【人】 7734 迷彩 リョウ>>a51 黒塚 扉を開ける。 最初視界に飛び込んできたのは、人間の胴だった。 視線を上げる。自分を見下ろす双眸と目が合った。 「……何か用」 僅かに身構えた。 首にかけられた手を思い出す。貴方にとっては戯れでも、少年にとっては殺されかけた記憶だ。 (25) 2021/10/04(Mon) 19:41:24 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>26 黒塚 「はあ?」 最初の出た感想は、その一言だった。 しかし以前別れ際に向けたような、敵意までは含まれていない。 「……オレ、別にもう死ぬつもり無いから」 お前、報いてやる気がないんだな あの日激昂したのは、隠していた本音を指摘されたからだ。 隠す必要の無くなった今、怒る理由はもう無い。 その視線を、死地に向かう人間に向ける物だと勝手に解釈して告げた。 「お前の言う事、ほんとはわかってたよ。謝るつもりはないけど」 (27) 2021/10/04(Mon) 20:00:47 |
【人】 7734 迷彩 リョウ>>28 >>-154 >>a54 黒塚 視線が逸らされるのは、いつものこと。 しかし。 再び合わさったのは、記憶する限り初めてだった。 手を伸ばされた瞬間、体が強ばった。 ぐ、と逃げそうになる足を踏ん張り、きつく目を閉じる。 手は頭に置かれた。 恐る恐る目を開ける。初めて見る柔らかい表情が、そこにあった。 「……、」 ぐりぐり、大人が子供にするような撫で方をされる。 これも、初めてだった。 初めてのことだらけで、少年の思考は数秒硬直してしまう。 ようやく言われた言葉を理解したのは、その手が離れた頃だった。 「── はああああ!? ケンカ売ってんのかテメェ!!」上書きするように自身の頭を撫でる。 体当たりで貴方を押し出し、勢いよく扉を閉める。 そうして、廊下には再び静寂が訪れた。 貴方が何故こんなことをしたのか、少年が理解する日はきっと遠い。 しかし、いつかその日はやって来る。 ……彼は、この先も生きるのだから。 (29) 2021/10/04(Mon) 20:43:01 |
迷彩 リョウは、これからも生き続ける。 (a61) 2021/10/04(Mon) 20:59:21 |
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