【見】 逃げ出したい たまお[真っ白い部屋、そこに1人で佇んでいた。 どこまでも続く白い床。 少し前に来た部屋と同じ場所だ。 たまおが飲み干してしまった為、中身が空っぽになった皿がポツンと置いてあった。 なんだか凄く怠くて、瞬きさえ重い。 クスクス…笑い声が聞こえる。] ───かわいそうにな、帰り道が無くなったって気がついてないんだ [誰も居ないのに、声だけが聞こえる。 ピクシーのお喋りを聞くことがあれば、これに近い音だろう。 純粋でありながら、人を不快にさせる声だ。] 誰でありんす?! [部屋があまりに広い為、たまおの声が反響する。 その事が何故かとても心を逆撫でするようだ。 しん、と静まり返る部屋。] 多分…ここらで話し声がしたよう、 (@37) 2023/03/23(Thu) 22:05:40 |
【見】 逃げ出したい たまお[たまおが当たりを付けてしゃがみ込んだ先に、突然白い扉が出現した。 とても小さい扉で、たまおの脛の辺りまでの高さしかなかった。 たった今まで白い床だけだったはずだ、確かに。 そっと手を伸ばすと、ドアノブがふるり震えて喋り出した。] ───どうせ通れないだろう、開けて何になる [たまおは声もなく息を呑んだ。 扉が喋った! 正確には、鍵穴から声が聞こえるようだ。]* (@38) 2023/03/23(Thu) 22:06:08 |
逃げ出したい たまおは、メモを貼った。 (t6) 2023/03/23(Thu) 22:06:56 |
【見】 逃げ出したい たまお[膝をついて、扉を眺める。 後ろに壁も無いようだ。 ペンキで塗った跡が荒い。] 主さんは…一体何だね ───見ての通りの扉だがね、他に質問が無ければ左様なら 待っとくれ、さっき帰り道がどうとか言ってたね あれはあたしに言ったのかい ───そうさ、他に誰か居るように見えるかね?おれには見えないが随分な慧眼をお持ちのようで [どうしてこうも嫌な態度を取られるのか。 兎にも角にも、話し続けなければいけない、コレを逃してはいけないと不可解な焦燥がたまおの口を動かした。] (@44) 2023/03/24(Fri) 1:17:13 |
【見】 逃げ出したい たまお帰り道とは何のことだい ───最初ここに来た時、その前から見てる…お前はまだ、ここで上手くやれなければ店に帰れば良いと思っているな ───柔らかいお前専用の布団、みんなより少し豪華な飯、何もしなくても世話をされる環境が悪く無いと分かっているな [言葉に詰まる。 自由を謳歌したいと思う反面、自由に伴う責任と、グンと距離を詰める死への道程。 頭の片隅にそれらを置きつつ、未だお散歩気分が抜けないのは、確かに最後の砦として店があると思っているからかもしれない。] それが何だってんだい ───戻れやしないんだよ、ホラ… [蝶番の軋む音を立てて、扉が開いた。 その先には。]* (@45) 2023/03/24(Fri) 1:18:00 |
【見】 逃げ出したい たまおあれは…あたしじゃないか! [小さな扉の向こうには、木陰に蹲り目を閉じた猫が一匹。 黒色ベースのハチワレ模様の猫だった。 種類で言えばノルウェージャンフォレストキャットに似ている。 朝露を含んだ長いダブルコートが投げ出された四肢に纏わりついて、大きな筈の体が頼りなげに萎んで見えた。] ───ほう、アレがお前ならお前は何だ? いや…あたしはここに居る……だからアレは、あたしに似た誰か…? [いやそれにしても、あの樹にも見覚えはある。 不思議の国に来てからよく見た広葉樹と違い、節が目立つ針葉樹で、確かに店から逃げ出した先にあった樹だ。 確かにたまおはあの樹の影で脚を休めた。] (@60) 2023/03/24(Fri) 11:13:16 |
【見】 逃げ出したい たまお───そうかね、お前がそう言うならそうなんだろう [扉の返事は、欠伸を噛み殺しながら(口がどこについてるのかは不明だが)の至極適当なものだった。 たまおはカッとなって声を荒げた。] 何が言いたいんだい?! ───ハァ…………、アレもお前、お前もお前 ───アッチが体で、お前が玉の緒…いのちってコトさ ───いのちが抜けた体がどうなるか、説明した方がいいかね? (@61) 2023/03/24(Fri) 11:13:41 |
【見】 逃げ出したい たまおあたしは生きてる、 [扉の言う事が殆ど理解できない。 それはもちろん文法の話では無く。 扉の背が低い為、跪くような姿勢でその内を見つめる。 猫はピクリとも動かないようだ。] ───そろそろお喋りも飽きて来た、どっか行ってくれ、うるさくて昼寝も出来やしない 待っとくれ! 主の話が本当だとして、体が死んじまうのは分かる でもあたしがいのちだって言うんなら、そのあたしはどうなっちまうんだい? ───ふぁ……、お前がいのちだけで顕現してんのは、その懐のカードのお陰さ ───それに残った魔力の残滓…本来の茶会へのご招待力と、何処かへ行きたいってお前のお気持ちとが噛み合っちまったんだろう ───そうは言っても残滓は残滓、残る力はもうそう多く無い ───体といのちが結びつけばお前は助かる、“おれ”はいつでも開いているぞ ───是が答えでいいだろう、さあ散った散った** (@62) 2023/03/24(Fri) 11:15:24 |
【見】 逃げ出したい たまお開いてるって言ったって、通れないじゃ無いか!! …ぁ、夢……? [どのくらい眠っていたか。 たまおが目を覚ました時、体のどこもかしこもがギシギシと音を立てた。 抱いていた仔犬の暖かさは大分前に失われてしまったらしい。>>@27 たった1人の目覚めに胸が冷え込む。] 夢じゃ無い…… [異様に高い目線に違和感はあった。 そう、木はこんなに低く無い。 店の窓から見える街路樹は、もっと高く高く聳えるようだ。 手を伸ばせば枝に触れるような物では無かった。 手を伸ばす、なんておかしな事だ。 たまおの腕は前脚のはずなのに。 ため息を吐きながら髪をかきあげると、蜘蛛の糸のような白い色。] あぁ… (@71) 2023/03/24(Fri) 21:51:36 |
逃げ出したい たまおは、メモを貼った。 (t12) 2023/03/24(Fri) 22:03:09 |
【見】 逃げ出したい たまお[ゆっくり立ち上がった。 今になれば、なぜ二本の足で疑問も持たずに歩けていたのか、笑えてしまう。 水場の場所は知っていた、濡れた土の匂いがしていたから。 幽鬼のような足取りだった。 うつくしい、穏やかな小さな川だ。 木漏れ日が水面で踊っている。 たまおはそのほとりで、裾が泥に濡れるのも気にせず膝を突いた。 小川の流れに写り込んだのは、若い人間の女の顔。] あぁ…… 本当だ [黒い毛並みはたまおの自慢だった。 おっかあは真っ黒い野良猫だったらしい。 艶々のショートヘアは柔らかくて、たまおは毛が長いけど、色と触り心地だけは母親似だね、と姉さんに言われた。 大きいアーモンド型の瞳は特上の水晶玉だった。 雨の日はお客さんが少なくて、窓をつたう雨粒を見ていても邪魔される事が少ない。 ガラスに反射する光の中で、一番キラキラしていたのは写りこんだ自分自身の瞳の虹彩だった。] なんて醜い…… [たまおは手で顔を覆い泣いた。] (@72) 2023/03/24(Fri) 22:43:17 |
【見】 逃げ出したい たまお[戻れ無ければ死んでしまう。 本当に? 今この時こそが悪い夢では無いと何故言い切れるのか。 しかし夢であれと願えば願うほど、現実である感覚がいや増してしまう。(夢の中で夢であれと願う事なんてあるだろうか?) こんな姿で最後を迎えるなんて……。 でももう、家も仕事も帰り道も、大事に磨いた美しささえ、たまおの手には何も無い。 軽い衝撃>>@77に顔を上げた。 ぽろりと涙が溢れ落ちる。] 主…、重房…… 慰めてくれるのかい、良い子 [抱きつく力の強さにちょっと困った顔で、一回、二回鼻を啜る。 自分の事のように泣き出した重房を見ていると、自然とこちらの涙は止まってしまった。 たまおの涙を代わりに流してくれているのかな、と思ったら、何だかくすぐったい気持ち。 落ち込んでいたのはたまおの方なのに、逆に重房の肩をさすって涙を拭ってやって居た。] 重房、あんたもよく泣くね 1人で生きて行けるのかい? ねえさんはそれが一番心配だよ* (@78) 2023/03/25(Sat) 10:50:15 |
逃げ出したい たまおは、メモを貼った。 (t16) 2023/03/25(Sat) 11:02:58 |
【見】 逃げ出したい たまおこ、コレ重房! およし、引っ張るんじゃ無いよ 膝が剥けるだろう [そうまで言えば、闇雲な様子の重房>>@80も止まってくれるだろう。 優しい子だ、怪我させてまで無理強いはしないと分かっている。] 不安にさせたかえ? びっくりしたね、よしよし ほら、アレはなんだい? [人差し指で紙袋を示す。 先ほど重房が落としたもので、強い匂いがした。 よく見れば茶色い液が滲み出ている。 もう、動くのも億劫だった。]* (@81) 2023/03/25(Sat) 13:35:10 |
逃げ出したい たまおは、メモを貼った。 (t18) 2023/03/25(Sat) 13:36:33 |
【見】 逃げ出したい たまお食べ物をとってきてくれたかえ、気の利く子だね [重房が言うように、魔法使いがどうにかしてくれれば楽だろう。 残された時間がそれを許さないと、知って居なければ。 時間は分からずとも、あの部屋で見た“たまお”がもうあと少しも保たない事は目に見えて察せられた。 肉が痩けているわけでも、顔色と言うものが見える訳でもないのに、分かるのだ。 生き物に纏いつく死の臭いと言うものは。 それを裏付けるように、一呼吸ごとに体が重くなる。 眠気が襲う。 たまお自身が魔法を使えたなら、それか、食べれば小さくなる魔法のきのこでも有れば…。 そう、不思議な力が使えれば。] …………重房、これじゃあ手が汚れるねえ 昼寝をした木陰があるだろう、あそこに手を拭うにちょうど良い端切れを置いて来ちまったんだよ 取ってきてくれるね、良い子だろう? [嫌がる様なら、頼むね、と念を押して。 宥めて透かしてどうにか向かわせるだろう。 そして背中を向ける重房に声をかけてから見送った。]* (@91) 2023/03/25(Sat) 16:04:09 |
【見】 逃げ出したい たまお[木陰に端切れなんか置いてきちゃいない。 存在しない忘れ物を探させるのは心苦しいが、この身がどうなるか分からない以上離しておいた方が良いだろう。 魔法の切れた体が木っ端微塵に爆散でもしたら可哀想だ。 離れて行くと思い声をかけたのだが、予想に反してふわっと持ち上げられてしまう。>>@95] ッ?! 主や、コレッ、ほんにもう…… [押しのける力ももう出ない。 仕方ないね、と呟いて、首に腕を回した。 かなり揺れは激しかったが、今の睡魔の前ではそれでさえ心地良く夢へ誘う。 重房が木陰に降ろした時には、既に瞼はピッタリと閉じていて。 振り返る時には、夢のように消えて居た。] (@97) 2023/03/25(Sat) 17:56:55 |
【見】 逃げ出したい たまお[白い部屋に行く方法は、おおよそ分かっていた。 それは眠る事。 もしかしたら木陰である事も条件だったかもしれない。 扉は慇懃無礼に口(鍵穴を口と言えばいいだろうか?)を開いた。] ───お早いお越しで [先刻と全く同じように、たまおは1人で佇んでいる。] ───帰り道は見つからず仕舞いかね? [ニヤついた声だ。 これが体に続いて居なければ、蹴っ飛ばして居ただろう。 たまおは扉の問いに答えず、問いを返した。] 主はこう言ったね コレが…この招待状に残った何だかって力が、あたしの願いに応えて、あたしをここまで連れて来たって …この姿にしたって ───言ったね、大体そのような事を言った これに残る力は…もうそう多く無いって ───言ったね、大体そのような事を (@98) 2023/03/25(Sat) 18:35:22 |
【見】 逃げ出したい たまおと言う事は、まだ残ってるんだろう、その“不思議な力”は [たまおが魔法使いじゃなくたって。 食べると小さくなるきのこが無くたって。 もうずっと、扉の鍵はたまおの手の中に。] ───言ったね、そのような事を確かに言った [着物の合わせから取り出したカードを見つめる。 やはりなんて書いてあるか分からないし、柄の意味もたまおには理解できない。 ずっと持って居たから端の方がボロボロで、咥えて走った際に牙が刺さって開いてしまった穴もある。] ───ふむ…おれの知っている迷子の少女は、旅の終わりに銀の踵を3度打ち鳴らし、「おうちがいちばん」と唱えたらしい ははっ!馬鹿だねえ! あたしは猫だよ、猫は足音をたてないもんさ! (@99) 2023/03/25(Sat) 19:26:07 |
【見】 逃げ出したい たまお[招待状を両手でギュッと握りしめる。 目を瞑って、神さまお願い。 帰りたいのは…ふかふかのお布団、あんまり美味しく無いご飯、優しい姉さんたち、キラキラの窓ガラス、うるさいお客、それに世界で一番美しいたまお! そしてお別れは…お客の居ない楽しい冒険、好きなだけ食べれる美味しいご飯、優しくしてくれた小さな人間たち、可愛くて可哀想なあたしの仔犬。 願い事はそう、全てを元に戻すこと。] …それじゃあ自由よ、おさらばえ! [ぐんぐん縮む四肢、黒く染まる髪、鼻はツンと上を向き、爪は鋭く、ぷにぷに肉球。 目を開けば見慣れた距離の地面。 こうしてたまおは、ナーーンと一鳴き。 開いた扉に飛び込んだ。]** (@100) 2023/03/25(Sat) 19:36:12 |
逃げ出したい たまおは、メモを貼った。 (t21) 2023/03/25(Sat) 19:41:40 |
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