練があった。 それでも僕は、日向の道を歩くことはできない。 『マドカの望むものは得られないでしょう』 >>3:48箱庭へと行っても、得られるものは無いかもしれない。 それでも……それでも。] (308) 2022/12/25(Sun) 0:12:40 |
【人】 XI『正義』 マドカ[でも、君の占いも、 案外アテにならないんじゃないかな、って。 そんなことを、意地悪な僕は思ってしまうよ。] 神様……と、クロ? [箱庭への扉をくぐった時、 最初に目に飛び込んできたのは、二人の姿だった。 きっと、本当はいけないことだ。 それでも僕の心は、 その姿を見て刹那、歓喜してしまったんだ。] (309) 2022/12/25(Sun) 0:12:58 |
【人】 XI『正義』 マドカ[ふわ、と胸の内に浮かんだだけで、 その言葉は、感情は、 風に流れる薄雲のように消えていく。 きっと、些細な出来事だった。 なんてことない、日常だった。 けれどきっと、 今となっては取り返すことの叶わない、 大切なものが失われる前の…… 後に残ったのは、理由のない 愛 しさだけだった。] (310) 2022/12/25(Sun) 0:13:52 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕は、そっと一歩を踏み出す。 一歩。一歩。 次第にその歩幅が大きくなり、 次の一歩までの時間が短くなり、 最後には駆け出して。 世界から逃げて、逃げて、逃げて、 ここに至った僕だけれど。 今はただ、二人に早く、近づきたくて。 それは長いようで短い距離。 たどり着いた僕は、自然と神様の前に膝をつく。] (311) 2022/12/25(Sun) 0:14:01 |
【人】 XI『正義』 マドカ神様。 僕のこと、連れて行ってください。 ここで、一緒に過ごさせてください。 貴方にはもう不要かもしれないけれど、 僕は貴方と共にいたい。 この箱庭で、生きたいんです。 僕はたくさん間違えました。 きっと、貴方もたくさん間違えました。 だから、一緒に考えましょう。 たくさん、考えましょう。 時間が許す限り、ずっと。 (312) 2022/12/25(Sun) 0:14:15 |
【人】 XI『正義』 マドカ[赦されるなら、その手を取ろう。 子供の姿をしている神様の、 小さな両手を両手で握ろう。 嫌だ、って言われたらどうしようって気持ちも 少しはあるけれど。 多分、追い返されはしないんじゃないかなって、 期待していても良いかな。**] (313) 2022/12/25(Sun) 0:14:23 |
【人】 XI『正義』 マドカわっ……!? [神様の返事を待っていたら、 真横からの衝撃。>>354 反射的に受け止めて、そのまま二人で転がる。 泣きじゃくる君の体を抱きしめて、 僕は目を瞬いた。 どうしてここに?って、 聞く前だったか、後だったか。 君はきっと世界を選ぶ……って、 漠然と思っていたものだから、 尋ねるのは少し怖かった。 けれど、君が、僕もここに居ることにした……って。 そう言うものだから。] (550) 2022/12/25(Sun) 23:57:31 |
【人】 XI『正義』 マドカ……ッ! [君を抱きしめた腕に、更に力が籠ってしまう。 僕はどうしても、『平等』を棄てられなかった。 だから僕は、年下の子供たちには、 極力分け隔てなく接してきたつもりだった。 裾を引かれれば文字を教えたし、 強請られればパンケーキを焼いた。 けれど……本当は。きっと。 “ 君 ” が誰よりも特別で、大切だった。] (551) 2022/12/25(Sun) 23:57:42 |
【人】 XI『正義』 マドカクロ……クロ。 僕も、君に、逢いたかった……! [迎えに行ったあの日、君は僕の腕の中で泣いた。 あの日から?いいや、多分もっと前から。 君が、きっと君こそが、 僕にとってのたからものだった。 魂の記憶が消えてしまっても、きっと………] そうだね、クロ。 三人一緒に眠ろうか。 [君はきっと暖かい。 僕も神様も、君の存在にきっと救われるだろう。 僕は幸せな夢を見る……] (552) 2022/12/25(Sun) 23:57:56 |
【人】 XI『正義』 マドカ――――ある日、箱庭に神様が在りました。 神様は寂しがり屋でした。 神様の傍には、二人の子どもが在りました。 二人の持つ『証』の意味は、 今はまだわかりません。 物語は、これから始まるのです——————** (553) 2022/12/25(Sun) 23:58:18 |
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