人狼物語 三日月国


113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】

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オーウェン! 今日がお前の命日だ!

オーウェンは、尻を撫でてきた中年をしたたかに尻尾で打ちつけた。
(a2) 2021/12/18(Sat) 23:14:46

【人】 埃運び オーウェン

>>@3

「誰に悪いことを、だって?」

都市の道すがら。相変わらず険の深い表情をした配達屋が、
異邦に向かう詩人を待ち受けていた。
傍には大鷲を連れて、その背を撫でながら。

「まさか忘れてた、なんて言うわけじゃないだろうな。

 仕事を持ちかけられたってんなら、
 そのチャンスを逃すわけにゃいかないんでね」

ホイッスルを片手にそう不敵に笑いかける。
埃運びは露ほども知らない。目の前の彼が、
やがて称されることになる名前のことを。その所以を。

「依頼料は受け取った。
 『もう行く』ってのは……“そういうこと”だろう?
 わがままな客の為にここまで出てやったんですわ」

封筒を片手に。配達屋に配達なんて、
とんだ皮肉をやってくれたもんだ。
お陰様で、怒りの力が行動まで赴いてしまった。
(5) 2021/12/19(Sun) 2:16:55

【人】 埃運び オーウェン

>>@4 フェリックス

「お互い様だろ。こんな真似しなきゃ、
 出ていくのを黙って見逃しても良かったんだが」

中から手紙を引き抜いて、
これみよがしに千々に引き裂く。

その仕草からして、意図には気付いているようで、
つまりここで行われたのは皮肉の応酬ということ。

「バーカ。あれこれ済んだから遠くに行くんじゃねえか。
 冒険者の行く末を見守る。俺とおたくは、
 そう遠くない事をしてたと思うんだけどな?」

大鷲を空に放ち、
ずかずかと力強い足踏みで近寄っていく。

「おまじないはもうかけ終わった。
 残った仕事は片付いた。
 ならお前の気遣いは、余計なお世話っつー事!」
(7) 2021/12/19(Sun) 2:33:47

【人】 埃運び オーウェン

>>@7 フェリックス

「お前の」

より強く、一歩を踏み出して、
気づけばもう真正面に。

「その全部見透かしたような態度、
 気に入らないんだよ。
 詩人だからといって、世界の何もかもがお噺ってか?」

飄々とした調子が癇に障って、
眉間に皺を寄せながら睨みつける。

「危険を厭うなら、
 革命軍なんかにわざわざ身を置くもんかよ。

 俺は気に食わないものを壊す為に色々やってきてんだ、死ぬかもって脅されたくらいじゃあ止まってやるもんか。

 寧ろ、お前が迷惑がるくらいのが心地いいね」

アウズンブラは、配達でもなかなか足を運ばない土地だ。
遍くものを白に還す場所に何を運び、何かを出すなんてそうそうあったものではない。

それでも。地理なら頭に叩き込んでいる。軽い男を一人運び入れるくらい屁でもない。今の配達屋にとってはそれが全てだ。
(8) 2021/12/19(Sun) 2:58:10

【人】 埃運び オーウェン

>>@11 フェリックス

「フェリックスのことだ、
 どうせそれほど問題のない路を選んでるものだと思ってたけども……」

何やら魔法を行使したところを見る限りは、まあ、そこらの市民に聞かれても拙いものは拙いか。

「本当にお節介野郎だな。
 配達屋を運ぶなんて、別に棺桶にぶち込まれるならおたくだけでいいのに。

 そうならなかった今を謳歌しようってんなら、肯いてやらんこともない」

尊大な笑みを作って。
まるで、熟練の役者みたいに。

(9) 2021/12/19(Sun) 3:35:35

【人】 誇りある運び人 オーウェン


>>@11

「選ぶのはテメェだよ、詩人。
 陸路か、海路か空路か。
 客の望むように運ぶのが道理ってもんだ。

 それすらないなら俺にどんな運ばれ方をしても構わないってことだ、その時は腹を括って覚悟決めるがいい」

帽子を押し上げて、
面倒だらけの男と、未来を視る。

わざわざ嫌いな物にのめり込むなんて、
昔の自分が見たらなんて言うだろうか。
今でさえも悪態は吐きたい。

それでも、

「行く先がつまらないならそこで放り出すからな。その観劇眼くらいには──」

自分に相応しい冒険は、そんな形で。

「期待してる!」

そんな無邪気な、子供心を思い出すのだ。
(10) 2021/12/19(Sun) 3:40:28
「―――えぇ」

そうであると。
貴方も思ってくれること。

「私も、とても嬉しい」

以前と同じ事を。
以前よりも柔らかな表情で返した。

実験体や奴隷に近い扱いを受けていたという所はもやりとしたものが燻ったが。

似ているなと思った事も、あるのだ。
掃き溜めで生まれたこと。拾われたこと。救われたこと。
形は違えど、『親』を手伝っていたこと。
どうあれ、最期を見送ったこと。

食事も決めきれなかった貴方だ。
なし崩しになったとはいえ、仕事が勝手に舞い込んでくるものでもない冒険者という職には苦労したのだろうと思う。
実際に難儀している所を見た事だってあっただろう。

「……何故、その方が貴方に自身を殺すよう命じたのか。
理由はわからないのですか?」

その魔術師は最期に何を思ったのだろう。
つい、そんな疑問が口をつく。
―――貴方を困らせたり傷つけるような問ではなかったか。
言いたくなければ無理には、と慌てて添えた。

"あの頃生きていた自分"と"今ここにいる自分は"違うと認識している。前世の記憶みたいに。他人事というには近くて、自分のことだと言うには少し遠い。
でも確かに身体に刻み込まれている記憶は、掘り起せば
じわじわと。蝕むように蘇ってくる。あれは自分だった。

「あの時、殺せと命じられたのは──"家族"」

「目の前に用意された、見たことのない人間を殺した記憶はある。……おれはたぶん、それを家族だと認識できなかった」

生みの親の顔なんて覚えてなかったから。
だから、本当に命令通りに家族と思っている者を殺しただけだ。

「"殺してみろ"」

「"身内も殺せないような脆弱なヤツはいらない"」


彼の最期のことばは、それだった。
そこからもう命令してくる声は二度と聞こえなくなった。

「…………それだけだ」

せめて苦しまないように、即死できるような殺し方をした。
何を思い、死んでいったなど、知る由もない。
もし、死人に口があったらと考えると
その時、はじめて……恐ろしいと感じた覚えがある。

「おれはきっと、捨てられるのが怖かったのだろう。
 だが、その行動の矛盾に気づかないくらいどうかしていた」

しかしそれも、もう昔のこと。
今更困ることも、傷がつくこともない。
もしそうだとしても、そんな顔は貴方には見せない。

「………おれが、貴方に命令を乞うたのも
 そういった生き方しか、してこなかったからだ」

これは、前にも同じようなことを言ったかもしれない。
最初から、貴方でなくてはいけない理由なんてなかった。
誰でもいいからただ使ってくれればいい、簡単で単純な願い。
それだけで救われていた。

ただ、貴方の下す命令は、いつも知らない感覚を覚える。
だけど、その自身の望みによって、貴方の役に立てることに
感じる喜びは、いままでのものは同じようで、すこし違った。

「……でも、おれは貴方のおかげで、少し自分の望みを
 許せるようになった、気がする……」

きっと様々な生き方があることをこれからも知っていく。すこしづつ、明りが灯るように、見える景色がひろがっていく。

「……………ああ、そうか…………」
「だから、」

何かに思い至ったように口を開く。

「これからもそれ
<喜び>
をおれに教えてほしい」

この街は、きっとこれから変わっていく。貴方が言っていた『より良い日々』かもしれないし、そうでないのかもしれない。


ただ、確かに言えるのは。どう景色が変わっていこうとも
番犬は──エドゥアルトは貴方の傍にいる。

くそったれ。


顔も知らない魔術師に思ったのはそんな言葉だ。
それでも貴方にとっては『家族』であって、捨てられたくなくて、大事な人だったのだから。

これもまた言葉を飲み込んで、素知らぬ顔でいるのだ。

「……それは、仕方ありませんよ。
だって、知りもしない『肉親』を家族だなんて思えないじゃないですか。
だって、貴方にとっての『家族』はそれぐらい大事だったんじゃないですか。
見捨てられたり失望されたり、したくなかったのでしょう」

自分だってそうだと零す。
少しの行き違いが起きて、これはその行き違いが取り返しのつかない事だった。
『それだけ』の話。
……そう思わないと、どうにも、誰も救われない話。

切欠は互いの声が聞こえた事。
理由がどうあれ、『より良い日々』を共に想ってくれた。
貴方の喜びが、もっと広がればいいと思うのだ。

「―――えぇ。
私が知るものを全部、教えましょう。
貴方が自分のそれ
<喜び>
を選び取れるよう。
もっと、たくさんの事を」

この街はまた、変わっていく。
良い方にも悪い方にも。
きっとどちらにも傾いて、最後にどこに辿り着くのかはまだわからない。

「……今度、屋台にでも行きましょう。
私はチキンが一押しですが、まだおいしいものはたくさんあります。
貴方のお気に入りを探してみたい」

それでも、きっと昨日より『良い日々』になるだろうと思う事ができる。
灯りに照らされ伸びる影は、もうひとつだけではないのだから。

オーウェンは、踏み入れた。それはきっと、大切な一歩目だ。
(a63) 2021/12/20(Mon) 20:59:46

 




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