【人】 修理屋 一二三拗ねるなよ九朗。 ガキも猫もこっちの都合で構いすぎりゃ 嫌われるだけだってわかってんだろ? [俺たちにだって十かそこらのガキだった頃があるんだ。 九朗にだって覚えがあるだろう。 いや、俺はともかく九朗の方は なにをどれだけ構われてもどこ吹く風だったか。 思い返せば愛嬌がある分、 ガキの頃は猫の方が可愛げがあったかもしれん。>>48 九朗は妹と並べば姉妹にも見える顔立ちだったから 見た目だけなら…。 いや。どうだろうな。 九朗は見た目の儚さを ことごとく裏切る中身をしている奴だし。 いっそのこと愛猫と孫に囲まれた 好々爺のご隠居にでも聞いてみるかと>>51 ガキの頃から知るご隠居の顔が脳裏をよぎったが、 そん時はもれなく俺の方にもなにがしかが 飛び火すると思い至って静かに茶を啜った。] (53) 2022/09/30(Fri) 22:56:22 |
【人】 修理屋 一二三「そう言う一二三だって。 道場に通う子供の頭を撫でて 不興を買っていたじゃありませんか。」 [そう言う九朗は二つ目の饅頭に手を伸ばしていた。 おいお前、それ俺への土産じゃなかったのか? まぁお前が持ってきたもんだから いくつ食おうとかまわねぇんだけど。] (54) 2022/09/30(Fri) 22:56:49 |
【人】 修理屋 一二三[いややっぱ構うな。] ありゃあ撫でてたんじゃねぇよ。 ちょうどいい所に坊主の頭があったから 足を休めるついでに挨拶しただけだ。 [苦し紛れの言い訳にもなっていねぇが、 こっちも負けじと土産の饅頭に手を伸ばす。 つきたてのように柔らかい餅はしっとりとして、 子供が好きそうな甘さ加減の餡は 濃い目に淹れた熱い茶によく合った。*] (55) 2022/09/30(Fri) 22:58:03 |
【人】 修理屋 一二三それよりお前だ、お前。 お前の姪っ子、 今年の春に神楽やったところだろう? もう七つになったんだから、 あとは十になるのも十五になるのも あっという間だろぉが。 [例の坊主も聞けば十五の歳らしい。 俺らが十五といえば、 学校そっちのけで師匠のところへ押しかけて 道具をバラしたり図面を引いたりしていた頃だ。 友達が増えりゃ、外へ遊びに行く機会も増える。 なんなら俺と九朗は 二十かそこらで榛名の外まで飛び出しちまったしな。] (62) 2022/10/01(Sat) 0:19:11 |
【人】 修理屋 一二三大体なぁ、妹離れはあっさり済ませたくせに 姪っ子離れだけなんでそんなにできねぇんだよ。 [九朗の妹が初めての失恋で泣いた後も。 友達の家に泊まりで遊びに行った時も。 大人になって今の旦那を連れてきて、 挨拶だ結納だって家族ぐるみで話をしていた時も、 九朗の奴はけろりとしていた。 近所に住んでたお兄ちゃんで、 兄貴の友達で、 筆不精な兄の代わりに九朗の近況を報告する俺は、 家族でも友人でもない微妙な位置でそれを見たいた。 祝言の時なんて俺の方が泣いてたくらいだ。] (63) 2022/10/01(Sat) 0:19:32 |
【人】 修理屋 一二三[九朗の方はにこにこにこにこ。 「いい人ですね」 「幸せになるんですよ」 「妹をよろしくお願いします」 涙を誤魔化して酒で赤くなってた親父さんの分まで 新郎や向こうの家族に挨拶してたくらいだ。 あぁ、お袋さんが二人いる…。 酔った頭で俺もひそかにそう思った。 それがどうだ。 姪っ子が生まれたとたんにこの変わりよう。 九朗とはガキの頃からの長い付き合いだが、 相手にしてもらえなくてむくれる九朗なんぞ 早々見た覚えはねぇぞ?] 今からそれじゃ、 将来男連れてきた時どうするんだよ。 [娘ならいつかは嫁に行くだろう。 今度は伯父の身分で父親の分まで泣くつもりか?**] (64) 2022/10/01(Sat) 0:20:35 |
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