100 【身内RP】待宵館で月を待つ2【R18G】
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「
……仮装なんてしてないから、無効ですよね〜
」
何もできない事ができる
とキエは確信していたが敢えて口には出さなかった。どうせリーパーも同意するからだ。
「
なァ君、ゲイザー君だけ消す方法があるとしたら乗るかい?
此れは君達の協力とこの館の応用が合わさって初めて成り立つ手段でねェ、本来今の僕にはできない事なんだ」
其れは悪魔の囁き。
其れは頷くだけで望みを叶える地獄の片道切符。
リーパーは愚かな殺人鬼だった。
犯行は気紛れで、周到さの欠片もない。
今まで捕まらなかったのはその性質と時代柄、
そして生存本能故だ。
「あ!? ンだよそれ、今のオレにピッタリだ。
さっさと教えろ、アイツを消す方法をさ!」
だから、断る理由なんてなかった。
まるで傀儡? すこし違う。
これはあくまで、双方の同意によるものだ。
だって利害は一致しているのだから。
リーパーは元より地獄を歩んでいる。
何も変わらない。
| ミズガネは、変な酔っ払いは、くしゃみをした。くしゅんっ! (a41) 2021/10/18(Mon) 22:05:47 |
キエは美食家を自称するが実際は只の偏食家だ。しかし一挙両得となれば考える。オマケがあるなら受け取る物だってあるだろう。
「人格を形作るのがその人の記憶だという事は知っているかい?
寝て見る夢が記憶から生まれる物だという事は知っているかい?
だからねェ、
」
「僕ァ夢を丸ごと食べる事は普段しないんだが…其れによって何か別の利益があるなら話は別だ。なあリーパー君、」
「ギャハハハ、おっと、これはこれは……。
腹の底に一物抱えているとは思ったが、こいつはトんだ大物だ。
腹が膨れてきってて、その奥ひとつ見えやしない!」
「
ゲイザーの人格をくれてやる」
「あぁ、かわいそうなゲイザー。
結局、アンタにとってもあの女は飯の種にすぎないらしい!」
「……ひとつ条件がある。出来るか?
オレたちは二又に分かれた枝のようなもの。
根っこ──分化前の記憶を消してしまえば
オレの人格も消え、ただの肉人形になる」
「出た芽を摘むように──
表層だけを喰らえ。
ゲイザーをゲイザーたらしめるものだけを奪え。
オレが肉体の主導権を得るのには。
ゲイザーという精神性をゴミ箱の奥底に
押し込むには、それで十分!
お味も結構だろうさ。知らんけど」
「記憶を食うという芸当が出来るんだ。
これまでそいつでたらふくお食事を重ねてきたんだろ?
これくらいの小細工、出来る筈だ」
「ゲイザー、一つ言うのを忘れていた。
お前まだあのインチキ詐欺師探偵と何か依頼めいた話をしていないだろうな?」
またも唐突な連絡。貴方は聞くだけでも構わない。それくらいの雑な連絡だった。
「あいつに相談事するにしても、何か取引持ちかけられたら警戒しろ。というか話は聞いても取引はするな。無闇矢鱈にホイホイ契約してはいけない。これはまあ外の世界でもそうだが。
……いいな?俺からは以上だ」
| 「……気持ち悪い……ゔ……」 ハロウィンパーティから戻った後、自室で少し休んだ吟遊詩人が広間に現れた。飲み過ぎによるグロッキーだ。 いつも通りの神経質そうな様子に不機嫌さと具合の悪さが加えられいつにも増して空気が重い。どことなく湿度が高い。 当の本人は空気感などお構いなしなので、下女を捕まえて白湯と迎え酒を要求して広間の隅に居座っていた。 (15) 2021/10/19(Tue) 12:04:18 |
| 使用人によって運ばれてきた紅茶を訝しげに見つめる。まだまだ白い顔のまま。 >>t0 「……これは?俺は酒を頼んだんだが。 …………はあ?あの座長から?お前、俺があの主人気取りの座長のこと気に食わないと思っているの知っているだろう」 いらないとすげなく断ろうとして、悩んでからため息を吐き出した。 「……お前に免じてこれは貰っておく。下がっていい。 ただあの座長には『俺に構うな』と伝えておけ。いいな?」 もう一度ため息をついて、観念したように紅茶に口付けた。 (16) 2021/10/19(Tue) 13:00:29 |
「君にとっちゃ蜘蛛の糸だろうに化け物だなんて酷いなァ。誰だって自分の腹の中は見えないんだから知らないさ」
リーパーの疑問と条件には軽く頷いた。
「できるとも、僕も大喰らいじゃないからその方が助かるねェ。では僕が考えている手段について説明しよう。
先ず此の館に神隠しという現象があるのは知っている通り。
此処の主人による意向で消える客が決まる訳だが⏤⏤ある程度は此方の意思を汲んでくれるらしい。長くいる使用人曰く複数人に願われた結果消えた者もいたそうだ。
僕ァこれが利用できると踏んでいてね。今の僕じゃ人格まで手を出すのは難しい。しかし同じタイミングで食べれば、ゲイザー君という人格さえ奪える筈さ。
“ゲイザー”の行き先だけ僕の腹に変えれば良い
からねェ」
「つまり、ゲイザーの人格を”神隠し”するわけだ。
館の魔力に便乗してな」
「あのグズ女は嫌われモンだ。
その理屈じゃあ、遅かれ早かれ神隠しされているだろうさ。
それとも、ここのゲストに頼んでみてもいい。
わざわざ招待状を受け取った人間たちなんだ。
多少は館の主サマもサービスしてくれるか・も」
「同じタイミング──決行は、二つ目の晩が訪れるころ。
それで合ってるか?」
「ふぇっ、あたしですか?
インチキ詐欺師探偵……キエさんですよね。
あたし、彼とはまだハロウィンのお話くらいしかしてないかも。
あ、あたしそんなほいほい契約を取り結ぶような
女じゃありませんっ!
でもっ、ミズガネさんが言うなら……。
わ、わかりましたっ!」
ゲイザーはそのように答えた。
あなたの忠告を聞き入れるだろう。”彼女”は。
「んん、其処なんだが幾つか懸念がある。
まず一つ目、この手段だと君の体も神隠しに遭う筈だ。
次に二つ目、2日目の晩…つまり今日だと君がミズガネ君を殺しきる前に神隠しが発生する可能性がある」
キエの言葉は淡々としていた。
「一つ目の懸念について述べよう。
調べによると
神隠しから帰って来た者もいるらしい
。勿論全員ではないが…ヌンキという使用人を知ってるかい? 彼は神隠しから帰って来たそうだよ。尤も彼等は館の主人の邪魔をしない様に、この件についてあまり口外しないんだが」
「つまり神隠しをされたら存在が消失するって訳でも無さそうでね。
しかし懸念である事には変わりない。
………だから、其の真相を確認してから実行の可否を考えたいんだ。
今クロノ君は怯えて出て来ないのだろうが、ミズガネ君なら僕らに存在を示すと思わないか?」
キエはまるで安全策であるかの様に話すが
神隠しから戻って来る為の手段についても
、実際に神隠しされた者を見る事ができるかどうかについても触れなかった。
何の保証も無い事をキエは知っている。もしも期待外れであればまた違う手段を探せば良いと考えていた。
「…嗚呼、勿論直ぐにでも試したいなら僕ァ構わないよ。邪魔が入るかもしれないしね?」
「ああ!? 話がムズかしくなってきやがった。
あんまりややこしいこと言うんじゃねェ!」
この発言で、リーパーの地頭については
察することができるだろう。
「つまり、オマエが言いたいのはこうだ。違うか?
『とにかくミズガネをブッ殺せ! 話はそれからだ!』
」
「それならいい。あいつ、報酬のせびり方が悪質だし変なもの取り立ててくるからな」
口ぶりからこちらの吟遊詩人はほいほい契約してしまったことが分かるかもしれない。
「本当か〜?お前押しに弱そうだから心配だな。気弱なところに付け込まれて詐欺に引っかかりそうだ。
……それに、よくない噂の為に『なんでも言うこと聞く』なんて口にする奴だしな」
「あんまり自分を安く売るのもどうかと思うぞ。もっと大切にしろ」
なんでも言うこと聞くような流れを作るよう脅迫したのはこの男なのだが、棚に上げてしれっとそんな事を言うのだった。
「な、なんで知ってるんですか……?
ってまさか、あ〜〜!
ミズガネさんも契約しちゃったんですかぁ!?」
「と、とにかく。キエさんには気を付けます。
……えへへ……し、心配してくれるんですね……。
あっ、ありがとうございます」
全くそれを気にした様子はない。
あなたもあなたであれば、こちらもこちらであるのだ。
「あ、あたし、その……っ。
そろそろあなたの部屋に向かいますね!
ホットワイン持って!」
リーパーは思索する。
この声はあなたには届かない。
「(あン……? ミズガネが何か言ってるな。
キエには気を付けろ? フン!)」
「(アイツの言う通り、キエの野郎は
インチキ詐欺師バケモノ探偵だが。
ゲイザーのバカをブッ飛ばせるチャンスだ。
それならばオレは、喩え怪しかろうが
その話に乗っかってやる)」
「(いざとなりゃ殺してやればいいだけの話だ!)」
「煩い馬鹿!
あーそうだよ契約しちゃったんだよ俺が!
クソッ……今思い出しても腹が立つなあいつ……。
別に礼を言われることなんてしていない。お前何かとんでもないことやらかすんじゃないかってハラハラするだけだ。
何かしでかしてお喋り好きの下女達が有る事無い事言うのを止めるの、大変なんだからな」
「ああ、待ってる。来る時転ぶなよ」
ぶっきらぼうに、けれど気を悪くしていないのが分かる程度には穏やかに返して貴方との連絡を終えるだろう。
「そう、つまりそういう事だ。すまない、説明が長くなってしまったね」
キエは苦笑する。短絡的なリーパーなら自分の殺害も視野に入れているのだろう。其れはキエにとって何ら懸念にならない。
「一応別の手段…“館の力を利用せずにゲイザー君を食べる”方法も今考えているよ。此方に関してはリソースさえ在れば事足りるから、提供してくれそうな者にお願いしてみるつもりだ。その為に必要な情報が欲しい。
君達が枝分かれしたのは何年前だ?
…つまり僕が食べるかもしれない
夢は何年分になるだろうか?」
「へッ、全くだぜ」
その説明は、確かに契約を結ぶには必要な情報だろう。
あなたはそれを為してくれた。
リーパーという短絡的な殺人鬼を、その掌の上に載せるために。
「4年前! じゃ、サクッと殺ってくるわ。
そろそろ例の時間だ」
リーパーは彼独特の理論の上で行動する。
彼にとっては人の子ひとりの命ですら、
その為に消費される理由になり得る。
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