人狼物語 三日月国


132 【身内RP】穏健なる提案【R18G】

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>>薬局・医務室

「応急処置は既にアクタがしてくれていたみたいだな。ナツメも行ってくれたし、俺たちで怪我をどうにかするのはこれくらいだろうか」

 医務室に行って改めて汚れたガーゼなどを取り替え、少女と共に出来る事は尽くした事だろう。
 ただ、そこから先は、

「……あと何をしたらいいのか分からんな。輸血しようにも方法を知らないし、俺は病院の世話になってはいても医師ではない。カイなら既に知っているんだろうか?」

 流石にやるべき事が浮かばなくなってしまった。少女にどうするか、視線を向けた後、エノを見やる。

「……すぐには回復しそうにない気がする。
 やはり安静にしておいた方がいいんじゃないか。死んでもいいと思うなら、話は別だが」

一通り終えて落ち着いた後、ヌンッした。具体的には手帳型端末で色々確認した。

結果をざっと確認した。自分が選ばれてもなお気にしない。眉一つ動かさない。

彼との賭けの勝利を信じて疑わない。

>>医務室

「ああ。傷から異物が入ってきた時などに生じる炎症反応が起きると思う。VR空間ではどこまで人体のメカニズムが再現されているのか分からないがな。
 念のための解熱剤と、あと……」

 手帳で色々と確認しているときにいきなり背後から声がかけられた。

「……ああ、メイサイ。ナツメを呼んだのはお前だったのか」

「……」

メイサイに近付いて内緒話をした。

メモを貼った。


「…………」

連絡に目を通して、目を伏せる。
あとで……いや、他に会いに行く人が居るかも。
なんて思考の後。

今日の話し合いは、昨日よりも静かになりそうだな、と思った。


気分が悪い、という言葉に一度、気遣わしげな視線を向けて。

それから、続く話題に少々きまりの悪いような顔をした。
自分が発破をかけたのだとわかっている。
物事は結果が全てだとも。

耳打ちされた内容に頷いた。

>>医務室

「? メイサイはおばけではない」

 すり抜けるし透明になるけど……。

「たまたま本で見ただけだ。これ以上どうしたらいいかは俺も分からない。
 指示があればそれを助けるための動きは出来るが、あとはエノさん自身でなんとか回復してもらうしかないな」

 時折手帳を確認しながら返事をする。
 手の中の裁判場の様子を見るに、今回は早めの解散になりそうだ。話を聞くのは嫌いではないから例えどれだけ空気が悪くなろうといくらでも聞けるが、それどころではないなら仕方ない。体調が悪い時何かするどころではないというのはよく知っている。

/*
今日はナツメと同じ感じになると思います。
が、ユスは人の心がないのでナツメにだいたい
押しつけて
任せてあちこち不在になることが多いかもしれません。様子見に医務室に戻っているかもしれません。

在室/不在こちらも確定ロールご自由に。
よろしくお願いします。

ナツメに端末の使い方を教えた。

>>医務室

「そうだな。アクタと同じくらい感情の起伏は激しいが医者になる為に相当努力しているらしい。
 もし来てくれるなら有難いが、誰がどこに行くかなど自由だしな。俺もそのうち他の場所に行くだろうし」

 メイサイが出て行く時はいつも通りの調子で見送るだろう。

「安静か。そうだろうな」


「………難しいな…」

殆ど無意識下の独り言。
あちこち痛みはするけど、まだ自衛くらいはできる、はず。
問題は、そっちじゃなくて。

清掃員は、あらゆる意味で。
自分の立場が一番人を不安にしかねないとは、思っているけど。
極力誰かの記憶に残りたくないな、とも、思っていて。
誰かと一緒に居るというのは難しい事だった。
少しの例外の誰かに、ずっとついて回るわけにもいかないし。


まあ、極力自室に居れば、いいのか。
一人そんな事を思いながら、
きっと徐々に解散へ向かう話し合いをぼんやりと見ていた。

 解散に向かいつつある合議を静かに眺めている。注目すべき点は今回さほど無いだろうなと思った矢先、ツルギが一つの提案をした。

 個人的に、注視するべき点が見つかったと感じる。
 この提案はW誰かに隠れて何かしたい者Wにとって、あまりに都合の悪いものだろう。……ただ純粋に一人で静かに過ごしたい者にとっても同じ事が言えるが。

 勿論仮に何かを画策していたとして、この場で馬鹿正直に反応する者などいない筈。それでも、この提案を聞いた周囲の様子は見ておくに越した事はないと思った。

 無機質な視線が、手帳の中にある裁判場を静かに見つめていた。

そういや自分はどこに印付いているのだろう。鎖骨らしい。

暫く印がどこにあるのか気付かない。

メイサイ

「ああそうだ。メイサイ」

 貴方が適当なタイミングで出て行く前に思い出したように声をかけた。

「いつでもいいから、ナツメを労うといい」

 これは全く内緒話ではない。普通にナツメ本人にも聞こえるように話している。聞かれても自分は困らないので。

「あの薬局に行くことをナツメは凄く悩んでいたからな。泣くほどに。怖かったらしい」

 正確に言うと泣かせたのは自分だが、泣きそうになったそもそもの原因は自分ではない。

薬局


───暫く。
タオルの布地を湿らせて、
声を殺して、
泣いていた。


それから、ゆらりと立ち上がって
少女の遺体をなんとかストレッチャーに乗せて
運ぼうか、としたところ。

薄暗い局内。
錯乱する薬。
濡れた赤はそろそろ鉄錆へと変わる。

──エノは、ちゃんと手当てしてもらってるだろうか。
──ヒメノの体、すっかり冷たいな。

「……今、何考えてるって?」

何を、と真意を問いかけて
はっとスマホ端末を取り出し、画面を確認。

………、


「はッ……はあ!?
 この僕がッ……なんで、」
「なんで、死ななきゃいけないんだよ!!?」

「ふざけるなよッ!
 あの嘘吐き野郎、やっぱり信用出来ないじゃないか!」
「ほ、他、い、入れやがった奴ら、全員……、」

「ゆ、許さない………!」




───少し前の自分なら。
そうして八つ当たりして、取り乱していたかもしれない。

けれど、今。
W考えていることWは、

「コタロー、……」

「書かなきゃ」


ここで得た経験、感情、死。誰かの思い。
全て抱えたまま、何もせずに死にたくない。
……遺さなきゃ。


「……運んだら、寮に戻る。書く。
 時間、ぜんぜん足りないからな。」

まだまだ実績もない癖に
男の心は、確かに舞台馬鹿だった。

体のバツ印も探さないまま、
タオルを放り投げて、薬局を後にする。


──そうして、残されたひとつの遺体は
きちんと彼女の部屋に運び込まれたのだった。


>>医務室

「ああ。俺はもともとナツメと話す予定以外用事がなかったからな。気にするな。
 結果的について来てよかったと思っている。複数人を運ぶなら人手が必要だったからな。メイサイの判断は正しかった」

 そう答えて彼を見送った。
 そんな彼がその後、波打ち際で倒れているなんて予想も出来ずに。

ツルギ

「それはこちらの台詞だ、ツルギ」

 扉を開けてお疲れと声をかける。「特に無理して使う必要もないが疲れたら使ってくれ」と医務室内にある椅子と同じものを出して貴方の近くにぐいと押した。

「エノさんの様子は見なくてもいいのか?」

ナツメ

「言うなと言われていないから」

 じと……とされても気にしなかった。見ていないが、ずべずべになっていたのは聞いていた。

 黙っているよりも、怖くて泣いてまで頑張って向かった貴方に労いが必要だと判断したからという理由でバラしたらしい。後輩の判断は本当に英断であったとこの青年は思っている。あの状況は確かに人が必要だった。

 そこまで考えて、メイサイ後輩にも労いの言葉が必要だったなと思い至るがちょっぴり遅かった。

「気にするな。俺にとっても勉強になった。ナツメもお疲れ様」



「いや、エノさんが話すのも厳しいほど憔悴しているから、今のところ二人で待機していた。背中をはじめとしたあちこちに切創がある。
 確かに誰が様子を見ても彼の容態が変わるわけでもないが、一応無事であることを確認して落ち着く者もいるかと思ってな」

 後半の話については、自分もまた目の前の青年と同じように投票先を決めていたので何も言わずに様子を見守ることにした。

マップを出したことと、不思議そうな声でやろうとした事を察した。

ツルギに視線を送る。

ナツメの遠慮が急激になくなりつつあることを気にしていない。気楽でいいと思う。



 中に入る青年に続くように医務室へ戻った。差し入れの果物は受け取った後籠を呼び出し、そちらに移し替えた。近くのテーブルに置いておく。

「印か。分かった。
 とはいえ俺もどこにあるのか分からない。
脱……

 …………。一旦部屋に戻ってどこにあるか確認してきていいか?」

 女の子の前でこの話題もまずくないか?と流石に気付いた。世間一般的にまずかったようなそうでないような……。

試しに腕まくりをした。印、ない……。

あっ。



「水泳の授業や検査でも無い時にいきなり服を脱ぎ出すと驚かれると思ってな……」

 たいてい何しても悪いことだと思わない青年、今回はなんか悪いことしたかもなと少女に向かってそっと謝った。

「……そうだな。あまり声高に話せない連絡も伝えておきたいし、場所を変えたい。ナツメにも連絡を入れておくから一旦戻るとしよう」

 メモを取り出し、医務室のテーブルに『エノさん、何か用事があれば呼んでください』と書き置きを添えておく。
 貴方の提案に賛同し、そのまま医務室を後にした。


話し合いが疎らに解散へと向かう頃。
清掃員は、少しばかりぼんやりと考えに耽っていたけれど。
周りが動き出せば、人の流れを追うように裁判場を後にした。

今日は一日、自室で過ごす事にしよう。
自室に居ても、メッセージを送る事はできるから。
一人は少し憂鬱だけど、それならきっと寂しくない。

メモを貼った。

笑顔でいる事しかできない。


合議の間。夜のこと。

ヒメノの息が止まった後、
彼女へと割り当てられた寮の自室を探し出し、そこへ運び込んだ。

ストレッチャーから優しく布団へ寝かせて
まるで眠っているかのように少女を扱って
割れた爪を、抉れて冷えたその手を一度だけ握りしめて。

……何も言えない男は
その部屋を立ち去っただろう。

自室の前で待ち合わせ中。多分、夕暮れ時の事。

チップ非準拠になった。ツナギスタイルだ。

カミクズの部屋へ向かった。多分、夕暮れ時の事。

>>薬局

 ただ生きたいという鮮烈な少女の願いも。
 ただ理解したいという青年の唯一の欲も。
 そして彼らに手を伸ばした者達の意思も。

 それら全てがいなくなってしまえばそこにあるのは、彼らが「そこにいた」と言う僅かな名残のみ。
 倒れた陳列棚。乾いた血溜まり。散らばった商品の数々。多くの残滓が留まった場所に二人は到着した。

「当然と言えば当然ですが、殆どそのままですね」

 前回駆けつけた青年は今は学生服ではなく動きやすいツナギを着ていた。人を助け運ぶ緊急の用事ではなく、人々の名残りを丁寧に掃除するのだから。

 薬局

共に歩く青年の言葉を、曖昧な笑みで誤魔化して。
そうしている間に目的地へと辿り着いて、
全て"終わってしまった"跡を見れば、ほんの僅か目を伏せて。

「……ああ、随分と…」

荒れてしまったな、と思って。
血を流したのだな、と思って。
乾いてしまったな、と思って。
少しの間、"そこに居た"であろう人々に思いを馳せて。

「…まずは棚、起こしましょうか。
 それが終わったら床に落ちてるものと、
 それから…介抱するのに使ったものかな、これは。
 ここから片付けましょう。
 水を使いますから、床の拭き掃除はその後に」

「ユスさん、向こう側持って、手伝ってもらっていいですか
 …ああそうだ、念の為手袋だけはしておいてくださいね」

やるべき事を整理したら、あとは簡単だ。
棚の方へ歩み寄って、道すがらに言われた通りに声を掛けた。

ああ、やっといつも通りの仕事だ。
人が人として生きた痕に触れ、思いを馳せ、それを消していく
"生きた"人の痕跡を消していく、自分の本来の仕事だ。

床に落ちている商品は一旦買い物かごに纏めておいた。

それから、床の片付いた所から水を撒いていくだろう。

薬局

 目を伏せ思いを馳せる貴方をちらりと見やる。この人も他者に寄り添うことのできる人間なのだろう。自分とは反対側にいる人。

「分かりました」

 てきぱきと行われる指示に本職の手際の良さを垣間見つつ、手袋を出して装着する。
 少なからず怪我をしているだろう清掃員には予め肉体に負荷のかかる作業は自分が受け持つと進言している。素直に頷いて後始末に取り掛かった。

 掃除は得意でも不得意でもない。詳しい知識がある訳でもないので、終始清掃員の指示に従って動くだろう。

 薬局

この清掃員は、カミクズという人間は。
決して要領が良いとは言えない方の人種だ。
それでも慣れる程度の時間、この職に携わっている。
他人事のはずの事に、思う所ができる程度に。

「…床、片付きましたね。」

あなたの手を借りつつ、散乱していたものが粗方片付いた頃。
どうぞ、と二つ用意したモップの片方を差し出した。

「そろそろモップがけし始めちゃいましょう
 最初に水を撒いた方…向こう側の方から。
 足を滑らせないように気を付けて、
 それから、ある程度落ちるまででいいですよ。
 水拭きだけじゃ当然綺麗には落ちないので…」

あとで、これを使って、もう一度。
そう言って取り出したハンドスプレーの中身が揺れた。

「えっと…血の汚れを落とす時はオキシドール、です。
 調べればすぐに出てくる事ですけど…
 役に立つことも……ないと、いいんですけど。」

あなたが自分に声を掛けた理由の答えをふと思い出して、
そんなつまらない話を付け足した。

薬局

「そうですね」

 端的に答えてモップを受け取る。
 移動する前に、眼前で揺れたスプレーを捉えた。じぃ、と焼き付けるように視線を注ぐ。

「てっきり特殊な薬剤か何かを使うものだと思っていました。それなら薬局でも普通に買えそうでいいですね。
 使う機会が無いに越したことはありませんが、覚えておきます」

 小さくお礼を述べて指示通り離れた場所からモップがけを始めようと、

「カミクズさん」

 して、立ち止まって振り向いた。

「W誰かがそこで生きていた事の名残を感じていたいW。
 海でそう話していましたよね。誰かが居たんだなと安心すると。
 ……こんな痕跡でも?」

 乾いた赤を感慨もなくモップで叩いた。

 薬局

「はい、どうしまし…」

た、と続けようとして。
投げ掛けられた問い、示されたものに、暫しの沈黙の後。

「…その最たるものじゃないですか、これは」

眉を下げて笑って、それを肯定した。

「誰かが生きて、生きようとした事の、名残じゃないですか。
 その終わりに寄り添ったものの、名残じゃないですか。
 それを汲み取る事のできる、最後の痕跡じゃないですか。
 …人が人らしく生きた・・・・・・・・ように、思えるじゃないですか。」

乾いた血痕に視線を落として、殆ど独白のようにそう零して。
それから、ふと顔を上げてあなたの方を見た。
寂しいような、悲しいような、複雑な色の笑みだった。

「ねえ、ユスさん」

「全部綺麗にしてしまったら、わからなくなるんですよ。
 その人がどんなふうに生きたのか、どんな終わりだったのか。
 どんな事を、思っていたのか。
 それらを懐うことが、二度とできなくなってしまうんです」

「自分は、それは少し寂しい事のように思うんです」

病室の、一人になる時間で。
端末を弄って、息をついた。
生きるようにと願われた。
生きたいと、思ってしまっている。
思っている。
思えば、思うほどに。
この端末の中の機能が、疎ましく感じる。

「……今日は、ツルギくんにする。」

端末を一つ、タップして。

「明日はどうしよう」
「どうすればいい?」

「ナツメさんは、看病してくれた。」
「打算でも何でも、そうしてくれた。」
「カイくんもそう。」
「わざわざ薬まで作ってくれた。」
「ハナサキさんは、話したことはないけれど。」
「ナツメさんが、命をとして助けたいらしい。義理がある。」
「フカワくんは。」
「殺したく、無い。」

「俺は」



「俺は、ヒメノさんを殺してる。」



「じゃあもう、そうするしかないんじゃないか?」


ヒメノさん。
俺、やっと君の気持ち、理解できたかもな。
……生きたくてたまらないのに、死ななきゃいけないの。
こういう気持ちなのか。


ごめんね。




「明日は立候補しよう。」




そうするしかもう、ないよ。

 




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