28 【恋愛RP】星降る宴の必然を【R15】
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ねぇ、イヴは大丈夫だと思う?
ユキムラは、読んでいるようだけれど……
[ふと、呟くと彼がいう。
「秘話というものを使ってみたら?」と。
こちらから動くのはどうだろうか。
そう思っていたものの、余りにも心配になってしまう。
「ユキムラ、という子にも声をかけてあげたら?」
続けざまに彼は言った。理由を聞くと、
「とても、大変そうだから」
と答えてくれた。それもそうかもしれない。]
声をかけるだけ、かけておく。
[王室は朝から、神殿に篭る。
篭るとは言っても、しっかりと祈りを捧げる儀式のため。
神官と、王室。そして……]
フィオーレ様、あれから体調は良くなりましたか?
[過保護な兄と、婚約者に両脇を固められている
麗しのシュネーヴェ王国第一王女 フィオーレ嬢に声をかける。
昨日、出迎えた際に少し具合が悪かった彼女。
既に、調子は戻っているようで朗らかな笑みが帰ってきた。
王室の人間の大半は、何かしらの魔法が扱える。
風を操ったり、物質を動かしたり。
本当に些細なこと。その中でも、フィオーレ嬢の魔法は、
研究のし甲斐があるのでは、と思った。
故に、この場には3人の招待者と、もうひとり]
ビアンカ、でしたよね。お連れの方。
[ご丁寧に名前を与えられた具現化している彼女の魔法。
ひとりとカウントしないものの、忘れることはできない。
「はいっ!」
とフィオーレ嬢の元気な声を聴けば、
うん、やっぱり女の子は宝だ。などと考え始めてしまう。
隣でエスコートしてくれるシュテルンポレールは、
やはり少し緊張の面持ち。]
大丈夫、大体のことは神官がするから。
[また、彼は言った。
「貴女の隣に、こうやって立っていることが不思議」
本来ならば、こうなる予定もなかった。
それぞれ、別の人物を伴侶にしていたかもしれない。
王族の運命とはそういうもの。
お互いに上に兄を持ち、国の存続に直接関わらない。
自由の身といえば、聞こえはいいが、
親が親なら単なる政治的な駒だから。]
私も、貴方がこうやって……その、エスコート
だなんて……
[こうやって話していると、少しずつ恥ずかしさというものが
こみ上げてくる。
言葉尻が小さくなっていけば、後ろからくすくすと笑う声がする。]
[振り向けば、笑っているシュラーフェン王子に
にっこりと笑みを見せる。
彼は、「何年も隠れて愛を育んだ結果だね」と。
そう言われてみると、
初めて出会ったのはいつのことだったろうか。]
初めて、初めて……
[あぁ、思い出した。あれは個人的に強烈だった]
−遡ること5年ほど前−
なんという……
[ヴェーネレ王国王室主催の晩餐会についていったときのこと。
初めての国外ということもあり、
ユウェルは気持ちが高まっていた。
そして、問題が発生した。
店を見ている途中で迷った上に、
付き添いの従者たちと離れ離れになってしまった。
ユウェルは、あまり何も考えずにそのまま散策を始めた。
迷っているのなら、適当に歩こう。
歩いて、王城へとたどり着けばいつかは会える。
そう信じて、着の身着のまま歩き始めたのだった]
とは言っても、護衛もいないのはさすがに悩ましい……
[まだ12歳。人によっては、もう、と言いかねない歳ではあるが、
彼女は非力。兄のように騎士団に入っていたわけでもないし、
個人的に鍛錬を積んだわけでもない。
王城に着くまでの間、誰かに護衛をしてもらいたい。
近くに、年が近そうな騎士を見つけた]
ねぇ貴方。私のお供になってくれない?
[話しかけた相手は、とても驚いた顔をしていた。
当たり前か。知らない少女が、いきなりお供になってくれ、と
わけのわからないことを言いだしたのだから。
しかし、その驚いた顔は次第にほぐれ、
「僕でよければ」と快諾してくれた。]
勿論、後で報酬は出すから、お願い。
[思い返せば、あそこで止めた同じ顔をした少年は、
そう……]
お義兄様……絶対、そう……
[声をかけた少年は、止めようとした少年をなだめて、
ユウェルと一緒に街中を歩いた。
些細な会話が、とても楽しかったような気がする。
兄とは、こんなに話せなかったから、
反動のように護衛の少年と話し込んでしまっていた。
すると、王城に近くなっていたのか、
従者たちがこちらを見つけた。
少年は、ホッとしたような声で
「また、会いましょうね」
と言って、消えていった]
ずるい人……
[本当に、ずるかった。
晩餐会の席で対面するなんて思ってもいなかったから。
でも、お互いの立場が似ていたからなのか、
すんなり仲良くなった気がする。]
先程は、無礼な振る舞いをしてしまいました。
本当に、本当に申し訳ございません……
"貴女の素の状態を見ることができたので、
気にしていません。
とても、自由な方なんだなって思ったくらい"
自由というか……
自分のことを、気にしていないというか……?
"……もしよかったら、お手紙を書いても?"
[彼のこの一言から、秘密の手紙交換が始まった。
絶対に、気づかれてはいけない秘密のやりとり。
故に、渡し方も独特だった。
お互いの信用の置ける従者たちが橋渡しをしていたのだ。
つまり、宛名を書くことなく、
内容を確認する検閲官に口止めをしておけば、
関係はバレない。]
[それから数年、彼との関係は誰にも気づかれなかった。
しかし、この頃から兄の様子が変わってきたように
感じていた。というのも、
あと数年で輿入れ予定のフィオーレ嬢への、
兄の執着が、ひどくなっていたのだ。
それを、彼にだけは伝えていた。
検閲官に気づかれないように、
賢い彼だからこそわかるような、問題の書き方で]
そして、色々があり……今がある。
[神殿で禊のように働いている兄にも、
偶に会いにいくようにしている。
シュテルンポレール殿下との婚姻の件を告げた時、
彼は全く動揺しなかった]
どうして、驚かないの?
"隣国で相手のいない王子は
シュテルンポレールしかいなかったからな"
でも、私が彼との婚姻を受け入れないとは?
"特には思わなかった。偶に彼と会う時の、お前の顔は…"
[
そう言われて、不覚だったと感じた。
兄は、今の環境に感謝をしているとまで言い出した。
そんなことさえ、言っていたような。]
"ユウェル、はじまるよ"
[心配そうに、ポレールが顔を覗いた。
それを見て、リーベアムール王子が
"過保護すぎだろ"と苦笑している。
"兄さんも相当だよ?"
血を分けた兄弟とは、こういうものを言うのかも。]
[神官のこの一言で、
その場にいるどんな王族でも黙ってしまうだろう。
この儀式の重要性は、
各国の王室誰もが知っているから。
父と母をみて、国王と王妃がやるべきことを、
ポレールとふたりで覚えていこう。
儀式が終わったら、国民に顔を出すことになるだろう。
それまでに、体力が戻れば良いな、なんて
ちょっと弱気なことを考えてしまっているが]
[時は過ぎて、昼。
客人の3人+1はここで一旦席を外すことになる。
ここからは、ブーヨプスキュリテ王国王族のみの、祈りの時間。
というわけで、客人の3人の会話でも]
おわったぁ……
"朝からもう……え、昼?"
"めっちゃ腹減った!!!"
"僕らは、お昼食べていいみたいだね"
"マジっすか。食おうぜ、フィオーレ……フィオーレ?"
いいなぁ……
[フィオーレ嬢は、廊下からふと見えた街中に視線を奪われていた。
兄と婚約者は、すぐに理解した。
"外へいきたい"ということを。フィオーレの具現化魔法-ビアンカ-は
フィオーレに同意した。]
"私がいるし、大丈夫じゃない?"
"軽い!ひどく軽いけど!フィオーレに町娘の服着せて!"
"かっる?!"
[街に出ると決まったらしい客人たちは、
当たり前ではあるが、急いで装いを変えることとなった。
町娘風の装いになったフィオーレ。
商人のような服装に着替えたムーティジェンティーレ。
そして、よくわからない服装になってるシュラーフェン。]
“なんの衣装?”
”これはね、騎士団の軽装”
”ダメでしょ?!
”知る人ぞ知る、騎士団の軽装だし大丈夫でしょ”
お兄ちゃんってば……
[妹に呆れられても、あまり気にしてはいないよう。
本当は、違うものだから。気づかれることはない。
しかし、懸念が一つ。
声をかけられては、厄介だ。
と兄は思うものの、婚約者が睨みを効かせるか。
なんて楽天的に考えて、3人は外に出ることにした]
[城下町。
さまざまな匂いや音がする場所に、
3人は来てしまった。来てしまったが、何気なく…]
“意外と馴染めたね”
”そうっすねぇ……はいはい、お嬢さん”
こ、これ!!
[ホッとしたのもつかの間、フィオーレが何かを見つけた。
名前を言うことは憚られるため、なんとなくで呼ぶと、
フィオーレは気にもせず、並べられている本を指差す。]
これは!シュネーヴェの本です!
”えー?………………ちょーっと店主”
[フィオーレの一言に、何を言ってるんだと思った兄も、
タイトルを見て顔が凍る。
本を扱っている店主に、声をかけて、
欲しいだけのお金あげるからこの本を買い取る、と
彼は言った。流石に、一瞬の出来事に店主も
シュラーフェンを訝しげに見ている。]
”いいかい?これがここにあるということは、
店主、貴方を…………うちで裁くことになる”
”それって、どういう……”
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