79 【身内】初めてを溟渤の片隅に【R18】
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成長……?
[ なんだかとても満足そうな顔をしている
潤さんが言っている意味は、
やっぱりわかっていないのだけれど。
彼と一緒になるのは幸せだったし
今度は痛くないのかな、なんて思えば
次の機会がいつかな、とか考えてしまう。 ]
ぅ……ダメって言われてもっ…
[ 人に拭いてもらうのは自分でするのと
感覚が違うというか。
それとも散々触られたから過敏になってるのか。
抱きしめられた後の精一杯の抗議は
潤さんにとっては些細なものだったのか
笑われてしまってむぅっと頬を膨らませた。
こんなに慣れてるなら潤さんはもっと
きれいな人とかスタイルのいい人とか
料理が上手な人とか大人な女性と
付き合ってきたに違いないって
そこまで思考が巡りかけて
彼から言われるかわいい、が一瞬揺らぐような
そんな気持ちには蓋をするように
目を閉じればそのまま眠りの中へ。
疲れていたからぐっすり眠って
朝もなかなか起きなかったと思うけれど
私が起きた頃には潤さんは起きてたのかな。 ]
[ 好きな人をもっと知りたい。
好きな人のことを知るたびに
好きな人の傍に長くいるほど
自分には出来ないことが当たり前にできるって
その事実を突きつけられた私は、
勝手に壁を作って、
燻っている思いを知られないように、と。
何かを選ぶときだって
潤さんがしたいようにしよう、なんて
自分の選択に自信がないのを
滲ませるような言動をするようになって
それが潤さんを不安にさせているとも
大切なものを失うまでずっと、知らないまま。 ]*
[苦しいのは雨宮のはずなのに、謝んな、と
こんなときまで気遣ってくれる。
でも、どうしたって、なにより、愛しくて。
更にぐ、と押し込みたくなる本能を止め、
分かち合ってほしいと懇願した。
共にあれることがこんなにうれしい。
こんなに、愛おしい。
どうか彼の中に、今この瞬間が、
W苦しかったことWではなくW幸せWと
刻まれますようにと願いながら。
もっと、共有して。
何もかも知りたい。
なにもかも、教えてほしい。
どうしようもないほどぐちゃぐちゃな感情の
着地点はどうしたって、幸福であることは
確かなのに。痛みを共有して、同時に
この気持ちも、共有してほしくて。
ぎゅ、と力を込められた指。
泣くなよ、なんて笑いながら爪が立てられた
それに、唇を結んで。]
泣い、 てねぇッ…
[と返して鼻を啜った。]
無理させてんの、わかってるしっ…
おれ、大事にしたかった、のにっ
[更に無理させた、とこぼすと、
彼の眉尻は下がっただろうか。
お前だって痛いだろ、と気遣うその言葉に、
ぐわ、と腹奥から迫り上がる愛おしさ。]
おれ、は痛くねえ、っ………
今めちゃくちゃ、幸せ、で、
[特別、だった。誰よりも。何よりも。
誰の特別にもなりたくなくて。
誰の記憶にも、残りたくなくて。
言い訳して誤魔化して、逃げてきた日々に。
お前が、現れたから。
教えてくれたんだ。なにもかも。
それで、与えてくれたんだよ。
───俺がほしかった、唯一を。]
[そう、微笑みかける。
緩く腰を動かした。負担をかけない程度に。
すると、小さく聞こえるのだ。
また、体が震えて、脳が揺さぶられる。
唾を飲み込んで、息を吐いた。]
痛かったら、苦しかったら、すぐ、言って
[と半ば懇願するように伝え、浅く突く。
薄く開いた唇を柔く重ねて、何度も、
何度も離しては重ねて、粘膜を擦り合わせ
もう一度、浅く、雨宮のいいところ目掛けて。]
ぁっ…まみや、 ッきもち、 ぃッ?
[数度擦ればそう問いかけて、薄くまぶたを開く。
その表情がすこしでも、快楽に緩んで
いますようにと願いながら。]*
わーかっ、た、って
[ がちがちに力が入って強ばる身体が
ほんの少しゆるむ。
泣いてねぇって鼻啜ってんじゃん、と思ったけど
口には出さなかった。
というかこちらの顔こそ涙だか汗だか涎だか
わからないものでぐちゃぐちゃで。
それでも胸がじんと熱くて、込み上げる愛しさを
笑いに変えて、くす、と口角を持ち上げた。 ]
……っ、まぁ、 無理はッ、
してねぇっつったら、あれだけど、……ッは、
[ 絞り出すように口から溢れ落ちてくる懺悔に、
これ以上ないほど眉尻が下がった。 ]
─── わかってる、
大事にされてるの、じゅーぶん、
……伝わってる、から
[ そっと、囁いて。
爪を立てて握った手を動かして解いて、
下からやっぱりその頬に触れた。
体感したことのない愛しさで、爆発しそうで。 ]
そっか、
─── うん。
[ その上、痛くねぇ、幸せだと、
震えるような声で告げられて。
心臓が痛くて、鼻の奥に熱いものを感じて
何か言ったら完全に声が震えそうで、
ただ頷きだけを返した。
なのに堪えきれずに己の視界も歪み出すから。]
…… かーわい。
[ 誤魔化すように、戯けて付け足した。 ]
[ 大丈夫だと伝えたのに、穿つ動きはごく浅くて。
懇願するような声に、とりあえず小さく頷いた。
正直に言えばここで快感を拾うことがすぐに
出来るかと聞かれれば答えに困る。
それでも何度も重ねられる唇、弄る粘膜に
ぞくぞくと高められるそれはたしかに、
不快だけでなくて、悦を含んでいて。
おまけに浅いところにある一点、
さっき教えられたばかりの前立腺をごり、と
抉られれば簡単に身体が跳ねてしまう。]
……ッふ、ァッ……ぁ゛っ……
[ 淫猥な水音と、は、は、と息も絶え絶えな
自分の呼吸の音と、矢川の声が重なる。
心臓は聞いたことがないくらい激しい音を
打ち鳴らして、自分じゃないみたいな
そうだな、聞くに耐えない甘い声が
喉から込み上げる。 ]
…… や、ば、 ッ、 それ、っうんん、
きもち、い、───
[ ぎゅっと閉じた瞼を開ければ、同じように
薄く開いた瞼の下。
俺の、なによりすきな瞳が、そこにあって。
どく、と吐精感が込み上げるのがわかった。 ]
……ッは、お前、は、ァッ……
どう、よ、 っん、う゛ぁっ……、
[ 縋るように頬に触れた手の親指でその形の良い
唇を撫でる。
ひっかけるように、ぐいと引っ張って引き寄せて
そのまま口付けた。 ]
やばいおれ、も、なんか、めちゃくちゃ
しあわせだなって、おもってる ───
[ 奥まで抉られれば圧迫感とそれなりの痛みに
唸りながら悶える。
ぶわ、と全身が毛羽立って、けれど
萎えることのない熱はどんどん昂っていく。]
っ、は ……や、かわ、……
ちょっと、おれ、もう、ッんんぅ───
[ シーツを握ったまま固まっていた左の手が、
ぎこちない動きでその背を追った。
熱の先端には白が交じって、たらたらと竿を
伝って涎のように溢れて。
一緒にイキたい、と譫言のように繰り返し呟く。
それが叶えられたかどうか、
とにかく彼の動きが激しくなったなら、
限界まで背は撓った。
嫌だよといったくせに、結局彼の背中に
微かな傷痕を残して、どく、と白濁液を溢す。
一瞬息が詰まって、ばちんと視界が白く爆ぜた。 ]*
[色んな感情が綯い交ぜになって、まとまらずに
結局何度でも同じところに着地するのはきっと、
彼のことを愛しているからだと思いながら。
頬に触れた手があたたかくて、だから、
今のこの心情を言葉にしたのだ。
ふざけるように、茶化すように落とされた
「可愛い」に困ったように眉尻を下げ、
涙目の彼を見下ろしながら、その眦に口付けた。
可愛いのは雨宮の方だ。
───いや、かっこいいのも雨宮だな。
そんなふうに思いながら額をくっつけて、
愛の言葉を紡ぎ、微笑んだ。
返ってくる。すぐに。
それが、うれしくて。
付け足された感謝に、首を軽く横に振った。
俺も、伝えたいけれど、そうだな───
それは、あとで。
きちんと、伝えるから。]
[ゆっくりと抽送をはじめる。
傷つけないよう、痛みが勝らないよう、
気をつけながら、その快楽を引き出すように。
問いかけをすれば、甘い声と共に
気持ちいい、と返ってくるから、
ぶわ、と下腹の奥が疼くのがわかった。
嬉しい。愛しい。
もっと、感じてほしい。]
んッ…ぅんっ…おれも、っおれ、も
きもち、ぃ、ッ雨宮ン、なか、やばいっ
[今すぐ吐き出してしまいたいと叫ぶ
本能をまた宥めて、それでも抗えないそれは
だんだんと腰の動きを強く、大きくしていく。]
はっ…は っあま ッみやッ
好き、 ッすき、っだよ、ッ
[愛の言葉を繰り返していれば、
彼の親指が、何かを確かめるように
唇をなぞるから、ちゅ、と吸った。
ぐい、と引かれた頭。そのまま唇が合わされば、
どうしようもない幸福感に満ちて、
こちらからも貪るように口内を味わった。
口づけの合間、聞こえた言葉に、
ゆるみきった笑みを向けて。
答えの代わりにもう一度キスを。]
[中の締め付けが強くなっていく。
短く息を吐きながら、皮膚と皮膚のぶつかる音と
粘度のある液体が絡み、泡立つような音が
響く部屋の中で、絶頂が近いことを悟る。]
うんッ…ぅ、ンっは、 はっ
おれ、もっ ッ出そ、 ぅッ
[こくこくと頷いて、背に回った手に
眉を寄せて見つめ返せば。]
いっしょに、 イこ、っ
[と耳元で吐息混じり、囁きかけて、
彼が達した直後、薄い膜越しに中へと
勢いよく精を放った。
腰がびく、と跳ねる。]
ぁ、 まみや、 っ…
[そう呼びかけて、そっと体を起こすけれど
彼の意識はあっただろうか。
腹に白いものが散っているのが見えれば、
ほ、と息を吐いて、額に口づけを落とす。
………にしても、前を触る余裕はなかった。
つまり───]
中で、 イった…?
[そう口に出して確かめれば、
喜びが溢れて、愛おしさに拍車がかかって。
柔く笑みを浮かべてから、じっと見つめ]
[ 幾度も幾度も繰り返し贈られる愛の言葉に
同じものを返したいのに、きもちいい、中がやばい、
なんて煽ることを言うから、
口から言葉になるのは惚けたような、
「おれも、」だけ。
本来なら排泄のための器官で、繋がりを求める。
愉悦を拾う。
抱いて欲しいと強請ったのも、
抱かれる自分を受け入れたのも。
全てはきっと、ただ、単純に、
ひとつに、なりたかったんだ。
]
[ 触られていない屹立がびくついて、
堪えるためにぎゅっと締めるように力を込める。
だんだんと余裕が消えて、大きくなる抽送。
荒々しいそれさえ、愛しくて。
耳元で、吐息混じりの声が、脳を嬲って。
己の視界が白く飛ぶ直前。
熱い精が、どくりとはきだされるのを感じて、
矢川が達したのがわかった。 ]
[ 遠のきかけた意識が、名を呼ばれてふっと戻る。
睫毛が震える。 ]
……ッは、 は───、
[ 大きく息を吐いた。
とんでもない疲労感と脱力感が、
額に落とされた唇で幸福感に上書きされて。
ぐた、と体をベッドに預けて、見れば腹の上には
己が吐き出した欲が生々しく残る。
まじかよ、と呟けば追い討ちをかけるように
わざわざ、口に出して確認なんてするから。
慌ててまた手で顔を覆った。 ]
……はじめてヤって、後ろだけで、
触んねぇでイケるとか、
おれは自分の才能が怖ぇえ……
[ や、お前が上手いのか手慣れてんのか、と
誤魔化すようにふざけてそう付け足して、笑った。
声なんてとっくに掠れていて、身体中べたべたで、
きっとみっともない姿をじっと見つめる矢川の顔は
溢れ出す喜びを隠そうともしないで、柔く笑んでいて。
そっと落とされた感謝に
こちらも表情を綻ばせて。 ]
[ と、がらっがらになった声で、
精一杯の感謝と、愛を贈ろうか。 ]
[ それにしてもひどい有様に、
とりあえず体を起こそうとして身を捩り、 ]
─── い゛ッ、……で、………
[ 全身に走る痛みに呻いてベッドに倒れ込むように
逆戻り。
力を入れ過ぎていた身体は軋むし、
口も唇も喉までかさついて痛いし、
酸欠なのか頭はくらくらするし、
おまけに人には言えないところもやばい。
起き上がることを諦めて。
彼は近くにいるだろうか。 ]
……からだ、うごかねぇ、から、
たばこ、とって……
[ 思っていたよりずっと甘ったるい声が出た。
そばに来てくれたなら、ふと顔を上げる。
そのまま露な首元の、真正面めがけて
齧り付くように口付けた。
ぢゅ、と音をたてて離せば、
上手く紅い花が咲いただろうか。
独占欲の、証。 ]
そういえば、ライブっていつだった?
[ にんまりと笑って。
彼のバンドメンバーや、ファンの表情を想像しながら。
情事のあとにはちょっと不似合いな、
そんなことを口にした。 ]*
[くたりとベッドに身を預ける様子が見えたら、
ふ、と柔く笑って肌に張り付いた髪を
そっと避ける。
ベッドサイドのティッシュをとって、渡した。]
俺のテクニックは…残念ながら
そんなに高くないから、雨宮の才能かな?
[とくすくす笑って、ガラガラになった声を
いたわらねばと、その喉に口付けた。
ゆっくりと体を起こそうとした彼が、
濁った声で唸るから、その体勢が崩れた
瞬間手を伸ばして受け止めようとする。
受け止めようと、した。]
[───それは、叶わなかったけれど。]
大丈夫、雨宮
[無理をさせたと自覚はあったものの、
本当にかなり負担をかけたのだと彼の様子を
見ていたら、よくわかる。]
───うん
[今はとにかく、いうことを聞いてあげよう、と
腰を上げてタバコの方へとむかう。
ついでに「冷蔵庫あけるよ」と断ってから
扉を開いて、ペットボトルを一本取り出した。
タバコと一緒に持ってわたしたら、
そのまま彼の足元に座った。]
はい、これ──ッ
[瞬間、その体がぐい、とこちらに寄って。
首筋に唇が触れてぴり、とした痛みが走った。
リップ音とともに外れた唇に、
ふ、と眉尻を下げる。]
…悪戯。
[といたずらっ子の頭をくしゃ、と混ぜる。
話を逸らそうとする彼に目を細め
それからそっと引き寄せて。]
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