102 【身内RP】泡沫に消えし夢の随に
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[ 音が、聞こえる。
いつかの、詠うようなものではない。
それでも、嗚呼この声は。
]
ユー、ラ、
[ どれだけの悪夢を振り払ったか、もう数など
とうに分からない。
じわじわと身体を蝕む黒い痣に虫唾が走り、
言うことを聞かない己が左手を付け根から切り落とし。
ジリジリと鳴る嫌な音の海の中、
絹糸よりも細いあの声に向かって
バランスの取りづらくなった身体をゆらりと起こす。 ]
最期くらい、逢いたい人に逢いたいと
願うくらい、バチはあたらねぇ、よな
**
| 一通り客の対応を終えて、店じまいをする。 パンパン、と手を鳴らして、よしと零した。
くるりと、踵を返して。 さて、遅くなったが祭りを楽しもうか。
屋台で食べ物を買って食べたり、飲んだりして チャイvilとか、ワインvilとかね。
そうしていれば、 テオの所属している劇団のテントが見えてきた。 そろそろ開演なのだろう。
テントの中へと飲み込まれていく人々は、 期待に満ち溢れた表情をしていた。 チケットを購入して、自分もまた天幕をくぐる。
隅の方の席に座れば、始まるのを待っていた。 (7) 2021/10/23(Sat) 18:58:47 |
| 暗闇の中に響く歌声。 >>2:L0 美しい声が紡ぐ民謡は、耳にしたことのある 馴染みのあるフレーズだった。 包み込まれるように優しい調べは、 物悲しく、錆sく、それでも愛のある物語。 (8) 2021/10/23(Sat) 18:58:49 |
| (9) 2021/10/23(Sat) 18:58:51 |
| どこかの友人のように、結婚を迫られることはない。 自由気ままな狩人の一族だ。
それでも、血を、技を、繋いでいくには、 いつか番を探さなければいかない。
だけど、結ばれるなら、 互いに想い合った相手だったらいいと思う。 そう、物語に耳を傾けながら、 小さくいつかの未来を想って、微笑んでいた。** (10) 2021/10/23(Sat) 18:58:54 |
[ こんなことなら、恐れずに
もっとはっきりと伝えるべきだったのに。
そう、思っても意識を保つのさえやっとで。
あいたかった、と言葉にしたら
その音が形になりはしないか、などと
じりじりと迫る悪夢を横目に
夢想をしていた時。
瞳に映ったのは夢幻か、それとも―――――。 ]
――――― また、あえた。
[ どちらだったとしても、
掠れた音で、喜びを声にするのです。
]*
[ たしかに、きこえる。
今度ははっきり、詠うような、あの声。
遠ざかりかけた意識を、繋いでくれる。
聞こえた言葉に、己の声と精一杯の笑みを重ねよう。 ]
─── ああ、ユーラ。
また、あえた。
[ 気を抜けば崩れ落ちそうな足を叱咤し、
肉片と血錆がこびりついた剣を情けなくも
杖がわりに地面に刺しては身体を支える。
視界は赤に染まっていて、愛しい姿が
どのように変わっているのかはわからない。
けれど目を閉じれば、ふわふわと風に舞う柔らかな髪と
希少な宝石よりも煌めく葡萄色の瞳が
変わらずありありと思い描けるのだから。 ]
そこの、綺麗な、お姉さん、
そんなとこに立ったまま、迷子ですか……
悪いオトコに、ナンパされますよ……
[ いつかの台詞をなぞって。
ふふ、と微笑って手を伸ばす。
夢なのか、現なのか
ぼんやりと虚なその境界線を探るように
指先が、その人の熱を求めた。
触れられるだろうか。
間に合ったのだろうか。 ]
急いで駆けつける、て言うたのに、
遅なって、ごめんなぁ。
**
[ 彼の声を聞き間違えるはずはなくて。
近寄りたくて、一歩踏み出せば
ぐらりと視界が歪んで、血を吐き。
身体が鉛のように重く感じます。
髪は血と土に汚れて。
足には痣も見える、
決して綺麗と言えない姿なのに。 ]
――――― あのとき みたい……
[
いつかの台詞すらもう、なぞれない。
それでも、手を伸ばされれば
ふらり、と倒れ込むように。
二人の影が、重なるのです。
あたたかさが、伝わってきます。 ]
おそく、ない……です。
すきなひと
に…… あえて
しあわせ……。
[ あの時に言ったことを証明するように
たどたどしく詠えば、少しは傷を癒せたでしょうか。
出血を止めるくらいは……
もう少し、歩けるくらいには……。
そう永くは生きてこなかったけれど。
こんな時に限ってわたくしは
感情のままに、心のうちを声にするのです。 ]**
| 公演を見終わった後。 テオに一声かけたりしてから、劇団の天幕を後にした。 陽が落ちてくれば、身体を包んでいた眠気と倦怠感は、 一切なくなり、動きは身軽になったことを確認すれば、 自分の店の場所へと戻り、後片付けをする。 「 ふんふん、荷物は全部、 飛空艇で送ってもらうとして、売り上げは〜 」 本日の売り上げは、上々。 重くなった袋を自分の手荷物に収めれば、 それを背負った。
昼間ではないのに、眩しそうに白亜の神殿を見上げる。 次に創造主の姿を見るとしたら、 故郷に視察に来たときかな。戦場でないことを祈ろう。 (32) 2021/10/24(Sun) 22:39:38 |
| 「 また会える日を、楽しみにしとるよ〜 」 くるり、と槍を回せば、それもまた背に背負い。 とん、と軽く大地を踏みしめて、軽く跳ねるように 夜の道を歩き始めた、 闇夜だって、迷わず歩めるように 夜道を照らす、焔を灯して、明日は何をしようかな。 なんて、当たり前の日常に戻っていくんだ。 年に一度、特別な日。 創世祭は終わってしまったけれど、 俺たちは、いつもの日常に戻っていくんだ。 それが一番、幸せなことだって、 今の俺は、ちゃんと理解はしていないのだけど。 (33) 2021/10/24(Sun) 22:39:40 |
( 嗚呼、ユーラ。 )
[ 伸ばした手にたしかな温もり。
いつかとは比べ物にならぬほど辿々しい詠。
いつかとは比べ物にならぬほど気持ちの込められた詠。
すう、と視界が晴れた。 ]
─── ユーラ、
[ 間違いなく彼女のおかげ。
その詠で確かに癒された赤の双眸が、
彼女に残された時間がそう多くはないことを
映した。
]
[ 片方だけになった腕でそっと引き寄せれば、
その身を抱きしめることが出来ただろうか。 ]
運命、やもんな?
[ 背を、髪を、頬を、撫でようと手を動かす。
ギリギリのところでさえ、人を気遣って詠う
強く愛しい温もりを。
エルフェリール様のところまで、間に合うか。
彼女が救われるのなら、
生きてくれるのなら、
それが例え彼女の願いだとしても
己の命などどうでもいいと、心から思った。 ]
ユーラ、ユーラ。
聞こえるか、わかるか……?
いい子やから、聞いてくれるか、
創造主様のとこまで、がんばれるか───?
[ 囁いて、答えを待って。 ]
……独りで生きる人生は味気ないもの。
おれ、は、ふたりがいい、けど、な。
─── ほんま、ごめんなぁ、
[ 届くかどうかはわからないけれど。
大切なことは、はっきりと、言葉に乗せた。
それだけで、もう、充分
俺は幸せだと思った。
あとは、彼女が。
ジリジリと鳴り響く、嫌な音に
全て飲み込まれてしまう前に、
最期に願うことは、
愛しい人の幸せでしかなかった。 ]
**
[ 意識が時々飛びそうな、
限界に近い状態でも、気持ちが乗った詠は
確かに効力を発揮したみたいです。
癒せたことを辛うじて確認は出来ましたから
よかった……
と小さく呟きました。 ]
[ 抱きしめられて、彼のぬくもりを感じて
あぁ、優しいな、こんな時まで、
と思うのです。
運命、と聞いてもただ黙ってうなずいて。
もう十分です。
さいごに会えたから。
もう、後悔も何もなくて。
わたくしのことなど打ち捨てて
このままあなただけでも逃げて欲しいと
彼の気遣いを無碍にするようなことだけが
頭の中をめぐっていました。 ]
―――――……。
……ごめんな さい、 もう、……
[ がんばれない、と口にした後。 ]
いきて、おねがい……。
わたくしは……、
もう、いいから
[ 考えていることが同じだと分かってしまっても
わたくしは譲りたくありませんでした。
連れて行ってもらうまでに
二人倒れることになる可能性だって
確かにあって、それを思えば
もう動けない自分よりも…と思うのは。
我儘、でしょうか。 ]
[ 魔族のあなたには耐性が人よりあって。
こんなちからに左右されなかったとしても。
大切な人に想いと願いを伝えられたから。
それだけで満足でした。
意識をどうにか保とうとしつつ
身動きできないわたくしは
あなたの決断に、
身を委ねるしか出来ません。 ]**
| ― 友の恋路をささやかに ― 「 まいどー そーなんよー美味しいよ〜 」 友と大人しい娘の会話を >>36 すべて聞いていたわけではないが、 にんまりと、微笑めば、ひょいひょい、くるりと あっと言うまに、ステーキをもう一皿用意した。 ラクの言葉通りに、三等分したものを、 さらに切り分けて、サイコロ状にしておいたのは、 友の恋路をささやかに応援するためさ。 命短し 恋 せよ乙女。 そんな歌を歌っていた歌王を知っている。 短い生の種族の者たちが、恋をして、愛し合って、 その短い時間を懸命に生きる様は、美しいと思う。 魔族と歌王、生きる時間は違うけれど、 俺たちの3分の一の時間しかないとしても、 きっと、愛する人との時間は一生の宝だと思うから。 (44) 2021/10/25(Mon) 19:06:14 |
| 「 別嬪さん、 口にあったら贔屓にしてやってな〜 」 >>42律儀に礼をしてくれる別嬪さんに、 にっこりへらり、と微笑めば、ひらひらと手を振って。 美味しいと聞こえる音には、嬉しそうに笑っていた。 それ以上、二人の会話を邪魔することはなく。 次の客の相手をしていただろう。* (45) 2021/10/25(Mon) 19:06:19 |
私の、
愛
しい……――ストル、
どうか……生きて、繋いで……いって、くれ
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