124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】
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―いつかのこと―
[やりたいようにやっただけ。
けれど、助けられる側にとっては動機は別に関係ないのだ。救われた、癒やされたという事実が全てなのだから。
……なんて、小満の言い分を知ったら立秋は言うだろうが、それすらもわかった上で好き放題と主張するんだろうな、という想像もすることであろう。]
うわーいいの!?ありがとう!
小満のお料理だ!
って、ボクがいい目にあってるだけじゃないかー!
[もー、何かしたいのに!と笑って。
けれど大変嬉しいお願いだ、断れるわけがない。
今度は良いお酒でも探してお土産にしてやろう、と企みながら、友人との食卓にお呼ばれしたのだった。**]
| えっ……? [横か下か、自分に向けて届いた鳴き声 >>182 鳴き声…? きょろきょろと見回して、その姿を見つければ 膝を折るなりしゃがむなりして、高さを近づけた ……なにやら、紙が差し出されていた ええと、これは、もらって良いのかな……?と悩みつつ 曖昧に微笑んでいればかかる声 >>183] ……! 立秋様…… [力作みたい、の言葉に紙をそっと受け取って 改めて描かれた絵を見つめる ……なるほど、前衛芸術ね!と深く頷いた] (188) 2022/01/30(Sun) 13:28:45 |
| ……お上手
[キラキラとした目で見つめてくる……チュウくん?を そっと触れて、撫でてみた 芸術は奥深いものなので、受け手が良いと思えば良いのだ]
……自転車……! 良いん、ですか……?
[まさかのお誘いに目を輝かせた 最初に見たときに描きたいと思っていたけれど、叶うとは!]
……ぜひ、お伺い……させてください
[そういって小さくお辞儀して 自転車に乗ろうとしたり乗らなかったりする背に 小さく手を振った
貰った絵は、そっとスケッチブックに挟んで**]
(189) 2022/01/30(Sun) 13:28:51 |
| [お姉ちゃんに話しかけられる前、 雨水さんと別れた後にわたしは、かの人の姿を探した どこにいたかな、急いで探したけれど帰る用意をしていなければ良かった] ……処暑、様っ [あのフードを目にして、普段よりは大きな声を掛けた ずっと話したいと思っていたけれど、それは叶わず そもそも話しかけたとて、上手く話せる自信もなかったので 会合の最中にこっそりと文を 認めていた] …… えぇと…… ……はじめ…… じゃない……? えと、……おつかれ、さまでした……これ [かける言葉に悩み、少し 結局出た言葉は当たり障りのないものであったが 手紙を渡す、と言う目的の前では些細なことであった] ……では、また…… [渡すだけ渡して、相手が受け取ってくれたなら ぺこりとお辞儀だけして去るだろう] (200) 2022/01/30(Sun) 14:15:17 |
| [拝啓 こんにちは、突然お手紙を送ってすみません。 あなたが会合の場で . . 会合前のパーティーなどで、手帳に何かを書いているのが気になっていました。 気になっていたので話しかけようと思ったのですけれど、わたしが話しかける勇気がなかったので、機会を逃してしまいました。 それ故に、こうしてお手紙をお渡しすることになってしまいましたけれど、読んでいただければ幸いです。
わたしは、あなたが何を書いているのかが気になりました。 日記でしょうか、独り言でしょうか、それとも気づいたことを書き留めていたのでしょうか。 わたしはお喋りが上手ではないので、それ故に筆談をとることも多いのですが、あなたもそうなのでしょうか。 …そう気になって、声を掛けてみたかったのです。
けれど、これはわたしの我儘になってしまいますが、直接お話しするよりも、こうしてお手紙で話せた方が良かったと思っています。先にも書きましたが、わたしはお喋りが下手なので。
立春まで寒い日が続きますけれども、どうかお体を崩されませんようご自愛ください。 お返事、お待ちしております。 敬具] (201) 2022/01/30(Sun) 14:15:25 |
| [もしも相手が、封筒の中に畳まれた便箋に気づくことがあれば、もう一枚手紙が増えたことだろう] (202) 2022/01/30(Sun) 14:16:00 |
| [処暑様
寒気はなはだしき折、お元気にお過ごしでしょうか。 処暑様の隣の統治域の灯守り、白露と申します。 一度か二度、来ていただいたことがあったかと思います。 経済的なことを言えば、綿などを卸してくださりありがとうございます。
今度、白露域で春物の洋服の展示会をする予定です。 処暑域産の綿を使った作品が、全面に出されると聞いております。
つきましては、日頃の感謝をこめて、招待させていただきたく思います。 お時間が合えば、是非。
白露]** (203) 2022/01/30(Sun) 14:16:12 |
[いつからかほとんど姿の変わらないお姉ちゃんに
なんの疑問も抱いていなかった。
早くお姉ちゃんみたいに大きくなりたい、
大人になってお姉ちゃんを支えられるようになりたい。
そんなことばかり考えていた。
もしお姉ちゃんが、
この先もずっと変わらなくて
私だけが変わっていってしまったら?
私はお姉ちゃんより先に老いて、よぼよぼになって
お姉ちゃんより先に命のともしびが消えて……
それでもお姉ちゃんは、
私のお姉ちゃんで居てくれるのかな。]
[──師匠に初めて出逢ったのは
ある初夏の夕方のことだった。
雨上がりの芒種域の空には虹が掛かっていて
通い慣れたあぜ道はぬかるんで滑りやすくなっていた。
私は学校の帰り道で、とにかく早く帰りたくて
いつものように家に向かって走っていた。
調理実習で作ったロールケーキが上手に出来たから
お姉ちゃんにも早く食べて欲しかったんだ。
あともう数十メートルで家に着く、というところで
滅多に聴くことのない馬の嘶きが鼓膜を裂く。
どん、と身体に衝撃が走って
気付いたら青空に放り出されていた。]
[『あぶないからはしってはだめよ』と
あんなに何度も言い聞かせてくれていたのに。
お姉ちゃんの言いつけをちゃんと守っていれば、
ごめんなさい、お姉ちゃん。
ごめん、なさい…………、
…………
……]
[──次に目を醒ました時、私はベッドの上に居た。
男の人か女の人かわからないけれど
初めて見る綺麗な人が私の手を握って、
パパとママと一緒に私の顔を心配そうに覗き込んでいた。
身体はどこも痛くなかった。
私と一緒に飛ばされてぐちゃぐちゃに崩れてしまった
ロールケーキを見て事の次第を聞かされるまで、
自分の身に何が起きたのか思い出せないくらいに。
ただ、頭は靄がかかったみたいにぼんやりしていて
腕と足は上げるのも辛いほどに重たかった。
その綺麗な人曰く、私は馬車に轢かれて
その人の能力で一命を取り留めたらしい。
お忍びか、視察か、親睦を深める為にか
たまたま芒種域を訪れていたその人こそ先代立春。
それが、師匠との出逢いだった。
『綺麗な淡い、オレンジ色の灯りだね。
早春の陽だまりみたいだ。
僕の灯りの色に少し似ている。
……良かったら君、僕の弟子にならないかい?』
今にも消えてしまいそうな灯火に師匠の手が触れると
輝きを取り戻したように燃え上がって、すごく綺麗で
何故だか涙が零れ落ちたのを憶えている。]
[故郷から遠く離れた見知らぬ土地で
弟子として暮らすことを最初は多少躊躇った。
師匠がなぜ私を弟子に欲しがったのかも、
娘を心配してくれるパパとママを
師匠がどんな風に説得したのかも私は知らない。
大好きなお姉ちゃんや両親から
離れて暮らさねばならないことに抵抗はあったし、
実際移住して数年間は度々ホームシックに陥っていた。
けれど、師匠の弟子になれば、
蛍としてお仕事を学ばせてもらえれば。
何かお姉ちゃんの役にも立てる日が来るんじゃないか。
何より、喪うはずだった命を救われたから
誰かの為に役立てられるなら役立てたいと思ったんだ。
今は師匠の眠るこの土地から、離れることは出来ない。
私が灯守りの役目を務め果たすのが先か、
私の灯りが尽きるのが先かは私にもわからない。
どちらにしても、いつか私が
灯宮に還る日が来たときには──……
……お姉ちゃんに見送ってもらいたいな。
なんて、
いちばんのわがままはまだ言えずにいる。]
『 わたしも、世界が嫌いだわ 』
[ それが、彼女の答えだった。
私に、世界が好きかと問うということは、質問者は世界に対して何かを抱いているのではないか、と。
返ってきた答えは予想通り、と言えばそうなのだけど、驚いた気持ちを覚えたのも現実だった。
魂の管理者、人を守るために存在する“灯守り”。
私は、“灯守り”というものは、基本的には人間を慈しんでいるものであると思っていた。
しかし大寒の灯守りは、世界を嫌いだと言う。
私と同じ想い。世界を嫌いなまま、この地位に居る。
だからこそ、興味を持った。そして……共感も。 ]
[ ――灯守りになった当初、無気力な私に対し、職員は「灯守りを務めるつもりがないのならば、さっさと灯りを他に譲ればいい」という事を口にしていた。
私はそれに応じるどころか、返答をする事もしなかったのだけど、
そうすると、「先代はどうしてあれを後継に選んだのか」という話が聞こえてくるようになった。
彼は、立派な統治者であり、灯守りであった。それは未来永劫語られる事だろう。
……が、私の存在によって、彼の尊厳が危ぶまれている。それは、あってはならない事だと思った。
彼の願い、彼の尊厳、それを守るために、きちんと継がなくてはという思いはあった。
――けれど、私には出来なかった。
向いていないというのもあるけれど、どうしても、この世界を愛そうとすると吐き気を覚えてしまう心地がした。
それならば、他の人間に灯守りの位を譲るべきだった。
けれど、私はそれも出来なかった。
彼が私に託したものを、他の人に渡したくなかった。
彼が残してくれた想いを、中途半端に、自分に都合の良いように解釈しながら、私は今も、この地位にいる。
最初から、私はずっと彼のことばかりで、民の事など何も考えていなかった。
]
[ 『処暑の灯守り』が代々継ぐ能力『風星』。
先々代の処暑様は、人前での演説等以外では、一般市民の前に姿を見せる人ではなかった。
けれどその代わり、この能力で、人々を近いところで見守っていた、らしい。
先代の彼は、自らが人々の近い所へ行く人だったため、この能力は、先々代程は使ってはいなかったらしい。
とはいえ、彼の足が及ばないところや、目の届かないところまでも気遣うために、風を“目”としていたようだ。
……私はというと、灯守りになった当初は、領域の外へ出る事が出来なかった。
彼へと悪意を向けた世界。そんな悪意に私も殺されるのではないか、と怖かったからだ。
故に、人の手の入ったものも、長く口に出来なかった。
そのため『風星』で“外”を見て回るのが常だった訳だけれど。
彼の愛した処暑域。けれど、そんな彼を裏切った世界。
見れば見る程に、分からなくなってしまう。
この地は、この人間達は、守る価値があるのだろうか、と。
彼が命を賭してまで守るものであったのかと。
]
[ 降り募っていく不信感。
全他者に対しての嫌悪感。
故に私は、部下になった行政職員に対しても心を開くことが出来なかった。
それでも右も左も分からない状態であった頃は、職員の助けがなくてはならず、領域へ入る事は許可していた。
しかしあの事件――私の個人的な日記を勝手に持ち出されて以来、私は領域へも人を入れなくなった。
――やはり人間はどうしようもないのだと、私はその時点で心を閉ざしてしまったから。
蛍は当然置こうと思わなかった。
『処暑号の蛍』そのものを私は憎んでいて、到底受け入れられなかった。
だから私の領域へは、灯守り以外誰も入れないままに、
今日も私は世界との関わりを絶って、領域へと引きこもっている。 ]
| [宴酣の時 さてそろそろ解散、という空気の流れが漂いはじめて わたしも帰ろうと、広げた荷物を片付け始めた 荷物の中には、少しばかりの招待状 >>203があって 刷り上がったばかりのものを少しだけ持ってきたものであった 持ってきたは良いがどうしようかと会場を見渡して…] …… 立春様っ [ふと帰ろうとする背を見たのなら、荷物もそこそこに慌てて声を掛けた こんなもの、いつでも渡せはするのだけれど -なんなら送っても良いのだから - 、今が良いと思ったので] ……えと…… こ、今度……展示会を、するんです…… ……来て、 ほしい……です [ずい、と渡すハガキ もちろん、もうすぐ立春ということもあり、お祭りの準備などで忙しいであろうこともわかっている それでも、来て欲しかったのだ わたしの住む街に、わたしの住む白露に 忙しいと渋い顔をされたなら、しゅんとしつつもハガキだけでも、と食い下がるつもりである] …… 待ってる…… 茉莉お姉ちゃん…… [去り際に、微笑みひとつまたね、と手を振り 呼ぼうと思い続けていた名前を呼べたなら、満足そうに笑っただろう**] (256) 2022/01/30(Sun) 18:42:52 |
ーー先代の記憶ーー
「ねー、ゆきちゃん。」
[旅に出て冬至の温泉に入っていた頃だっか、
またしばらく経って寄った時だったか。
何かを思いついたような、悪戯っ子のような顔で
一緒に入っている冬至の君へと顔を向けた。]
「月が綺麗だねー。」
[珍しいほどの満面の笑みで、彼女を見ながらそう宣う。
一瞬たりとも月なんか見ちゃいないくせに!]
[それがどういう意味だったのか、誰に訪ねても。
ーーもう、誰にも語れない。*]
[ まるで故郷の長い冬のように、
閉じた屋根の下で過ごす時間が長かった。
(どこかの灯守りや蛍のように)
閉じ込められていたとかそういうわけではなく、
必要火急でもないと外出することが難しかった。
風が吹けば消えてしまいそうな灯りは
尋常でない移ろい方をしていたものだから
おそらく、能力があると
それ以外の原因を考えられなかったのだけれど
何を起因として発動するものであるのか、
当初、誰も特定することができなかったのだ。 ]
[ 自覚のないまま行使される、
“あと少し”なんてありふれた望みが
そのたびに灯りを削っていく。
その瞬間を捉えるなんて難しいに決まっていた
何せわたし自身、何もわかっちゃいなかったのだから ]
[ 冬の入口をくぐったような
冷たくて、からっとした凩の吹く日
収穫を終え春まで眠りに就く畑で枯れ草を燃やす人々
よくある風景だ。
ぱちぱち散る火花。
風に乗せられて飛んでいって、
あ、とめなきゃ、って、
――その後のことは何も覚えていない。 ]
[ その性質が明るみになってからは
いたずらに削られることはなくなったけれど
容赦する必要もなくなってしまったから
結局のところ、あまり良い思い出はない。
扱いづらい厄介事は放棄してしまって、
都合のいいことだけ利用していきたいだなんて
そんなの、疲れてしまうもの。 *]
────どうか、幸せに、お眠り下さい。
悪夢は、私が全て喰らうから。
*
―――いつか、貴方と見た月
[ 温泉にくゆる月を見上げていた
何も無い夜にともるそれは
そのひと時は 私にとっての陽であった ]
?
[ 隣りで 名を呼ぶ声がして
ふっと見上げた先の満月 ]
――…そうですね。
[ 小さく笑って また月を見る。
このひと時が 続いてほしい
そんな叶わぬ願いを 天にとかしながら ] *
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