人狼物語 三日月国


42 【突発完全RP村】実になりてこそ、恋ひまさりけれ【誰歓】R18

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【人】 マリィ  


  本当は、太ったっていいの。
  明日のことなんか何も考えないで
  この夜と朝の狭間に
  二人でずっと囚われていたい。


 例えあなたにそう言ったって、太陽は登る。
 「普通」の人達の、日常のための時間になる。

 星なんか見えない、美しい濃紺の空が
 じわじわ悪趣味なペールブルーに変わっていって
 やがて、眩しい太陽が端から顔を出す。
                    ]
(2) 2020/09/12(Sat) 14:26:14

【人】 マリィ  

[アタシはあなたに一度だって
 「美味しい」なんて言ったことは無い。

 でも、知ってる?
 冷蔵庫に取ってある唐揚げとかコロッケは
 お店の子達にすごく人気なの。
 コンビニでロールパンを買ってきて
 あなたが余り物と呼ぶこれを、挟んで食べてる。
 台風の日にコロッケが売り切れた時なんか
 そりゃあもうテンションだだ下がり。

 逆に揚げ物が多めに余った日のこと
 お店の子は「パーリナイの日」
 って勝手に呼んでる。


 ……時々アタシが持ち帰ってくる
 ちょっと良いフルーツの秘密は、そういうこと。]
(3) 2020/09/12(Sat) 14:26:40

【人】 マリィ  

[いつもの問いかけにいつもの答え>>0:115
 すっかりメイクも落として
 ただの男になったアタシは、
 眠りに落ちるまでの間だけ
 何もかも忘れられる。


 とっくに読まなくなって
 ソファの下に挟まっていた
 物件情報雑誌とか、
 今日空にしたグラスの個数。

 乱暴に組み敷かれた時の記憶。
 客の無神経な言葉に、愛想笑いを返した苦い味。]
(4) 2020/09/12(Sat) 14:29:14

【人】 橋本 雅治  


[今だけ全部忘れてしまって……
 腕の中の温もりを、ただ抱きしめるだけ。

 そうして、俺の一日は終わる。]
 
(5) 2020/09/12(Sat) 14:30:55

【人】 マリィ  

[けど、この生活の終わりは
 ある日突然にやってくるの─────]


  ……シェアハウス?


[お客さん切り出された話に
 アタシはつけまつげを盛った瞳をぱちくりさせる。
 LGBT向け不動産の営業マンだという彼は
 こくりと頷くと、カウンターの上に
 ばさりと資料を広げてみせる。]


  「ゲイセクシュアルだというだけで
   入居を断られるケースって多くって
   うちで扱ってるのはそういう方に特化した
   ジェンダーフレンドリー物件なんです」


[カタカナ語の多い彼の言うことには
 シェアハウス用の物件にゲイを集めて
 雑な言い方すれば、「ゲイ同士よろしくやれ」
 って感じな家らしい。
 近くに幼稚園や学校もないし
 新しい住宅街だから干渉してくるご近所もいない。]
(6) 2020/09/12(Sat) 14:31:47

【人】 マリィ  



  「……どう?いい情報でしょ」


[営業マンを連れてきてくれた、
 膝に落書きしたみたいなのっぺりしたブスは
 そう得意げに笑ってみせた。

 アタシの鉄板ネタを真剣に捉えて
 真面目に解決策を出してくれた子を
 邪険にするわけにもいかなくて
 アタシは曖昧に微笑んでみせるの。
 アタシの今の居候について知っている
 お店の子達は、何か言いたそうな顔で
 じっと此方を見ていたけれど、
 結局、何も言えやしない。]


  ……そうね、橋の下で暮らすより
  安全そうな物件ね。
  ありがとう、考えとくわ。


[営業マンの名刺と、間取り図内覧写真その他諸々
 茶封筒に仕舞って─────それっきり。]
(7) 2020/09/12(Sat) 14:32:20

【人】 マリィ  

[次の物件が見つかるまで。
 だけど、帰ればご飯があって
 朝でも夜でも無い昏い時間を分かつ人がいる
 ……それよりいい物件なんか、ない。


 結局、シェアハウスの情報の詰まった茶封筒は
 本棚の片隅に隠したまんま、二週間。
 アタシは今日も由人の「余り物」を食べる。]
(8) 2020/09/12(Sat) 14:32:43

【人】 マリィ  

[そんな罰当たりなオカマにも
 今日はひとついい事があったの。

 お店が休みだったから、ふらふらと
 近所の商店街を歩いていたんだけど
 たまたま福引で一等当てちゃったのよ!
 (福引ってポケットティッシュ交換所じゃないのね)


 「北海道ペア旅行券2泊3日」


 喜び勇んで本屋に駆け込んで
 ガイドブックまで買っちゃった。
 お互い休みなのって、年末年始くらいだし
 冬の北海道は死ぬほど寒いかもしれないけど。]
(9) 2020/09/12(Sat) 14:33:11

【人】 マリィ  

[でも、もし一緒に旅行に行けたなら────

 二人で「普通」に観光名所巡ったり
 こっちじゃ食べられないようなものに
 舌鼓を打ったり……

 冬の北海道なのに「寒いね」なんて言って
 手とか、繋いじゃったりして……

 アタシ達を誰も知らない場所で
 二人「普通」にデート出来るなら

 それってとっても最高だと思わない?]*
(10) 2020/09/12(Sat) 14:33:41
マリィ  は、メモを貼った。
(a3) 2020/09/12(Sat) 14:37:11

―― むかしむかしのおもいで ――
[お菊、お菊、可愛い私の巫女。

 遠く昔、まだ私の神の力がもっと強かった頃。
 この里に私の神社があった頃。
 お前は甲斐甲斐しく私に尽くしてくれたね。

 時に星を詠み、時に雨を乞い、時に美しい祝詞を捧ぐ。

 でも、そんなお前とも最期の時だ。
 人間の生というのはなんと短いものだろうね。
 最期だというのに――、
 ああ、とても幸せそうな顔でお前は笑う]


 大丈夫だよ、お菊。私の可愛い子。
 眠りにつくまでそばにいよう。


[最期のその身に寄り添い頭を撫でよう。
 お菊の霊力なら私の姿もよく見えように]

 
 
 ……――――、うん……?
 今、なんと言ったかな?


[今わの際のお菊が何か言った気がしたが。
 よく聞こえずに首を傾げる。
 もう口を動かす事すらままならぬのだろう。
 
 せめてその動かぬ指先に手を触れよう。
 薄っすらと開く瞳に己の姿を映そう。
 そうして、次の言葉は聞き洩らす事がないように]


 ……ふふっ、お菊は心配性だな。


[よりにもよって、己ではなく神の心配とは!
 本当に面白い娘だと思った。
 だからこその、神に仕える巫女なのだとも]

[だからこそ、
 だからこそ、

 愛おしく、別れが惜しいと強く思った。
 
他の人間への普遍の庇護と慈愛とはまた違う。

 ”それ”がなんの想いか、よく分からなかったが]

[花を咲かせましょうと、お菊は言った。
 黄色くて愛らしい花を。
 自分の名前と同じ可憐な花を。
 私の周りに咲かせてくれるのだと言うのだ。

 きゅっとお菊の手を握り、最期の別れを]


 ありがとう、お菊。お前の事は忘れないよ。
 輪廻が巡ればまた会う日も来るかもしれない。
 
 姿形が変わろうと、
 私はお前の魂の輝きを覚えているよ。
 そうしてお前をきっと見守り続けていよう。


[いつか巡り合うその時まで、しばしの別れ。
 私は変わらずここにいよう。
 お前が咲かせた野菊と共に――。*]

 
[大の男がボクの目の前で膝を折り
 旋毛を見せる。
 光景だけでゾクゾクと背筋が震えてしまう。]


   ……ンッ、……クク、……良いぞ……


[温かくヌルヌルした擬似的な粘膜が
 指の一本一本に這わされれば
 創造主は恍惚と目を細め、被造物を褒める。]


   そう……はぁ、指と指の間も、丁寧にだ……
   ああ、あぁ、良い子……ん、は、ぁぅ……


[こうされるのは、存外、善いものだと知った。]
 

 

   クハハ、ボクも可愛がってやろう……そら、


[新たな発見をしながら――、
 甘く漏れてしまう吐息や
 独りでに踊ってしまう指先を誤魔化すように
 彼の口腔の中で指を動かし、舌に擦り付けた。

 彼はボディにも学習機能がついている。
 快楽として処理されるようになるまで
 どれ程かかるかわからぬものだが]


   ハァ……どうだ、嬉しいか?


[小さな足先全てを捻じ込んで仕舞えば
 足趾をバラバラと動かし
 思うがままに彼の口を犯した。

 返事ができぬと知りながらの質問は
 我ながら意地が悪い。]
 

 
[無理やりに動かすから
 上下の硬い歯列に指が触れる。

 ボクの骨など軽く砕けてしまう
 エナメル以上の硬度の歯たち。

 けれど牙を剥かれることはない。
 少なくとも、自我の芽生えたての今は。

 一層、ゾクゾクと震えが走って]
 

【人】 マリィ  

[何度も確認するみたいに
 ちらちらアタシを見るものだから
 思わず、ぷっと噴き出して]


  あんた以外に誰がいるのよ。


[そう、真ん丸お目目が見えやすいように
 前髪を優しく梳いたでしょう。
 お店の子たったひとりだけを
 連れてくなんて無理だし
 友達と呼べる人もいないし
 恋人だって、いない。

 今、たった二人で孤独を分け合える
 あなたくらいしか、一緒に行きたい人はいないの。]
(49) 2020/09/12(Sat) 23:04:24
[…………いや、言えたら良かったんだけどさ。


 
笑われたら、すごい凹むじゃん。

【人】 マリィ  

[それから、前髪を梳いた指を
 ぎこちない笑みの浮かんだ頬へ>>41
 する、と滑らせる。]


  約束よ。


[約束を破ってるのはアタシのくせに。

 暁天に温もりを分かつだけの
 名前のない関係の由人を繋ぎ止めて、
 恋人ぶってみせてる。]
(50) 2020/09/12(Sat) 23:05:27

【人】 マリィ  




  あのね、調べたんだけど……
  空港からこの、……読めない、何コレ?
  のぼるべつ?なんか、温泉があるんだって。
  ここ。このホテル!
  色んな種類のお湯があって面白そう。


[お誘いしたからには、って
 調べてはガイドブックを広げて
 食事の合間にもお話したかしら。
 ホテルはどこにしよう、とか
 観光するなら何処がいいか……とか。

 アタシばっかりはしゃいでるのかなって
 最初こそ不安だったんだけど、
 本棚に新しいガイドブック見つけたりすれば
 いつものあの仏頂面の裏の感情を知って
 思わずにっこりしちゃうのね。

 ああ、良かった。
 この人も楽しみにしてくれてたんだ、って。]
(51) 2020/09/12(Sat) 23:05:51

【人】 マリィ  

[オクラや胡瓜の時期が終わって
 栗ご飯の美味しい季節。

 ある日の食卓は相変わらず美味しかったのに
 何だか、由人の様子がおかしかった>>43
 いつも以上に表情がない、というか
 由人の仮面を、何かが被ってる感じ。]


  ……この里芋とイカの煮物、
  なんかおばあちゃんちで食べた感じ。

  アタシ、中学で両親に勘当されてから
  ちょっとだけおばあちゃんちで暮らしてたの。
  ……懐かしいわ。


[珍しく、料理にポジティブめなこと(当社比)
 言ったりしたけど、どうだったかしら。

 ああ、これは何かおかしい、って
 気が付いたのはラジオが終わった辺り>>44
(52) 2020/09/12(Sat) 23:06:19

【人】 マリィ  




  ……眠れないの?


[問いかけるより先に出た答えに
 アタシは少し眉を顰めるでしょう。

 
そんなに、寂しいことがあったの?


 話を聞いてあげるのは出来るけど
 この口下手君に果たしてそれが有効かどうか。
 居候を初めた当初に思ったよりも
 由人は自分の殻に籠りやすい性質みたいで
 ……結局、語るより、共に居てあげた方が
 彼の心は癒されるんじゃないか、って。]
(53) 2020/09/12(Sat) 23:07:11

【人】 マリィ  




  一緒に寝るだけじゃ、ダメなのかしら。


[じっと由人の目を覗き込んで
 アタシは確かめるように尋ねたの。
 この意味が分からない程、子供じゃないでしょう。]*
(54) 2020/09/12(Sat) 23:07:43


  もっと、近くに感じたら……安心出来る?


[親指の腹でそっと由人の唇をなぞりながら
 アタシはまた質問を重ねる。
 恋人でもない人とキスするのは嫌って人
 結構多いから、そのつもりで。

 唇を重ねてもいいなら
 孤独を分かつ者同士、おっかなびっくり
 触れるだけのキスをするの。
 唇の形が分かったなら、もう少し深く。
 温もりを確かめるように
 舌先同士を擦り合わせて。

 ダメ、と言われたならそれはそれ。
 いつも通りハグをしながら
 狭いベッドで眠りにつくでしょう。]



[ 続けられた問いかけに揺れる。
いつだって触れられるのは、
体と髪だけだったのに。

親指が唇をなぞる。

ぞく、として、どくん、と打って。

そんな雰囲気になったことは
今までなかったし、彼がどっちなのか、
そんなことすら知らないのだとわかる。

その熱を識りたいと思う自分と
識るのが怖いと思う自分がいて

ただ、おずおずと重なった唇の
柔らかさは、とても好きだった。
絡んだ舌先の甘さも、同じ。
微かに歯磨き粉のミントが抜ける。]

 




   …ま、さ はる───、



[ 知ってはいたけれど、一度も
口にしたことのなかった本名を
その震える声に乗せる。


見上げた瞳に、灯るのは何色なのだろう。]

 





  わたくしは、とてもしあわせでございました。


 


 [ 共に星を詠み、雨を乞い  
      あなた様の祝詞を皆へと伝え。

  命尽きた後はこの地を護る人柱として。 


  わたくしは正しくあなた様の巫女でした。
  強すぎた霊力は人には手に余るもの。

  神のものは神へ返さなくてはなりません。
  わたくしの命は 神のために。

  この日がやってくることは
  ずっと前から決まっていました。
  だから何も怖くはありません。
  
  霊薬を含み、生命が還ることを感じながら
  わたくしは幸せを告げるのです。 ]



[  ああ、――ああ。


   なのに、―――ああ。 ]



  ―私は、知ってしまったのです。

   髪に触れる手が、指先の優しさを。
   私の名を紡ぐ音に焦がれる心を。
   瞳に映るその姿に、揺さぶられる思いを。



  ひとの身でありながら、
  あなた様の巫女でありながら

  わたくしは
  私という女は

  あなた様と離れることを拒み、
  叫び、悲しんでいるこころを


 ―わたくしは、知ってしまったのです。 ]




[ ―ぽつ、と。

   暗闇の中に咲くのは 黄色の野菊 ]




  『 もしも里が 滅びてしまうような日がきて
    この地がなくなってしまっても

    誰もあなた様を 護れなくなることがないように 
    あなた様を 忘れないように 』
  

[そして私も、お前を忘れる事がないように。
 例えこの地がなくなろうとも、私はここに。

 お前の最期の祝いが欲しい。
 お前の最期の呪いが欲しい。

 私をこの地に留める……、愛が欲しい*]


 
お菊

 ―私という魂が、たとえ在り方を無くしたとしても。
  たとえ全てを失って、何もかもが消えてしまっても。



  ――それでも、




 いつかの私が、またあなたの元へ辿りつけるように。




 『 ここに 野菊の花を咲かせましょう


     あなたが ここにいると わかるように 』
 
 



[ ―私が永遠に、あなたの側にいられますように。


 祝いを。
 呪いを。


 祈りを。 ]


 

[重ねた唇は、多分同じ歯磨き粉の味。
 だけど、思ったよりも高い粘膜の温度とか、
 少しだけかさついた唇の感触とか、
 また知らない由人が見えてくるみたいで。

 腕の中に抱きすくめて、
 舌先で歯列を割ると、中はもっと柔らかくて熱い。
 ミントの清涼感なんかよりよっぽど強い、
 生々しい味蕾の粒の感触。

 ああ、この舌が「美味しい」と思ったもの
 アタシは毎日一緒に食べてるのかな、なんて。
 そう思ったら、もっと深く知りたくなった。]

[乾いた由人の声が、“俺”を呼んでくれた。
 初めて、呼んでくれた!]


  ゆうと。


[少しだけ甘えるみたいな口調で
 口の中で由人の名前を転がすと
 なんだかとっても安心する。
 ふと目があったから俺は「大丈夫だよ」って
 慈しむような目を向けただろう。

 由人の目の前にいるのは
 いつもの化粧もなく、
 ありのままの男の顔した俺。]

【人】 橋本 雅治  



  あ、


[ぐ、と胸を押しのけられて
 俺は微かに揺らめいた>>61
 抱き竦めていた腕が離れて
 あんなに近かった体温が、もうこんなに遠い。

 待ってよ、とか、どうして、とか
 言葉らしい言葉が何も出ない内に
 由人は部屋から出ていってしまう。

 さっきまでの空気が嘘みたいに
 真っ暗な部屋にぽつん、と一人残されて
 口の周りを汚す唾液が冷めていくのだけが
 今しがたの熱の左証だった。]
(84) 2020/09/13(Sun) 13:06:24

【人】 マリィ  

[一番拒まれたくない人に去られた衝撃は
 ゆっくりじわじわ、ざわつく心に染みていって]


  ─────は、


[自嘲の笑みが、零れた。

 由人が帰ってきた頃には、ソファーの上に
 でかい図体を丸めて寝ているアタシがいるでしょう。
 寝るには狭い座面に、
 人と分け合える空間なんかない。


 だけど朝が来れば由人は何事もなく
 お店に立つでしょうし、アタシも同じ。
 家に帰れば何も無かったみたいに
 「まあ相変わらず茶色い食卓ね!」なんて
 褒めもせずにご相伴預かるのよ。]
(85) 2020/09/13(Sun) 13:07:15

【人】 マリィ  

[結局、シェアハウスの話をしに
 営業マンは時折店に顔を出すから
 毎回曖昧に答えて終わる。

 いっそ「じゃあ機会があれば……」って
 引いてくれてもいいのに。

 それを見たお店の子にも
 「ママ、これ今誰も幸せにならないパターンよ」って
 目も合わせずそっと囁き落とされたりして。

 アタシは聞こえないふりして
 OLちゃんの愚痴に相槌を打つの。]
(86) 2020/09/13(Sun) 13:07:44

【人】 マリィ  

[例えば─────

 「美味しい」って言っちゃったら
 由人はきっと嬉しいでしょう?
 あの無愛想な顔に笑みっぽいのを浮かべて
 耳の端とかちょっと染めちゃったり、ね。

 それを毎日言って、
 ある日突然アタシが消えてしまったら
 その後どうやって生きていくのよ。

 「愛してる」って言っちゃったら
 由人はなんて言うかしら?
 キスは受け入れてくれたけど
 結局、ダメだったじゃない。

 アタシは何言われても平気。
 そう、言い聞かせているうちは。
 ……だけど、人間だから傷付くし血も出るわ。

 もし「無理」って言われたら
 アタシこの先どうやって生きていけばいいのよ。]
(87) 2020/09/13(Sun) 13:08:45

【人】 マリィ  

[そんなことを言ってるうちに
 栗の季節は過ぎて、
 白菜とかネギの美味しい時期になった。
 コロッケのラインナップに
 カニクリームコロッケが入ったり
 ハンバーグのソースもきのこから
 デミグラスに変わっていく。

 飛行機もホテルも予約して、
 ガイドブックも付箋だらけになった。
 北海道旅行の日程は、指折り数えられる程
 ぐっと近くなっていたでしょう。


 アタシは結局、来年までシェアハウスの話を
 ずるずる持ち越す気でいたし、
 あれからアタシから由人を求めることも無かった。
 「何も無かった」みたいなフリするのだけは
 アタシ、とっても慣れっこなんだもの。]*
(88) 2020/09/13(Sun) 13:13:04


 [ 神にとって 名前とは

    とても大切なものだから。


  わたくしには あなた様の名を呼ぶことは 


  叶わなかった ]



[お菊はずっと巫女として私に仕えていてくれたからね。
 その強い霊力ゆえ、
 神子以外の生き方が出来ない子だった。

 もしかしたら、
 外の世界に、人の世に、憧れた日もあったやもしれぬ。
 
ついぞ聞き出す事もできなかったが。


 ならば今のエリサは自由なのだ。
 人の生活も、神との縁も持つ稀有な子。
 そんなエリサからまた私が人の世の自由を奪う、など。

 
 嫁にするのだと、
 神域に連れ去り人としての生を捨てさせるのと同じ事。

 それが――、今の。
 しかも、力も弱まった私がしていい所業なのか。
 分からなかった]

[「龍神さま」「おりゅうさま」「里神様」――、
 様々に人々から呼ばれ、信仰された。
 だが、真の名をついぞ人に明かす事などなかった。

 それは私に生涯尽くしてくれたお菊とて例外でなく、
 
呼んでほしいと乞うた時にはもういない。


 そう、例外ではないと――、
 ・・・・・・
 思われている、が]

 
[一度深く沈んだ意識が浮上していく。
 それと共に、むくりと反応するものがある。

 半ズボンの前立てを押し上げ
 窮屈さを訴えてくる其れは
 ごく一般的な女性にはないモノだ。]


   (ああ、……処理するか……)


[目を閉じたままもぞもぞ、
 自分で掛けた記憶のないシーツの下で身動ぎ
 下衣を寛げ、小さな掌でそっと握り込む。

 溜まるものはいつかは出さなくてはならない。
 生理現象で反応した時に
 処理してしまうのが合理的だとして
 ルーチンワークに取り入れたのはいつの事だったか。]
 

 
[黒のマニキュアを塗った伍本の指が
 熱を育て、硬く反り返らせる。

 こうして自分で弄っていると
 IQが200ほど落ちている気がして
 余り好きではないのだが
 溜めてしまうと知的活動に集中出来なくなるから
 もっと嫌だった。]


   
……ぁ、ン……、ふ……ッ



[何でボクはかわいい女の子なのに
 こんなモノが生えているんだろう――、
 そう思いもするから、処理に伴う快楽は認めがたい。
 故に、目を閉じたままの顔には
 不本意、と太字で大きく書かれていた。

 表情が苦しげだったからであろうか、
 見ていたものが起こそうという思考になったのは]
 

 
[それから青褪めた。
 赤くなったらう青くなったり忙しい。

 そうだよ、彼が居たんだよ。
 なのにボクったら、オナニーなんかして……]


   〜〜っ、つ、次の仕事だよ
   ホラ、これ処理して……っ


[シーツを捲って、
 フツウの女の子にはないモノを見せた。

 やけくそだった。

 ……それにいまの彼なら
 フツウじゃないものを見せられても
 変だと罵る声を持たないから。**]
 

【人】 マリィ  

[ベッドで一緒に寝なくなって
 「眠れそう?」って聞かなくなって……
 でもそれ以外はいつも通り。

 旅行の話もするし、料理も食べる。
 相変わらず家にも置いてもらえてる。

 だけど、見えないどこかに
 亀裂でも入ってやしないか
 アタシは内心気が気じゃなくて。

 …………本当に、惨めで。]
(151) 2020/09/14(Mon) 11:40:05

【人】 マリィ  



  ……なぁによ。


[旅行の前日、本も読まずに
 アタシのことじっと見つめる由人に
 さすがに気まずくなって口を尖らせるの。

 つくねのしゃりしゃりふわふわした食感に
 そっと目を細めていた矢先のことだったもの。
 うっかり目が合っちゃって
 耳までかぁっと熱くなる。]


  見蕩れてたなら、そう言っていいのよ。


[誤魔化すみたいに、ウィンクひとつ。
 「別に」なんて気のない答えが返ってきても
 「照れ屋なのね」って笑うだけ。]
(152) 2020/09/14(Mon) 11:40:37

【人】 マリィ  

[そうして、生まれて初めて
 北の大地に降り立ったアタシの第一声───]


  さっむ!!
  てか思ってたより都会!!



[空港と商業施設とホテルとが合体した
 広い空港を前に、うっかり声が出てしまう。
 外は晴れてはいるものの、
 日の温もりなんてものは感じない。

 さくさくひとりで受付まで
 歩いていこうとする由人を追って
 はぐれないように手を繋ごうとするの。


 普段の化粧も衣装もない、
 ありのままの男の姿で
 今アタシはあなたの隣に並んで立ってる。]
(153) 2020/09/14(Mon) 11:41:31

【人】 マリィ  

[寒さから逃げるように
 真っ青なレンタカーの助手席に逃げ込むと
 ほわ……と暖かな風が車内を温めてくれる。]


  チーズ作ったり、ピザ作ったりできる
  工房だったっけ……?
  いいじゃない。暖かいもの食べたいもの。


[その提案に小さく頷くと
 そっと白銀の景色からの景色に
 視線を向けるでしょう。

 もしかしたら「旅行もやめよう」って
 言われたらどうしよう、って思ってた。
 だけど今この凍るように寒い場所に
 由人と二人きりでいられている。]


  安全運転よろしくね。


[そう言ってアタシは笑ったけど
 もしこのまま事故で二人とも死んでも
 それはそれでいい終わり方な気もして。]
(154) 2020/09/14(Mon) 11:42:00

【人】 マリィ  

  ー 富良野のチーズ工房 ー

[ラベンダーの季節はとっくにすぎて
 夏には一面紫で染まった丘陵も
 今は一面の銀世界。
 目的の工房はそんな真っ白な世界の中の
 白樺で囲まれた林の中にあったでしよう。

 絵本の中の1ページみたいな
 何だか可愛いお店の中に入ってみると
 正面にどどん、と等身大の牛のオブジェが
 お出迎えしてくれる。
 ここでは手作りのチーズやアイス
 釜で焼くピッツァが作れるらしく、
 受付のお姉さんは男ふたりの客に
 嫌な顔もしないで色々説明してくれた。]


  ねえ、由人ピザ作るのやってみてよ。


[そう悪戯っぽくおねだりしたら
 どういう反応が返ってきたかしら。
 カッコイイじゃない、ピザ生地回すの。]
(155) 2020/09/14(Mon) 11:42:25

【人】 マリィ  

[一緒にやろう、って言われたら
 なんて答えようかしら……。]


  由人が作ったのが、食べたいの。


[って普段絶対言わないこと
 口を滑らせちゃうかしら。
 だってアタシ、普段より静かだけど
 心の中はそれはもう大はしゃぎなんだもの!]*
(156) 2020/09/14(Mon) 11:43:03

【人】 マリィ  



  はいはい、最初は怖いかもしれないけど
  案外痛くも怖くもないものよ。


[困ったように笑う由人にアタシはけらりと笑ってみせるの。
 旅行に来てまで何か作るの、嫌かもしれないけど
 由人はそれでも、アタシのわがままを聞いてくれた。


 本当は、ね。恥ずかしいから言わないけど
 あんたがアタシのために作ってくれたご飯が
 「余り物」じゃないご飯が食べてみたかったのよ。



 文句言ってたくせに、工房で他の観光客のパパに交じって
 粉をこねる姿は、正直とっても様になってて
 ハンドトスは……まあ、ちょっと失敗してたけど
 真剣に生地をこねてまあるいピザを作る姿を
 アタシは工房の外からじっと見ていたの。]
(172) 2020/09/14(Mon) 15:55:15

【人】 マリィ  

[……なんで工房の外からかって言うと、
 アタシはピザ作りに参加しなかったから。
 見てるだけのつもりだったのに、受付のお姉さんに

 「お連れ様が作っている間、こちらに参加してはどうですか」

 ……って、半ば強制的に「バター作り」のコーナーに
 移動させられてしまって。
 キッズに並んで図体のデカいオネエが一人、
 気が付いたら搾りたてのミルクの入った瓶を片手に
 口をあんぐり、お姉さんの説明を聞く羽目になっていたの。]


  10分これを振り続けるの……?


[オナホサイズの小さい瓶に怪訝な視線を向けて。
 そもそもバターって作れるものなんだ……とか
 そんな簡単に作れるなら、帰ってからも作ってみようかとか
 色んな考えが頭をよぎったけれど……

 ―――3分後には、全部どうでもよくなっていた。]
(173) 2020/09/14(Mon) 15:55:28

【人】 マリィ  




  ちょっとォ!手が!!手がもげる!!
  まだ出来ないの?!



[アタシの悲鳴をよそに、周りのガキどもは笑い転げているし
 お姉さんも「まだですねー」なんてのんきに笑っている。

 プラスチックの小さい瓶とはいえ、ずっと振り続けるのは
 想像したよりハードなお仕事だった。
 着込んだコートも熱くなったからと脱ぎ捨てて]



  う、うおおおおおおッッ!!!




[ついでにオカマの仮面も脱ぎ捨てドス声出したら
 キッズのひとりが「ゴリラ!」と笑う。
 うっせえっての!誰がゴリラよ!
 ……なんて怒鳴り返せば、笑い声が返ってくる。

 ああ、でも、なんかこの空間は、嫌いじゃない。]
(174) 2020/09/14(Mon) 15:55:53

【人】 マリィ  

[10分間、汗だくになって振り続けたミルクが
 こっくりした黄色のバターになる頃には
 由人作のピザが焼きあがった頃でしょう。

 こんがり焼けた小麦の匂いが、疲れた脳髄に
 じんと染み渡って、今にもよだれが垂れてしまいそう。]


  ……?二枚作ったの?


[素人目に、どっちがピザ職人のものか分からなくって
 何にも考えずにそう聞いちゃった。
 言われてみれば、チーズピザの方が薄く均一かもしれないけれど
 もっちり耳のマルゲリータも、なかなか愛嬌があると思う。]


  ……ッ、あっつ!あは、ホント、熱い!


[熱がる由人を見て、気を付けていたはずなのに
 手に持った焼き立てピザは熱くて、でも一口食べると
 フレッシュなトマトとミルキーなチーズの香りがふんわり
 舌の上で弾けるようで……]
(175) 2020/09/14(Mon) 15:56:09

【人】 マリィ  





  うふ、ほんとだ。うンめ……


[笑みとともに自然に零れた言葉。
 何かを「作る」ことの大変さを知った後だから
 余計にすんなり出てきてしまったの。]
(176) 2020/09/14(Mon) 15:56:33

【人】 マリィ  

[二人でピザを完食した後、さっき作ったバターを受け取った。
 努力の末に出来たバターは、ココット一つ分。
 じゃがバター推定2個分、パンに塗れば4、5回分くらい。

 初めて作ったバターは、アタシから由人へプレゼント。

 料理と違って、誰が作っても同じかもしれないけれど
 ……でも由人に食べてほしいって思ったの。
 お店の子からのプレゼントを渡すだけじゃなくって
 これはちゃんと、アタシが作ったものなんだから。]


  これの味は、帰ってからのお楽しみってことで。


[そう言って、自宅へ送るクール便の中に
 小さなココットを入れさせてもらって。]
(177) 2020/09/14(Mon) 15:56:48
[バターを手渡した時、ちょっと思っちゃった。


 「これ食べて、由人、なんて言うのかな」なんて。

 この先、生きていく気もなかったくせにね。]

【人】 マリィ  

[次の目的地へと滑り出す車の中、
 寝ててもいい、ってサジェストには首を横に振るの。
 二人きりの時間を寝て過ごしたらもったいないわ。]


  それより聞いてよ、さっきのバター作りの話!


[口調だけは怒った感じ、そのくせ口元に笑みを浮かべて
 アタシはキッズの人気者になってしまった話をするでしょう。
 「ゴリラねえさん」だの「ドンキーコングオネエ」だの
 悪意のないあだ名をつけられて、「みて!」とせがまれるまま
 ひとりひとりの具合を確かめた、あの忙しいひと時のこと。]


  アタシ、こどもって嫌いだったの。
  どう接していいかわからなかったし、
  そもそも親御さん達が嫌がるだろうし、
  ……欲しいって思っても、苦しくなるだけだし。


[相変わらず、車窓からの風景は真っ白。
 だけれど、ぽつぽつ、遠くに人の営みが見える。]


  でも、さっきまでの時間は、嫌いじゃなかった。


[ふう、と吐息を吹きつけると、窓ガラスが白く曇る。
 そこにハートを書きながら、アタシは小さく喉を鳴らすの。]
(178) 2020/09/14(Mon) 15:59:12
[また来たいわ。


 ……なんて、言ったら笑われちゃうかしら。
 いいえ、アタシ自分で笑っちゃうわね。]

【人】 マリィ  

[取り留めのない話をしながら、
 アタシは描いたばかりのハートを袖口で拭ってしまう。]


  ステンドグラス美術館なら、さすがに
  こどもも少なくて見やすいかしらね。


[まだ見ぬ到着地を思い描きながら
 アタシは真っすぐ前を見つめる由人の横顔を
 睫毛の隙間からじっと見つめていたでしょう。]*
(179) 2020/09/14(Mon) 16:08:45

[ ひとに何か作ってもらうって
いつぶりだったんだろう。

まだ口に入れてないし、
ココットの中身はきちんと成形されてもいない、
不格好なただの白い塊だったけど、
それでもそれが、たまらなく嬉しかった。]
 



[ また来たいな、と

口から出かかったのを止めた。
……笑えそうにはなかった。]

 




    尊龍様……!





  [  わたくしは 巫女でした。
       わたくしは 生まれて、死ぬまで巫女でした。

    けれど 最期に望んだものは

    “この地の栄華でもなく、繁栄でも安寧でもなく”


   ― あなた様に 再び出会う こと でした ―



    それが 里の衰退を呼び 
    信仰の力を失ったあなた様の力が 
    弱まる事に繋がると知って なお  


    どうしようもないくらい 
    なりたかった “女の子”の願いを 込めました。

    あなた様は 嘘つきのわたくしを、私を
    どう思いましょうか ]




   [  輪廻の果てに
      わたくしの巫女の力を失っても
      
お菊

      私という存在の全てを喪ったとしても ]




  [   それでも 

           それでも 

わたくしは

                 私は 



あなた様に 再び出会えることを 






             望みました 

 
 




  [  ―――ここはわたくしと、あなた様にとって
        とてもとても繋がりの深い地。
 
    だから ひとつだけ 私の罪を 

             貴方へ聞いてほしいのです ]




   [  これは お菊の意思では なく  ]

[お菊、お前はいつも他人の幸福の為に生きすぎたのだ。
 最期くらい己の願いを言っても罰は当たるまい。

 その願い。
 他ならぬ私も願った事。

 里の繁栄も、安寧も、案外と神抜きでもなんとかなるものだ。
 人とはそうした強かなもの。
 私の力が弱まったとて、世に在り続けられるなら構わない。


 本当に幸せにしたいと願う人間はただ一人。
 ならば、私はその人間の事だけ考え生きればいいのだ。
 ――そう、最初から簡単な事だったのだ]

【人】 マリィ  



  そりゃあ、アタシは“ママ”だもの。


[隣から聞こえた褒め言葉に>>182
 当たり前よ、と肩を竦めるの。]


  年齢も性別もセクシャリティも関係ない、
  話聞いて欲しいとか、誰かに甘えたいとか
  誰もが持ってる欲望の受け止め先。

  明日を向いて生きるためにね。


[そのくせ、自分が自分であるための場所を
 見つけるのに必死で、由人に嘘を吐き続けてる。
 聖母なんかじゃない、ただの汚い男。

 
でもあんたをアタシのママにしたいんじゃない、
 絞り出すみたいに寂しさを吐き出した
 あんたの隣にいたいんだよ。
(236) 2020/09/14(Mon) 22:53:19

【人】 マリィ  

[楽しかった、って言葉に
 そうね、って返すくせに
 どっちも「また来よう」を言わないまんま。
 少し歪な空気のまま、車は芸術村へ
 するりと滑り込むでしょう。

 いよいよ日も陰り、夜の時間の近付く頃。
 人影もまばらな美術館へ入れば
 途端に、眩しい色彩が目を焼いた。]


  ………………、


[四面を取り囲むように聳え立つ
 天使や聖なる御子、聖母を象ったステンドグラス。
 正面にどんと構えていたのは、
 磔刑に処されるキリスト像だった。]
(237) 2020/09/14(Mon) 22:53:50

【人】 マリィ  

[ステンドグラスとは、識字率が低かった昔
 阿呆んダラでも分かるように、聖書の内容を
 噛み砕いて図にしたもの……
 そう、ガイドブックに書いてあった。

 アタシは神様仏様を信じてないけど
 流石に聖書のあらすじくらいは知ってる。
 聖母マリアから生まれたイエス・キリストは
 人の咎を負って磔刑に処されるの。
 聖書には、同性愛も罪のひとつとして
 数えられているのも、知ってる。

 隣で聴こえた吐息と正反対に、
 アタシは、もう息が出来なくなった。

 荘厳な雰囲気の中、死んだ目をしたキリストが
 じっとアタシを見下ろしている。
 「美味しい」の代わりの軽口に
 笑ってみせてくれる由人より厳格な
 全部お見通しの顔をして。

 怖い。怖い。もう、逃げ出したい。
 全部かなぐり捨てて、ひれ伏して、
 泣きながら地に頭を擦り付けて謝りたい。]
(238) 2020/09/14(Mon) 22:54:37

【人】 マリィ  



  
ごめんなさい……



[そう呟いたのと、由人の手が
 アタシの手を取ったのは同時くらい。

 続いて落とされる由人の呟きに
 視線を彼の横顔へと移すと、
 硝子越しに差し込んだ光が
 彼の睫毛へ影を落としていて……]
(239) 2020/09/14(Mon) 22:56:04

【人】 マリィ  



  …………そう、だね。


[アタシは、由人の横顔に視線を向けたまま
 漸く手を握り返せたの。

 相変わらず息苦しくて
 射抜くような視線を上から四方から感じてたけど
 今、アタシはひとりじゃないもの。
 ……情けないこの手の震えが、
 由人に伝わりませんように。]
(240) 2020/09/14(Mon) 22:56:21
[─────ああ、神様。

 俺は許されたい。

 あなたが許してくれなくってもいい。

 地獄に落ちて焼かれたっていい。

 けど、せめてこの地上で生きる間だけ

 この人のそばに居たいんだって

 この人に伝える勇気をください。]

【人】 橋本 雅治  

[由人の視線が空を彷徨って
 何か噛み締めるように唇が数回動いて───

 漸く、俺の方を見てくれた。


 ……そうして切り出された言葉に>>191
 俺はまた少しだけ息を飲んで、
 泣きそうな顔で笑うんだ。]
(241) 2020/09/14(Mon) 22:57:21

【人】 橋本 雅治  




  ─────同じこと、言おうと思ってた。


 
(242) 2020/09/14(Mon) 22:57:43

【人】 マリィ  

[そうしてアール・ヌーヴォー美術館の方へ
 足を運んだけれど……
 正直、「良さげなツボとか皿」以外の
 感想が思い付かなくって
 多分アタシはずっと黙ってたと思う。

 ガイドブックの「小樽」も読めなくて
 何度も由人に聞いたもの。

 もう少し、頭が良くなりたかった。
 ……いいえ、頭が良いとか悪いとかじゃなく
 もっとちゃんと勉強すれば
 今日はもっと楽しかったかもしれない。

 由人と暮らすまで豚肉と牛肉の違いすら
 正直よく分からなかったし、
 興味もそんなに持ってなかった。
 もっとよく分かっていれば
 ちゃんと「美味しい」って言う時に
 気の利いた感想が言えるかもしれない。

 振り返っても、後悔ばっかり。
 今更禊をしたところで
 払いきれる穢れじゃないかもしれない。]
(243) 2020/09/14(Mon) 22:58:19

【人】 マリィ  

[ホテルに着いた頃には
 随分辺りは暗かったでしょう。

 古い歴史ある造りの玄関の上に
 近未来的な造形の客室がドッキングした
 何だか奇妙な感じの宿だったけれど
 客室温泉はあるし
 海の幸溢れる夕食が絶品!とかなんとか。

 でも正直、お夕飯をすぐに楽しめそうな
 心持ちじゃあなくって。

 通された部屋はダブル。
 お行儀よく並んだふたつのベッド。
 分厚いカーテンは寒さ避けのためか
 全て固く閉ざされている。

 アタシは手持ちのボストンバッグを、
 どさり、とベッドに放り捨てると]


  ……ねえ、お夕飯の前に話しちゃわない?


[少し、震える声で切り出した。
 「どうせなら、美味しく食べたいじゃない?」
 なんて笑おうとしたけど、
 うまく、口角が上げられなかった。]*
(244) 2020/09/14(Mon) 22:59:38
 




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