188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】
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[ ――――
『魔術師』が『恋人』の
最期の表情を見ることはなかった。
目に入っていなかったというのが正しいのかもしれない。
――有り得ない、と否定して、
『恋人』のことを見ようともしなかった。
最初から理解などしようとしなかった。
本質的な不快で遠ざけるのではなく、
智慧者として、もっと深く突き詰めても良かったのだ。
不快を我慢してでも、先に進むという手もあったはずだ。
『魔術師』はその時に既に思考を止めていた。
『魔術師』はそれに気付くこともなかった。]
| [ ぼくの無意識の嫌がらせは、 相手に嫌がられてでも突き通していた呼び方は、 結局『魔術師』が『恋人』のことを否定していたからで、 そんな在り方に、引きずられていたのもあるんだろう。 ……だけど、それは『魔術師』の感情だけではなく、 ぼくが、証持ちがいつかの誰かと混ざり合うことを 否定したかったからで、 そんな感情から、クリスタベルちゃんを否定してた。 無理やり、主張を押し付けていた。 『魔術師』をなくしてみて、 ただのひとりとしてきみと向き合って、 ようやくそれに気付くなんて、 本当に、嫌になる。 皮肉だね、元に戻ったきみと、 間違いに気付いたぼくは、すれ違ってる。 だけどこれは、『魔術師』のものではなく、 ぼくの背負わなければいけない 罪 だ。 改めてきみに向き合って、なんと呼ぶか迷った。 相手を尊重して、クリスタベルちゃんと呼ぶべきなのかと。 だけど……もうきみも魂に囚われることがないのなら、 やっぱり今のきみは"ベルちゃん"なのかなって。 ……怒られたら謝ろう、うん。] (183) 2022/12/24(Sat) 2:13:53 |
| ……えーっと、ね ………… 大事な人は、いるよ それは、ベルちゃんだって、そうだったよ ……や、ごめん、やっぱり嘘かも ……そうしたかったよ [ 今までのこと、謝ろうかと思った。 だけど今まで謝りもしなかったのに、 『魔術師』のせいにして、それが消えたから謝ろうなんて、 都合良すぎて、ずるいなと思ったから。 だから、お手紙の返事を直接返した。 大事な人は、証持ちのみんな。 それが消えてしまったなら、 ぼくの世界からこぼれ落ちていくかもしれないけど。 だけど、特別扱いの人も、何人か。 みんな、の中にはベルちゃんも入っていた >>0:488。 だけど、ほんとは、大切にしたかった、だけで、 大切にしてなかったのかな、って気付いた。 だから、ごめんねの代わりに、 繕わない心を、ひとつ。 ] (184) 2022/12/24(Sat) 2:14:39 |
|
きみは、大切な人は、いる?
[ 名前のないお手紙に返信をするように、 名前を呼ばずにきみに問い返す。 ……そういえば、最初からこう呼んだ方が 無難だったのかもしれない?
『恋人』でなくなった今、 きみのそばには誰かがいる?と。*] (185) 2022/12/24(Sat) 2:15:26 |
………僕には分かる
最期の言葉を告げた時の君の表情
抵抗しない『塔』を見ていた時の僕の表情
そういう時の表情に、それぞれ似ていた
似ていて、同じ匂いを感じる
そんな表情だって、それだけだったけど
あまりにも、似ているように感じて
『塔』、君はまさか
また……
逝こうとしているのか?
[それは『箱庭』が平穏だった頃の記憶─]
新しい花…?
良いでしょう。
付き合いましょう。
…こうしていたら、
あなたは花を愛でられないのではないですか?
………別に嫌と言ってはおりません。
紫苑…、良い名ですね。
………『力』!! 大丈夫ですか?
無茶は、しないでください。
………横になるのも悪くはないですね。
空が遠く、花が近くみえます。
そうして、あなたが近くに感じられます。
夢…なら、誰の夢かしら?…神様?
…あなたはいつも楽しそうね。
ふふ…もちろん私も……。
[ 神さまは私たちを愛してくださいました。
私たちも神さまを愛していました。
いえ、他の人のことはよくわかりませんが、
少なくとも私は。
与えられた幸せに満足していました。
微かな不協和音に気づかない振りをして、
小さな綻びがやがて崩壊へと広がっていくのを、
為す術もなく見守るばかりで。
諌めはしました。
でも、私の声は届かなかったのです。]
不吉なことを言わないで。
でも、ありがとう。……約束、ね。
[ どうして、どうして、どうして。
あなたが死ななければならなかったの。
誰かが『正義』を止めなくてはならなかったとしても、なぜあなたでなくてはならなかったの?]
…約束、したのに。
[ 止められなかった、護れなかった、
もう一緒にいられないなんて……!]
[『力』が『正義』と相打ちをして果ててからは、
打ちひしがれる日々を過ごした。
眼の前で起こる出来事は何も目に入らず、
俯いて、悲しみにくれるばかりで。
そんなある日、後頭部に衝撃が走った
不自然に跳ね、地に倒れ伏した。
霞む視界に、見慣れた姿を認識した。]
( あなたが私を嫌っているのはわかっていました。
ここまでするほど憎まれていたのですね…)
ああ、でも、もう彼のいない世界で、
泣いて暮らさなくていいのね。よかっ……**
きみが深刻な時はだいたい深刻なほどおかしくって
堪え切れずに笑いだすわたしにきみが拗ねて怒って
おさまらない笑いに滲む涙を拭いながら
心にもない「ごめん」をくりかえせば
余計怒ったきみがつかみかかってきて
よろけて一緒に転げて、いつの間にか一緒に笑って
わたしたちの過ごした時間は
話せない秘密を抱えた苦悩の時や
別れの瞬間だけじゃない。
そんな風に二人笑いあった時間の方が圧倒的に多かった。
そんな暖かで幸せでなんでもない記憶を
ふたり、幾つも積み重ねた。
お互いに言葉にした事は無かったけれど
わたしたちはきっと親友だったから。
きみにだけは知られたくなかった。
知られる訳にはいかなかった。
けどほんとうは
無理矢理にでも問い詰めて欲しかった。
きみになら暴かれたってよかったんだ。
そんなの甘えた我儘だってわかってたから
きみに甘え過ぎだったわたしがこれ以上、って
最期まで言えなかったけど。
『神様』に向かって、暇でしょなんて、
なんてことを言うんだ『力』……
って、ちょっと待って、
僕?僕なの???
僕が『神様』に教えるの??
あ、こら、逃げるなって、
あ〜〜〜〜もう。
……すみません、『神様』、
『力』に逃げられましたので……
お付き合い願えますか?
ねぇ、『運命の輪』。
頼むから、あんまり危険なことはしないで。
予定通りにいかない、
運頼りのことがこの世にたくさんあるからこそ、
それを司る君が居るんでしょう?
……心配なんだ、君のことが。
せめて、何かあったら
僕のことを呼ぶんだよ……
手遅れになる前に。
……貴方のこと、もっと沢山呼べばよかったねぇ。
喋れなくなってから、気づくなんて……
[ 正しき道を示し、その道程を作ることが『教皇』の役目。]
[『太陽』は動かない。
空にある限り、地を照らし続ける。
その場にあり続ける。
道に迷えば、太陽が影を作り方向を示すように。
時に迷えば、日が時を刻むように。
いつも、空から見届け続ける。
まっすぐに進む、それぞれの道を、
『太陽』が照らし続けるから。]
きっと、
誰より早く
誰より正しく
始まりの兆候を理解していた。
突然起こった変化は避けようがなく
けれど悪い事ばかりでも無い。
破壊は新たな創造に必要なもの。
一刻の混乱の後に、また新しく始まる。
ただそれだけのことだった。
[ 君を守れなかった過去。
選択を誤った結果
君も、私も、全てが消失してしまった。
だから、もし、次があるなら
やり直せるならば────……。
]
〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜
神は『力』に大いなる右手をお与えになりました
一つ拳を振るえば、大地には大きな穴があきました
あまねく艱難を穿つ贈り物です
『力』は贈り物を大切にしまうことにしました
傍らの温もりを慈しむ手のひらへ
刀を握る拳へと変えました
愛する『女帝』をあらゆる困難から守るため
刀を振るう仲間と研鑽にはげみます
刀は大地に穴をあけることはできません
開いた拳は、何をも穿つことはできません
『力』は不自由を愛しみました
『力』は不完全を愛しみました
『力』は神から贈られた完璧を愛しみ
『女帝』との安寧を愛しみ
『正義』と最期を共にしました
『力』は とうとう狂うことはありませんでした *
〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜
『塔』は、僕が深刻な時に笑い出す
こっちは至極真面目だというのに
何がそんなに可笑しいのか、涙が滲むくらい笑う
笑うなよ!と大人気なく拗ねて怒っても
何も反省してなさげの「ごめん」が飛んでくるから
カッとなって掴みかかるのだけど
取っ組み合いなんて慣れてもいないから
よろけても体勢を立て直せないし
よろけられても踏ん張れずに一緒に転げて終わり
なぜ笑うのか、理由を聞いたりはしなかったが
『塔』のそれは少し腹が立ちつつ、それが良かった
器用ではなく、おそらくお堅く見える僕に
そうして遠慮なく振る舞ってくるのが君だけで
だから、僕にとって唯一の親友になった
本当はあの時、君の願いを飲まずに
どんな事でも力になるから抵抗してくれと言いたかった
僕の為に生きてくれと言いたかった
だけど、死を受け入れた君に縋って
自分本位で押し付けて
生きて失望されるのも怖くて
君が逝く最期まで、それは言えなかったんだ
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