人狼物語 三日月国


153 『Override Syndrome』

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【人】 女子大生 マユミ

 
 
   先生の仰る通り、
   私は最近エデンの幸福体験をよく聞いていました。

   ですが、その話はまだしていない。
   私は大分酷い顔をしているし、やつれています。
   でもそれだけで、分かってしまうというのは、
   流石に出来過ぎていませんか?

   私の言っていることは所詮、素人の戯言ですが、
   見ただけで判断するなら、
   うつ病だったり、ストレスや疲労の蓄積……。
   なんて線も考えられると思いますけど。

   先生は殆ど断定していましたね。
   何か理由があるのではないですか?
 
 
(17) 2022/06/14(Tue) 21:56:15

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 勿論、私は診察目的でここにきているのだから、
  先生の診察には協力するつもりであるし、
  質問には何だって答える。
  
……恐らく嘘を吐く必要など、もう何もない。


  それでも、純粋に先生に抱いた違和感が
  気になってしまった。 ]
 
(18) 2022/06/14(Tue) 21:56:39

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 診察が落ち着いた辺りだろうか、
  そういえばと思いだし、
  バッグの中から前に貰ったテーマパークの
  ペアチケットを取り出す。 ]


   これ、前に先生がくれたチケット。
   貰っちゃったけど、
   アタシも一人だけ誘う友達って言うと、
   ちょっと微妙でね?

   それに先生にあげた誰かのこと考えると、
   やっぱり申し訳ないし、このチケットは返す。
   それとも、一緒に行く人いないなら、
   アタシとでも行ってみる?……なんてね。



[ 別れるというジンクスが恋人以外にも
  適用されるとしても、相手は一患者。
  そう困ることもないだろうと、
  冗談めかして封筒を差し出した。 ]**
 
(19) 2022/06/14(Tue) 21:57:33
女子大生 マユミは、メモを貼った。
(a0) 2022/06/14(Tue) 22:03:28


[ 目の前の笑みは、低レベルの解像度で
  網膜に映る。

  頭がいいって、苦痛だ。
  忘れない、忘れられない、
  忘れてくれない。
  記憶。刻まれたメモリ。
 
  艶やかな髪。穏やかな表情。


  目を閉じて、開く。
  肺の奥まで酸素を吸って、同じだけ吐く。
  勧められるままに腰を下ろした。 ]

 



   ─── はい、初めてですね。
   べつに、緊張していませんが
   ずいぶんお若い女医さんで驚いていました。


[ しっかりと合わせているようで、
  自分の視線は相手の鼻の位置にある。
  逸らされることのない視線を真っ向から
  受け止めることがいつからか
  こんなにも恐怖と同義になっていたことに気付く。]
 




  自分にとって、「世の中」は
  やはり底知れず、おそろしいところでした。


 


[ 伸びてきた手を避ける動きが遅れた。
  ひたりと触れる柔らかな掌が頬を撫でる

  咄嗟に腕を曲げて、
  たたき落とすように振り払った。 ]


   あ、……あぁ、ごめんなさい。
   触れられるのは、苦手なので。
   その、特に、顔は。


[ どくん、どくんと心臓の拍動が全身を駆けて響く。
  驚かせてしまったか傷つけたか、
  それともこんなことは日常茶飯事なのか。 ]
 


[ 呼吸を整えている間に、流れるような手つきで
  差し出されたのはマグカップ。
  いかにも高級だと分かるような
  造形のものだったか、薄く繊細なものだったか
  いずれにしても己が心を動かすものではなく。

  ただ、受け取った。
  部屋の中の空気に妙な匂いが混ざって不快で
  酷く眩暈がした。 ]


   ハーブティ……ありがとうございます。


[ カップを口に運ぶ動きさえ絵になる、と思った。
  あの日、約束したコーヒーではなくて。
  解像度が上がる。鮮やかに蘇る。 ]
 


   ……でも、結構です。
   吐き気がする。
   コーヒーのほうが好きなんですよ。

   あと、俺は特に大変ではありませんし
   今"も" というのは
   あまり聞いていていい気持ちはしませんね。


   ─── ご無沙汰しています、古森さん。


[ カップから湯気が立ち上り、
  顔に煙幕に似たヴェールがかかる。
  過去をなぞり優しく微笑む医者に
  俺が感じたのは、猛烈な嘔吐感。

  そしてその嘔吐感に、陶酔する。
  ポケットの中で、イヤホンが転がっている。 ]**
 



  ***

   ごめんなさい。
   緊張してるのかとばっかり。


  [若い医者は信用ならないという話なのか。
   いいえ、きっとそんな簡単な話でもない。

   手を振り払われればその手を引っ込めて
   それは嫌悪か、拒絶、か、それとも。


   距離感が近すぎることを素直に謝罪すると
   少しずつ彼から目線を外した。]





  [解像が整えば整うほど明らかになる。
   あの頃をなぞっているようで、全く違う世界。
   ハーブティーとコーヒーが異なるように

   私が見ていたあなたと、あなたの知るあなたは
   全く別の存在のようで。

   花柄のティーカップは
   清涼の役割を果たすことも出来なかったみたいだ。]






   そう。それは残念。


  [どんな形であれ、拒絶は日常的。
   この仕事をしていれば慣れたもの。

   あなたに拒絶されてしまった
   ティーカップの縁を指先でなぞると。]


   コーヒーはW心療内科ここWには
   あんまり似合わないかもね。


  [あの日約束したまま終わった事を思い出す。
   コーヒーは、心療内科としてじゃなくて
   普通の一人間として嗜みたいものだから。

   ハーブティーをテーブルの隅に置くと
   今度は問診票に目を通して、首を傾ける。]




   そう…?ここに来たからには
   大変なんだと思ってた。

   大学の時の佐々岡くんも
   なんだか無理してそうだったから。


  [だとしても言ってはくれないだろうか。
   それとも本当に自覚がないのだろうか。

   より事態が悪化しているとすれば後者の方。
   あなたの言葉がどっち側の言葉なのか
   私としては気にならずにいられない。]





  [私は『OS疑い有、要検診』と書かれた
   問診票をテーブルに置き直すと
   気を引き締めるようにグッと背筋を伸ばして
   それから深呼吸を済ませて。]


   ならW心療内科Wのカウンセリングは
   やめておきましょうか。

   W個人的Wにも
   あなたに聞きたいことがあるし。


  [形式張った問診の終わりを告げると
   ハーブティーを一度片付けて。

   棚に仕舞われた病室に似つかわしくない
   クッキーやチョコレートの数々を取り出すと
   最後にドリップコーヒーを見せて。]






   こんな場所でも

        W私とあなただけナンパWなら
        コーヒーがあった方がいい?








  [もしあなたが首を縦に振るなら
   その時は二人分のコーヒーを入れて

         あの日の続きへと誘うだろう。]**





 ***

  [コーヒーがそこにあったかどうかはさておき。
   問診の時間から個人的な時間へと移すと。

   私はあの日聞きたかったことを尋ねる。
   そういえば。
   あの日も、今も、背景に転がるイヤホンが
   妙に気がかりで目についていた。
   今にして思えば、そういうことなのだろうか。



   あの日の論文、私も後から読んだんだ。
   でもあなたから直接聞きたくて。

   佐々岡くんからその話を聞けなかったのが
   ずっとずっと、心残りだったの。


  [あなたに見せたのはあなたの論文のコピー。
   研究者として書かれたあなたじゃない名前は
   怒りと共にペンで激しく塗りつぶされていて。


        その上の空白の欄に
        自分であなたの名前を書き記していた。]*



【人】 女子大生 マユミ

 
[ 私の行いを否定する訳でも、
  不用意にその先に踏み入ろうとするでもなく。
  話の矛先を逸らされれば、>>29
  私にとっては、ただただ有り難いだけのものだから、
  姉の勝手な都合についての話は、一先ず止んだ。

  今度は先生の事情を引き出す私の手番。
  少しの逡巡の後に切り出された内緒話は、
  同じく、家族の問題だったようで……。>>32
  いつしか見なくなったという母親か、
  或いは難儀な嫡男か。
  両方……という可能性もあるけれど。


  それについての話も、それで終わり。
  ここではその話題は禁忌だったものね。
  先生も必要以上
  こちらを踏み荒らそうとはしなかったのだし、
  私もそこまで追求する気はない。 ]

 
(37) 2022/06/16(Thu) 20:22:32

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 病気について、
  そして治療についての説明を受ければ、>>33
  未だ少し鈍ったままの頭を可能な限り働かせた。 ]


   私がどちらかを選んで良いというなら、
   ここへ通う方を選びます。

   今まで精神科にお世話になることは
   ありませんでしたから、
   新しい病院で姉妹の込み入った事情を
   説明するのは気が進みませんね。
   それに見合う成果が期待出来るなら兎も角、
   治療法がそんな不確かなものとなると……。


   それにしても、
   疑似体験に頼らず幸福感を得るとは、
   何とも因果な話ですね。


[ 治療法のことまでは知らなかったので、
  その内容を聞いて思わず嘆息した。 ]
 
(38) 2022/06/16(Thu) 20:23:36

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 真結実には幸せになる義務がある。
  亜結実には幸せになる権利がない。

  この国にはLH法……通称『幸福追求法』が存在する。
  国民は皆、幸福であるべきとされている。
  でもそれは、今を生きる国民に対して与えられた権利。
  既に鬼籍に入った"船越亜結実"は対象外。


  このまま放置していれば、
  アタシは病が進行し廃人と化すだろう。
  そんなことがあってはならない。
  しかしそれを治すためには、
  私が幸せにならなくてはいけない。

            
この皮肉な矛盾は天罰だろうか? ]

 
(39) 2022/06/16(Thu) 20:24:29

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 先生はそんな私の道化のような生き方に、
  特に意見をする気はないようで、
  純粋に応援してくれているらしい。>>34 ]


   火事以降、私の記憶は不十分でした。
   最初はそれを補おうとして、
   以前にアップロードした幸福体験を、
   聞いていただけだった。
 
 
(40) 2022/06/16(Thu) 20:24:51

【人】 女子大生 マユミ

 
 
   あれがどういう仕組みなのかは分かりませんけど、
   現実で疑似体験で聞いたものと
   同じものと相対しても、
   
同じような幸福感を得られなかったんです。


   次第に気が急いてしまって、
   もっと私の心に幸福感が定着すれば、
   感じ方も変わってくるのではないかと。
   そう思って、何度も聞いている内に
   疑似体験に依存してしまったようです。



[ エデンに没頭するようになった理由を、
  ぽつぽつと説明した。
  その間もどこか落ち着かず、目は頻りに泳いだ。 ]
 
(41) 2022/06/16(Thu) 20:26:06

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 一緒に行けば、チケットをくれた人への
  面目も立つと思って提案した選択肢。
  最初に見て取れたのは、困惑。>>35 ]


   
何か問題が起こるような外出になるとでも?



[ それは参加者の心がけ次第。
  であれば、問題などある筈がない。
  人の多いテーマパーク内で、
  知り合いに見つかることも普通はないのだし。

  アプリのIDを封筒に書いて返されれば、
  バッグにしまった。
  今日はこの後、
  両親に病気のことを説明しなければいけないし、
  遊びに行くならもう少し元気にならないとね。

  それでも、お誘いの連絡が行くのに、
  そんなに時間はかからないと思う。 ]**
 
(42) 2022/06/16(Thu) 20:27:12

[ 嫌悪、拒絶、どちらも。
  そうだな、そして、きっと恐怖。
  素直な謝罪に辛うじて頬を歪めた。

  ハーブティーが癒すもので
  コーヒーがそうではないもの

  ただの色の着いた液体に
  ヒトが勝手に乗せた種分け、期待、願望。

  さながらあなたはハーブティーだと?
  そんな気の利いた?クソみたいな?
  言葉が出てくるなら、この場はナンパ足り得た?

  はは、馬鹿馬鹿しい。
  あの時、手にできなかったのは
  ハーブティーではなくて
  コーヒーだったんだ。
 


[ ぴき、ぴし、と
  氷や鏡のようなものにヒビが入る音がする。]


   ずいぶん、上からだね。
   ……大学の時、
   俺が無理しているか否かを判断できるほど
   あなたと親しかった記憶は俺にはないけれど。


[ くす、と笑んで見せた。
  上手く出来たかは置いておいて。 ]
 



   俺は、学生でいた頃に
   大変だと思ったことはある。
   ……けれど大変だったことはないよ。
   そして、それは、
   今も、かわらない。


[ ゆっくりと首をぐるりと回した。
  ばき、ぼき、と骨が鳴る音が響いてくる。
  ぐらりと回る世界。歪む。

  吐き気と、吹き出す汗、
  そして恐らく蒼白になっているであろう顔色が

  今自ずから口にした言の葉が
  正直なものでないことのあからさまな証拠。

  そうさもちろん自覚はある。

  ただしそれを認めるわけにはいかない。  ]
 


[ しかしながら薄く脆く、ヒビが入った硝子は、
  指先でそっと触れるだけで砕けてしまうもの。
  あなたが意志を持って砕こうとしたのなら
  なおさら簡単に。
  そうだねあなたも優秀な学生だったのだから。

  彼女の手の中にある紙の束
  表面に、己の名前。
  塗りつぶされた持つ側の者の名前と
  手書きで足された見慣れた文字列。

  それを見た瞬間、ぶつん、と脳の扉を
  絡めた鎖が引きちぎれる。  ]



   ……なぜ、

 



[ 込み上げる嘔吐感と悲鳴。
  飲み込もうとすれば、
  喉からは車に轢き潰された蟾蜍の声。 ]


   やめ、ろ

 


[ 乾いた笑いが、溢れて。 ]


   お前の心残りなんて知らない。


[ ハーブティーの香りが満ちる診察室が
  狂ったOS罹患者に相応しい
  けたたましい笑い声で埋まる。 ]


   古森さん……あぁ、違うな先生
   前言撤回するかも知れないんだけど、
   大変、だと認めれば、さ

 

 




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