情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 宮々 蓮司いつかの瀬里に返した言葉。 恋矢の力がなくなって、恋心を忘れてしまったとしても。 お見合いなんかしなくても、恋の矢なんて無くても、恋天使が恋をできないものだとしても。 恋めぐる春、花の都のその中で。 二人ベンチに座って、口づけとともに誓った言葉。 ─── それは決して嘘じゃない。** (2) 2022/05/21(Sat) 16:05:31 |
【人】 宮々 蓮司─── 恋熱病 矢を受けた恋天使が患うとされる症状。 恋に対する抵抗力が過剰反応を起こして発熱、悪寒や倦怠感、嘔吐、頭痛などを引き起こす。またアレルギー反応や貧血にも似た症状も見受けられる。 発症率はそれほど高くなく1万から10万人にひとりとも言われており、発症してからも2〜3日で回復することがほととんどである。 このように稀であり重篤ななケースもほとんどないことから、このような症状があることは、恋天使の間でもあまり知られていない。 (9) 2022/05/21(Sat) 19:48:45 |
【人】 宮々 蓮司高速を飛ばして、それから下道も飛ばす。 そうして短いようで長い道のりをやってきた。 山間には余り似合わない車を停めたのは、夕日が地平線にだいぶ近づいてからだった。 午後から休みにしても何だかんだでこの時間。 これよりも早く来たところで、目当ての彼女に会えるわけではないのだけど。</gray> シートベルトを外して、身体を緩めてゆっくりと待つ。 今週は待ちに待った会える日≠セ。 (10) 2022/05/21(Sat) 19:49:05 |
【人】 宮々 蓮司── 1年前 ── 来客用のスペースに車を停めていれば、ときおり帰ろうとする学生たちがチラチラとこちらを伺っていく。そんな光景にも慣れたものだ。 季節は初夏をむかえようとして、じめじめとした日が続いている。 車の中は温度こそ下げすぎないようにはしているが、エアコンのおかげで高い湿度からは逃れられていた。 あと数分もすれば助手席には愛しい彼女が座っていることだろうが、今は空席のままだ。 彼女と会う時はいつもそう。 会えるまでの時間が近づけば近づくほど、残りの時間が長く遠く感じられる。* (11) 2022/05/21(Sat) 19:49:57 |
【人】 宮々 蓮司ドアが開くと湿った不快な空気が車内に流れ込んだ。 同時に、待ち望んだその声も。 「 久しぶり。」 先週はお互いの用事が合わなくて会えなかった。 あんなに週末が楽しみでなかったのは久しぶりだった。 「 今日は何にする? 」 瀬里が乗り込めばシートベルトを閉めた。 彼女も同じようにしたのなら、目的が定まる前でも車を出そう。 いつも通りならまずは食事。 行き先はそう、どこだっていい。誰とそこへ行くかが重要だ。 (13) 2022/05/21(Sat) 21:09:13 |
【人】 宮々 蓮司瀬里の変化はわかりやすかった。 服装が変わった、メイクも髪も、 もう雨宮瀬里≠ナはななくて、でもやっぱり瀬里は瀬里のまま。 「 今日はラフなんだな。」 対して自分の変化はどうだろう。 見た目の変化はない。 強いて言うなら時間が減ったことか。刹那的な生き方を改めようと、今は知人の伝でちょっとした仕事をしている。 近いうちに自分の会社を起こすための勉強といったところだ。 それもあって、自由になる時間はだいぶ減ってしまった。だからだろうか、こうして瀬里と一緒にいる時間を随分と大切に思うようにもなっていた。 そこにあるのが当たり前ではない、だけど二人でいるのが当たり前の時間だ。 * (14) 2022/05/21(Sat) 21:10:25 |
【人】 宮々 蓮司「 そういえばネットで話題の店が…… 」 瀬里の住む街にもだいぶ詳しくなった。 学校の周辺から、家の近所まで。 駅の周りは最近新しい店のオープンも増えてきて、選択肢は少なくない。 「 瀬里の手料理っていう選択肢も欲しいな。」 勿論それじゃ瀬里の家で、というんけにはいかない。 そのうち瀬里を自分のところに呼んで、というのはありかもしれないが。今は基本的に週末になると自分の方が瀬里のところまで来ているから、その選択肢はなかなか難しかったけれど。 (18) 2022/05/21(Sat) 22:35:23 |
【人】 宮々 蓮司「 いいや全然。」 変かなんて聞かれれば即答で否定する。 「 うちのお姫様は、 相変わらず世界一可愛いさ。」 実際、以前みたいな可愛らしさ≠ナはないものの、ラフな格好をしていても普通のと言うのか、瀬里は十分に可愛らしかった。元がいいから何を着ても似合ってしまうのだ、というのは恋人の贔屓目だろうか。 「 瀬里は何でも似合うからな。」 逆に瀬里に似合わないとしてらどんな服装だろうか。 そういえば、いつか買ったアオザイとスク水は自分の部屋のどこかにしまわれたままだ。 (19) 2022/05/21(Sat) 22:36:41 |
【人】 宮々 蓮司「 おお、良かったじゃないか。」 瀬里は土いじり≠ェ本当に好きだった。 未だ、その姿は見ていないけれど、時折瀬里から聞く陶芸の話からは、瀬里の熱意が充分伝わっていた。 前に言っていたコンクールの結果が良かったのだろう。 瀬里の夢にまた一歩近づいたのだ。 「 あー、…そうなるのか。」 そんな風に口にしたものの、それはわかっていた。 学校を卒業したらどうするのか、そんな話は避けていた。一緒に暮らそう、そう言うこともできたのだけど。それが彼女の夢の妨げになってはいけないと、それだけは気をつけていた。 1年後の卒業、正直に言えばその後は一緒にそばにい欲しいも思わないことはない。でも、離れていても心が変わることはないという確信はあったから。 (20) 2022/05/21(Sat) 22:37:00 |
【人】 宮々 蓮司「 それなら、週末デートは継続だな。」 今でもこうして週末に会いに来て二人でデートを重ねている。 それで充分とは言わないまでも、決して不満というわけではない。 それに、近くにいたってお互いに仕事をしていれば自由になる時間はそれほど多くない。 だからこそ側にいられるのがどれほど大事なことか、それはまた実感していないのだけど。 「 でも、まずはおめでとうだな。 今日は二人でお祝いと行こうか。」 高級フレンチというわけには行かないけと、少しだけよさそうなお店で食事にしようか。* (21) 2022/05/21(Sat) 22:37:28 |
【人】 宮々 蓮司本当に正直なところを言うのなら、側に一緒に居られる方がいいに決まってる。好き好んで愛しい人と離れたいわけはないのだから。 でも、それを望んでいた≠フかと言えばきっとそれは少し違う。 瀬里がやりたいこと、追いたい夢。 望むことをさせてやりたい。 そうしている瀬里が一番いい瀬里なのだと思うから。 「 少しだけ、な 」 それでもやっぱり離れてしまうことに、一抹の寂しさはある。 卒業をした後は一緒にいられるようになると、どこかで思っていた部分もないわけじゃない。 (25) 2022/05/22(Sun) 10:14:53 |
【人】 宮々 蓮司瀬里の華奢な身体を抱き締める。 互いの衣服越しに体温が伝わる。 こうするのも二週間ぶり。 そしてそれは今後1年間だけでなく、その後も続く。 「 瀬里は寂しくないか? 」 瀬里の夢、瀬里の選択。 だから寂しくないなんてこと。 あるのだろうか。 * (26) 2022/05/22(Sun) 10:15:08 |
【人】 宮々 蓮司「 そうか。」 腕の中に瀬里を収めて、瀬里の体温を感じながら。 回された腕、胸に押しつけられた頭。 ぎゅっと腕に力を込める。 「 大丈夫だ。 俺はいつだって瀬里の味方だ。」 彼女が決めたこと、望んだこと。 その全てを肯定し、支持し、見守る。 だから、きっと相談されていても反対はしなかっただろう。 (30) 2022/05/22(Sun) 13:01:17 |
【人】 宮々 蓮司「 さすがに学校に乗り込んでまで、 瀬里の陶芸姿を見るわけにもいかないからな。」 見学ができないものかと調べたのは内緒だ。 抱きしめたその身体を少しだけ離して。 「 俺も負けてられないな。」 生活に困ることはない。 だけど、何もしないで過ごすのはやはり良くな気がして。 瀬里に、相応しい人間になるために。 そして、相談しなかったというなら、そう、事業を起こそうとしていることも、まだ相談できていない。 * (31) 2022/05/22(Sun) 13:02:33 |
【人】 宮々 蓮司それは先日のこと。 夜に通話することも多かったある日、それは唐突だった。 体調の悪さを隠していたつもりはなかった。ただの疲れ。自分でもそう思っていたので、それを指摘されたのはかなりの驚きだった。 「 大丈夫だ。 ただの疲れだったし、 一晩休んで何ともなかった。」 軽い倦怠感。それも翌朝にはなくなっていて、おはようの言葉と共にその時も何ともないと伝えたのだけど。 「 瀬里は案外心配性だな。」 それとも、それもまた恋の成せることだろうか。 緩めた腕をもう一度ぎゅっと抱きしめる。 大丈夫だと伝えようとするように。 (35) 2022/05/22(Sun) 16:11:18 |
【人】 宮々 蓮司「 そういえば、 瀬里は病気とかしない方か? 」 そんな話をどこかで聞いたことがあっただろうか。 根性はありそうだけど、体力とかはどうなのだろう。 「 イメージだけなら、 熱中したら倒れるまでって感じだけど。」 それは体力的な問題ではなく性格的に。* (36) 2022/05/22(Sun) 16:11:59 |
【人】 宮々 蓮司やっぱりなって顔で瀬里を見た。 こうと決めたときの強い意志と集中力は蓮司から見た瀬里らしさのそれ。 「 ほどほどにしろよ? 」 寝食まで忘れそうだなって、瀬里の健康にとってはそれが一番の心配事だ。 病気でなくても疲労が重ねれば健康に悪影響が出る。 それはもちろん自分もなのだけど、だからこそ自分に起きていることに気づくことができなかったのかもしれない。 きっと、瀬里が注意深く俺のことを見ていたとしても。 (42) 2022/05/22(Sun) 18:01:32 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新