124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
――冬至と――
そうそう。
柔肌に映える真っ赤な紐でねぇ。
ずいぶんと大人になったものでしょう、私も。
[言葉遊びのように拾われる会話のフレーズを、否定も訂正もしないから酷いことになる。
が、そんな会話を楽しんでいるのも事実。
まったくきのこのソテーの話がどうしてこうなるのだか。]
年単位で先のことをすぐだなんて言うの、歳がバレますよ。
なんて。私は冬至に会えない時間は、いつでも一日千秋の思いですけど。
[冬至は過ぎたばかりだし、来年の冬至が会合に当たるとは限らない。
お互い歳は取りたくないものだね。]
いつでも来てよ。
私や麦がいる保証はできないけど、来るとわかってれば時間は作るし。
[慈雨のほうなら自由に出入りしてくれて構わないし、小満領の扉は、流石に只人は然程入れずとも、灯守りや蛍には、割合気軽に開かれているほうだ。
食事に来たいというなら、拒んだことはほぼないだろう。
小満手ずから振る舞うかは、その時々だけれども*]
| [そろそろ時間となれば、誰かに言われる前に自分の座る場所へと向かうでしょう。真面目な性格なので。 隣に大雪の君本人が座ったのなら、珍しいと驚いた顔をするかしら。 世界情勢の話には耳を傾け、小雪域の報告などを求められるなら答えましょう。 と言っても、今回は小雪域内の情勢も行き来した魂の数も例年通り。 特段何かを報告くることもなく。 ……真反対の席で欠伸を噛み殺すのを見るのも、いつも通り >>21。 せめてフリだけはしなさいよ。フリだけは。 何年経っても同じことを思ってるのも、いつもと同じ。 代わりに報告する蛍には、まだ先代だった頃の自分が重なって、何となく親近感を感じていたり。 誰かが困っていたらフォローするのも、いつも通りだったかもしれないわ。] (28) 2022/01/19(Wed) 6:49:24 |
| [会合が終わって、パーティーに移行するようならば、 仕事のことは一度忘れて、楽しむことにしましょうか。
餃子foodが並んでるのを尻目に、 まずは喉が渇いたから、温かい紅茶でも頼もうかしらね。**] (29) 2022/01/19(Wed) 6:51:48 |
| (a8) 2022/01/19(Wed) 6:54:23 |
| [1人紅茶を頼んでいたら、声を掛けられたかしら >>32。] あら、お疲れ様、雨水の君。 [そういえば挨拶していなかったわね。 人数が多いから、時間までに挨拶終わらないのよね。 甘めのミルクティーを頼むのを、可愛らしいと微笑んで。 こういう子が一番可愛いと思うのよ。 並ぶ餃子に関しては、ごめんなさいね。 流石に口臭が気になるので近くにあった さんぺい汁foodを取りましょう。] (37) 2022/01/19(Wed) 13:03:09 |
| [この季節にはあっているけどチョイスが渋いわね。] 先の雨水の君は息災かしら? [若い姿でいなかった彼の君は、とても印象的だった。 若い姿の方が色々と都合がいいでしょうに。 何故よりによって? と変わり者の印象で。 長年勤めていた彼の訃報は、まだ聞いていないからいるはず。 そんな気持ちで尋ねてみた。*] (38) 2022/01/19(Wed) 13:04:44 |
| (a10) 2022/01/19(Wed) 13:08:05 |
[あの時きっと、わたしはまた”捨てられる”ことが怖かったのだろうと思う
可愛く、綺麗に、欲しいと思わせる様な顔をしなければ
お人形に価値はないのだから
だから、ほんの一瞬動揺を滲ませたことも
浮かべた笑顔が歪だったことも
わたしは、知らなかった]
| ーー回想:大雪と >>56ーー [流石にぬいぐるみ越しで、安堵の雰囲気がわかるほど万能ではなかった。] 代々小雪を継いでいる家だから、どうしてもね。 生まれた時から決まっていたから。 遊ぶ時間なんてなかったわ。 [同年代の子が遊んでいるのを見ると、羨ましかった。 同時にその輪に入りたくなかった。 次期小雪だからと、遠慮されるのは息が詰まった。 誰も“眞澄”を見なかった。 次々と挙げられる人形の数には感心したでしょう。] (77) 2022/01/19(Wed) 19:26:44 |
| 随分と沢山あるのね。 それだけあると、人形の中で泳げそう。 [ちょっと見てみたい。 そう思っていたのが透けたのかしら >>57。 遊びに、という言葉にはすぐに反応して] 行っていいの? [能力のことを知っていても知らなくても、純粋な好奇心を出してみて。 それでも言い淀むようなら、眉尻を下げて言いましょうか。*] いつか、そちらの都合がよかったら。 見せてほしいわ。 (78) 2022/01/19(Wed) 19:27:05 |
― ぼくのおはなし ―
[ぼくは雨水の領域に生まれたごく一般的な家庭の子だった。勉強は出来る方だったけれど神童という程でもなく。ちょっと大人しいけれどそれも普通の範疇。
ただ一つ、融解という能力以外は────
ぼくはそれがなんだか幼いころはわからなかった。
ただ、雪が寒いなって思った時ちょっとだけ溶かしたり。こっそりと。子どもの出来る範囲なんてたかがしれていたからその当時は発覚せず。
ぼくの血縁上のお父さんはぼくが産まれる前に病気で亡くなったと聞いている。正直生まれる前の話だからぴんとこない。お父さんがいなくても、お母さんはおばあちゃんやおじいちゃんと一緒にぼくを一生懸命育ててくれた。
ぼくもそんなお母さんを助けようと幼くてもお手伝いとか頑張っていた。]
[その能力は、不運と共にお母さんに発覚した。
その建物が工事中で。運悪く木材の一部が落ちてしまったんだ。
お母さんはぼくを守ろうととっさに抱きしめた。
ぼくはお母さんを守ろうと─────
その力を、
使った。
]
[溶けた木材。それだけじゃなく、親子二人の周りも地面すらも溶けていた。怪我一つなかった親子。流石に騒ぎになりかけた。
でもその親子が何処の誰か、等々は公には発覚しなかった。お母さんが、ぼくを抱きしめて即逃げたから。
お母さんはぼくに帰るなりつめよった。
何かした?
と
今にして思えば、知らないと言えばよかったのかな
ぼくは素直に話した。融解の能力を。
不思議な子は認知はされているけれど、人と違う。それにお母さんはひきつった顔をした。
お母さんはぼくを守る。それだけを支えに必死になっていて限界だったみたいだ。
その子が普通と違う。あんな、強く、下手をしたら人を巻き込んだ力がある。それを受け止める余裕なんてなかった。
ぼくの能力は下手をしたら、誰かを傷つける可能性がある。お母さんはそんな事が起きたら耐えられない。そう思った。
子どものぼくは、お母さんが怖がっているのが怖かった。今まで愛してくれていたのに、能力一つで恐ろしい物を、異物を見る目になったのが受け止められなかった。]
[ぼくがいくら感情に乏しい方でも、お母さんの拒絶は耐えれなかった。だから、
引きこもるようなった。
お母さんは、ぼくを見なくなった。抱きしめなくなった。ぼくは、どうしていいかわらかないまま、おとなしく日々を過ごした。
おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってからはそれに拍車をかけた。
本来人と触れ合ったり、心を育てる時間をぼくは独りで、ずっと過ごした──── ]**
| ーー現在:雨水とーー [ 乙女心は複雑だからね。 思春期に少年から大人に変わるのなら、そのぐらいの大きさにれば変わるはずよ。たぶんきっと。 ちなみに私は変わったわ。 口にした三平汁。 魚の旨味が汁に溶け出しており、塩で優しくまとめ上げている味に、満足そうに微笑みましょうか。 味を尋ねられたなら、美味しいと答えておきましょう。 チーズが切れずに慌てる様子にはくすくす笑って。 やはり可愛いと思うのよ。] (89) 2022/01/19(Wed) 20:20:28 |
| あら、一緒に住んでいるのだったかしら? >>75 賑やかでいいわね。 [最後に誰かと一緒に住んだのは、先代がまだいた頃。 仕事を覚え始め、そばで職務を覚えるように言われていた時が最後。 その後、蛍を1人も迎えていないから。 賑やかさが少し、羨ましい。 ] あら。じゃあ思い出話をするために伺おうかしら。 [残念ながら仕事を肩代わりする相手がいないので、 長くても1日だけになってしまいそうだけど。 1日だと観光できずに話して終わりそうよね。 綺麗な滝とか >>0:141、見てみたいのだけれど。 初めの理由はそれだけでも、数を重ねれば立派な縁となるでしょう。 ] (90) 2022/01/19(Wed) 20:21:28 |
| 辿々しいのは、まあ仕方がないとして。 資料探しはーーもう少し自分の資料を読んでおきましょうか。 とはいえ、貴方の参加回数であれだけできれば上出来よ。 [辿々しいのはまだ慣れていないから。 資料を探すなんてことは、慣れていてもたまにやる事だ。 ーーといっても、私はあまりやらないのだが。 自分一人で作って、推敲して、を繰り返していると、大体どこに何があるか覚えるのよね……。 回数重ねると段々どこを聞かれるか、なんとなくわかるようになるから。 そこも含むと後は経験を積みなさい、としか言えないかしらね。] しっかり人の声を聞いているのはわかったわ。 先の君と同じで、良い灯守りになるでしょうね。 [望む回答になったかしらね。 >>76*] (91) 2022/01/19(Wed) 20:21:42 |
ーー先代の記録ーー
「いや、どうしろと。」
[僕が小雪となった年、1人の赤ん坊が生まれた。
銀髪の子だったから、次期小雪とするため育てろと。
それが代々続けてきたこと。それも小雪の責務だと。
まずは顔合わせという形で今日、篠花家へと来たわけだ。
それはいい。そこまではいい。
だが何故今、己は赤子と二人切りにさせられてるのか。]
「せめて乳母か誰か置いてってよ。
どうすんの、このちっこい小雪。
流石に赤ん坊の世話の仕方なんか知らないよ?」
[適当にやっててもできてしまう己だが、今回ばかりは難しい。
勉強だ何だで潰れた子供時代。年下どころか同年代とすら遊んだことがないのだ。
さっき“母親”から抱っこしてあげてほしいと言われて抱いてみたが。
結果は言わずともわかるだろう。
泣かれた。
それはもう、盛大に泣かれた。
抱き方が悪いとか指導が入ったが、よくわからん。
おまけにふにゃふにゃしていて、力加減間違えたら潰してしまいそうだ。
何だこのわけわからん弱い生き物は。]
「いいよねぇ、君は寝てれば良いんだから。
こっちの気も知らず、気持ちよさそうに寝ちゃってさぁ……。」
[揺り籠の上で、こちらの気も知らずに眠る赤子の手をつんつん。
ちょっとした八つ当たりだったのに。
きゅ…、と握られた。]
「…………。
……僕がここにいるの、わかるの。」
[そんなこと聞いても、答えなんか帰ってくるわけないんだけど。
まあそれでも、容易に振り解けるほど小さな力は、
なかなか振り払うことができなくて。
必死に僕個人を求める人なんていなかったから斬新で。]
「……まあ、いっか。」
[可愛いとか思ってはいないけど。
このつまらない世界を変える力があるとは思えないけど。]
「期待してるよ、眞澄。」
[未来に期待するぐらいならいいかと思った。]
[尚、この後突きすぎてまた泣かれた訳だが。
先の指導を思い出して抱っこしてみるも泣き止む気配は一向になく。
結局乳母がやってきて、あやすのを眺めるだけとなっていた。]
「ねえええ! 赤ん坊ってどうすればいいの!?
ホントわからないんだけど!?」
[後日、当時の灯守りたちに誰彼構わず尋ねる、
大声で泣き言を言う小雪の、世にも珍しい姿を見られたかもしれない。*]
─ 回想 ─
[お姉ちゃんが私を初めて抱き上げてあやしてくれた日の事を、
当時まだ赤ちゃんだった私は残念ながら全く憶えていない。
後からママに聴いた話によれば、
ほんのちょっとママが傍から離れただけで
この世の終わりのごとく泣き喚いていた私は
お姉ちゃんに抱かれた瞬間
驚くほどぴたりと泣き止んだらしい。
ママがお昼ごはんを持って戻ってくるころには
お姉ちゃんの腕の中でそれはもう機嫌よく笑っていて、
小さな手からは想像も付かない信じられないような力で
お姉ちゃんの服をがっちりと握り締めて
なかなか離そうとしなかったそうだ。]
ねえね、ねえね。
だっこ。だっこすゆの!
[そう言いながらお姉ちゃんに駆け寄って
よだれまみれの手でお姉ちゃんの服を引っ張っては、
両足に纏わりついて抱っこをせがんでいたのは
おぼろげに憶えている。]
ねえね、ねえね。あしょぼ!!
まちゅりがおりょーりすゆから、
ねえねはたびるひとね。
まっててね。んしょ、んしょ……
……できたあ!
おまたせしました、ほんじつのめにゅー
わふーはんばーぐとさらだです!
[握り締めて固め(きれていなかっ)た
泥100%の"ハンバーグ"に
庭で搔き集めた草と花と木の実の"サラダ"を
蓮の葉の上に乗せて、
いちばん好きなごはんの再現を試みたり]
ねえね、ねえね。
きょうはね、おにんぎょであしょぼ!
まちゅりがままでねえねがぱぱね。
ねこちゃとわんちゃがこどもだよ。
おかえりなしゃい、ぱぱ。
おふろにすゆ? ごはんにすゆ?
それとも、ねんねすゆ?
[──なんておままごともしたっけ。
眠る前に絵本の読み聞かせを強請ったりもしたな。
差し出すお気に入りの絵本は何冊かあった。
子ウサギが野原でいろんな春を探す絵本や
お料理上手なきつねがおいしいごはんを作る絵本。
その中でも一番のお気に入りだった
街を見守る幸福な王子様とつばめの物語はきっと、
今の私に多大なる影響を与えている。]*
わたしのせかいは暗闇と雪の世界です。
静かにねむる、淡いひかりのやみのなか。
永らくお役目についている灯守り様なら
ご存じでしょうか?
前任の大寒も、わたしのように暗闇のような髪をもつ
そんな方でした。
閉ざされた雪の世界で、『大寒』は、
一つの家系により受け継がれてきました。
大寒域の者の髪は雪のような白です。
けれどわたしの家――御明家には、稀に
暗い闇色のような髪の者が産まれてきます。
それが、次期大寒を受け継ぐあかし。
わたしは産まれながらに、大寒となるさだめでした。
先代様の弟子となり、
わたしは、――大寒域のためになろうと
先代様に沢山のことを教わって、立派な―――
―― 先代様は、本当に永き日々の大寒域を
見守ってくださいました。
永くて、とても長くて。
身体を苦しめる魂の在り方も、わたしがうまれるまで
先代様は耐えるしかありませんでした。
だからわたしのことを、とても愛してくださいました。
おなじくらい、憎しみもくださいました。
人と戻られたその時に
先代様は自ら、わたしのまえで―――
| ーー回想:号と蛍と灯守りとーー
ふざっけんじゃないよあのバカ兄様!!
[バンッ!と机を叩く音が響く。 兄が私に号を押しつけて出ていった後、一番最初に命じたことは兄の捜索だった。 ありとあらゆる伝を、当時の風見家も使って小雪域内を探させた。
ついでに各灯守りにも、兄を見付けたら捕縛して連絡してほしい旨を手紙に認めて送っていたが、連絡は来たかどうか。
少なくとも、小雪域内には兄の影も形もなく。 そんな報告に、つまり私は荒れていたのだ。] (133) 2022/01/20(Thu) 1:00:51 |
| [親族では直系長子である私が小雪であるべき、という声の方が大きかった。らしい。
あくまで“らしい”だ。 その頃の私は兄から押し付けられた仕事を片付けるので手一杯で、あまり実家に帰ることはなかった。 あったとしても新年の挨拶とか、そういう行事ごと。 そばには必ず兄がいたから、二人揃っているときにそういう話をする愚か者もいなかった。 実際のところどうだったのか、私の耳には入らなかった。
けれど、私はそんなの関係なかった。 仕事はしないが、兄の方が優秀なのだ。 優秀な方が統治すれば、統治域は豊かになるのだから。 兄が小雪を続けていけばいい。 私はそばで補佐として。蛍としていられればいいと思っていた。 私はそれで幸せだったの。] (134) 2022/01/20(Thu) 1:01:29 |
| 何が「旅に出るから後よろしく」なの! サボるのも大概にしてよ! [残されていた手紙 >>0:18を床に叩きつけながら、誰もいない部屋で叫ぶ。 サボってる訳ではないのはわかってる。 ただサボってるなら、号なんて譲らない。 そんなことはわかっている。でもそれが認められなくて。 “ 一人にしないで 行かないで ” だからサボってると言い聞かせて、声を荒らげて。 何とか心の均衡を保たせていた。 ] (135) 2022/01/20(Thu) 1:01:50 |
| [しかし、一度誰かの前に立てば 隠し切れているかどうかは兎も角として 、何事も無かったかのように。 「非常に困った兄です」と、困ったり怒ったりした素振りは見せても、叫ぶことはしなかった。 職務を全うする、統治者であろうとした。きっちりと公私を分けたのだ。 もしかしたら、気遣う声をかけられたかもしれないが、それにも大丈夫と答えるだけだった。 兄に甘えることより、兄のストッパーでいる方が多かった。 怒る回数は兄ではなく、私の方が多かった。
いなくなってから初めて甘えていたことに気付いた。 他人への甘え方がわからない。 篠花家からも風見家からも、蛍を迎えるように言われたが、仕事を教える暇がないからと断った。 今、蛍を迎えたら。その人に酷い八つ当たりをしそうで怖かった。 幸い、一人で回せられたから。回せてしまったから。 止むに止まれず迎えよう、という考えにもならなかった。 そうして短くない年月が流れた。] (136) 2022/01/20(Thu) 1:02:20 |
| [出会いと別れは繰り返していく。 甘え方がわからないから、引き止め方も知らない。 後輩がどんどん増えていく。 先輩として弱いところは見せられないとまた隠す。 だから、先の霜降の時も引き止められなかった >>0:363。 “ 一人にしないで 行かないで ” まるで枯葉が積もるように、本心を埋めて隠して見えなくして。 そして、いつしか“忘れる”ことにした。] (137) 2022/01/20(Thu) 1:02:47 |
| [ようやっと蛍を迎えようという気になったのは、 こちらの余裕が生まれたからということが大きい。 仕事も、心も。 爽やかな風のような子は、 そばに置いておけばもしかしたら、何かを攫ってくれるような気がした。 最初から身体の弱い兄ではなく妹と決まっていたかもしれないが、私は胡乃羽がいいと思っていた。 これでもね、一緒に仕事するのを楽しみにしていたの。 それなのにね。] (138) 2022/01/20(Thu) 1:03:05 |
| [何がいけなかったのかしら。 枯葉を払うはずの北風は、吹き抜け、遠くへ去ってしまった。 止めようとは思わなかった。 風を止めることなんか、誰にもできやしないから。 “ ” 枯葉は未だ、積もったまま。*] (139) 2022/01/20(Thu) 1:03:18 |
―― 先代処暑 ――
[ 私が生まれた頃の処暑域は、私から見れば先々代の処暑様が治めていた。
先々代の処暑様は人々との交流が近く深いという訳ではないものの、統治者として申し分のない方で、処暑域は穏やかで安定した統治域であった。
その先々代処暑様は数十年灯守りを務めていたが、今から60年程前に、人間の寿命の範囲で灯守りを引退することを選んだ。
そして――後継として指名されたのが、先代の彼だった。
先々代の処暑様の統治は何も問題のないものだったけれど、その事だけは、先々代処暑様の“失策”であったと思う。
]
[ 先代の彼は、先々代処暑様の蛍だった訳でも、弟子だった訳でもなく、
只の年若い、処暑域の行政職員だった。
処暑様の下で働いているのだから、処暑様と面識もあり、やりとりを交わす事も多かったようだが、
それにしても、本人も、周りも、住民も、突然の指名に驚いていた。
しかし先々代処暑様はこう言った決定を譲らない人であったし、灯守りの言う事に異議を唱えられる人は居ない。
処暑域は少々慌ただしくなったものの、中央に迷惑は掛ける事もなく、やがて滞りなく灯守りの引き継ぎは成された。
先代の彼が良き灯守りであった事は前述の通り。
先々代様と統治の形は違ったが、人に寄り添う灯守りとして、住民に慕われていた。
……上に立つ者として、優しすぎるぐらいであったと思う程に。
]
[ しかし――それを良く思わなかった人間が居た。
先々代処暑様の“蛍”達である。
自分達が後継であると思っていた所に、灯守りが別の人間を指名し、
更にその人間が灯守りとして慕われている。
彼らはそれを
妬
み、
憎
んだ。
更に先代の彼は先々代の蛍を自分の蛍とはせず、最初は蛍を置いていなかった。
彼らは今までの立場を失う事となったのも、彼らの黒い思いに拍車を掛けたのかもしれない。 ]
[ さて、数年のうちに先々代は亡くなり、
しかし先代処暑はその地位を確固たるものとしていた。
そんなある日、先々代の蛍だった人間の一人が、彼の領域を訪ねてきた。
彼は元蛍彼らに対し悪い感情は持っていなかったし、むしろ当初は、自分が灯守りとなったことに申し訳なさを感じていたようだ。
蛍のひとりであった彼も……その時は友好的に、それから彼が処暑を継ぐ時に心無い言葉を浴びせてしまった事を謝りたいと、そう言っていたらしい。
……彼は、その言葉を疑うことなく受け入れた。
それ程お人好し、だった。
]
[ しかし蛍であった彼が訪ねてきたのは、詫びなどではなく、とある計画のためであった。
――自分達の立場を奪った、処暑の灯守りへの
復讐
である。
……領域に職員が駆けつけた時に見たのは、既に事切れた“処暑様”の姿であった。
死因は食事に仕込まれた毒。
物理的な傷では直ぐ癒えると思ったのか、もしくは反撃されると思ったのか。彼らは彼を騙し、内部から攻撃することを選んでいた。
当然処暑域は大混乱となったし、周りは騒動を収めるために奔走した。
犯人は捕らえられたものの、それで処暑の灯守りたる彼が戻る訳でもない。
職員も、住民も、皆、彼の死を悲しんでいた。 ]
[ 彼が先々代の蛍に殺された、という事は、会合等で大っぴらにされる事はなかったものの、
秘されてはいない事であったから、当時の灯守りや蛍は知っていることであろう。 ]
[ さて、加えて、起こっていた“
非常事態”がある。
処暑の灯守りの『証』が、彼が死ぬ前に受け渡されていた事だ。
――職員が駆けつけた事切れた彼の隣に居た、彼に似た“私”に。
* ]
「 “ ” 」
[ 私の名を呼ぶ彼の声が蘇る。
他の人に名を呼ばれなければ、彼のその声が永遠になるのではないかと、
そんな根拠のない、滑稽な事を考える。
でもそれを信じて、縋って、私は名を伏せている。 ]
[ 先代処暑と親しかった者なら知っているかもしれない。
彼が照れくさそうに話す“ ”の存在を。** ]
─龍池紫明と小雪の兄妹─
「眞澄のような可愛くて良い子の傍で、か。
お兄様が直々に言ってくれるとは。
篠花紫明……字面も良い。悪くない提案だ。
だ が 。
俺が菴のことを「
お義兄様
」と呼ぶことになるのが問題だ。
もう一つ。
お前が去るならば、その提案は飲めないな。
中央域の連中のストレスが減るのは喜ばしいことだが、
その分俺や眞澄が苦労することになるだろう。」
[ 先代小雪である菴と紫明は、冗談を普通に交わす
気心の知れた仲だった。
勿論冗談だとはわかっていたが
言われずとも彼に何かがあった時は
代わりに眞澄の面倒を見る気概は当然備えていた。
]
「お褒めの言葉どうも。
君からそう言われたいと願う者は
山ほど存在するだろうのに。
これも無欲の勝利というものかな。
だが、その言葉を聞いたら……と。」
[ 言葉尻が芝居がかかって聞こえるのは、
隣に君の兄が居たからだが
彼の表情が見えて、言葉が止まった。
──本気でショックを受けている顔だ、と。
だが、頼られて悪い気はしないのは事実。
灯守りとして初めての任務の時も、
右から左まで徹底的にレクチャーした。
彼女が初めての会合に出席した時は、
見守る立場とはいえ、ほぼ心配はしていなかったのだ。
──眞澄なら大丈夫だろう、と。]
[ 兄から妹への別れの手紙を見せて貰った時。
普段見せることのない感情的な様子に、
何も言えずただ黙って聞いていた。
全てをぶち撒け、落ち着き始めた頃に漸く口を開き]
「大丈夫、あいつのことだ。
『 眞澄に会えなくて寂しくて死んでしまう〜! 』
とか言って、また戻ってくるさ。」
[ 気休めだけを吐いて微笑む。
その後、彼女の気が済むまで、とことん付き合う気でいた。
飲み明かしたか、話は続いたか、何処かに外出したか。
それとも一人になりたい、と申し出があったか。
後者ならば、意思を尊重し帰ることにした。
「寂しければいつでも話は聞くから」と言い残して。]
[ 灯守りを引退すると告げた時
彼女は、止めることはしなかった。
だが、一瞬口を噤んだ様子が見えて。
紫明の意思を尊重する言葉を聞けたが
祝福、背を押してくれるような感覚は感じられなかった。
思い過ごし────では無いのだろう。
今思えば、眞澄は菴と紫明。
二人の近しい灯守りに、似たような形で
急に去られていたのだから。
]
「眞澄。
君には本当に長い間、世話になった。
君と、菴と過ごした日々は、楽しかった。
……済まない。菴との約束を守れなくて。
君も、自分が幸せになることを、
自分のことを一番に考えても、罰は当たらないと思う。
……葵を頼む。」
『 君は強く立派になったから。
俺の助けはもう必要ないだろう。 』
[
そのような残酷な言葉は飲み込んで。
あの時、姿を消した友のことを怨んだりもした。
だが、まさか自分が似た道を歩むことになるなんて。
同じようなことをして、苦しめることをするなんて。 ]
( ──人を幸せにするのは、難しいな。 )
[ 斯く男は女の前を去った。
理由は、半分程度真実を伝えている
。
何故このタイミングだったのか。
──数年前から決めていたこと。
別れを惜しむ悲しい時間は、少ない方が良い。
それだけの理由で、伝えるのが直前になっただけのこと。]
( ああ、でも。
自ら去ることを決めたというのに
もうこの気の強い友の妹と会い、
話が出来なくなるのは、少し惜しいが。)
……大丈夫。きっとどこかで会えるから。
( これは今生の別れでは無い。
だから「さよなら」とは言っていないんだ。 ) *
| ーー現在:雨水の君と >>94ーー [大丈夫、個人差あるから。 私だって変わったのだから変われるはずよ。きっとたぶん。] 確かに、賑やかな方だったものね。 楽しそうでいいわね。 [かつて先代の蛍だった頃は2人で暮らしていたこともあったけど、楽しかったというより苦労した記憶。 忘れただけ。 蛍のことに関しては、ブーメランが刺さるので口にはしない。 ] (149) 2022/01/20(Thu) 2:01:30 |
| あら、じゃあ冬が終わる前に行かなければね。 楽しみにしているわ。 [具体的に期間を決めて、スケジュールを組んでみましょうか >>95。 期間中に1日開けられるといいけれど。 こういう時、真面目だと苦労するわよね。 思ったことを口にすれば、素直に受け止めてくれるみたいで >>96。] 貴方なら早く一人前になれるかもね。 [嫌なことには耳を塞ぎたくなるものだから。 ちゃんと聞く気があるのならば、きっと成長は早いでしょう。 見てわかるほどに喜ぶ子を、更に煽てる気はないけれど、思ったことを口にして。 尊敬の眼差しは、そのまま受け止めましょう。] (150) 2022/01/20(Thu) 2:01:55 |
| 確かに、まだ挨拶終わってない人がいるのよね。 お言葉に甘えさせてもらおうかしら。 [下げられる頭には会釈を返して >>97、去ろうとしたところで足を止めた。] ああ。そういえばさっき、小満の君と話していたのだけれど。 会合が終わったら食材持ち込みで集まろうって話をしていてね。 飲み会と銘打ってはいるのだけれど、来る? ちなみに調理担当は小満の君。 [ついでに宴会 (もはや二次会) のお誘いをしてみるけれど、どうだったかしら。 来ると言うならジュースを見繕うかなとは思っているが。 “聞く側”第一人者? ストッパー? >>66 むしろどんどん燃料追加しているけれど? 返事はすぐじゃなくていいから。 まあ、考えておいて。と告げてそのまま分かれたかしら。**] (151) 2022/01/20(Thu) 2:02:11 |
| ーー回想:冬至の雪兎と >>126ーー いいえ、姿が見えていなかったもので。 少し驚いてしまっただけです。 [事実である。 雪兎が喋るから驚いた、という段階はとうに過ぎている。 ちなみに本人がいることに驚くのも過ぎている。 しかし中央域に風呂場を作った 原因 メンバーが先代と小満の君と冬至の君の3人だったと聞けば、目を点にするだろう。 何に驚いているかと聞かれると困るのだが。 ちなみに敬語は年上に対しての敬意の表れである。 決して他人行儀なわけではない。 小満の君? 何故か敬語を使う気がしない。 たぶん妹分として扱われているからだ。] (156) 2022/01/20(Thu) 2:44:16 |
| そんなに褒められても何も出ませんよ。 精々、宴会のときに私が漬けた柚子酒が出るぐらい。 [出るんじゃないかというツッコミは受け付けていない。 新作のワインを解禁する日、新嘗祭。 酒に絡む行事が多いからだろうか。 小雪域には各所に酒蔵やワイナリー等があるわけだが。 もしかしたら小満の店に卸しているワイナリーがあるかもだけど、今回味見で渡したのはそことは別ね。 最近自立したばかりのところだし。 ただの気晴らしで漬けたものより、おそらくそちらで買って飲んだ方が美味しいはず。 ただ、プレミアだけは付いている。 ……え? 統治する灯守りは飲めないのかって? 味見で渡されるだけで充分よ。 肴がわからないのが不自然? 味見に肴なんて出ないわよ。] (157) 2022/01/20(Thu) 2:44:43 |
|
雪見温泉……
[行きたい、というのは辛うじて飲み込んだ。]
食材は私も悩んでいます。 きのこと柑橘類以外どうしようと悩んでいるところです。 秋口に採れたものはまだありますが。
[冬至に比べれば短いが、全体的に見れば冬が長い方だ。 最悪、飲み物や加工肉で許してくれないかしら。とか本気で考えている。]
せめて海があれば、タラバ蟹や伊勢海老が採れるかもしれないのですが……。 海のある領域ってどこでしたっけ?
[年長の知見に頼ってみるが、果たして。
それから何か話したかしら。 一通り区切りがついたら会釈して、その場を去りましょう。*]
(158) 2022/01/20(Thu) 2:45:35 |
| (a29) 2022/01/20(Thu) 2:56:20 |
| ーー現在:少し前ーー [考える間のない返事に、誘ってよかったと思った >>167。 ところでこれ、開催地は私のところでいいのかしら。 ] 私だって持ってきていないわよ。 それに開催日だってみていだし。 結構なそれなりの人数になりそうだから、 後で諸々通達になるのではないかしら。 [人数確定したら連絡ほしいと言っているから、今なくても問題ない。] 葡萄ジュースで美味しそうなの、見つけておくわ。 [楽しそうな様子にはそう答えておきましょう。 それだけ伝えれば、また後でね。と次へ。*] (181) 2022/01/20(Thu) 18:47:07 |
| [葡萄ジュースを探しておくのをタスクの中に入れ。 一先ず選ぶのは後でいいでしょう。 今は交流することにしましょう。 ーーとはいえ、何も食べないのは味気ないから、 おはぎ >>82でも食べていましょうか。*] (186) 2022/01/20(Thu) 19:11:36 |
| [隅にいる花を見つけたのなら、そちらの方へ行ってみようかしらね >>180。] ごきげんよう、白露の君。 空っぽのお皿を持ってどうしたの? [声をかけてみるけれど、まだそこにいたかしらね。*] (187) 2022/01/20(Thu) 19:16:38 |
― ぼくのおはなし2 ―
[先代の雨水に出会ったのは引きこもってから何年かした頃。
ある日突然、彼はやってきた。]
「やっと見つけた。手間かかったな。悪かったな遅くなって。
お前は今日から俺の後継者だ。
大丈夫、悪いようにしないからついてこい」
[
流石に混乱した。
でもお母さんが雨水様、と呼んで灯守りという存在くらいは知っていたぼくは目を丸くした。]
こうけいしゃ……?
どうしてぼくが?
[首を傾げた質問に彼はにっと笑って返した。]
「俺もそろそろ引退時でな。
なんでも溶かす能力者がいたって噂を探したんだよ。
雨水の季節にぴったりじゃないか」
[ほれ、と手を差し出された。]
[─────唐突過ぎてよくわからなかった。
でも、この手を取れば一人で引きこもっているこの状況を変える事が出来るんじゃないかって。それだけはわかったから。
ぼくは、その手をとった。
[そこからはなかば強引に、ぼくは彼に引き取られた。
お母さんが納得していたかは知らない。半ば拉致じみていたとかそういう話も広まったらしいし中央の人の頭痛のタネになった可能性は今にして思えば高い。
蛍もいない彼の後継者候補が見つかったのは、悪い事じゃなかったんだろうけどさ。それでもね。
……それから数年。ぼくは言われるがままにお仕事やお勉強を教わって。しっかり一人で仕事を回せるよう教育を受けた。その当時の日々はぼくはまだ奥に引きこもりがちだったから他の灯守りと会う事はそうはなかった。
当時は正直選ばれる意味すらもよくわからなかった。
でも、いつまでも引きこもっていても仕方ないのはわかっていた。
それに、ぼくが必要として貰える居場所を作れるのなら、嬉しい と
少しずつぼくの心を溶かしてくれた彼の跡継ぎになりたいと
段々とそう思うようなっていった─────。 ]**
「──やぁ。ふむふむ、成る程成る程。
君が紫明の話していた蛍さんだね。
僕は"立春"の灯守り、蘭花。
蘭の花と書いて蘭花。以後お見知りおきを。
あはは! そう畏まらなくて良いよ、葵ちゃん。
こんなに愛らしいお嬢さんなら大歓迎さ。
甘い物は好きかい?
ちょうど椿餅を作ったところでね、
君さえ良ければ是非とも味見して
忌憚のない感想を聴かせて欲しい。
うん? 紫明の分?
ないよ、そんなの。
僕は料理は可愛い子の為にしかしないって決めてるんだ。
僕の作るお菓子がどうしても食べたければ
可愛らしく生まれ変わって出直してきてくれたまえ?」
[蘭の花びらのように滑らかな白い肌。
目鼻立ちのはっきりした華やかな美人。
涼やかな空色の髪は短く切り揃えられていて
一見して性別がどちらかはわからない。
春の陽射しを閉じ込めたような明るい色の瞳が、
挨拶に訪ねてきた少女を柔らかく見つめただろう。
自分が食べるより作って食べさせる方が好きで、
自分が喋るより話を聴く方が好き。
いつでも穏やかな笑みを絶やさない、とても優しい人だった。]
[私が師匠から立春を継承したのは
雪が徐々に解けて日々大地が目覚めゆく啓蟄の頃だった。
その年の立春の大役を終えた後、
祝福を受けた生命が活き活きと芽吹いていくのと相反して
師匠は──蘭花様は、目に見えて衰弱していった。
雨水の季節が終わる頃にはもう
身を起こすことも難しくなっていて、
黄鶯さんが付きっきりでお世話をしていた。
師匠の傍から離れたがらない私を引き剥がすように、
氷魚さんが私を連れて日々の業務を代行していた。
自分の弱っている姿を他の灯守りたちに見せたくない、と
師匠は最期まで頑なに元気な振りをしていたから
余程注意深く見ていなければ、師匠が弱っていたのは
亡くなる直前までわからなかっただろうと思う。
親しかったご友人の皆様や
近しく親交も深かった春の統治域を持つ皆様にさえ
「それじゃ、僕は念願叶って山奥に楽隠居するから
愛弟子をよろしく頼んだよ☆」
なんていつもの調子で別れてから床に臥せられた。
報せが遅くなってしまったのは、
それが師匠の遺言だったからでもあった。]
「そんなに悲しそうな顔をしないでおくれ、東風ちゃん。
僕はもう十二分に生きた。
そろそろ休みたいな、って、思っていたんだ。
……以前話した話、憶えているかな。
僕らが司るのは"立春"、すべての始まりの暦……
長く厳しい冬を越えて暖かな春を迎える
希望を象徴する季節でもある。
人が心折れてしまうのは希望を失くしたときだ。
だからね、君は俯かないで。顔を上げて、前を向いて。
どんなに辛いことがあっても笑顔を忘れないで。
これからは、君自身が
此処に住まう人々の希望になれるように。
僕はいつだって君を見守っているよ。」
[そう言い遺して去っていった師匠の手前、
どんなに悲しくても、辛くても、淋しくても
少しでも気を抜くと泣いてしまいそうでも、
人前で泣くことだけは絶対に出来なかった。
だから、
何も言わずに葵ちゃんがただ私を抱きしめてくれた時に
それまで押し込めていた感情がぐちゃぐちゃに溢れ出て、
両目を酷く腫らしてしまったあの日の思い出は
二人だけの秘密にしておいて。]*
――小満と
大人は紐の扱い方で
その成長の仕方を察されると聴きました
私はこどもなので
その意味はまだぜんぜんわかりませんが
フェイはどんどんと大人になっているのですね
ぜひ大人のことを教えてください、ぱぱ。
[ つぶらな紅で小満を見上げるのも束の間
きゅぅ…と 丸いボディは悲し気に身を丸めた ]
……。
私だって いつでもあなたを待っているのですよ
お口の達者なすけこましを想い
長々し夜をひとりかも寝んしています…
[ この嘆きの丸みを癒すには
もう一切ればかしのキッシュが必要だろう ]
…くふふ。
では 冬至の雪がとける頃に。
フェイの料理で雪どけを祝います
[ 返すのは 一見不確かな社交辞令 ]
[ その意が もう百年以上も前から続く
"冬至域の雪の一切が消える日"の頃である事
小満ならば伝わると思っているし 伝わらぬならばそれはそれ ] *
[ 代りに、私もうっかりクッキーを焦がしまった折りに、
あなたの先代の蛍に慰められたり、失敗作を食べてもらったりしたものよ、なんて話もしたでしょう。
自分よりも経験の長い蛍たちに手伝ってもらって、
灯守りの仕事に慣れた頃、だったかしら?
彼等にカフェを開いてはどうか、と提案された、という話も。
だから、あなたもなんでも言ってね、と*]
ーー先代の記録ーー
「お、義兄、様……! 君から、お義兄様………!
いい響きだね! 義弟よ!」
[目に涙を湛え、呼吸困難になりそうなほど大笑いしている。
その冗談はツボに入るぐらいウケたらしい
可愛くて良い子? 半分僕が育てたようなもんだし、当然じゃない。]
「無・理♡」
[滅茶苦茶いい笑顔でさらっと何でもないように答えた。
これを本気と捉えるか、いつもの悪ふざけと捉えるかはおまかせモード。
言わずともやってくれるだろうとは思ってるけど、念の為。
肩の力を抜く的な意味では小満の君がやってくれるだろうけど、
真面目なところは君に任せた方が円滑に進みそうだから。
兎も角、僕は言いたいことは伝えたからね!
]
…………? どうかした?
[芝居がかったようにも思えるそれが中途半端に止まったのなら、何か変なものでもあったのだろうかと辺りをキョロキョロ。
兄が固まったせいだとは気付いていない
それが素の行動だからこそ、更に拍車をかけたわけだ。
後日、飲みながら気付いた紫明に
「小さい頃なんか
僕と同じ灯りの器にしたいって言ってたのにいいい!
なのに何で……何で……!!」
腹癒せに中央にダーツバーを設置するよう計画書書いてやるうううう!!
等とガチ泣きして絡んだわけだ。
中央に遊技場ができたかは、さて。
頼れる相手は他にもいたでしょうけれど、真っ先に思い浮かんだのは貴方だったものだから。
初の灯守りの仕事の時は、真っ先に彼の元へと飛んでいった。
無事完了したのなら、お礼とお詫びを兼ねて統治域内の酒でも持っていったかしら。]
[兄が出ていってからしばらくしてだったか。
彼が訪ねて来たときに、溜まっていた鬱憤を全て吐き出した
。
彼はただ、静かに聞いてくれていた。
傍にいてくれた、それだけで充分だった。
気休めでも、心遣いはありがたかった。
言いたいことを全て吐き、泣き疲れてぐったりしたころに。]
……付き合わせてごめんなさい。
でも、もう大丈夫。落ち着いたわ。
[一人になりたかった。
これ以上、彼の時間を奪いたくなかった。
かけられた言葉を聞きながら、見送ったの。]
[そんなお世話になった人だから、葵のことを任せられたなら頷く以外の選択肢はなかった
。
祝福の言葉を掛けようとしてーー声にならなかった。
兄に比べれば挨拶の時間があるだけ、まだマシだと思うけど。
それでも置いていかれることには変わりなくて。
]
わかった。葵のことは任せて頂戴。
私も楽しかったわ。
[彼の言い分はわかるもの。
新しい風を入れるなら、古いものは去らなければ。
古いものが残ったままでは、入れ替えても変わらない。
だから引き止めたりしない。
隠れた理由の存在には気付かないまま。
でも、もう少し早く言ってくれても良かったと思うの。
そうすれば、ゆっくり時間をかけて心の準備ができたのに。
……ねえ。]
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