188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】
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[ ――いけない。
わたしは、花をさがしにいこうとしました。
ちかごろのあなたは
とてもおもいつめているように みえました。
だから、すこしでも、 ]
え?
[ 吊るされた男が つぶやくことばを
りかいするまえに
そのくびもとからは あかいちが
あふれだしました。 ]
[ それでも
それでも あなたは わらっていました。 ]
[ どうして どうして どうして
わたしの いのりは とどかないのですか
きのうまで 癒えたはずの きずぐちから
ちをとめることは できないのですか
――わかっています。
わたしはあなたに、ちからを つかっていないから。
いま、きずをとめることはかなうでしょう。
けれど きずがすべていえるまで
あなたはずっとくるしむことに なります。
わたしはそれをかなしいとおもいました。
もう、……もう、いい。
いやです。よくはありません。
あいはんするふたつのおもいをかかえながら
わたしは あなたのあたまを なでるのでしょう。 ]
[ わたしはわらいかたをしりません。
かなしいしか しりません。
だからあなたのまねごとをして
つくったえがおは
とてもふしぜんです。
でもはじめて あなたのために
つくったえがおです。
かなしくて、くるしいとき
わらうのでしよう?
だれもかなしませたくないから
わらうのでしょう? ]
[ 吊られた男のからだから
あたたかなたいおんがなくなるまで。
おわりのおとずれる、そのときまで
死神は ずっと
あたまを なでつづけていました。
ちにぬれても、
うごかなくなっても、
その、さいごまで。
ほほえみは 吊るされた男を
みおろしつづけました。
そのねむりが せめて おだやかであるように
―――さいごまで *]
[ ――――
箱庭崩壊の折、『魔術師』は『箱庭の神』を頼った>2:/12。
けれど何もしてくれなかった神に、
『魔術師』は怒りを覚え、失望し、
そして――見限った。
箱庭崩壊にあたって、神に対し一切の期待をしなくなった。]
[『月』とは多くを語らい、共に過ごす時間も多く
私にとって大切な存在でした。
花壇の薔薇が枯れたと聞けば
共に育てよう、と申し出て手伝いました。
あなたの美しい髪を切るのはとんでもない、と私が洗い
また、逆に私の髪も洗い、梳いていただきましたね。
贈り物も多くいただきました。
それでは私もお礼に、と負けず多くの品を贈りました。
特にハックマナイト入りの銀色の櫛は
あなたに似合うだけでは無く
私が持つタンザナイト入りの銀の聖杖と
お揃いのように見えるので、特段お気に入りでした。
『死神』や『吊るされた男』らとの会話が
“心癒される”一時とすれば
『月』との会話は“心安らぐ”一時でした。]
[ しかし、私は愛を『与える』ことに慣れていても
『与えられる』ことには慣れていなかったのです。
私は勿論、あなたのことを愛していました。
故に、あなたには最後まで
真実と願いを伝えられずにいたのです。
そのか細く美しい手が、血に塗れて欲しく無かった。
優しいあなたに、一生心に残る傷を与えたく無かった。
愛するあなたに、幸せでいて欲しかった。
悲しい思いをして欲しく無かった。
私には、覚悟が足りなかったのです。
今は争っていても、いつかは皆が理解し合い
争いも収束すると思っていました。
この心に這い寄る暗澹たる存在を自覚しながら
目を反らし続けていたのです。
]
…………。
[ 一度思わせぶりをしておきながら
言い淀むのは、確かに私の責任です。
そして悟ったのです。
あなたは私の悩みに、変化に。
既に気付いていたのでしょう。
それでも私を思い、私の為に尽くしてくれる
あなたの命を散らしたくない。]
……もし、私に何かがあった時は
必ず私の分まで生きて下さい。
私の分まで、幸せになって下さい。
[ あなたに託そうとした
私を殺すための短剣も
結局渡せずじまいのまま。
向けた笑顔も、明らかに無理な作り笑いだと
恐らく即座に気付けたことでしょう。]
[ この時が、最後の語らいとなったのです。
────
突然ではありましたが
いつか、この時が来る覚悟は存在していました。]
[ 友情とは、二つの肉体に宿る一つの魂のこと。
物静かで優しく、時に厳しい態度を示しながらも
私を支え、道を示すあなたは、紛れも無く私の半身でした。
魂の半分を喪ったこの時
私自身も同時に死んでいたのでしょう。
残ったのは、ただの壊れた人形でしか無かったのです。
……でも。
もしあの時、あなたに短剣を託し
想いを伝えることが出来ていたとしても
あなたを死なせる考えも
共に逝く考えもありませんでした。
あなたには私の分まで生きて欲しかった。
私の想いを抱いて、私の中で共に。
生きていれば、必ず良いことがあるから、と。
しかし、あなたは私よりも先に散ってしまった。
今となっては、全てがifの妄想。
あの時共に逝けたならば、私が完全に壊れる前に
あなたに救われていたのかもしれませんね。]
[ ……この段階で、既に
私は選択を誤っていたようです。]
[ 余談。
経典に記されている『教皇』は
“デセスパール”という名でも知られています。
この名がどの時代から使われ始めたかは不明ですが
語源としては、遠き国の言葉で
“絶望”
が変化したものとされています。
他に名を持たない者が多い中
彼は何を思い、この名を使い始めたのでしょう?*]
[ わたしの瞳が最期に映したのは
ずっと大切に想っていたあのひとだった。
何もかもが遠ざかる景色の中で
あのひとの青と緑だけが鮮明だった。]
( 泣かないで
どうか かなしまないで
わたしは あなたといられて よかった
あなたのそばに いられて よかった )
| [ ほんものがやってきたのは2年前 >>0:@3。 整った身形に健康的な肌色 作法なんかまるで知らずともきれいだとわかる 品のある立ち居振る舞い。 ただ生かされていた自分とは まるで違う扱いを受けて来たんだと 考えなくたって理解出来てしまった。 必要がなくなったからここに捨てられたのだと 思い、落胆した日の自分を心の内で嘲った。 なんだ、最初から必要無かったのか、って 知りたくなかった事実に気付いてしまったから。 ] (248) 2022/12/21(Wed) 23:19:27 |
| [ どうやったって痣は消せも隠せもしないのだろう 長い歴史の中で試した例くらいあるだろうし、 切り落とせないのだから諦めたらよかったのに。
きっとまわりの大人はみんな解っていた。 それでも諦める訳にはいかない誰かがいただけで。
まぁそうか。そりゃそうだ。 王子さまをつくるつもりなら必要なのは 『痣が無い事』だけじゃない。 何にも知ら無い頃ならまだしも、 その頃のぼくにはもうある程度の理解は出来て ほんとに無知だったなぁって、 過去を懐かしんだだけで終わった。
なんだかわりとどうでも良かったから。
それしか無かった頃なら落ち込みもしただろう。 けれど――… ] (249) 2022/12/21(Wed) 23:20:17 |
| [ おひさまみたいに笑うきみがぼくを呼ぶ声がする。 きみの笑顔を求めてぼくの傍を訪れてくれるひともいる。 それだけでぼくの毎日はわりと満たされていた。 ] (250) 2022/12/21(Wed) 23:21:30 |
| ―― 夜明け前・屋根裏部屋 ―― [ ぼんやり目を開けたらまだ真っ暗闇で。 天窓から差し込む月明かりの淡いスポットライトに 舞う埃が照らされきらきらひかってた。 >>11誰かいた気がする。 けれど今はこんなとこ誰も来ないだろう。 >>3:3わざわざ答えを聞きに来るなんて思っても見ないから 夢でも見たのかな?って納得して 寝起きでまだぼやけてる視界に瞬きをふたつ、みっつ。 そこでようやく不自然な温もりに気付いて 瞬きで幾らか晴れた視線を下ろせば 胸の辺りに、夜に似合わぬ色 >>132を見つけた。 彼女に教えられて、覚えて 最近では随分とぎこちなさも減った手付きで そろりと冷えた太陽の色を撫でる。 見た目通りに冷え切ったそれに 温度を灯そうとするみたいに、繰り返し、繰り返し。 ] (251) 2022/12/21(Wed) 23:25:17 |
| [ こんなとこになんできみが居るの。 疑問に思うのではなく、ちょっと呆れる様に思う。 なんで、なんてわかりきってる。 きっと心配して、探しまわってくれたんだろう。
過去のぼくが誰にも必要無かったとしても わりとどうでも良いって思えるくらい きみにぼくが必要だって全身で伝えてくれる事に 救われてるぼくはたしかに此処に居て。
此処に来て暖かさを覚えてしまった所為で 寒さを理解したぼくもいる。
あたたかな日差しの下でも時々感じる寒さを訴えてみたら くっついて、だきしめれば寒くないって おしえてくれたのも君だった気がする。 そんな事を考えながら、寒そうな肩を抱き寄せて 腕の中に閉じ込めた。
もう一度目を閉じれば、きみのちいさな吐息の音を さっきまでよりつぶさに感じる。 あんしんしきった溜息が勝手にこぼれて、 きみの吐息のおとにかさなった。
あったかいな、っておもいながら 旋毛に鼻を埋めて、意識が途切れるまで 眠るきみのぬくもりをかんじていた。 ] (252) 2022/12/21(Wed) 23:27:14 |
|
[ しあわせだな ]
(253) 2022/12/21(Wed) 23:27:41 |
| [ ……――なのに何故だろう。 まだなにかが足りないんだ。 贅沢に慣れ過ぎてしまったんだろうか? 呼べない知らない名前が喉の奥につっかえる。 ひとのぬくもりを知ってしてしまった所為で 『きみ』が隣に居ない事が、こんなにもさみしい。 * ] (254) 2022/12/21(Wed) 23:32:02 |
[『悪魔』が『恋人』を愛していた理由は、
完璧な彼/彼女が健気で美しかったから。
不完全ゆえの完璧さを孕む様は魅力的で、
蠱惑的で、いっそ無理やり自分のものにすることも
考えなかった訳ではない。
けれど、
考えてもそれは絶対にしなかっただろう。
『恋人』は今のままが一番"自分好み"であったからだ。
彼/彼女がその地獄をおくっていたのもその一因だろう。
その ぎりぎりで、壊れそうで、儚く、
それでも完璧であろうとする姿が
『悪魔』は何よりも好きだった。
愛していた。
勿論その心内の全てを知っていたわけではないが
『悪魔』は『恋人』が自分に靡かないだろう所も、
好ましいと思う箇所だ。
壊れたら取り返しのないものを
つついて遊ぶ。
それは『愚者』を殺した時の感情に似ていた。]
[似ていたけれど、
決定的に違うものはあっただろう。]
[どうせなら自分の手でその完璧を壊したかったけれど。
今までやこの混乱の中で『恋人』の精神が壊れてしまっていたのなら。
それは自分が壊したのも同じこと。
それに…… どうやら彼/彼女は
死ぬまで"それ"を貫いてくれたようだった。
だから直接殺した相手について大きく恨む事はない。
それでも少し羨ましいという気持ちがあったのは本当だけど。
それ故に、
『恋人』が最初に殺してほしいともし言ったとしても、
『悪魔』はそれをすぐに行う事はなかっただろう。
けれど、
ほどよく 適度に 丁寧に 壊して 壊れたら
その時には ── …… ]
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