【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[声を掛けて、席を空けた。 たったそれだけの行動なのに 随分距離が近付いたな。 そう、甘えるような声でタメ口をきく彼女を 窘めもせず、俺は内心そう思った。 じりじりと、吐息が通うよりも、 まつげの瞬く音すら聞こえそうな距離、 妻からの咳払いに引き止められることも無く 若い身体がまたひとつ、距離を縮める。] そう、お揃い。 [ここに集まる人間は多かれ少なかれ 皆「そう」なのだけれど そんな真実には蓋を閉めて、俺は喉を鳴らす。] (125) 2021/07/02(Fri) 20:02:58 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[とろとろに甘く煮詰まったような声で 彼女はここに来た目的を話す>>106] 愛を探しに、ね。 [くす、と嗤いが漏れたのをもし咎められたら 素直に謝ろうか。 「だって可愛いなって」……なんて お世辞をひとつつけた上で。 そんなの、何処にあるんだろうか。 あると思ってもし主催者が ここに彼女を呼んだのなら さて彼女はどんな人間に出会うやら。 もしそれが俺だったら─────? ]そんなの笑えない冗談だろ! きっと、僕ら似た者同士だと思うけど。 [ひそひそ、声を潜めるついでに こっちからもひとつ距離を縮めて。 ソファーの上に投げ出されていた手の上へ そっと俺の手を重ねて、ぽつり、ぽつり、と 俺は千由里の心の中へ澱を落とす。] (126) 2021/07/02(Fri) 20:03:28 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙俺達きっと愛し合ってる。 そう思ってたのは、俺だけだった、みたいな。 そんな寂しいことあって、ここに来ちゃった。 [問われなかった目的を打ち明ける。 真実と嘘とを織り交ぜて。 すぐ顔の横にあった千由里の旋毛へ頬を寄せる。 久々の滑らかな髪の感触に つい、口角が緩く持ち上がる。] (127) 2021/07/02(Fri) 20:04:45 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そう呟きを落として、身体を離す。 手が触れて、それ以上に近付いたことを 困ったような笑みを作って詫びようか。] …………僕は、 [つられて本名を名乗りかけて、危うく止めた。 けど、適当につけたハンドルネームは この甘い雰囲気に相応しくなくて。] (128) 2021/07/02(Fri) 20:09:24 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙─────…… タイガ。 虎の牙、って書いて、タイガ。 [そう、八重歯を見せて笑った。 パパって名前は、やっぱり重たいな。 内心そう後悔しながら。]* (129) 2021/07/02(Fri) 20:12:14 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[ちょんと口を尖らせてひねて見せるものだから それがあんまりに可愛くて 「ごめんね」って手の甲を撫でて宥めた。 変じゃないさ。 俺もそれがこの世のどこかにあると思ってた。 でも、そんなの知らずに こんな場所まで探しに来ちゃった女の子が 無知で、愚かで、だから可愛い。] 意識して欲しいって思ってる……なんて こんなおじさんから言われたら さすがに気持ち悪いでしょ。 [冗談めかして笑って逃げて、 俺は密かに若い女の子の匂いに酔いしれてた。 あー、この甘い匂いは整髪料か、シャンプーか。 若い女の子は、何だか花のような果実のような 甘くて可愛い匂いをまとっているのに どうしておばさんになると違う匂いになるのかな。] (149) 2021/07/02(Fri) 23:15:40 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[甘い言葉を交わして、 2人っきりの空気に酔いしれて。 重ねた手は、逃げなかった。 それをいい事に、指先で千由里の手の甲を掃く。 肌理の細かい肌の感触に、ぞわり、 背筋が粟立った。] でしょー。 名前「は」カッコイイのに、って よく言われるんだ。 [ニッと笑い返してきた千由里の 小さくて白い歯は、キスしたくなる形。 そのカッコイイ名前の、カッコイイお兄さんは 何らかの欲望を持って このホテルに来ていることなんか すっかり忘れちゃってるみたいに見えるその顔に いきなりキスしたら驚くだろうか。 それとも、そんな欲望を向けられることに もはや慣れすぎている手合いだろうか。 そういう子、俺は好きだよ。 仄暗い欲望が一度離れた身体の距離を もう一度縮めようとするのを押し殺して、 俺は千由里の言葉に、うーん、と唸ってみせた。] (150) 2021/07/02(Fri) 23:16:09 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙会ってからのお楽しみ、ってやつなのかな。 ほら、クリスマスプレゼントだって 箱に入った上に靴下にまで入ってる。 「知る」までの過程が楽しいんだよ、きっと。 [だから、そわそわしちゃうのは 何も悪いことじゃない。 ……でも、続く質問を聞いた瞬間、] (151) 2021/07/02(Fri) 23:16:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙…………っ、 [頭の中で赤ん坊が泣いた。 枕元の時計すら手探りじゃないと見つからない 真夜中に、周囲をはばからない大声で。 何も聞こえない。 何も聞こえない。 俺は知らない。何も出来ない。 黙っていれば、俺じゃない誰かが きっと助けに来てくれる。 そうして俺がじっと黙っていると 隣から不機嫌そうな気配が起き上がって それでも赤ん坊は泣いている。 オムツかな。おっぱいかな。 それとも……なんでもないのかな。 「あんたはパパでしょ」って絵美が言う。 違うよ、ただの胤でしょ。 そんなふうに言い返す勇気もないくせに 寝たフリだけは上手くなって─────] (152) 2021/07/02(Fri) 23:17:34 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙愛させてくれる人、かな。 [無意識に左手の薬指に出来た 僅かな肉のくびれを指先でなぞりながら 俺は自分の中に答えを探した。] 寂しくて、寂しくて、どうしようも無い時、 傍でべたべたに甘やかしてくれる人より 俺の気持ちに答えてくれる人が欲しい。 俺はきっと、恋がしたい。 心の中をいっぱいに「好き!」って気持ちで 溢れてる瞬間が、きっと一番気持ちがいい。 [いつの間にか床の絨毯の模様に落とした視線を、 もう一度千由里に戻して、ふ、と緩め] (153) 2021/07/02(Fri) 23:18:45 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙ちゆは、どんな風に恋したい? [相手が欲しくて、 頭の中を相手のことでいっぱいにして、 何が何でも手に入れたい、って そう思っちゃう気持ちは 理解はできるけど、きっと俺にはわからない。 よく回る口は「きっと出来るよ」って言うけれど 恋が燃え盛っても、愛にはならないのは 俺の中ではどうにも覆らない事実なのだから。 そうして千由里と暫くソファーで話して 時間が来れば「お互いいい人に会えますように」って 別れようとするだろう。 たまたま同じエレベーターに乗って たまたま同じ階で降りて ……たまたま、同じ部屋まで行ってしまえば さすがの俺も気が付くだろうけど。]* (154) 2021/07/02(Fri) 23:24:43 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[てっきり、もっとすごい答えが かえってくるかと思ってたけれど 千由里の答えは極々平凡なものだった>>170] 普通の、幸せな恋、ね。 [普通に遊園地行ったり、 普通にレストラン行ったり、 思い出を少しずつ積み重ねていったりしてさ。 新しいネイルがどうとか、 新しい服が可愛いなぁとか、 そんな話で時間を埋めて…… それから、家に帰ってベッドに入って 「また会いたいなぁ」とか思っちゃったり。 多分恋はそういう時が一番楽しい。] (197) 2021/07/03(Sat) 15:32:39 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうして時間が来たのを確認したら 千由里に一声かけて席を立つ。 部屋に行けば、一晩とびきり愛してくれる子がいて 泣き声やら金切り声、赤ん坊の臭いを 俺の頭から消し去ってくれるに違いない。 浮き足立つ俺の後ろから 付かず離れず、千由里がついてくる。 同じエレベーター、同じ階に降りて 同じ部屋の前で立ち止まる。] ここ……だけ、ど…… [覗き込んでくる千由里に 俺も目をまぁるくして、オウム返しに答えた。 もしかして、そういうことかな? でも、そんなの───── そう思ったら、手が出ていた。] (198) 2021/07/03(Sat) 15:33:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[伸ばした腕の中に千由里の身体を収めて ぎゅ、っと抱き締める。 思ったより華奢で、さっきよりもずっといい匂い。 肺いっぱいに千由里の纏う空気を吸い込んで 俺はそっと呟いた。] 君で、良かった。 [君が相手なら、一晩、たった一晩でも 俺の願いは叶うに違いない。 ……そんな予感がした。 だけれど、いきなり抱きついたのはまずかったか。 腕を解いて千由里を解放したら ちょっと眉を下げて笑ってみせる。] ……ごめ、ハッスルしちゃって…… [でも、仕方ないよね。 柄にもないこと考えちゃったんだ。] (199) 2021/07/03(Sat) 15:47:43 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙「こんなの、運命みたい」って 思っちゃってさ。 君だったらいいのに、って思ってたから。 [恥ずかしいことを打ち明けるようで 頬が少し火照ってしまう。 運命、って。なんだそれ。 まるで現実を知る前みたいな口説き文句! 恥ずかしくて自分でくすくす笑いながら 俺は千由里に改めて尋ねよう。] 君が「僕を愛してくれる人」かい?* (200) 2021/07/03(Sat) 15:52:01 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[「運命」なんて、笑った拍子に吹き飛ぶような ふわふわ軽い言葉のくせに、 「あたしも」って、向こうから返事が来た途端 確固たるものとして胸を占めていく。 そうやって、不思議そうな顔するくせに 次の瞬間にはいたずらっ子の顔をする。 ぐ、と顔を引き寄せて 吐息の通う距離まで。 次は、どうするの?って。 次が気になってワクワクしちゃう。 ほら、これが「恋」の楽しさだよ!] もう僕を愛してるって? [こんな可愛い子だったらさ、 引き寄せられてキスしそうになったら 赤面のひとつでもしたくなるけど ひとつ堪えて、俺はふふ、と肩を揺らす。] (219) 2021/07/03(Sat) 22:45:57 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[ちょん、とスタンプを押すように 柔らかな唇が重ねられる。 熱烈な言葉に反して控えめなそれに 僕は一瞬きょとりと目を瞬かせ、] …………これくらい僕のこと好き、ってこと? [もし千由里が一切の穢れのない純新無垢で このキスが彼女の渾身だったら これってものすごい愛だなって思うけど 彼女の態度を見るに、違う。 君はもっとすごいことしてると思う。 男に身体を拓いて、その欲望を身に受けるより もっとすごい、何かを。 だから、今度は俺から千由里に唇を重ねよう。 啄むような口付けを、何度も角度を変えて。 舌先で唇をノックして、許可が下りたら 暖かな咥内まで蹂躙していく。 呼気も思考も奪い合って 肺も脳も、お互いの存在で染めていくような。] (220) 2021/07/03(Sat) 22:46:17 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[漸く唇を離したら、未練がましい銀の糸が 互いの唇を繋いだか。] ……僕は、このくらいじゃまだ足りないけどね。 [千由里の肩を捕らえたまま 俺はにっかりと笑ってみせた。 もっと俺のこと好きになって欲しい。 互いに燃えて盛ってさ。 もう帰るべき場所とか忘れるくらいに。 さて、このまま部屋になだれこんで フードに隠された若い素肌を暴いてもいいけど ……せっかくさっきお話出来たんだ、 僕から一つ提案しよう。] (221) 2021/07/03(Sat) 22:46:50 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙このまま部屋に入ってもいいけど…… ちゆ、ちょっと外出ない? ホテルの近く、デートしよ。 [ここは家からも職場からも離れてるし 誰にも見られる心配はない。 それに、千由里がより深く 僕を好きになってくれるなら。] 手ェ繋いで歩いて、お茶とかしたりしてさ。 そういう「普通の」デート。 ……どう? [勿論、千由里がそんなんじゃなくて キスより深く互いの身体を重ねたいと言うなら 部屋に入って、ねっとり満遍なく愛を注ごうか。] (222) 2021/07/03(Sat) 22:47:11 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙えーっと、ね…… この近くだとアートアクアリウムがあるかな。 金魚が綺麗な水槽で泳いでるやつ。 あとは、全国津々浦々のアンテナショップ巡り…… うーん、ちょっと地味かな? [提案しつつ、俺は開いたスマホで 近隣の情報を収集している。 俺は千由里の好きなものをまだ知らないし 千由里も俺の好きなものを知らない。 お互いを知るいい機会だから どんどんワガママ言って欲しいって思うんだ。]* (224) 2021/07/03(Sat) 22:47:57 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[こんなもんじゃない、って ちゆだって、って なんだかムキになったみたいに反論する千由里に 「へえ?」って片眉上げてみせる。 こういうところは子どもっぽいのに 時々見せる女の魅力が酷くアンバランス。 だからきっと、大人の男はほっとけなくなるんだ。 とっても可愛かったから、 離した唇で、もう一度軽くキスを落とすと さてさて、デートの提案を。] だって、「普通の幸せな恋」したいんでしょ? [突っ込んで、腰振って、乳舐めて 「はい、純愛」なんて、つまらない。 もっと俺に溺れて欲しい。 頭の中も腹の中も、 俺という存在でいっぱいになって もう俺しか見えないほどになって…… 俺が求めてる「愛」ってそういうもの。] (258) 2021/07/04(Sun) 3:00:48 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙だって、俺がそうしたいんだ。 だから今回、ちゆは俺に振り回されたってことで。 [ね、って笑って、俺はわがままを言う。 そうして千由里が乗り気らしいなら 指輪の跡がある手で、手をそっと握り返して] じゃあ行こ、デート。 初デートだから、ちゆのこと、沢山教えて。 俺のことも知って欲しいし。 [とはいえ、あけすけに全部を晒け出すつもりは無い。 この特別な夜のための極上のスパイスを これから買い出しに行くだけのこと。] (259) 2021/07/04(Sun) 3:01:16 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙 [だって、ほら。 俺は「リカちゃんパパ」なんだから。 一夜明ければシンデレラも家に帰るだろ? ならせっかくの舞踏会。 踊り明かさなきゃ勿体ない。] (260) 2021/07/04(Sun) 3:02:17 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[ホテルの外に出てタクシーをつかまえると 千由里と一緒にアクアリウムへ向かう。] 僕も久しぶりなんだ、アクアリウム。 水族館は昔付き合ってた彼女と一緒に 美ら海水族館行ったなぁ…… ジンベイザメがでっかくってさ。 [道中、そんなことを話したろう。 俺から千由里の「恋」の話も尋ねたりして。 だってこんなところに来てまで 「普通に幸せな恋」を求めるのって なんだか不思議な感じがしたからさ。 アートアクアリウムには 流石にジンベイザメはいなかったけれど、 一歩薄暗い館内に足を踏み入れると 大きな掛け軸を模した水槽の中、 黒い琉金がゆらゆらと長い尾を揺らしていた。 アートとアクアリウムの融合を謳うだけあって 見た目も美しい様々な金魚たちが光を纏い 趣向を凝らした水槽の中で泳いでいる。 二人で手を繋いで歩いていても この時期に長袖の千由里に誰も振り向かない。 周りのカップル達と同じように 俺たちふたり、恋し合ってるように見えるのか。] (261) 2021/07/04(Sun) 3:02:52 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙ちゆ、はぐれないようにね。 [腕から指先までをしっかり絡めていれば はぐれるわけもないのに、 ついそんなことを言ってしまう。 途中、上開きの水槽の中に指を入れた 幼稚園くらいの子どもが、 こっぴどく母親に叱られていて…… 悲しげな、子ども特有のきりきりとした泣き声が 暗い館内に響いていた。 それを聞けば、つい、千由里と繋いだ手に きゅ、っと力が入る。] …………ごめんね、子どもが、苦手でさ。 [他の施設よりは子どもの来場者は少ないようだが それでも決してゼロじゃない。 ほの明かりに照らされた千由里の横顔に へにょ、と眉を下げてみせて。] (262) 2021/07/04(Sun) 3:11:25 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙……ずっと僕だけ見てほしい、っていうの やっぱり無理な話なのかなぁ。 [ぽつり、弱音を吐いてしまった。 既婚者で、子どももいるってこと 明言も匂わせもしたくなかったはずなのに。] ……ちゆは、もし、幸せな恋をして…… その先、どうするの? 結婚が、したい? それとも、子どもが欲しい? [この子の目は、何を見すえているんだろ、って なんとなく聞きたいけど、聞くのが怖い。 でもつるりと滑らせた口はそのまま 押し込めていた疑問を吐き出してしまった。] (263) 2021/07/04(Sun) 3:23:20 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[つい、じっと千由里の目を覗き込んで 問い掛けてしまった。 視界の端では、万華鏡の景色みたいに 金魚たちの長い尾が揺れている。 その美しさを表現するためだけの 狭いガラスのケースに押し込められた魚は 可哀想なのに、どうしてか魅惑的で。 人の流れに逆らい足を止め 俺は傍らの千由里の答えを待つ。]* (264) 2021/07/04(Sun) 3:38:35 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[道中たくさん話しをした。 コンビニレジ横のカフェラテ、 何処のが好き?俺はエブリーマートかな、とか。 近所にコーヒーのうまい喫茶店があって 夏の間はコーヒーかき氷を出している、とか。 年齢を聞かれたら32、って普通に答えるけど 千由里とはほとんど干支一回り離れてるって事実は 俺の官能を甘く刺激するだけだろう。 ドライブばかり連れ出す彼女の元カレは 車好きじゃないなら、きっと俺と同じ。 誰も俺たちを知らない世界に行きたくて 二人きりでどこまでも。 もちろん俺は千由里を責めない。 そうなんだ、とこくこく相槌打つだけ。] (283) 2021/07/04(Sun) 14:09:35 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[感動したような声を出す千由里に手を引かれ 人波を縫って歩く。 無邪気な顔がネオンに照らし出されて しっかり繋いだ手を時折振り返ってくれるのが 本当に子どもっぽいのに、全然嫌じゃない。] うん、可愛い。 [繋いだ手を揺らして、微笑む。 目は金魚じゃなく、千由里に向けて。 誰にも咎められない二人きりの世界を 子どもの声が切り裂いていく。 千由里が手を引いて、親子連れを追い抜いて そうして世界に静寂が戻った頃、 千由里はへらりと笑って言った>>269] ……意外。 [俺は目をちょっと見開いて、 それから強ばった頬を少し弛めた。 なんか子ども向けの用品店の販売員とかでも おかしくないかな、ってちょっと思ってたから。] (284) 2021/07/04(Sun) 14:10:05 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうして、俺が吐き出した弱音を 千由里は受け止める言葉を返してくれる。 俺だけを見ててくれて 俺だけを愛してくれて ずっと一緒でいて幸せなら、本当にいいのに。 だから、聞いたんだ。 その目で夢見るその先を。 子どももなく、 夫婦という枷もなく、 ただお互い一緒にいるだけ。 笑って、そんな答えを返す千由里の頬に 俺は黙って手を添えて───── そっと唇を重ねた。] (285) 2021/07/04(Sun) 14:10:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙……もっと早くちゆに逢えてたら良かったのに。 [神様は本当に意地悪。 覗き込んだ千由里の目の中には アクアリウムの照明に照らされた 悪い大人の顔が写ってた。] (286) 2021/07/04(Sun) 14:10:56 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[アクアリウムを抜けて、 せっかくだから、と近くのカフェに立ち寄った。 小さな店内にはコーヒーの香りがたちこめて 口コミによると夏季限定フラッペが人気だとか。 俺はアイスコーヒーとレモンケーキ。 千由里には、俺が誘ったんだから、と 好きなものを選んでもらおう。 ─────ああ、若い子って真っ直ぐだな、とか 感性が瑞々しくて、まるで熟れた桃みたいだ、とか 話しながらも、徐々に俺は焦がれてく。 ハグをして、キスして、デートまでして、 でも今夜はそこから先が確約されてる。 男なら、デートで一番テンションが上がる日。 さてその長袖の下の素肌は どんな肌触りがするだろう……。 想像するだけで、酸いものを頭に描いた時のように きゅっと歯茎の付け根が疼くよう。] (287) 2021/07/04(Sun) 14:16:27 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙ねえ、ちゆ。 [向かい合った席に手を伸ばし 重ねた千由里の手の甲を撫でて、尋ねる。] ここは、さっきよりも静かだけど…… もっと、二人っきりになれる場所、行かない? 君をもっと、知りたくてさ。 [色を含めた目で、それがただの 喫茶店のハシゴじゃないのを伝えながら 俺は千由里の意志を確認する。 けど、ちょっとマズったかな。 早計が過ぎたかもしれない。 他に千由里が行きたいところがあれば もちろん付き合うつもりだけれど、 果たしてなんと答えてくれるか。]* (288) 2021/07/04(Sun) 14:26:15 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[期待の色は裏切られず、 肯定の言葉と共に、掌をすう、と撫でられて 思わず背筋がぞわりと逆立つ。] うん、もちろん。 [無邪気な問い掛け>>304に目を細め 湧き上がる情動を鎮めるように、 冷たいコーヒーを喉へと流し込む。 お揃いのレモンケーキの、 皿の端についたクリームまで 綺麗にきちっと平らげたなら また手を繋ぎ合わせてホテルへと帰ろうか。 ちょっとこのドキドキするような、 甘いひとときが好きだ。 タクシーに乗ってホテルまで向かう時の 互いの期待を胸に秘めあったまま でも、望むものは同じ、みたいな。] (311) 2021/07/04(Sun) 21:50:02 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[今度はちゃんと、ホテルの部屋へと足を進めると 広々とした空間が視界の端から端へ拡がっている。 大人二人が並んで大の字で寝ても余りあるような 大きなベッドだけじゃなく、 ゆったり寛げそうなリビングまである。 生活臭からかけ離れた、上質な空間。 つい、深呼吸しちゃう。] ちゆ。 [ここでキスでもしようかな、って 思ってたんだけど……ふと思い付いて 俺は悪戯っぽい笑みを浮かべて、言った。] ……ただいま。 [ここは俺たちの家であり、 世間から逃げるように帰ってきた 二人だけの愛の巣……っていうごっこ遊び。 そういやデキ婚だったから、新婚生活なんて無かったや。 千由里をまた思い切り抱いて、 微かにレモンの味が残る唇を吸えば 「ああ、本当にこんな新婚だったら良かったのに」 って、またちょっと思った。] (312) 2021/07/04(Sun) 21:50:55 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[性急だと言われたら 「余裕無くてごめんね」って眉を下げて謝るし 何も言われなければ、ただただ 相手の形を確かめるよう、千由里の背に 回した腕で、体の輪郭をなぞっていく。 軽いキスの雨を何度も何度も降らせながら 目を閉じても、もう子どもの声は どこからも聞こえなかった。] ちゆは……僕の何が知りたい? [口付けの合間に、まつ毛の隙間からじっと 彼女の顔へと視線を向けて問う。] 血液型?それとも星座? 出身校とか、それとも…… 僕がどうやって、人を愛するか、とか? [何を教えたら、彼女はよりより 俺の方を向いて、このひとときを より情熱的に過ごさせてくれるだろう。 千由里の手を、俺のTシャツの左胸に導いて フードの下で解れた髪を、そっと耳にかけてあげる。] (313) 2021/07/04(Sun) 21:51:19 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙分かる?ドキドキしてるの。 [掌じゃ分からないなら、耳を寄せてもいい。 それでも分からなければ、 もっと深いキスを受けて欲しい。] (314) 2021/07/04(Sun) 21:51:44 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[このままバスルームに二人で なだれ込んでもいいんだけれど、 装わない、素のままの千由里を じっくり味わってもいい。 長い口付けから彼女を解放して 俺は唾液で絖った唇を持ち上げる。] ちゆ。 [「君をもっと見せて。」 そう、唇の形だけで乞う。]* (315) 2021/07/04(Sun) 21:52:08 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙 [「ただいま」って帰ってきても 「おかえり」って言ってもらえないんだ。 「ミックス卵やめてって言ったよね」 「低脂肪乳じゃないやつ、ってもう忘れたの?」 「梨花寝てるんだけど」 「連絡遅いって毎回毎回言わせないで」 だからそのうち、言わなくなった。 でも、文句は変わらず増えていった。] (331) 2021/07/05(Mon) 4:15:09 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[ドキドキしてるのは一緒だ、と 導かれた指先に、千由里の膨らみが触れる。 薄い皮膚の下にある骨の、そのまた奥に どくどくと脈打つ心臓があって、 でもそこにはまだ触れられない。 もっと見せて、と奥に踏み込もうとしたら 質問で通せんぼ>>320 千由里の指先が、指輪の跡をなぞる。 別に好きな人がいるでしょ、って。 それでも一番になりたい、って。 千由里の視線はそう言う。 ─────そうだね、俺は君にまだ 「愛してるよ」なんて言ってないもの。] ……本当に、本当に、愛し合ってたら、 きっとこんな場所まで来てないよ。 [困ったみたいに眉を下げ、 俺は宥めるような声を出す。 そして、離婚したとかじゃなく 本来帰るべき場所があるのを暗に認めて 俺は千由里の髪を一筋絡めて 甘い香りのする毛先にキスを落とした。] (332) 2021/07/05(Mon) 4:16:21 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙家にいると、ね。 まるで自分が透明な何かとか、 もしくは捨て損ねちゃった粗大ゴミみたいに なっちゃったような気分になるんだ。 僕はちゃんとその場にいるのに。 辛くて、寂しくて、 受け止めてくれる誰かが、欲しくて。 [脳裏で絵美が「何もしてないくせに」と嗤う。 それを黙殺して、俺は顕になった 千由里の額に唇を押し当てた。] ……僕は、受け止めて欲しいだけ。 でも、それでいて更には ちゆの一番になりたい、なんて そんなの、わがままだって思ってる。 [額から瞼、頬へと徐々に口付けを下ろしていって…… もう一度、拒まれなければ唇にキスをして。] (333) 2021/07/05(Mon) 4:16:55 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙どうすればちゆに伝わるかな。 ……なんていえば、伝わるかな。 胸がドキドキしてるのも同じ、 キスもして、ハグもして…… それでもまだ足りないなら。 [例えば今すぐその脚を押し広げて、 雄を捩じ込んで、その胎の奥の奥で 埒を明け、胤を撒き散らかして その時やっと一言「愛してる」などと囁けば 君はそれを鵜呑みにしてくれるのか。 その先に、「愛」は芽吹かなかったというのに。 ] (334) 2021/07/05(Mon) 4:18:35 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうして、お風呂に行こう、と 俺を掴んだ千由里の手を取り その薬指にやんわりと歯を突き立てた。] お風呂は、後にしようよ。 [じっと千由里の目を見つめて 俺は小さく乞う。 彼女の指に出来た歪な指輪の跡を 舌先で優しく慰めながら。] 俺は、綺麗じゃなくてもいい、 そのままの千由里を愛したいから。 だから、今の俺から離れないで。 一番俺の事が好きな千由里でいて。 [そう願ってしまう俺を、 君は卑怯者だと突き放せるのかな。] (335) 2021/07/05(Mon) 4:20:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[もしそれでもお風呂に行きたいって言うなら 別に無理強いはしない。 (千由里じゃなくて俺が入るべきなのかもだし) でも、このままベッドに千由里を運ぶのを 許してくれたら、きっと俺はうっそりと微笑んで 「そういうとこ、好きだよ」って耳元で囁くだろう。 そうして仰臥する千由里から 俺が手ずから靴を脱がせて、 顕になった爪先を口に含んで愛撫したい。 そのままの君を愛してるって証のために。]* (336) 2021/07/05(Mon) 4:30:26 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[言い放った卑怯な台詞も 責められることなくすんなりと受け入れられて もう何度目かになる「好き」が返ってくる。 でも言われる度に、胸の奥がムズムズして 塩水ばかり呷らされて乾いた喉を 瑞々しい「好き」が満たしてく。 可愛くて、若くて、家の匂いがしない子が 俺の事でいっぱいになっちゃう甘露が。 華奢な体を抱き上げて ふわふわのベッドの上に載せると その上に伸し掛るように這い上がる。 二人分の体重が掛かってもベッドは 雲みたいに音一つ立てやしない。 ハイヒールをひとつひとつ、 丁寧に脱がして床へと置いて そうして両足とも裸足になったなら 右の足の爪先から咥内へと招き入れた。 小さくてキャンディみたいは爪先の爪から 指の付け根へと舌を滑らせる。 一日歩いた足だけど、別に臭くも汚くもない。] (381) 2021/07/05(Mon) 21:30:58 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙汚くないって、言ったでしょ。 [足の指を離した舌を、土踏まずまで つう、と滑らせながら 俺は千由里を足越しに見下ろして笑う。 草むらの野いちごみたいな、 野性味溢れる官能が口の中に溢れてく。 湧き上がる愉悦を口元を緩ませて 両足とも、千由里の足を清めていく。] (382) 2021/07/05(Mon) 21:31:20 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうしたら、千由里の手が 俺のTシャツの中に滑り込んできて、 裸の肌に触れていく。] ……そうだね、俺も見せないと不公平だ。 [悪戯っぽい笑みと共に 俺はベッドに膝立ちになったまま 自分のシャツの裾に手をかけて ばさり、と放り投げる。 週3のジム通いで、うっすら皮膚の下に 筋肉の隆起を浮かせた肉体を露にして さあ、次は……って千由里に向き直った矢先。] (384) 2021/07/05(Mon) 21:31:48 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙…………? [不安を浮かべた目に、首を傾げていると 千由里の腕が顕になる。 白い腕に何度も刻まれた 痛々しい「寂しい」の痕跡に 俺は一瞬息を飲む。 女の子の汚れのないまっさらな肌の上の 消えない傷に、今しがたの淫猥な雰囲気が すっとなりを収め、代わりに湧いてきたのは 「ああ、この子もおなじなのか」って───── ] (385) 2021/07/05(Mon) 21:32:16 |
【人】 敷島 虎牙ちゆ。 [小さく震える千由里に声をかけて 傷のたくさん刻まれた方の腕を取って そこへもねろりと舌を這わせた。] あまい。 ……アイスクリームみたい。 [にやにやと笑うでもなし、 何か神聖な儀式みたいに ぷっくりと肌の上に浮いた傷の凹凸を 味蕾の上で確かめていく。] 自分が不確かな時って、あるよね。 自分がここにいるのか、自信なくなっちゃって。 [そんな時、自分を受け止めてくれる人の存在が どれだけ愛おしいかも、俺は知ってる。] (387) 2021/07/05(Mon) 21:33:16 |
【人】 敷島 虎牙……でも、今ここにちゆと一緒にいる俺は その不安な気持ちを知っている。 おそろい。 [傷の一つ一つを確かめ、その上にキスしても 悲しみも苦しみも癒えやしない。 結局、傷の舐め合い、って思うかもしれないけど] ちゆ、まだ傷は痛い? [俺は千由里の目を覗き込んで尋ねる。 傷の全てにキスをしたなら、 改めて、千由里の頬に手を添え 優しいキスをひとつ。] 今は、今ここにいる俺は 全部ちゆのものだから。 俺の「寂しい」も、「愛おしい」も。 だから、ちゆの「寂しい」も 今は一旦、俺に全部頂戴。* (388) 2021/07/05(Mon) 21:33:54 |
【人】 敷島 虎牙[別に慰めでもなく、偽りでもなく 舌を滑らせた肌は甘かった。 ちゅ、と吸い付くと時折ほろ苦い鉄の味がして それがまた舌を楽しませてくれる。 それを説明する代わりに、 赤を肌に刻むように、強く強く吸い付いた。 「優しい」大人の顔のまま。 千由里の冷たい手が、火照った身体の上を滑ると 背筋がどうしようもなく ぞくぞくしてたまらなくなる。] 俺は、好きだけどね。 [弱いところを全部無防備に さらけ出しすこのひとときは まるでセックスにも似ていて] ……いいじゃん。 [千由里の腕をを最後にひとつ舐めて そう笑って見せた。] (454) 2021/07/06(Tue) 18:35:13 |
【人】 敷島 虎牙めんどくさくて可愛くなくて 寂しがりのどうしようもないちゆでも 嫌いになったりしないよ。 [何度目かのキスを受け止めたら また何度目かの俺からのキスで返す。 可愛くて、可哀想な俺だけのちゆ。 もう子どもの声も、妻のため息も 何処からもそんなの聞こえなかった。] (455) 2021/07/06(Tue) 18:35:36 |
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