【人】 紅柱石 アンドレアス―宿― [>>31二度寝をして、体の疲れが取れた気がする。 頭の方もすっきりとしたようだ。] うん、そうかもしれない。 [絡まりやすい髪を直しながら同意する。 温泉について彼が話すなら、] ……へぇ、一つだけじゃないんだ。 外に湧いてるって事は外で服を脱ぐ事になるのかい? そんなところがあるなんて、この街は恵まれているね。 [などと、普段の通りに応じて。 荷物の整理を始める彼に旅の行き先を聞かれれば] ラバン山脈を迂回しようと思っているよ。 [青年の故郷はチャルビ砂丘を越えた方が近いが、そちらには軍が向かっている。 人間は宝石人間(ジェム)の郷を感知するすべはないが、出来る限り人目を避けた方がいい。] 君は、砂漠に調査に行くんだよね? [時間に余裕があれば、同行したいと思っているが。 彼は許してくれるだろうか。]* (32) 2021/10/01(Fri) 20:30:13 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―宿― うん、ラバン山脈を越えた事はあるけど、迂回した事はないから。 南側にしようかと思ってる。 [>>33山越えをすれば確かに国境を越えるのは早い。 けれど、あの辺りは宝石商人も通るルートだ。 青年の住む集落の近くにも別の宝石人間の集落があり、彼らは年ごとにそこを回る。 集落に彼らを入れるわけにもいかないので、商人と会う為の屋敷があるのだ。 彼らはそこを拠点として近隣の宝石人間(ジェム)達と商売をする。 何処に耳があるか分からない中、知り合いに会う可能性は避けたい。] (36) 2021/10/01(Fri) 21:33:19 |
【人】 紅柱石 アンドレアス……そう。 新月の夜なら、また会えるかもしれないね。 [>>34今日明日の内に、という言葉になるほどと思った。 彼が精霊と出会った時、季節はいつだったか分からないが、タイミング的には一番だ。 調査はどれだけかかるのだろうか。 ──青年が自分の事を話しても、彼は変わらないだろうか。] ……え? (37) 2021/10/01(Fri) 21:33:48 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>35思考が他所に飛んでいた故に、彼の問い掛けに対して反応が遅れた。 彼の笑みには自重の色が乗っている。] ええと…。 [旅をして回るのが羨ましい、という彼に、これで旅をやめる心算なのだとは言えなかった。 彼の内心に浮かぶ事は分からないが、影が落ちてしまったように思う。 何とか気の利いた相槌を打とうと考えていたが。] ……うん、分かった。 今なら市場でも焼き立てのノンが売っているんじゃないかな。 [山を越えた先にある街の事を思い出さなければ、と思いながら宿屋を出た。]* (38) 2021/10/01(Fri) 21:34:05 |
【人】 紅柱石 アンドレアス― →市場― [>>39そこでは商人達が店を開き、品物を物色する客の姿があった。 焼き立てのサムサや、美しい文様の描かれたノンが店先に並んでいる。 羊肉と野菜を入れたショールヴァを売る屋台もそこにあった。 ガラーシャがふらりと歩き出すのを横目に、青年も品物を見始めた。 十数分もすれば、青年はノンとチャイを手にしていた。 ショールヴァも良い匂いをさせていたが、今は入る気がしなかったのだ。] 私はノンとチャイだよ。 ……うん、いいね。大丈夫。 [指さされた先にあったのは、この時間は人気の少ない広場だった。 いるのは鳩と、道行く人だけ。 青年はそれを確認して肯いた。 起き抜けには厳しかった朝陽も、木陰の下なら過ごしやすいだろう。]* (40) 2021/10/01(Fri) 22:49:26 |
【人】 紅柱石 アンドレアス―広場― [青年達は木陰の近くにある煉瓦の上に腰かけた。 青年はチャイを口に含む。 南方とは違い、甘みのない所為で茶葉の味がよくわかる。 そうして暫くノンを千切って口に運んでいたが、やがて口を開いた。] 私の行く場所、だったね。 王国の西側、ラバン山脈を越えた先にフジェンドという街があってね。 此処よりも小さいんだけど、綺麗な細工物が売られているんだ。 それが見たくて…… [そこで青年は口を閉じる。 それはよく出来た、旅人らしい動機だった。 実際に細工物を目当てにその街に向かう者もいるだろう。 けれどこれは、昨夜、寝る前に話そうと思った事ではない。] (41) 2021/10/01(Fri) 22:51:00 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[急に喉が渇いた気がして、チャイを飲んだ。 通り過ぎていく旅人のまま、別れる瞬間まで偽る事は出来る。 けれどそれは嫌だと思った。 結果的にここで彼と別れる事になったとしても後悔はしたくないと。] ……ガラーシャ。 聞いて欲しい事があるんだ。 いいかな? [青年は緊張した面持ちで彼に声を掛けた。]* (42) 2021/10/01(Fri) 22:51:33 |
【人】 紅柱石 アンドレアス─広場― [>>43空腹を感じていたのか、隣の彼は食が進んでいるようだ。 青年の方は途中で手が止まってしまう。 それを紛らわすように青年は語り始めた。 けれど流暢な語りを止めてしまった時、彼から声がかかった。 図星だった。 この街に来る前から、出会った頃から、ガラーシャに隠している事がある。 彼の顔に浮かんだ控えめな、困ったような笑みに胸が痛んだ。] (44) 2021/10/02(Sat) 0:07:20 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[とはいえ、何から話したらよいのか。 青年は飲みかけのチャイの入った器を脇に置く。 視界の中で鳩が嘴で地面をつつき、鳴いていた。 そんな長閑な光景の中、ガラーシャに聞き取れるくらいの声で話し始める。] ……君は、宝石人間(ジェム)は知っている? 体の何処かに宝石を宿していて、宝石を生み出す。 老いとは遠い、人間よりも精霊に近しい存在……。 [人間の持つ宝石人間(ジェム)に関する知識はそういったところだろうか。] (45) 2021/10/02(Sat) 0:09:14 |
【人】 紅柱石 アンドレアス私はその宝石人間(ジェム)なんだ。 もう百年以上生きている。 [衣服の上から熱を持つ核の埋まった箇所を摩る。] これまでずっと、時々故郷に帰りながら人間のふりをして旅をしていたんだ。 出会った人は“いい人”達が多かったけど、再会の約束をした事はなかった。 ……一度きりの出会いなら、年を重ねないと知られる事もないからね。 [青年は足元に視線を落とす。] だって私は老いないから。 人間は自分と違うものを怖がるだろう? それに私達の宝石を狙う輩もいる。 危険はあるけれど、それでも人間の国を回るのが、知るのが好きで、時間を見つけては故郷を出て旅をしてきた。 [世界を網羅するには程遠いが、人間の半生分は旅暮らしを続けてきた。] (46) 2021/10/02(Sat) 0:11:12 |
【人】 紅柱石 アンドレアスだけどそろそろ故郷で落ち着こうかと思って、今回を最後の旅にしようと思っていたんだ。 ……その最後に君に出会って、今更になって悩んでいる。 こんなに別れがたい人に出会ったのは初めてだった。 君と過ごしている時間は楽しい。 もっと色々な話をしたいし、色々な場所に行ってみたい。 心からそう思っているよ。 [目を伏せて、別れを告げた時の事を、酒場での様子を思い出す。 自分が彼の立場だったならきっと悲しんだし、表面には出さずとも自棄になっていただろう。] そんな人は大事にしなければいけないのに、私の中途半端な態度の所為で傷つけて本当にごめん。 (47) 2021/10/02(Sat) 0:13:30 |
【人】 紅柱石 アンドレアス……こうして話したのは、散々君を振り回してしまったお詫びもあるけど、君の前でもう偽りたくないと思ったから。 [褒められたものではない。 半分程は自分の希望だ。] 私はこれからも君と会いたいと思っているけど、君が望まないならもう会わない。 一緒にいたら不審がられたりするかもしれないから。 [アンバーの瞳を上げ、真直ぐに彼を見た。] ……君は、また会ってくれるかい?* (48) 2021/10/02(Sat) 0:16:34 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>49宝石人間(ジェム)は自らの正体を明かさない。 もし出会っていたとしても それでも人間の国に興味を持って郷を出てくる同胞は一定数存在する。 百年以上生きている、と言えば、彼は驚いたようだ。 宝石人間(ジェム)である事よりも驚いている様子。 人によって差はあれど、一度成長が止まればそこから年を重ねる事はない。 一度きりの出会いとするのは、宝石人間(ジェム)の処世術なのだろう。 実際に帰ってこなかった中で、旅中に命を落とした者と、正体を知られて攫われた者、何方が多いのかは分からない。] (51) 2021/10/02(Sat) 21:32:06 |
【人】 紅柱石 アンドレアス……うん。 [>>50青年が宝石人間(ジェム)だから、変わる事はない。 そうであって欲しいと願っていた。 実際にそう聞く事が出来ると安堵する。 不審がられるとすれば、今後だろう。 例えば数十年後。 彼が年齢を重ねて二人の見た目の年齢が開いた後、姿の変わらない青年の姿は異質なものとなる。] ……っ、ふふ。 あと少しで十年かい? [彼の大胆な言葉に笑ってしまう。 確かに一度帰ったら、十年以上は戻れなくなる。] でも、そうだな。 それだけ一緒にいられたらいいよね。 [そこまで一緒にいたら、戻りたくなくなってしまいそうだが。] (52) 2021/10/02(Sat) 21:32:22 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[懸念があるとすれば、成熟期を迎えた以降にはいつも故郷に戻ってきた事。 それ以降に戻らなければどうなるのか。 青年は知らない事だ。] ……故郷に戻るのはね、子を生む時期になったからなんだ。 人間とは少し違うから、お腹に子がいるわけではないんだけど。 故郷でないと子を生めないようで、必ず帰るように教わっている。 私の帰りが遅かったら、郷の者が迎えに来るかもしれない。 心配があるとしたら、そこかな。 [子を生んだら、十数年は戻ってこられない。 そうなるよりは、今、共にいる選択をしたいが。]* (53) 2021/10/02(Sat) 21:32:44 |
紅柱石 アンドレアスは、メモを貼った。 (a6) 2021/10/02(Sat) 21:33:32 |
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