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【人】 純真アンサンブル リッコ「…あ。先生。」 >>1:62校舎に入ると姫様の担任教諭がそこに居た。 教員ならばこの時間にここに居ても不思議はない。 不思議はないのだが、緊張に体をこわばらせてしまったのは仕方がないだろう。 不思議はなくとも、敵の可能性が拭えないからだ。 だから、最低限の礼儀として頭を下げながら。 「先生、人を見かけませんでしたか? さっき屋上から誰か…。 それに、後輩と連絡が取れないんです。 何かあったかと、心配で。」 そんな風に尋ねながら、自分のスマホを握りしめる。 ──それにしても教員とは言え姫様と近しくなった人物。あまり好ましい男性ではない。 (3) 2023/10/16(Mon) 6:27:19 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「先生のクラスの姫宮さんとも バンドを組ませてもらってる 橋本彩綾さんなんですが…?」 そこまで口にして。 遠くで微かな音が聞こえたのを耳にした。 それは誰かの走る軽い音。 それが段々と近くなってきて…??? 「さ、サアヤ!?」 探していたその人がなぜか縛られながら走ってきたのに目を丸くする。 どうしたの? と声をかけつつ、教師に軽く頭を下げてから慌てて駆け寄り、縛を解いたのだった。* (4) 2023/10/16(Mon) 6:27:37 |
【人】 純真アンサンブル リッコ私はブスッと不機嫌になっていた。 信じられない。私がヒメ様の護衛を外されることになるなんて! 全部、そんな提案をしたこいつが悪いのよ! …ううん。本当はわかってる。 姫様はいつも通りになるべく振る舞おうとしてくださるけど。 私から少し距離を取ろうとなさってる。 それは、私が──不用意に近づき過ぎてしまったから。 姫様には思い人がいるのに。 でも。 その想い人は。 ユスターシュは。 「…なんで、アンタと一緒に帰らなくちゃ いけないのかしらねえ…?」 帰り道。じとりと滝沢を睨みつける。 >>@0重たい荷物を運んだりしていると手伝いに来る、力を自慢したいタイプの男だ。 そこに好意があったのだとしても私にとっては迷惑なのに。 けれど、巻き込んでしまったのは事実。 まあこいつが勝手に巻き込まれにきた気もするんだけど…。 (14) 2023/10/16(Mon) 19:52:20 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「魔法少女?とかの戦いの相手なら アンタがいてもあまり変わらない気がするけどね。 滝沢、魔法使えるわけじゃないんでしょ?」 まさかあいつらの仲間…とは思っていない。 まさかね? と、ジロジロと滝沢を見る。 もしくは姫様への点数稼ぎ? まあ、姫様がコイツに惹かれることはないと思うけど。 …でも、コイツは男だ。 「──。」 男、だから。 (15) 2023/10/16(Mon) 19:52:44 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「…カッコつけて死んだりしたらヤなんだけど?」 そんな風に死んだりすることもあるし。 でも私の方がきっと強い。 そして。 …もし私が誰かと男女の関係になれれば。 姫様も安心して、以前のように振る舞ってくれるのだろうか。 そんな考えが浮かんで、少し沈んだ声で呟いた。 視線を彼から外しながら。* (16) 2023/10/16(Mon) 19:53:09 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「ちょっと…。」 腕を掴まれて戸惑った。 半ば強制的に滝沢の方を向いて軽く睨みつける。 守りたいもの? もちろんある。姫様だ。 その身体もその心も護りたい。大切にしたい。傷つけたく無い。 でも今は、自分の想いを抑えきれずに戸惑わせてしまっている。 その不安に拍車をかけてしまっている。 そのことが歯痒かった。 自分の欲に負けてしまった自分を許せなくなるほどに。 だからじっと彼を見つめた後、視線を伏せる。 「あるわよ。護りたいものくらい。 だからアンタの…大切な家族を守れなかったから 二度とそれを繰り返したく無い気持ちは、分かるわ。 分かるけど。 …私、そんなに弱く無いし。」 (22) 2023/10/16(Mon) 21:37:14 |
【人】 純真アンサンブル リッコ魔法が使えるのだ。いざ戦いの場になれば彼より強い自信はある。 けれと、心はどうだろうか。 姫様の戸惑った眼差しが忘れられない。 不安を取り除いて差し上げたかったのに。 けれど良い香りに、柔らかな肢体に、魅了されてしまった。欲に勝てなかった。 グッと唇を噛み締める。 ツンと鼻の奥が痛んで涙が滲んだから、また彼から顔を逸らした。 ぐい、と空いた手で目元を拭う。 「──でも、護りたい人を傷つけたかもしれない。」 そんな事をぽつりと小さく呟いてしまったのは。 私の中に生じた弱さと迷いから。 「…アンタならそんな時、どうする?」 この、弱いはずの人間に尋ねたのも。 尋ねるときには少し涙の気配残る目を相手に向けていた。 大切な誰かを傷つけたなら、どうする?* (23) 2023/10/16(Mon) 21:37:30 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「引かない…。」 滝沢の答えに、そっか、と何かストンと納得できた気がする。 私は戸惑われて嫌われるのが怖くてこれ以上を望まないと考えていたけれど。 それはそれとして、今まで通り護れば良い。 遠ざけられようと近ついて。 真正面から守れないのならその背を守る。そうあるべきだ。私は、護衛なのだから。 「そうね。…うん、本当にそう。 アンタの言う通りだわ。 私何を迷ってたんだろう。有難う。」 彼のまっすぐな言葉は私にもきちんと届いたから。 少し彼への印象を自分の中で書き換えて、ニコ、と笑ってみせた。 想いは覚悟。覚悟を決めて護る。 それが私の使命であり思い。姫様に対する真摯な気持ち。 そう改めて胸に誓っていると目の前の顔が赤くなって。 (30) 2023/10/17(Tue) 10:00:00 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「は、はあ!?」 ──何言ってんのコイツは!? 急な告白にこちらも顔が赤くなる。 私は守られるばかりの女じゃ無い。寧ろ、この世界でならコイツよりも強いはず。 まあ魔法を使えなければ…それだって実践経験は一般男性よりもあるはずだ。 けど。 ──きっと。私、サアヤも見つかってホッとしてたんだろうな。 滝沢の手をキュッと握る。 (31) 2023/10/17(Tue) 10:00:21 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「言っとくけど、私アンタよりきっと強いわよ。 一方的に負けるなんて事ないから。 でも、そうね。 ラーメンならうちで食べてく? さっきのお礼。」 作るよ、なんて笑ってみせる。 これでも自炊は得意な方なのだから。** (32) 2023/10/17(Tue) 10:00:53 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「喧嘩じゃ無いわよ、武術を納めていたわ。 ──とは言っても一般的なのじゃ無いけど。 尊い方を護衛するのがうちの家の仕事だったから。 その関係でね。」 多分、家としては第二王女の護衛は不服なものだったのだろう。 けれど結果的に私は至上の主人を得た。美しく、優しく、気高く、──きっと誰よりも愛らしい。 アムニャックに選ばらたこともそう。姫様は才能にも恵まれてるのに、ミュジークの王侯貴族はそれを認めようとはしてこなかった。 それが歯がゆいし、だからこそユスターシュには劣るとしても次点でも近い場所で守り切れたら。そう考えていたのに。 ユスターシュ…どうしてくれようか。 そんな懸念点が頭に浮かぶ。けれど、今彼には関係のないことだ。 「その方がお金もかからないし気も遣わない。 そうでしょう?」 自分に告白めいた事をしてきた相手だけど。 どこかでそれをよしとしてしまった自分に驚きながら彼を案内した。 マンションの一室。今は自分しかいない。 (52) 2023/10/17(Tue) 20:09:49 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「今は一人暮らししてるから、遠慮しないで。 野菜も取れるしタンメンで良い?」 先日買ったばかりの生麺を調理する準備をしながら、タンメンとして上に乗せる野菜を炒めてしまおう。 もしもっと別のが良いと言うのなら卵乗せくらいは考慮する。ゆで卵を乗せるなら、先にそっちを作らないと時間をロスするからだ。 塩ラーメンベースのタンメンを作る予定で、エプロンをつけて調理開始。 飲み物は冷えた麦茶で構わないだろう。多分。 「適当にくつろいでて。」 部屋の中は楽器や譜面、小さなぬいぐるみ。 あまり華やかではないけれど清潔さは保ってる。 …えっ、えっちなオモチャは無いわけではないけど…そんなのは片付けてあるから見つからないはずだ。そう。見つからないはずだし、そもそも卵形の小さな振動するアレくらいだから…わ、私が買ったんじゃなくてサアヤが置いてったんだけど! もし私が把握してないオモチャがあったとしても、それはサアヤのせいだ。絶対そう! まあ見つかるはずないと私はご機嫌でラーメンを作ってる。出来上がったらテーブルに運びに行く予定だ。* (53) 2023/10/17(Tue) 20:10:55 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「そうね。だから、親は厳しかったわ。 殴ったり蹴ったりは訓練中以外でも 父親からは結構あったしね…。」 何でもないことのように言うけれど。 背中を向けていたからこそ少しだけ顔に優ううが滲むのは、父親こそ私に決定的な傷を負わせた人物だからだ。 護衛が主人のために身を差し出す事は確かにあるのだろう。 姫様が対象ならばなおのこと。 女の身であればなおのこと。 だからと言って、奉仕の方法を学ばせるなど。 屈辱をこの身に刻むなど。 ──それは確かに経験として生きた。 姫様に対しての妬みや嫉み。私自身への妬みや嫉み。そんなものを、暴力で解決しようとする男は多かったからだ。 一番酷かったのは。 それでも無理やりに快楽を与えられたことか。 それを刻まれてしまったことか。 ああ。 だから私は欲に負けるような護衛になってしまったのだと歯噛みする。 けど少し深呼吸をして、その記憶を薄めた。今は食事だ。料理だ。 (60) 2023/10/18(Wed) 6:24:10 |
【人】 純真アンサンブル リッコそして幸いだったのは、まだ本格的な調理に入っていなかったこと。 お湯を沸かすのにガスからではなく、自動で止まる電気ポットを使用していたこと。 不幸だったのは、私が音に敏感なミュジークの民であること。 背後からした異音と小さな驚きの声に、首を傾げて振り返る。 「…わー!?」 だから、バッチリ見てしまった。 彼のその手に、アレがある事を! し、しまってた筈!ちゃんとしまっていた筈!? あっでもこの間洗って乾燥させた後、電池とやらを入れ替えようとして…宅配が来て…忘れていたかもしれない。 真っ赤になって慌てながら滝沢に近づく。 取り上げようと手を伸ばして、でも慌ててつんのめって滝沢に向かって転んでしまった。 (61) 2023/10/18(Wed) 6:24:29 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「きゃっ!? もう、ちょっと、何出してるのよ!?」 滝沢に向かって倒れ込む。 押し倒すような形になりながらも手のそれを奪い取って。 ガルルルル、と唸るようにして睨みつけた。 「た、たまにしか使わないんだから! 男だってそう言う時あるでしょ? むしろ男の方が多いでしょ!?」 そして動揺のあまりにそんな事を口走り、エプロンのポケットにそれを捩じ込んだ。** (62) 2023/10/18(Wed) 6:24:48 |
【人】 純真アンサンブル リッコ「そんなところに何で…!?」 多分、私の置き忘れかサアヤの悪戯だ。 だから滝沢は何の悪い事もないのだけど、私だって恥ずかしいものは恥ずかしい。 ムウ…と怒り顔になってしまったけど、彼が悪くないのは私だってわかってる。ただ恥ずかしさでどうにもならないだけだ。 でも。 「ヤバい? …!!!」 ヤバいって何が?と、首を傾げたところでギクッと身体をこわばらせた。 ちょうど私のスカートの下、下着を押し上げる熱いものがある。そう、倒れ込んだ私は軽く上半身を起こした拍子に、彼に跨ってるような姿勢になってしまっていたのだ。 かあああっ、とさらに顔が熱くなる。 でも。 ヤバい、と叫ぶ彼にはたと我に返る。 こんな時、男は此方を押し倒して乱暴を働くものだ。 欲望に負けて理性が死に、女に無体を働くもの。 そう私は教えられてきた。教えられてきたし、刻み込まれてきた。 お知られている最中だからと抵抗できない時もあった。 抵抗しない事で情報を得る事もあった。 だけど。 滝沢はそのどれとも違う。 魔法がなければ力任せに此方を犯す事だってできるだろう。 だけどそれをしない。 こんなにも、欲望の塊は私のそこを押し上げて主張してきているのに。 (72) 2023/10/18(Wed) 12:53:51 |
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