165 【R-18】シュガートースト、はちみつミルクを添えて
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| おお、慣れてるんだな……! やっぱ定番か。 [頼んだ理由が理由だけに >>0:36 手慣れた仕草で龍を描く姿を納得の表情で見守った。 世間話に応じる余裕があるのも、 >>0:39 それだけ熟練しているということ。 代金には僅かながら色をつけ、龍を受け取る >>0:40] ありがとな、いい思い出になった。 [続けて買う気の無い客が居座っても邪魔なだけ。 礼を言った後、男は素直にその場から離れた] (2) 2022/07/31(Sun) 10:02:37 |
| [さて、良さそうな獲物が見つかったし、 住処がこの辺りなら、そう慌てなくとも 捕らえることは可能そうである。
空を見れば、別便の同胞も町に着いている頃合い。 一度待ち合わせ場所に向かって、 それから祭の終わりまで付近で張り込もうと考えた。
糖画を二つ持ち歩くのは不自由だ。 道すがらどちらか食べることになるだろう。 片方は同胞への手土産とする予定であった] (3) 2022/07/31(Sun) 10:02:56 |
| [糖画職人の帰り道の後をつけて、 隙を突くか、後日待ち伏せるか。
どちらにするかは状況次第だろうけれど、 同胞を連れて戻った後、そうするつもりだった。
問題は。 糖画職人を少年と思い込んでいることである]** (4) 2022/07/31(Sun) 10:03:11 |
| [同胞を連れて祭の会場に戻ったのは、ちょうど夕刻。 >>5 ちょうど糖画の屋台が店じまいの頃合いであった。 同胞に合図を送って、離れた場所から静かに後をつける。 重そうな荷車もあって追うのは簡単だった。 >>7 気付かれないように細心の注意をしながら こっそりと後をつけていれば、向かう先は どんどん治安が悪そうになっていく。 >>0:19 少しずつ距離を詰めながら、その背を追った] (8) 2022/07/31(Sun) 14:17:57 |
| [人通りが少なく、多少人目についたところで 助ける者も無さそうなあたりに差しかかったとき、 男は物陰から飛び出して、糖画職人の少年 ──だと思っている──を捕らえようと試みた。
少年と思い込んだ上にどことも狙いを定めていない以上、 触れるだろう場所は胸のあたり。 乱暴に捕まえようとすることになったが、 果たしてそれは叶ったか。 叶ったとして、性別に気付けそうな感触はあるだろうか]** (9) 2022/07/31(Sun) 14:18:12 |
| [抵抗されるかと思いきや、従順な態度をとられ、 >>18 目を瞬くことになった。 少年の胸板と思うには違和感のある感触だったものの、 荒い口調も相まって、誤解が解けるには至らず] 聞き分けいいんだな。 飲んでくれるってんなら、俺たちと旅行しない? [『旅行』なんぞ方便で、誘拐した末に売り飛ばす気である。 『今日の売上』とは比較にならない額になるであろう]* (19) 2022/07/31(Sun) 22:54:23 |
| [ >>20荷車の話を言われると、ちらりと視線を向けた] 俺の趣味で選んでるわけじゃねーけどな。 それも一緒に持ってく。 あんたに仕事させるのに必要だろうし。 [職人の仕事道具である。 単身連れて行くだけより話が早いだろう] (23) 2022/07/31(Sun) 23:18:32 |
| [そこまで言うと、捕らえた相手を肩まで担ぎ上げようと 腰に手を回したのだが]
……あれ。
[細身とはいえ、少年にしては妙に丸い腰つきな気がした。 腰から太ももまで、体型を確かめるように 撫で下ろそうとしつつ]
お前……、もしかして女か?
[それが叶ったかはともかくとして、問いかけた。 その問いを聞いて、周囲の同胞たちも動揺した様子である]* (24) 2022/07/31(Sun) 23:19:36 |
| [一度は担ぎ上げようとしたのだが。 >>25 女と聞いて、焦った様子で手を止めた] えっ……マジか。えぇ……。 男かと思ってたわ……。 んん、どうするか……。 [彼女の身体は捕らえたまま、触れても差し支えが 無さそうなあたりに手を移動させた。 女性の買い手も、もちろん無いわけではないのだが。 彼女を攫おうと考えたのは、少年と思い込んだ故である。 それに、男たちの活動にはささやかな信条があった。 女性を標的にしない主義なのである] (26) 2022/08/01(Mon) 0:11:09 |
| いや……うん……、ダメだ、やめとこう。 悪い、女に手を出す気は無かった。 詫びさせてくれ……。 [溜息をつきながら腕を離し、彼女から一歩離れた。 空の両手を挙げ、敵意が無いことを表す] ……その荷車運ぼうか? 家まで着いてこられんのは嫌だろうし、 途中まででも。 [ >>20先ほど頼まれたことを思い出し、提案する。 彼女はどう答えるかと、不安そうに視線を送った]** (27) 2022/08/01(Mon) 0:11:29 |
| [詫びようもない状況なのではと思ったところに 一応は受け入れてもらえて、ほっとする >>29] ああ、わかった……って乗るのかよ。 つーかお前、そんなにガキだったの? [荷車に乗り込む姿を見て困惑しつつ、 >>30 オッサン呼ばわりにも戸惑って問い返した。 確かに発育途上の体型にも思われたが] (32) 2022/08/01(Mon) 11:54:50 |
|
あー、俺だけでいいよ、お前らは解散。 なんか目星つけてきてくれ……。
[荷車運びを手伝おうとする同胞に手を振って、 それぞれに去っていくのを見届けてから、 彼女が乗り込んだ荷車を引くことにした。
大分重いが、それでも彼女が独りで運んでいたときよりは いくらか足取りは早くなった。 休憩を挟む頻度も彼女よりは少ないだろう。
奇しくも『旅行』だけはすることになってしまい、 男もまた調子が狂っていた]** (33) 2022/08/01(Mon) 11:55:41 |
| じゃあそんな歳違わねぇだろうが……。 [ >>34成人してると申告され、不満そうな声を上げた。 >>35問いかけられた言葉には、少し悩む様子を見せて] 矜持ってほど立派なもんじゃないが、 まぁそれもある。 あとは、地元のお得意様方が少年趣味でな。 男のほうが買い手がつきやすい。 [詫びも兼ねて事情を話し、背後の様子を窺った。 彼女の内心のコンプレックスには気付かない様子である]* (37) 2022/08/01(Mon) 19:57:51 |
| 俺にはちゃんとした名前があんだよ……。 ……女も売ろうとすりゃ売れるんだろうし、 贅沢言ってる場合でもないんだけどな。 俺たちは女には手を出さない主義なんだ。 [呼び名に不満そうにしながらも、普通に会話する。 皮肉っぽい態度をとられても、 >>38 不満を言える立場ではないため、黙っていた] 旅人……ではねえんだよな。 地元を離れたのは今回が初めてだ。 (41) 2022/08/01(Mon) 21:56:26 |
| [そこそこの距離を歩いてさすがに疲れ、 一旦小休止をとって振り返って]
まだ距離あんのか? いつもこんなに時間かけて通ってんの。
[荷車が重い理由は、人が乗っているせいだけではない。 それは彼女の姿を見ていてもわかった。
そうまでしてその暮らしに拘るのは、 それが職人というものなのだろうか。
ジャヤートは話をするうち、 彼女に興味が湧き始めている自分に気付いた]* (42) 2022/08/01(Mon) 21:57:43 |
| [深く問われないことは幸いであった。 >>43 悠長に名乗れる身分ではないからだ。 そろそろ家だと言われれば、 >>44 この辺りで別れることになるのだろうと思ったが。 突然の雷雨には慌てた >>45] ツイてないにも限度ってねえかな!? [獲物を見つけたかと思ったら女性であったし、 帰り道で突然の雷雨。 空をよく見ていれば雲行きの怪しさに気付けたろうが、 そこまで気にかけている余裕が無かったのだ] (47) 2022/08/01(Mon) 23:35:35 |
| えっ宿……、あ、あれか! [彼女の言葉に前方を見て、宿屋の看板を見つける。 >>46 降りてもらえないものかと彼女の様子を見て、 雷の音に身を竦ませているのに気付いて] ったく……! 落ちないようにしがみついてろよ! [怯える女性を荷車から放り出すのも気が引けて、 そのまま荷車を引いて必死に走った。 宿の軒下で力尽きても、雨宿りの間に休めるだろう] (48) 2022/08/01(Mon) 23:35:54 |
| [少々経って、宿へは無事到着した。 軒下に荷車を入れて、雨が凌げそうなのを確かめて、 そのまま外壁にもたれた]
大丈夫かぁ……? 災難だったな……。
[さすがに疲れ果てた様子を見せながら、 彼女は無事かと視線を送る。 短時間とはいえ、ここまでの間、雨に打たれていたのだ。 もっとも、それはジャヤートも同じことなのだが]** (49) 2022/08/01(Mon) 23:36:35 |
| [荷物が無事と聞き、ほっと一息ついた。 >>50 宿の話を聞いて >>51] ほんっと長旅してんのな。 泊まることになったら各自で払おうぜ。 [宿代を払ってもらえるような関係でもないし、と 念を押しつつ。 中に入って止まない雨にうんざりしながら過ごしていたが] (53) 2022/08/02(Tue) 8:25:53 |
| [空き部屋が一室と言われて >>52] ……どうする。家まで強行軍するか? するなら手伝うぞ。 あんたがいいなら俺は同室でも構わねぇけど。 [即決で同室に泊まる仲でもない。 彼女が帰る気なら手伝う意志があった。 家まで着いていくことになるが。 泊まる予定だった宿までもかなり距離がある。 ジャヤートは雷はさほど苦でないが、 それを差し引いても、土地勘のない土地で豪雨の中を 歩き回る気にはあまりなれない。 安全のためにも、できたら一泊しておきたいところだった]** (54) 2022/08/02(Tue) 8:26:19 |
| [態度に疑問を抱かれていることには >>55 気付きはしないまま。 彼女の心中など当然知る由もない。 >>56 潔い返事を聞くと >>58、溜息が漏れた] 今日はお互い散々だな……、まぁ仕方ねえ。 止みそうにないし、泊まってくか……。 [せめて雨足が弱まってくれれば、と思っても 日の暮れた後に雨の中を歩くなどもってのほかである。 荷車は宿で管理してくれるのだろうし、と 部屋に向かうことにした。 同胞との連絡の取りようがないが、諦めるしかなさそうだ]* (59) 2022/08/02(Tue) 16:04:12 |
[部屋に入った後]
服乾かしたいんだけどさ。
脱いでもいいか?
[ちらりと彼女を見やって尋ねた。
脱ぐと言っても全裸になる気はもちろんないが。
濡れたままの服を着っぱなしは身体が冷える。
それはもちろんお互いさまである。
安宿だそうだが、浴衣の類やタオルは
借りられるのだろうか]**
おー、構わねえよ。
俺も着替えたいし……お互い反対方向みながらで、いいよな?
[案内された部屋は、二人で泊まるにはいささか狭い。布団とソファが一つづつあるから、寝る場所は大丈夫だろう。]
浴衣とタオルはそっちの棚に入ってるから、勝手に使え。風呂場は部屋出てちょっと行ったところ。
[浴衣類については、二人分用意されていたはずなので困らないはず。]**
[天罰なら巻き込み事故を起こしてしまったのでは?
などと思ったが、言わずにおいた]
オーケー。
風呂場あるならついでに温まってくるか。
[言われた棚を見つけて、
自分の分のタオルと浴衣を確保した後、
彼女のほうへも一組放り投げる。
濡れてしまった上着を今脱ぐか考えて、
脱衣所でいいか、と結論づけた]
飯は? 中に食える場所あるのか?
[それとも食事付きなのだろうか。
その答えを聞いた後、風呂場へ向かうだろう]**
お、どうもな。
[投げ渡された浴衣類を受け取る。
……そういえば、風呂場があるんだから、わざわざ同じ部屋で着替える必要は無かったな、と思い返す。]
メシ……は、頼めば作ってもらえるよ。追加料金かかるけど。
味は普通。
[食事の件について軽く説明した後、「風呂へ向かう」と言った男を見送る。]
(なりゆきとはいえ、妙な事になったもんだ。)
[一人、残された部屋で着替えながら。今日のことについてぼんやりと振り返っていた。]**
んじゃ、風呂から出たら頼んでくるかな。
お前もいるならついでに頼むが、どうする?
[食事の件にそう返して、
返事を待った後、軽く手を振って風呂場へと向かった]
[満室なだけあって、風呂場にはそこそこ人がいた。
混雑するような立地に見えなかったが、
それでもこれだけ混み合うのは祭の最中だからだろうか。
湯加減は少し熱く感じられ、
身体が冷えていたことを実感する。
湯船でのんびりと温まりながら考えるのは、
同胞のことや稼ぎのこと。
せっかくの遠出だし、何かしら戦利品がほしいところだった]
[もっとも、正直なところを言えば、
「まともな職にありつきたい」になるのだが。
それができないからこんな暮らしをしているのだ。
そんな久しく考えていなかった思考が浮かぶのは、
手に職をつけて稼いでいる人を間近に見たせいかもしれない]
[しばらくして、風呂から出て着替えれば、
その足で食事を頼みに行った。
出来上がったら部屋まで運んでくれるようだ。
部屋へ戻ったとき、彼女はどうしていただろうか。
その場にいたなら「ただいま」と一声かけるだろう。
濡れた衣類は脱衣所で水気を絞った末、
部屋の隅にかけておくことにした]**
お、気ぃきくじゃん。
ありがとな。いってら。
[そう言って送り出してから、暫く経った。]
おかえり。
風呂どうだった?
メシ食ったら行ってくるわ。
[少しの間だったのに、やけに長く感じた待ち時間。
こちらは既に浴衣に着替えており、濡れた衣服も干している。]
[浴衣姿の男を見て、小声で呟く。]
……改めて……わりとガタイいいのな、羨ましいわ。
[掴みかかられた時に薄々察してはいたが。
小柄で筋肉もあまり付いていない己の身体とつい、比較してしまった。性差もあるだろうし、育った環境の違いもあるのかもしれない。]
とりあえず寝床決めるか。俺が布団でお前がソファでいいな?
[先程、呟いたことは無かったように。寝具をどちらが使うか決める事にした。]**
[戻ると普通に挨拶を返してもらえて、
微笑み返した]
ん、思ってたより落ち着くとこだった。
メシは出来たら届けてくれるってよ。
[他にも頼んでいる人がいるだろうし、
適した時間帯にまとめて各部屋に届けられるのかもしれない]
[浴衣に着替えた彼女は、身体の細さが際立つように思えた。
その彼女の呟きが微かに耳に届いたが
打ち消すような言葉を聞くと、追及はせず]
いいけど……、狭そうだなソファ。
床よりマシか……。
[女性のほうが上等な寝床を使うのが筋であろうし、
無礼をはたらいた立場でもある。
あまり強く抗議する気はなかった]
[寝床に決まったソファに移動して座ってみれば、
予想より座り心地が良く、そこそこ眠れそうであった。
そこから彼女をじっと見据えて]
ところで、お前さ。
なんでそんな荒々しい口調なんだ?
[ふと疑問に思ったことを尋ねた。
それもあって少年かと思い込んだのだが。
何か意図があるのだろうかと、首を傾げた]**
そーかい。なら、何より。
メシ楽しみだなー
じゃ、決まり。本当だったらカッッタイ床で寝かせてやってもいいんだからな?
[夕飯までの間、とりあえず当たり障りのない話題を振っておくか……と、相手への返事をしながら考えていた]
[……ところで、相手から話題が出てきた]
え?
…………なんとなく?
[口調の事について尋ねられたのは、初めてな気がする。
そもそも、己が男だとか女だとか気にしてくるような輩は、そんなに多くなかったという理由もあるが。]
…………なんとなくさあ、身内をさ、守りたかったから…………かなあ。俺が「女」だって知られると、色々めんどいってのもちょっとはあるけど。
……大本の理由は、それだな。
[明言は避けたが、自分がこうなった理由は、実は覚えている。
母は、よく自分を「あの人にそっくり」だと語っていた。
……その、「あの人」が、顔も名前も知らない父親の事だろうということは、なんとなく察していた。
『母さんはきっと、まだ忘れられないんだ』
そう、思ったから。少しでも、「父さん」の代わりになれたらと、そう思って。なんとなく男らしく振る舞うようになった。
……それがきっかけ、だったと思う。]**
……床は勘弁。
[寝床の話にはそれだけ返した。
一応折り合いはついているし、一夜だけのことだ。
だからこれで良しとした]
[口調について尋ねて返ってきた言葉は
あまり予想していなかったもので、更に首を傾げた]
身内を……守る……?
口調や態度で守れるってのはよくわかんねぇな……
女と知られたくねえってのはわかるけど。
この辺、治安悪そうだし。
[男にとっては仕事のしやすそうな土地でもある。
治安だけが理由でもないのだろうが、
理由のひとつにはなりそうなものだ]*
んあー……変な返事して悪ィけど。お前に言えるのはこれくらい。
そうそう、女だって分かると色々ナメてくる奴とかいるしさ。
オッサンは?なんか苦労話とかねえの?
[深く掘り下げてくることはなさそうだ。安堵しつつ、こちらからも深入りしない程度の話題を振る。
話が一通り終わったところで、食事を運びに使用人がやってくるだろう。]**
あー、おう……まぁ初対面だしな。
[思わせぶりなことを言われたかと思うと、
きっぱりとラインを引かれた。
そのぐらいの距離感を保ちたいということかと、
大人しく引き下がることにして]
俺の苦労話ねえー……?
ろくな仕事にありつけねぇってくらいかね。
なんとか食い繋げてはいるけどな。
[入浴中にも思い浮かんだせいだろう。
真っ先に出てきたのはこのことだった。
普段からこんなことを考えているわけではないのだが]
最近は地元じゃ稼ぎづらくなってきてな。
ちょっと遠出してみることにして、ここまで来たんだ。
[ここまでの道中でも少し話した内容を補足する。
詳しく知らせるような話でもないのだが、
なんとなく話したい気分になったのだった]
[料理が着くのはその頃か。
テーブルに並べてもらって礼を言い、使用人を見送って]
美味そうじゃん。
食べるとするか。
[一日の終わりだし、肉体労働の後である。
雨の中に屋根の下にいられて
温かい食事にありつけることに、素直に感謝が湧いた]*
ふーん。……やっぱりお偉いサンとかに目ェつけられたりとかしてんの?
[もう少し詳しく尋ねてみてもいいかな、と一瞬考えたが。向こうにだって言いたくない事はたくさんあるだろう。軽めの問いかけにしておいた。
たまたま拐おうとして、アテが外れて。妙な縁で一緒にいる相手に、吐き出すような内容でもないだろうし。]
ありがとさん。
[運ばれてきた食事に、同じようにお礼を言って食べ始める。
味はそこそこ、実に庶民的な味だが。
……久しぶりに、誰かと一緒に食べる食事は、なんだかいつもより美味しくて。]
……なんか、今日のメシはいつもより、美味ェわ。
[気が付かないうちに、笑顔になっていた、のだった。]**
そんなとこだな。
俺がってーより、仲間が全体的に。
[やっていることがことだけに、想像がつくだろう。
その程度のことは隠す気もなく、正直に明かした。
あまり深く語る気が無いのはお互いさまであった]
[旅先で、奇妙な縁で同室になった人と食べる料理というのは
味わいも変わるものなのかもしれない。
普通と言われた料理が、何だか際立った印象を持っていた。
それは彼女も同様なのか、感想を聞いて顔を上げてみると、
笑顔を浮かべているのが見えて]
散々な一日だが、飯が美味いと元気出てくるな。
[今日はお互いに『ツイてない日』である。
それでも終わりが良いと、悪くない日だったように
思えてくるから不思議なものだ]*
なーるほどなあ……あの、オッサンと一緒にいたヤロウどもだろ?
仲間思いなんだな。
[返ってきた返事に「仲間」という単語があったので、少し意外だな、と思う。……彼は、褒められたような仕事はしていないものの、一人で生きてきたわけではないのか。
なんとも言えない感情が内側で渦巻いたが、口にすることはなかった。]
だなあ。ま、こういう日もあるもんよ。
[『ツイていない日』だな、と最初は感じていたのに、気がついたら少し、楽しい日だったな、に変わっている己に驚きつつ。
悪い日ではない、というのは良いことだから。適度に会話をはさみつつ食卓を囲んだ。]
じゃあ、俺は風呂行ってくるわ。
寝たいんだったら先に寝てていいからな。
……先に言っとく、おやすみ。
[食後、部屋を出て風呂場へと向かう。途中で従業員に食器の片付けを頼んでおく。
……風呂から戻ったとき、彼は起きているだろうか。寝ているだろうか。]**
[「仲間思い」と言われてきょとんとした。
そんなに特別なことという意識がなかったからだ]
……そりゃあな。
何年も一緒に暮らしてりゃ情も湧くし、
似通った事情の奴らが多いし。
[早くに親を亡くしたとか、親に捨てられたとか。
経緯はともあれ、皆、身寄りのない子どもだった。
生きていくには犯罪に手を染めるしか
なかったというわけだ。
そこまで彼女に語る気は無かったが]
こんな日は一生の中でも
そうそうない気がするぜ?
[誘拐しようとした相手を手助けして、
共に宿に泊まって、一緒に食事をしている。
なんとも奇妙な話である。
彼女にとってもそれは同じだろう。
結果的に『いい日』で終わるのなら、
詫びになったとは言ってもいいのかもしれない]
[食事を終えると、今度は彼女が入浴する番だった]
食後すぐって気持ち悪くならねぇか……?
まぁ、おやすみ。
起きてるかもしんねーけど。
[素朴な疑問を投げかけつつ、彼女を見送る。
その後少ししてやってきた使用人には、
食器を片付けてもらった。
その後はソファに寝転がってみて狭さを実感しながら、
止まない雨音に耳を傾けた。
一時は静かになっていた雷鳴も、また轟き始めている。
彼女が帰ってくる頃には一瞬うたた寝しかけていたが、
物音でハッとして視線を向けるだろう]**
ふうん。そうなのか。
……大事にしてやりなよ、「別れ」ってのはいつだって突然だからさ。
[間の抜けた表情をした男に、「俺とコイツは似てるようで似てないのかもな」と思う。
お互いにあまり裕福な暮らしはしてないだろうし、阿漕な事もやってきたのであろう事は想像に難くないのだが。
「近くに誰かがいてくれた」「離れないでずっと側にいる」
……そんな事がきっと当たり前だったのだ。自分と違って。]
もう二度と遭いたくはねーけどな。
[軽く笑ってみせて、誤魔化す。
明日になったらただの他人。もう二度と会うこともないだろう相手。
こうなった経緯は、あまり良いものでは無かったはずなのに。内側でずっと燻っている感情が溢れそうになって、]
んじゃ、風呂入ってくるわ。
[思考を振り払い、風呂場へと向かった]
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