123 【身内RP】夜見の城で夢を見る【R18G】
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| >>c0 アマノ 「……」 今日も誰かを探している。 賑やかさに満たされた広間。煌めく内装、何もかも価値が無いと言わんばかりに通り過ぎる。 己に光を灯したあの男は、いったい何処で会えるだろうか。 (4) 2022/01/25(Tue) 2:06:55 |
スピカ
「――……あれは」
初めて会ったときと変わらぬ凛とした佇まいのカタそうな女。
だけど何処か様子が変わった表情で。
誰かを探してる目線はおそらく、自分にも向けられているはず。
その姿を見るや、早足で近づいた。
「スピカ! ……探しもののご用命かい」
そのものいいは確かに、あの不器用な”何でも屋”のものだ。
| >>+0 アマノ 「………………ぁ」 抱えていたバスケットを落とした。それすら気付かず、早足でやって来る男を凝視して身じろぎ一つしない。 「ア…………マノ…………」 はくはくと口を開閉させて、ようやく出てきたのは君の名前。 どこに行っていたのだとか、体は無事だとか、何が起きただとか、聞きたい事は色々あるけれど。 「………………あなたをさがしていたのよ、ばか」 ぽつり、それだけ呟いた。 (7) 2022/01/25(Tue) 15:40:06 |
スピカ
「じゃあ、俺が探すまでもなかったなァ」
カカッと笑ったが、あなたの様子をまじまじと見つめ、ふざけた様子は鳴りを潜めた。
ぽり……と頬をかき、それからおずおずと手を伸ばせば、あなたの柔らかな髪を撫でることが出来るだろうか。
「すまん、心配かけたな。
ちょっと死後の世界ってのを見てきちまったわ。
正確にはまたちょっと違いそうだけどなぁ……この城の魔法ってやつかもしれねェ」
イクリールが呼び戻してくれなければ、こうして触れることも敵わなかった。
自分が、殺された妻子に抱いたあの絶望を、今度は彼女に抱かせてしまうところだったのだ。
| >>+1 アマノ 柔らかな髪に触れる大きな手。 その温もりが降ってきた瞬間、叫びたくなる衝動と目が熱くなっていくのをひしと感じる。 「ばか、本当にばか……心配したのよ……」 俯きながらひたすら「ばか」と繰り返す。 「……やっぱり、城に何か仕掛けがあるのね。 ……ねえ、ラサルハグは?アルはどこ?あの二人も見かけないの。勝手にいなくなる人たちじゃないし、まさか……貴方と同じように……?」 顔を上げないまま普段通りの調子で話す。まだほんの少しだけ声が震えていることに、女は気付いていない。 (8) 2022/01/25(Tue) 17:05:31 |
スピカ
「あ”ー……泣くな。
俺ァ女の涙にゃ勝てねぇからよ……もうどこにも行かねぇって」
眼鏡の脇から指を入れ、目尻に浮かんだ涙を拭う。
「ばか」は甘んじて受け入れておくしかあるまい。
震える声を、身体を落ち着かせるようその頭をかき抱いて、確かに自分はここにいるのだと自分の熱をもってあなたに伝えた。
「――ありそうだな。
城の主が何か企んでやってることのようだ。
あの城主が最初に消えたのは自作自演だったのかもな……と俺は思っている。
ラサルハグはどうも、城主の協力者だったらしい。
向こうに居た時アイツにゃ結局会わなかったが……どこかにいたのかもしれな……―――――アル……?」
あなたと、もうひとり探していた子供の名前が出てきて、ぴたりと動きを止めた。
「ちょっとまて。
あのチビが、どうしたって?」
| >>+2 アマノ 「……泣いてないわよ」 かき抱かれ、出てきた言葉はどこかむすりとした言葉。それでも大人しく体を君に預けているのだから、ただ素直になれないだけだと分かるかもしれない。 「……っ、ラサルハグが城側の協力者……。 それでも、行方をくらませてしまうのね……」 暫く寄りかかって落ち着いたのか、目元は赤いままではあるが声も普段通りのしっかりしたものへと戻っていく。 「アルがね、アマノやラサルハグを探しに行ったきりなの。約束を破る子ではないと思うから、城の魔法ってものに巻き込まれた可能性があるわ」 (9) 2022/01/25(Tue) 21:35:15 |
スピカ
「そうかイ」
ぽんぽんと背中をひと撫でし、あなたを解放する。
名残惜しいが仕方ない。
ここは往来だし、やるべきことがあるからだ。
「あぁ……情報を得て摘発するようなことをしたからな……。
理屈が同じなら、恐らくラサルハグは今もこの城の何処かに居るが、声は届かないし姿は見えないだろう」
「っクソ……チビのくせに無茶をしたのかもしれねぇな。
城の協力者はもうひとり居る。
俺はソイツのことも知ってる……が、様子がちょっと、な。
あまり悪気があるようにも見えねぇから調子が狂う…………」
彼女の手にかかったのであれば、きっとアルレシャもまた城の何処を探しても見つかることはないだろう。
その事に焦りを感じながらも、手がかりは協力者である彼女しかないだろう。
であれば、自分は。
もうひとりの協力者、ウミを探すほかないだろう。
| >>+3 アマノ 「この城の何処かにいるが、声は届かないし姿は見えない……」 はっと顔をあげる。 「……もしかしたら私、それでもアルと連絡を取る手段を持っているかもしれないわ。 少し試してみるから、貴方も貴方でもう一人の協力者との接触をお願いしても良いかしら」 不安げな色も、焦燥の色も、もうどこにもない。 あるのは子供を守るという意志だけだ。 自分は夢を見るだけの子供ではなくて―― 「私、あの子を守りたいから」 ――夢見る子供を守りたい、大人だから。 (13) 2022/01/26(Wed) 8:14:33 |
スピカ
「……連絡を取る、手段?
わかった、それならそっちは俺が請け負おうかァ」
どんな方法があるのだろうと訝しんだが、
あなたの表情をみてそれを問うのはやめにした。
前に見た、敷かれたレールの上で「自由は奪われるもの」などという事を言っていた、諦めた目ではなかったから。
「……昔の話だが。
俺にも妻子が居たんだ」
「生きてりゃあ、チビくらいの年になる娘がなァ……。
だから……、ウザかろうが煩かろうが……居なくなるよりは元気に走り回っててくれた方がイイ」
だから、頼んだと。
あなたにそう告げ、男もまたウミとの接触を図るべく、動き出すだろう。
>>ウミ
「ウミ! 話がある、居たらでてきてくれ」
城内を歩き回りながら声を張り上げた。
彼女は常に漂っているから、視線は少しばかり上を向けさまよわせる。
浮いてると言うだけで目立つから、居れば探すのにそう苦労はないはずだが……さて。
| >>+4 アマノ 「上手く出来るかどうかは分からないけどね」 それでも諦めるつもりは毛頭ない。そんな光を夕焼け色に滲ませている。 「……貴方に妻子が……」 ぽつり呟かれた言葉を拾い上げ、なんて言葉をかけようか逡巡したあと。 「…………頼まれたわ。ちゃんと背負うわよ。貴方と、貴方の奥様と子供さんの分までね」 今度はこちらの番だとでも言うように一度だけ腕をそっと叩き、スカートを翻して動き出したのだった。 (16) 2022/01/26(Wed) 15:53:01 |
| >>姿の見えない君へ 「有難う。助かるわ」 アマノと別れた後、女は使用人にお願いして長い長いミシン糸を用意してもらった。 それから、幼い子供から貰った封筒を取り出す。 >>3:10便箋の上を万年筆が踊る、踊る。 整った字がつらつらと並んでいく。空を飛んだり、物を浮かせたりなんて凄い魔法は使えないけれど。 私にだって、想いを伝える“言葉”という魔法がある。 「……お願いね、アルの元に辿り着きますように」 書き終えるとミシン糸を封筒に括り付ける。それから便箋をしまい、封をした。 封筒がアルの元に届くと言うのなら、城にまだ彼女がいるのなら。 封筒に糸をくくりつけておいて、それを辿ればどこにいるかまでは把握できるのではないか? 糸が途中で切れたり外れてしまったりしたら意味はなくなるけれど。 それでもやらないよりはマシだ。 女は願いも一緒にしまい込み、小さな子供宛に手紙を飛ばした。 (17) 2022/01/26(Wed) 16:05:56 |
スピカが封を閉じると、何者かが軽く手紙を咥えるような感覚がしました。手を離せば手紙は宙に浮いたまま動き出します。四つ足の何かが、手紙を咥えて運んでいるかのように。
手紙が動く度に、かろん、かろん、とベルの音が鳴りました。細い糸もその後を追います。
暫くして、階段の踊り場で手紙は止まりました。糸もその場に留まります。
ひとりでに手紙の封が開きました。途端に手紙は姿を消し、括り付けられていた糸が床に落ちてゆきます。
―――──夢から覚めるのを願う事。
それが消えた人を取り戻す方法かもしれない。
ミズガネはそう言っていました。
ウミは広い水の上。
いつも通りぷかりと浮いて、ガスマスクを外しました。
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